DJフクタケさんがTBSラジオ『タマフル』に出演。MIX CD『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』の中から、ディスコ、ジャズなどジャンル別におすすめ曲を6曲紹介していました。
(宇多丸)TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』。今夜はMIX CD『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』発売記念! 7インチレコード職人・DJフクタケが語る、 “本当はヤバイ歌謡曲の世界”特集をお送りしております。ゲストはアナログ7インチレコードコレクターとしても知られるDJフクタケさんです。引き続き、よろしくお願いします。
(DJフクタケ)よろしくお願いします。
(宇多丸)というこで、ここからは2月19日にリリースされる『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』に収録されている曲をジャンル別に分けまして、それを実際にアナログ7インチレコード。いま目の前でね、フクタケさんがレコードプレイヤーを操作しながら。レコードを実際に針を落としながら解説していただくという。本当にまさに、しゃべりながら針を落とすって。オリジナルディスク・・・これをやるのが、ディスクジョッキーですよね。
(DJフクタケ)ディスクジョッキーですね。まさに。
(宇多丸)で、お送りしていきたいと思います。では、どのジャンルから早速いきましょうか?
(DJフクタケ)まずはディスコ編ということで、1曲聞いていただきたいと思います。先に曲名・アーティストを紹介させていただきますと、1979年の海援隊。武田鉄矢さんのグループですね。の、『JODAN JODAN』という曲です。じゃあさっそく、聞いてみましょうか。では、まいりまーす。
海援隊『JODAN JODAN』
(宇多丸)えー、ということでお聞きいただいているのは海援隊『JODAN JODAN』。
(DJフクタケ)はい。これは武田鉄矢さんがヴォーカルをつとめたフォークグループで。
(宇多丸)海援隊っていうと、『贈る言葉』っていうかさ。フォークだから。こういうディスコとか、ベースのこのシンセ感。
(DJフクタケ)これはいままでは全くなかったわけですけど。
(宇多丸)あとジャケも、これシングルのジャケ。いま目の前にあるんですけど。すごいなんか80年代キャッチー感あふれる。
(DJフクタケ)そうですね。ポップな感じに(笑)。急になったと。
(宇多丸)ポップなんだけど、武田鉄矢さんが髪振り乱して。よく見るとすごいウザいっていう(笑)。
(DJフクタケ)そうですね(笑)。ちょっと掟さん感というか・・・
(宇多丸)掟さん!ある!ジャケ全体の80年代感と長髪振り乱して。掟さんだ!掟ポルシェだ、これ!ロマンポルシェだ、これ。
(DJフクタケ)昭和の掟ポルシェ。
(宇多丸)昭和の掟ポルシェ、武田鉄矢。
(DJフクタケ)とも言える。なんでこの曲がこの79年というタイミングで発表されたか?というところなんですけど。これは金八先生でブレイクする直前なんですよね。金八先生の放送された年に発表された曲なんですけど、まだ金八のイメージはないと。で、この当時のバックバンドをやっていたのが、TALIZMAN(タリスマン)という。結構アニソンとか特撮の歌をご存知の方は知っているバンドだと思うんですけど。タリスマンという、『ウルトラマン80』とかですね。
(宇多丸)ウルトラマン♪エイティー♪
(DJフクタケ)そうですね。あれもちょっとディスコっぽいですけど。それの曲を書いていた木村昇さんという方のバンド、タリスマンがバックバンドを当時。海援隊のバックバンドをつとめていて。その方が提供したのがこの曲であると。この曲、まあディスコなんですけど。特にミュンヘンサウンドと。ジョルジオ・モロダーというドイツのディスコのプロデューサーで。ドナ・サマーの『I Feel Love』だったりとか、ブロンディの『Heart Of Glass』だとか。ヒットメイカーですね。当時の。
(宇多丸)後はね、映画のサントラなんかにもね、出たりしますけどね。ジョルジオ・モロダー。
(DJフクタケ)そのジョルジオ・モロダーのミュンヘンサウンドに非常に影響を受けた四つ打ちディスコってことで。これ、本当にいま、ディスコ的な解釈で聞くと、ヤバくないですか?
(宇多丸)ヤバい・・・ヤバいって思いますね。あとその、やっぱり武田鉄矢との距離感みたいなものも、ヤバいですね。そのヤバさみたいなのが、伝わってきたと思う。まあ、曲普通にかっこいいですね、やっぱりね。むちゃむちゃね。
(DJフクタケ)そうですね。DJ的に使える曲っていう。
(宇多丸)意外とこれ、ディスコだったみたいなのってありますよね。昔の曲を聞いてると。要するに子供の時に聞いていたけど、ジャンルでは聞いてなかったから。大人になって聞くと、『これ、ディスコブームの時に影響を受けて作ったんだ』って。これ、『JODAN JODAN』。当時は、J-O-D!って、YMCA系のジェスチャーみたいなのがあって。それは覚えてたんですけど。いま聞くと、こんなに本格的にちゃんとディスコしてたかって。
(DJフクタケ)どディスコっていう感じですよ。
(宇多丸)まあ、タリスマンの人だね。木村昇さんね。はい。といったあたり。じゃあ、ディスコ編。ディスコだけでもね、ディスコ歌謡っていう1ジャンルがあるぐらいですから、いくらでも掘っていけると思うんですけど。どんどんこのヤバ歌謡、フクタケさんのセンスで他のジャンルもちょっと攻めてみましょうか?
(DJフクタケ)次がですね、ジャズ編ですね。ジャズはですね、聞いていただきたいのが、60年代の曲です。1968年のサニートーンズというコーラスグループが歌う、『恐怖の町』。こちらは特撮ファンの方に有名な『怪奇大作戦』という番組のエンディングテーマです。
(宇多丸)イエーイ!じゃあ、聞いてみましょうか。『恐怖の町』。
サニートーンズ『恐怖の町』
(宇多丸)はい。怪奇大作戦のエンディングテーマ。サニートーンズの『恐怖の町』をお聞きいただいております。はいはい。もうかっこいいですよ、これは。
(DJフクタケ)ベースラインがね。
(宇多丸)だし、ブレイクっていうか歌の入ってないところもサンプリングしたくなりますね。
(DJフクタケ)そうですね。ドラムブレイクっぽいのもありますね。
(宇多丸)かっこいいです。はい。こちら・・・
(DJフクタケ)この曲がですね、怪奇大作戦エンディングテーマなんですけど。作曲が山本直純さん。映画『男はつらいよ』シリーズとか、アニメ関係だと『新オバケのQ太郎』ですね。
(宇多丸)あの、『新オバケのQ太郎』のテーマ曲もすごいファンキーじゃないですか。たしかスチャダラパーがファーストアルバムでね、ちょっとサンプリングなんかして。そうかそうか。元々ファンキーな曲をいっぱい提供してたんだ。山本直純さん。
(DJフクタケ)このグルーヴの結構いい曲をいっぱい書いている山本直純さんの仕事だったりするんですけど。これを今回ミックスに収録した理由っていうのが、1960年代のアニメ・特撮ソング、結構踊れるジャズグルーヴがたくさんあって。個人的に結構みなさんに聞いていただきたいものとしては、アニメの『ワンサくん』だったり、『妖怪人間ベム』。
(宇多丸)ああ、妖怪人間ベム、この雰囲気ですもんね。
(DJフクタケ)割とスリラーっぽいジャズっていう感じで。あと特撮だと円谷なんですけど、『チビラくん』。チビラくんもかなりいいグルーヴですね。
(宇多丸)はい。
(DJフクタケ)まあジャズ系の方が結構バックをやられることが、当時の歌謡曲、多かったんで。そういった影響も少なからずこのグルーヴには寄与していると思うんですけど。あと、個人的に面白いなと思うのが、このコーラスがグリークラブ系のコーラスなんですね。いわゆるジャズコーラスではないと。
(宇多丸)ああ、なるほど。
(DJフクタケ)これもちょっとアニソン・特撮ソングならではの理由があって。学童用の、子供向けのレコードという扱いで特撮ソングは当時レコードリリースされてたんですけど。これ、制作セクションが童謡とかと同じレコード会社のセクションなんですよね。なので、そういったことからも、こういう子供番組の曲だから、そういう歌謡曲の枠組みだからこそ生まれた組み合わせみたいな。
(宇多丸)歌の部分は子供向け。これは子供向けでいいだろうと。でも、その音は完全に大人仕様。
(DJフクタケ)グルービー。そうなんですよ。
(宇多丸)という組み合わせができやすい時期だったと。1960年代。
(DJフクタケ)まあ、その組み合わせって、ヤバくないっすか?
(宇多丸)ヤバいっすね!他の時代の、状況が変わったら現出しないタイプの音楽ってことですもんね?
(DJフクタケ)そうです。
(宇多丸)他のたとえば国では出てこないっていうことでもあるし。はい。ヤバいと思います。
(DJフクタケ)いただきました。ありがとうございます。ヤバい。
(宇多丸)はい。ということでジャズ編。サニートーンズいただきました。どんどんじゃあいきましょうか?ヤバい曲、いきましょうよ。はい。目の前でレコードを入れ替えております。続いてのジャンルは?
(DJフクタケ)こちらは、ファンク+民謡。
(宇多丸)ファンクはわかりますよ。ファンクミュージックね。で、民謡もわかるけど。それが足されているという・・・ファンク+民謡編。
(DJフクタケ)ファンクと民謡を足すと、どうなるか?という。聞いていただきたいと思います。
(宇多丸)これはどなたの曲なんでしょうか?
(DJフクタケ)こちらはですね、1988年の山本謙司さんと岸千恵子さんという方が歌っている、『NEBUTA BOUND ~GET DOWN SNOW FUNK~』という曲です。
(宇多丸)ねぶただ。
(DJフクタケ)まずは聞いていただきましょうか。はい。
※動画1:20あたりからスタートします
(宇多丸)もう、最初の一声からいきなりジェームズ・ブラウンでしたね。シャウトが。ということで、NEBUTA BOUND。こんなのやってるんだ。これ、何年の曲ですか?
(DJフクタケ)これ、1988年ですね。
(宇多丸)結構あと目ですね。
(DJフクタケ)そうですね。昭和でいうと63年。
(宇多丸)88年というと、たぶんHIPHOPのサンプリングの手法からの、いわゆるレア・グルーヴ。古いファンキーなレコードの再評価。その流れでジェームズ・ブラウン自身も再評価されているタイミングで。ジェームズ・ブラウン自身も復活で新譜だしているタイミングで。あと、日本でも中村有志さんのFUNKY KING。JBのモノマネというか。そういう時代感。88年という。それは確実に影響してるんじゃないですか?
(DJフクタケ)はい、そうですね。これ、NHKの番組企画でどうも生まれた曲ということで。まあ、津軽出身の民謡歌手の2人が歌っていると。作曲が当時竜童組っていうバンドをやっていた宇崎竜童さんですね。宇崎竜童さんが作った曲で。編曲は当時ダウン・タウン・ブギウギ・バンド。宇崎さんが以前やっていたバンドのメンバーの方がやっていると。まあ、非常に日本古来のレイヴのねぶたとファンクの融合。
(宇多丸)大石始さんの特集、ありましたけど。はい。
(DJフクタケ)まさにこの和洋のファンキーの融合みたいな。
(宇多丸)まあね。違和感ないはずですからね。だって太鼓中心のね、グルーヴですからね。お祭りの音楽っていうのは。まさにその大石さんの特集とかもありましたけど。ああそうですか。先週に続いて、なぜか宇崎竜童さんが連発して出てきますね。これね。今回はちょっとポジティブな出方でよかったですけどね。なるほど。なるほど。
(DJフクタケ)まあこの宇崎さんの作ったグルーヴ、ヤバいでしょ?
(宇多丸)ヤバいっすよ、これ。やっぱり、これヤバいですね。間違いないと思います。
(DJフクタケ)まあ、ヤバさしかないですね。
(宇多丸)ヤバさのみを受け取ることができました(笑)。そのくだり、だいぶ理解してきました。ということで、ファンク・音頭編が終わりました。どんどんいきましょうか。ヤバさ。いろんなヤバさがありますよ、これ。続きまして、いまね、目の前で7インチレコードをターンテーブルの上に。針を落としております。続きまして、どんな?
(DJフクタケ)はい。このへんは宇多丸さん、大好物じゃないかな?というあたりですね。時代で言うと1989年。ミュージシャンはKANさん。
(宇多丸)『愛は勝つ』のKANさん?
(DJフクタケ)はい。あのKANさんの曲なんですけど。『君から目がはなせない』という曲ですね。あんまり有名な曲ではないんですが、まあ、とにかく聞いてみてください。
KAN『君から目がはなせない』
(宇多丸)ヤバい!超いい曲じゃん!
(DJフクタケ)(笑)。僕聞く前に言っちゃいましたね。
(宇多丸)ハンパじゃねー!ああそう。KANさん、こんなの出してるんだ。これは、ジャンルで言うと、80年代のいわゆるPWLサウンドというか。ユーロビート。80年代ユーロビート。
(DJフクタケ)そうですね。ストック・エイトキン・ウォーターマン。
(宇多丸)というプロデューサーがいてね。一連のいろいろなあれがある。しかも、男が歌っているから当然。ストック・エイトキン・ウォーターマンプロデュースの男ヴォーカルといえば、これは・・・
(DJフクタケ)リック・アストリー!
(宇多丸)リック・アストリー。これ、リック・アストリーというのは、DJ JINという。私のライムスターというグループのDJ JINという男が、リック・アストリーの無類のファンでございまして。リック・アストリーのコンサートに行ってるんですよ。あいつは。しかも、行ってる理由が『なんて男性的なヴォーカルだ!』っていう。だから、コンサートに行ったら男性ばかりが集まっているに違いないと思って行ったら、客が女ばかりで戸惑ったっていう。
(DJフクタケ)(笑)
(宇多丸)当たり前だろ、お前は!っていう。どういうあれしてるんだ?っていう(笑)。ああ、そう!でもこれ、むちゃくちゃいいじゃないですか!
(DJフクタケ)これ、絶対宇多丸さん好きだろうなと。
(宇多丸)これ、やっぱり『愛は勝つ』っていうイメージがあるから。たぶん世間的なKANさんイメージとも違うから。やっぱり埋もれがちな感じになっちゃってるんですかね?
(DJフクタケ)そうですね。あの、ブレイク前夜なんですね。愛は勝つを発表する1年前。89年の曲なので。まあまあ、ブレイク前夜の超ヤバい曲と。
(宇多丸)へー!すげーな、KANさん。KANさん、後にね、真野恵里菜さん。ハロー!プロジェクトのさ、真野ちゃんのプロデュース曲とかですごいKANさん、やっぱり優秀で。要はさ、来週のm.c.A・Tさんじゃないけど。当時、やっぱり愛は勝つとかはさ、僕ラップとかをライムスターで始める時はもう、仮想敵だったわけですよ。やっぱりそれは。なんだけど、やっぱりそういうのね、外してみるとこれ、いいわー。やっぱり。ヤバいって言っちゃった。ごめん!振りづらくなってるね。最高ですよ、これ。メロとかもね。
(DJフクタケ)でしょう?これ本当に、まあKANさんのイメージが、愛は勝つが強すぎて。どうしてもみなさん、スルーしがちではあるんですけど。
(宇多丸)ダンス・ミュージックのイメージがないもんね。まずね。
(DJフクタケ)そうなんですよね。で、割と初期は自分で編曲までやられてて。結構打ち込み指数の高い曲を多く発表されてるんですね。っていうのもあるので、まあKANさん。本当に・・・
(宇多丸)ちょっとファンク感とか、スクリッティ・ポリッティ感もあるし。これ、西寺郷太くんとかもすげー絶対好きだぞ。郷太くんとかも。すごい!
(DJフクタケ)結構80’s感っていう意味では、本当に愛は勝つ以前のKANさんは要注目です。
(宇多丸)これは俺、普通に。普通に手に入れなきゃマズ・・・あ、入ってるんですね、これね!
(DJフクタケ)入ってます!もちろん、ヤバ歌謡に入ってますよ、これ!
(宇多丸)なーんだ!よかった!どうやったら手に入るのかと思って。
(DJフクタケ)いやー、宇多丸さん。この曲、改めていいますけど。ヤバくないですか?
(宇多丸)これ、ヤバいっす!最高!ヤバい!KANさん、ヤバい!
(DJフクタケ)いただきました。
(宇多丸)うわー、驚いたわ。これ。こんなのあるんだ。えー、続いてどんどんいきましょうか。
(DJフクタケ)はいはいはい。次はまた和製ユーロビートの流れでもう1曲いきたいと思います。
(宇多丸)和製ユーロビートね。なんかいい曲あったらどんどん知りたいですけどね。僕もね。誰でしょうか?
(DJフクタケ)次はアーティストでいいますと、早見優さん。
(宇多丸)あー、早見優さんね。曲、いいのいっぱいありますからね。これね。当然。
(DJフクタケ)早見優さんの『ハートは戻らない』という曲なんですけど、こちらのリミックスバージョンですね。
(宇多丸)これ、何年のあれですか?
(DJフクタケ)87年です。1987年の早見優『ハートは戻らない』のスペシャルリミックスバージョン。
(宇多丸)リミックスバージョン。じゃあ、普通に発売されていたものなの?
(DJフクタケ)まあ、12インチバージョンというのは実際市販されてたんですけど。
(宇多丸)当時、ありましたよね。ちょいちょいね。12インチ。
(DJフクタケ)そうなんです。アイドルとか一般のアーティストの12インチミックスっていうのが結構。80年代はリリースされたんですけど。いまからかけるバージョンはその12インチバージョンともちょっと違う。7インチバージョンのプロモ盤のリミックス。
(宇多丸)プロモ盤だ。じゃあなかなか聞けないやつですね。
(DJフクタケ)レアなバージョンになります。じゃあ聞いていただきましょう。
※↑はノーマルバージョンです。
(宇多丸)あの、ドドドドドン♪みたいなね。とか、エディットの感じとかがもう、80’s!
(DJフクタケ)マシンガンエディットですね。
(宇多丸)はいはいはい。という。すごいバージョンですね。かっこいいわ、これ!
(DJフクタケ)これがですね、原曲はレディー・リリーというアーティストの『Get out of my life』の日本語カヴァーということで。早見優さんのシングルとして発売されたものなんですけれど。こちらのリミックスバージョン。これを手がけているのが、日本のリミックスチームの中で、いくつかあるんですけど。その中でもパイオニアの1つ、The JG’s。
(宇多丸)The JG’s!出ました!もう本当に草分け中の草分けじゃないですか。それこそ、本当にこういうエディットして、ドドドドドン♪みたいなね。こういうの、いちばん最初にやっていたあれですよ。
(DJフクタケ)もう思う存分刻みまくっている感じで。本当、かっこいいんですけれど。在籍メンバーがまた、そうそうたる顔ぶれで。
(宇多丸)いま考えると、すごい人たちですよね。
(DJフクタケ)TRFのDJ KOOさん、DJ HONDAさん、三好史さんこと、いま『いぬ』っていう名前で活動されている、nonSectRadicalsでもある三好さんもいるThe JG’sの。
(宇多丸)すごいよ。そうそうたるメンツ。
(DJフクタケ)もう、ラテン・ラスカルズばりの。
(宇多丸)本当、ラテン・ラスカルズですね。やっぱり80年代エレクトロHIPHOPの匂いをね、強く残した感じですね。かっこいいわ。しかもこれ、普通は手に入らないお皿なわけでしょ?これも、入っちゃう。
(DJフクタケ)ヤバ歌謡に入っていると。
(宇多丸)初CD化ですね。当然ね。っていうか、初商品化ですね。ある意味。
(DJフクタケ)そうですね。いままでは市販されてなかったバージョンなんで。
(宇多丸)そう。あ、これすごいですわ。この時代の、80年代後期モノもありそうだな。いっぱいな。
(DJフクタケ)いやー、結構まだまだ紹介されていないというか。埋もれたままの楽曲は多いですね。
(宇多丸)そこに目をつけるね、サイクルにようやくなってきたのかもしれないですね。
(DJフクタケ)そうですね。いま、あんまりリアルタイムで聞いてない子たちが、むしろこういったものをすごい反応するんじゃないかな?と思いますね。
(宇多丸)素晴らしいと思います。はい。
(DJフクタケ)これ、もうちょっと聞いてみませんか?
(宇多丸)あ、聞きましょうか。この先にもっとヤバいエディットが出てくるんですか?じゃあ、聞いてみましょう。
(曲を聞く)
(宇多丸)はい。もうすごいエディットがきましたね。さっきのもね。こういう感じ。いいよ、こういうの!実際には市販されてないですけど、『俺ら東京さ行くだ』。ハードコア・ボーイズのリミックスね。あったりしますからね。やっぱりそれを彷彿とさせるような。
(DJフクタケ)ほうらいわんこっちゃねぇ MIX。
(宇多丸)そうそうそう。(藤原)ヒロシさんとかが小芝居してるっていうね。小芝居の伝統!ミッツィーさんにつながる、小芝居の伝統もハードコア・ボーイズ、ありますからね。
(DJフクタケ)つながった!
(宇多丸)はい。ということで、すげーかっこいいと思います。ちなみにですね、フクタケさんね、今日いろいろな7インチレコードを持ってきていただいてるんですけど。来週の特集。この番組の来週の特集に関連する7インチも持ってきていただいているということなんですけど。これ、どういうことなんでしょうか?
(DJフクタケ)これがですね、来週、このスタジオに・・・
(宇多丸)m.c.A・Tさん来てくださる。A・Tさんのプロデューサーである、富樫明生さん。富樫明生さんの7インチシングル。
(DJフクタケ)富樫明生さんが出していた7インチの音源というのがございまして。
(宇多丸)はいはいはい。これも『Not For Sale』って書いてありますよ。
(DJフクタケ)そうですね。こちらはですね、楽曲が『Primitive Power』という曲で。1989年に発表された曲ですね。富樫明生さんのデビューアルバムからの、これはプロモカットのみということで。実際は市販されていないシングルですね。はい。じゃあこっから聞いてみましょうか。『Primitive Power』。はい。
『Primitive Power』
(宇多丸)はい、ということでもうこれ、さっきのね、DJサムラ&ゴーチのさ、サムラさんの指示の『ミネアポリス』ってありましたけど。岡村靖幸さんの。当然、岡村靖幸さんの同時代の。これ、まさにミネアポリスじゃないですか。もうプリンスですよ。
[リンク]タマフルDISCO954 THE 男子音楽厨房 TOKYO PREMIUM J-POP DJ MIX
(DJフクタケ)まさに。
(宇多丸)そうか。やっぱり富樫さんね、プリンスの影響を受けているっていうのはありますけど。もう完璧にメロから何から。音色から。
(DJフクタケ)相当やっぱり好きものの作った曲というか。感じがしまして。まあ、この4年後に『Bomb A Head』でブレイクを果たすというか。
(宇多丸)あの、富樫さんがプロデュースしたm.c.A・Tさんがこの曲を。意外とその線引きは厳しくね。いまだにその線引き、厳しいらしいんでね。これね。という。ああ、そうなんだ。
(DJフクタケ)そうなんですよ。宇多丸さん、これ、あえて言いますけど、ヤバくないっすか?
(宇多丸)ヤバいっすよ。これ。間違いなく。これはやっぱり来週に向けて、ある意味助走も作っていただいて素晴らしい。いっぱいありますね。これは、入っているわけ?
(DJフクタケ)入ってます。
(宇多丸)これも入ってるの?
(DJフクタケ)もちろん入ってます。
(宇多丸)ええーっ!?ヤバいじゃん!今回のMIX CD。
(DJフクタケ)ヤバいんですよ、本当に。
(宇多丸)ヤバいなー!ちょっとこのヤバい話、CM明け、もう1回聞かせてください。
(CM明け)
(宇多丸)はい、もうあっという間に過ぎちゃいましたね。これ、いつもね、ゴールデン街で酒飲みながらやっていることをね。
(DJフクタケ)(笑)
(宇多丸)やるとやっぱり、意外とあっという間にね。あれは何時間やっていたんだ?っていうぐらいのあれですけど。でも、今日聞いたような曲を、まだ氷山の一角で。当然。
(DJフクタケ)まだまだ。
(宇多丸)まだまだ入っているという。それにしても、今日聞いた中でも、ディスコ、ジャズ、ファンク+民謡、ユーロビート。いろいろありましたけど。そして最後のね、ミネアポリスファンク。ありましたけど。いろんな良さがあるけど、ってことですよね。
(DJフクタケ)そうですね。やっぱり歌謡曲の懐の広さっていうか。なんでも、ダンスのビートだろうがなんだろうが飲み込んでしまうという。その貪欲さみたいなものが、最もヤバいのではないか?と。
(宇多丸)いちばんヤバいのは歌謡曲という器の、懐の深さというか。貪欲さであると。
(DJフクタケ)だと思います。
(宇多丸)しかも、面白いのはちょっと時代が過ぎて、俯瞰して見てみると、そん時にリアルタイムでは気づかなかった点が線につながったりするじゃないですか。これ、いまでもあり得るじゃないですか。『あ、この頃って結構こういう音色だったんだ』みたいなのって。なので、そういうのもMIX CDから浮かび上がる面白さ。
(DJフクタケ)ですね。ちょっと寝かしの時間があると、また美味しくいただけるみたいな部分はあると思いますね。
(宇多丸)だから知っている曲なんかが何曲か入っているほど、あ、こんなに味わいが変わってくるものか!っていうのがよりわかるかもしれないですね。
(中略)
(宇多丸)ちなみにね、今日なんども言っている2月19日発売の『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』のブックレットにはフクタケさんの1曲1曲、今日みたいなね、解説がつくという。これはもう、読み物としても素晴らしいですし。という。
(DJフクタケ)そうですね。で、ジャケットの写真も全部載ってますので。これ見ながら聞いていただけると、非常に楽しめるんじゃないかなと思います。
(宇多丸)あの、日本語の曲からちゃんと掘って、並べてかけることでグルーヴを。元々持っていたグルーヴを浮かび上がらせる。これ、あの本来申し訳ないとがやろうとしてたことそのものでもありますし。まさにDJ。っていうか、DJっていうものの本質に関わるような話なんじゃないかなと思いますんで。是非ちょっと『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』、聞いていただきたいと思います。
(DJフクタケ)よろしくお願いします。
(宇多丸)フクタケさん、ありがとうございました。
(DJフクタケ)ありがとうございました!
<書き起こしおわり>