DJフクタケが宇多丸に語る 『ヤバ歌謡』の定義と魅力

DJフクタケが宇多丸に語る 『ヤバ歌謡』の定義と魅力 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

DJフクタケさんがTBSラジオ『タマフル』に出演。『ヤバ歌謡』というヤバい歌謡曲の定義と魅力について宇多丸さんに語っていました。

ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX~MIXED BY DJフクタケ

(宇多丸)TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』。ここからは特集コーナー、サタデーナイトラボの時間です。2月のタマフルは音楽特集強化月間。今夜お送りするのはこちら。MIX CD『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』発売記念! 7インチレコード職人・DJフクタケが語る、 “本当はヤバイ歌謡曲の世界”特集!!

(スターボー『ハートブレイク太陽族』が流れる)

(宇多丸)1960年代から80年代までの歌謡曲。その中から選りすぐりのヤバい34曲を集めた業界初の公式歌謡曲MIX CD、『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』が来週2月19日水曜日にリリースされます。それを記念して、今夜はそのMIX CDに入っている曲を通して、昭和歌謡のヤバさを再発見していこうと思います。ではさっそくゲストをお呼びしましょう。DJフクタケさんです!よろしくお願いします。

(DJフクタケ)はい、よろしくお願いします。

(宇多丸)満を持してのフクタケさん特集ですよ。これ、あれですか?フクタケさん、入場曲ですか?スターボーは。

(DJフクタケ)そうですね。出囃子としてはちょうどいい感じの。

(宇多丸)まあね、スターボーの『ハートブレイク太陽族』というね。まあテクノ歌謡としても知られております。まあ非常に変わった曲ですからね。

(DJフクタケ)そうですね。

(宇多丸)これ、まさに先週出ていただいた藤井隆さんの番組(藤井隆の胸キュン!アイドル天国)に僕、出させていただいた時に、スクールメイツ。いまのスクールメイツが、スターボーはもちろんいないですよ。いないところでこの音源流して、スクールメイツさんが踊るっていう。

(DJフクタケ)スターボーの振付で?

(宇多丸)スターボーはフロントで踊っているという想定で、後ろでスクールメイツが踊るっていう。もうシュールなあれが展開されていて。

(DJフクタケ)ヤバいですね!

(宇多丸)そう。ヤバいでしょ?これがまさにヤバいっていうことでございます。ということでフクタケさん、いつもDISCO954のコーナーではDJ MIXなどをしていただいておりますが、特集コーナーは今夜初登場となりますので。僕はね、絶対フクタケさんの解説が聞きたいと思っていたんで。前からの念願の企画だったんですけど。

(DJフクタケ)いやいや。緊張、緊張、また緊張っていう感じで(笑)。

(宇多丸)なにをおっしゃいます。じゃあフクタケさん、改めてどういう方なのか?紹介をしていきたいと思います。1990年代より『テクノ歌謡』の概念をいち早く提唱。まさにね、いま聞いているスターボー『ハートブレイク太陽族』とかね。いろいろありますが、テクノ歌謡の概念をいち早く提唱。アナログ7インチレコードでプレイすることにこだわり、現在は渋谷アシッドパンダカフェを拠点に、都内クラブでDJとして活躍中。また、アニメや特撮の楽曲でDJプレイする、まんがジョッキーとしても活動中。この番組には2011年6月に、Beach on the SEXとしてDJエドボルさんとね、コンビでね、初登場。

(DJフクタケ)(笑)

(宇多丸)あん時はね、まともに口を・・・しゃべんなかったですもんね。

(DJフクタケ)まあ『SEX』しか言ってなかったですね。

(宇多丸)ぜんぜんそんなキャラじゃないのにね。それで初出演してもらって。あれもね、ミッツィーさんが仕込んだっていうのがありましたけど。そして来週、2月19日にはフクタケさんが曲をセレクトし、ミックスした業界初の公式昭和歌謡MIX CD『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』がリリースとなるわけです。改めまして、MIX CDリリース、おめでとうございます!よいしょー!

(DJフクタケ)はい。ありがとうございます。

(宇多丸)ミッツィーさんね、ミッシェル・ソーリーさんと同日発売ということで。勝負ですね!これね!

(DJフクタケ)そうですね。まあいまんところ、ちょっとリードしている感、ありますね。

(宇多丸)まあ、ミッシェル・ソーリーさんね。新潟に足止めしてるわけですからね。で、今夜はその『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX』に収録されている曲を例にとり、昭和歌謡の魅力、ヤバさ。これはどんなところにあるのか?実際にこの机の上にアナログレコードをかけられるレコードプレイヤー、ターンテーブルを置いてあります。そこで7インチレコードを実際にプレイしながら、曲をかけながら解説していこうという。こういう企画になっております。本題に行く前に、まずは今回のMIX CDはどんないきさつでリリースになったのか?ヤバ歌謡。

(DJフクタケ)そうですね。最初の企画段階では、ユニバーサルミュージックさんの方からお声がけいただいたんですけど。過去の音源のカタログを利用した企画をやりたいと。最初はテクノ歌謡系のDJミックスみたいなのはいかがでしょうか?って。

(宇多丸)テクノ歌謡、あらためて紹介しておくなら、要はYMOとかのブームがあって、シンセとかを多用した感じの曲が・・・

(DJフクタケ)そうですね。シンセとか電子的な音を取り込んだポップス、歌謡曲ですね。

(宇多丸)要は当時のトレンドをいち早く取り込んでやった曲の数々っていうのがいろいろあって。それがテクノ歌謡。ちなみに僕は90年代にフクタケさんがテクノ歌謡を最初にコンピレーション、各社から出されたやつ。僕、申し訳ないとでDJやる時にいちばん最初にDJバッグにこれはマストで入れたっていう。テクノ歌謡。まだ知り合うはるか前ですよ。

(DJフクタケ)ありがとうございます!

(宇多丸)だから、もう師匠なんですよ・フクタケさんは。この方面に関しては。

(DJフクタケ)恐縮です!

(宇多丸)もともとはテクノ歌謡系のMIX CDを作りたいというオーダーだったと。

(DJフクタケ)はい。でも、いろいろユニバーサルさんっていうのは、過去の音源を非常にお持ちで。いろんなレーベルのものが使えますと。そういう豊富な音源の数々を見てると、テクノ歌謡に限らなくてもいいんじゃないかと。

(宇多丸)テクノ歌謡っていうことは、当然80年代。70年代後半から80年代前半ぐらいかな?

(DJフクタケ)まあ、時代が限られちゃうんですけど。もう60年代から80年代。30年ぐらいの幅でいろいろMIX CDとしてできるんじゃないか?と。まあレア・グルーヴ的な目線でDJミックス、いけますよね?と。

(宇多丸)レア・グルーヴ的な。要は古い音楽だけど、いまの価値観で踊れる曲にミックスというか。DJのテクニックによって聞かせてしまうと。

(DJフクタケ)まあ、それは僕が個人的に『ヤバい』って感じたものっていうくくりで、それをひっくるめて『ヤバ歌謡』と。もう言い切ってしまう感じで。

(宇多丸)レア・グルーヴとかの定義にしても、難しいですよね。要するに、ジャンルはぜんぜんバラバラなんだけど、ある1人のDJのセンスで。ガラージュなんか、まさにそういうことじゃないですか。ジャンルは本来バラバラなんだけど、あるDJの1つのセンスでまとめると、1つのまた別の空気が・・・

(DJフクタケ)流れというか。

(宇多丸)浮かび上がってくるような。これはもう、ジャンル付けを自分でしちゃおうと。もう、ヤバ歌謡だと。

(DJフクタケ)そうですね。

(宇多丸)そして、フクタケさんが感じるヤバさ。なかなか言葉にするのは難しいかもしれませんが。あえて言葉にするなら、どういう感じかというと?

(DJフクタケ)歌謡曲っていうのが、本来歌手が歌うために最適化された音楽で。

(宇多丸)まあ、歌が中心にある。この間のさかいゆうくんの特集で言うと、『歌謡民族日本』っていうかね。歌がどうしても中心にくるあれなんだけど。

(DJフクタケ)そうなんですね。そうなると、メロディーとか歌詞にどうしてもみなさん注目しがちなところがあります。でも、その一方で流行歌としての歌謡曲っていう役割が、当時のダンスホールとか、ディスコみたいな夜遊びの現場ですね。そういったところの音楽のトレンドを反映する楽曲が非常に多い。つまり、踊れる曲が実は多いということです。そういった歌謡曲の中に潜むダンス・ミュージック的な要素。特にビートとかベースラインに1回注目してみてほしいと。

(宇多丸)はいはい。

(DJフクタケ)そうすることで、いままで単に古い歌謡曲だなと思ってみなさん聞いているような曲も、また違って聞こえてきますよと。

(宇多丸)以前ですね、フクタケさんDJしていただいた時に、あんまり知られていないようなアニメの主題歌とかの曲、挿入歌とかのミックスをしていただいて。並べてミックスして聞くと、『これってビートがテクノポップなんですね』とか。並べて聞くと浮かび上がってくる。要するにDJの選曲によって浮かび上がってくるものってやっぱりあるなっていうのがすごく・・・

[リンク]DISCO954 DJフクタケ オールドスクールアニソン7インチMIX 70代編
[リンク]DISCO954 DJフクタケ オールドスクールアニソン7インチMIX 80年代編

(DJフクタケ)そうなんですよね。まあそう思っていただけたら、うれしいなと思って作ったのが今回のCDなんで。

(宇多丸)あと、ベースラインということなら、前にMACKA-CHINにDJしてもらった時に、島倉千代子さんの『人生いろいろ』。あのベースラインがものすごくドス黒いことに気づいたりとか。なんかDJのプレイで改めて気づくみたいなのがあると。そういうグルーヴの再発見みたいな、そういうことですかね?

[リンク]タマフル ディスコ954 MACKA-CHIN フォークソングMIXが最高!

(DJフクタケ)そうですね。まあレア・グルーヴって言っちゃうと本当に全く知られてないものの発掘みたいな意味合いも強いんですけど。どちらかと言うと、ヤバ歌謡の場合は身近にありながら埋もれていた・・・

(宇多丸)再発見というか。価値の再発見。

(DJフクタケ)そうですね。ミディアム・レア・グルーヴぐらいの感じですかね。

(宇多丸)ミディアム・レア。うまいね。はい。

(DJフクタケ)これがヤバいということです。

(宇多丸)というわけで、じゃあ並べていろいろ聞くことによってヤバさとは何なのか?を体感していただくといったあたり。CMのあと、実際に曲を聞きながら体感していただきたいと思います。

<書き起こしおわり>

続きは↓
DJフクタケ選曲 ジャンル別おすすめヤバ歌謡楽曲 6曲

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