吉田豪が語る 骨法・堀辺正史師範伝説

プロインタビュアーの吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、骨法の堀辺正史師範に取材して確認した昭和プロレス・バラエティー番組の裏側を語っていました。

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(赤江珠緒)今日、豪さんが取り上げるのが骨法の堀辺正史師範ということですが。なんか大吉先生が骨法っていうたびになんか、クスッて。

(博多大吉)いや、これはもうプロレスファンならね。ちょっと長めのプロレスファンなら・・・

(吉田豪)そうですね。10年以上好きなプロレスファンとかだったら、そこに来るか!ってなる。

(博多大吉)まあね、今日豪さんが持ってきている本、めっちゃ懐かしいですもん。うわー、懐かしい!

(吉田豪)これはまあ、基本です。当時、みんな持っていた感じ。『ザ・喧嘩学』『喧嘩芸骨法』というね。

(赤江珠緒)豪さん、3時から理研のね、会見が始まってね、大事な時間なんですが、大丈夫?うちは骨法で大丈夫ですか?

(吉田豪)これで戦えるのか?っていう話ですけど。

(博多大吉)大丈夫です!我々には骨法がある!

(赤江珠緒)骨法がありますか。

(吉田豪)大吉さんがね、(番組)CMで言ってたじゃないですか。『豪さんのことだから、たぶんレスリングどんたくの話をしてくれるはずだ』って。そんなニーズのない話を僕がするわけないじゃないですか。よりニーズのある話をね。

(赤江珠緒)骨法が。

(博多大吉)ニーズ、いまあるんですか?

(吉田豪)骨法のニーズ、相当ありますよ!面白いですから。たぶんご存知でない方も相当多いと思いますので、わかりやすく説明しますよ。骨法というのは、町山さんが90年ごろに『Theゴジラcomic』っていうゴジラの漫画を出してるんですね。編集して。その中で、風忍先生っていうダイナミックプロの方がいるんですけど、その人が書いている漫画っていうのが、骨法の達人がゴジラを素手で倒すっていう漫画なんですよ。

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(赤江珠緒)

(吉田豪)つまり、ゴジラを倒せるぐらいの格闘技が骨法なんです。

(赤江珠緒)おー!すごいですね。

(吉田豪)すごいんですよ。でもまあ、ミステリーが多い感じで。骨法に関しては。まあちょっと表立っている話をいま言いますと、1941年生まれ、現在72才の堀辺正史師範が、骨法の創始者を名乗っていまして。骨法っていうのは流派がいくつかあって、その起源も諸説あるんですけど、堀辺先生曰く、骨法は奈良時代の武人、大伴古麻呂より伝わる日本独自の拳法で、骨法の師範で東條英機のボディーガードを務めた父からその技を一子相伝で相伝されて。骨法司家の第52代を襲名し、伝統的骨法の修行の傍ら、喧嘩・他流試合に明け暮れた日々の中から、実践的な格闘技術を習得。古流の骨法を改革したというね。

(赤江珠緒)すごい歴史上の人がバンバン出てきて。

(博多大吉)52代よ。

(赤江珠緒)第52代。

(吉田豪)本とか読むとブラジルでカポエラと戦ったりとか、すごいいろんな話が出てくるんですけど。極真の大山倍達総裁の、そういうバックボーンがミステリーなのに近い感じで。このへんは正直、よくわからないっていう。よくわからない。で、こういうところが嘘なんじゃないか?って叩く人もいるんですけど、それを超えた凄みがある人っていうか。この人自身が本当に面白いんですよ。

(赤江珠緒)あの、お写真でてますけど、もうすでに面白いですね。師範らしい。

(吉田豪)昔はもっとすごいワイルドな感じで。

(赤江珠緒)ああ、髪の毛がロングな感じで。おひげもたくわえてね。

(博多大吉)ひげがね、だいぶ特徴的なんですけど。

(吉田豪)そうです。1976年に骨法道場を創設しまして。いま、もうね、東中野名物ですけど。これがアントニオ猪木をはじめ、グレート・カブキ、武藤敬司、獣神サンダーライガー、船木誠勝など数多くの名プロレスラーたちを指導して。で、僕がBUBKAの4月号、先月号ですね。インタビューしたんですけど、まあ面白い。

(博多大吉)お元気でした?

(吉田豪)お元気でした。まあ、プロレスファン的には週刊プロレスっていう雑誌が爆発的に売れてた頃にターザン山本っていう編集長と毎週対談してた人なんですよ。

(博多大吉)毎週、記事が載ってたんですよ。この方の。

(吉田豪)なんで?っていう。レスラーでもなんでもないのにっていう。で、その後骨法っていう格闘技が総合格闘技に打って出て、ちょっと惨敗とかして、その後いま、整体とか思想の人みたいな感じになってるんですけど。堀辺先生は。そもそも、その堀辺先生。武道の世界で生きる人たちはプロレスとは一線を引く場合が多いわけですよ。基本、批判するんですけど。

(赤江珠緒)あ、そうなんですね。

(吉田豪)堀辺さんが画期的なのが、一時、猪木さんが旗揚げした新日本プロレスの内部にまで入り込んでたんですよ。

(博多大吉)えっ?堀辺さんって内部にいたの?

(吉田豪)内部の人です。インサイダーです。実は。

(博多大吉)僕はもう、正直週刊プロレスで知ったんで。

(吉田豪)あの、それぐらいの印象だったと思うんですけど、実は結構深く入り込んでいる人で。もともと、グレート・カブキさんとかザ・コブラさんとか、そういう人に技を教えてて。猪木さんに技を教えたら、そのプロレスの話をするうちに、プロレスのアイデア。企画のことを相談されるようになったと。

(赤江珠緒)えっ?プロレスのアイデアや企画まで?

(吉田豪)そうなんですよ。要は、過激な仕掛け人と呼ばれた新間寿さんっていう人がいたんですけど。その人が抜けたちょうど後だったんですよね。たぶん外側で、なんか頭の良さそうな人っていうのがいなくて。じゃあちょっとあなた、会議とか出ませんか?みたいな感じで参加するようになったと。

(博多大吉)まあ極端な話で言うと、モハメド・アリと戦おうとか、そういう企画ですよ。

(吉田豪)そういうプランを考えるような役割が、なぜか堀辺さんに回ってきた時期があったっていう。

(赤江珠緒)すごく重要な役割ですよね。へー。

(吉田豪)堀辺さん自身は、世の中にはプロレスには筋書きがあるんだから、そんなもの大人が見てもしかたがないんじゃないか?っていうね、プロレス否定論もあったけど、プロレスについては子どもの頃、力道山が空手チョップでデカい外国人をバッタバッタと倒していくのに爽快感を覚えて。だんだん年がいって社会と人間とに関係に興味が出てくると、力道山っていうのはプロレスラーだけども、社会を動かすことのできた人物なんだというところで、自分にとっては大きな存在になったと。で、プロレスを見て世の中が元気になって、国民がそれで活力を得て、明日また会社でいい仕事ができるんであればいいという考えになって。で、当時の新日本には社会に活力を与えられるだけのポテンシャルがあったっていうことなんですけど。

(博多大吉)まあ、テレビもね、ちゃんとゴールデンでやってましたし。毎週。

(吉田豪)面白いんですよ。『プロレスを通じて、大衆心理とはなにか?とか、世の中が変革するときには、大衆のこういう気持ちをこういう形で取り入れなければ社会なんて倒すことはできないだろうし、権力なんかぶっ壊すことはできないなって学んだ』って言っていて。そういう思想的な活動をやっていた人なんで、『クーデターのために研究してたんですか?』って言ったら、『そうそうそう』って言って(笑)。そういうような人です。

(赤江珠緒)すごく壮大な理念がね、お有りですね。

(博多大吉)血気盛んですよ。

(吉田豪)そんな人がプロレスの会議に参加したらどうなるか?っていう話なんですよ。で、まず参加して誕生したプロレスラーっていうのが、海賊男なんですよ。

(博多大吉)マジっすか!?これ。もー、なにしてくれるんですか!

(赤江珠緒)なに?なに?海賊男っていうプロレスラーの方?

(吉田豪)80年代の末期ぐらいですかね?海賊男っていうのが出てきた時があったんですよ。いろいろ選手が大量離脱した後に、海賊風の衣装に頭にターバン巻いて、ジェイソンのようにアイスホッケーのゴールキーパーマスクをして、杖持参して凶器として使うという。最初は87年のはじめにアメリカ遠征中だった武藤敬司さんがそのホッケーマスクの男に襲撃されて。その後、新日本の事務所に海賊ビリー・ガスパーと称する人物から、日本を襲撃するという内容の文章が届き、その後、その矛先は猪木さんに変わっていったりしたんですけど。謎の選手で、毎回動きや体格が違ったりとか・・・(笑)。よくわからない。



(赤江珠緒)そうなんですか?そのへんは、キチンと統一してなくていいんですか?

(吉田豪)してなくて。『あれ?今回の動き、○○っぽいな』とかいろいろ、みんなで読むのが流行ったりとか(笑)。

(博多大吉)で、正直、結構スベりましたよね。海賊男。

(吉田豪)スベりました。この時期ぐらいから、新日本プロレス。暴動が起きたりとか結構・・・

(博多大吉)おかしなことになるんですよ。

(吉田豪)迷走期です。いわゆるプロレスの(笑)。

(赤江珠緒)試行錯誤の中で。

(吉田豪)試行錯誤してた時の、試行錯誤の中の1人です。堀辺さんが。

(博多大吉)いや、本当ね、新日本をダメにした・・・ダメにしたってあれやけど。

(吉田豪)大丈夫なのか?って、みんな思っていた頃ですよね。

(博多大吉)で、本当、僕も当時学生で。九州スポーツで、武藤が海賊に襲われたっていう記事を読んで、これはダメだ!と。

(吉田豪)(笑)。ストロングマシンまではいいとして。

(博多大吉)いいとして。こっから先は地獄だぞ!と思ったら、本当に地獄がはじまったんですよ。結構ね、大きな大会で。

(吉田豪)まあ、ゴールデンタイムがなくなったりとかしていく流れですよ。こういう迷走期。

(赤江珠緒)堀辺師範、大丈夫ですか?

(吉田豪)まあ、堀辺師範のせいじゃないんですよ。猪木さんのせいなんですよ。聞いてみると。もともとだからこれも、一緒に会議してた時に、猪木さんの会長室で海外のどっかに海賊の幽霊が出るらしいとかそんな話してた時に、電話が鳴って猪木さんが3メートルぐらい歩いている時に足を引きずってたんですよ。で、戻る時も足引きずってたんで、堀辺先生が『どうしたんですか?』って聞いたら、猪木さんが『いや、足引きずっているなにかが出てきたら、面白い』ってことで、海賊男を作ろう!っていう(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)だから、杖持ってっていう感じでっていうね。

(赤江珠緒)会議って割とシンプルな感じで(笑)。

(吉田豪)シンプルなんですよ(笑)。で、主に猪木さんのプランがどんどん進んでいっちゃうような感じで。

(博多大吉)いや、本当いまでこそ笑えますけど、当時本当に笑えなかったですよ。海賊男。

(吉田豪)当時聞いたら怒っていたでしょうね。ふざけんな!っていう。

(博多大吉)だってビッグマッチの最後に出てきて、本当わけのわかんないことをやって帰って行って。

(吉田豪)手錠を持って出てきて、手錠で選手同士をつなぐんだったらともかく、手錠を違うところにつないじゃって、試合がグチャグチャになるっていう。

(博多大吉)試合ができなくなって、そのままゴングが鳴って、『本日はご来場、ありがとうございました』みたいになって。

(吉田豪)それ、後で聞いたら単なるミスだったっていう(笑)。そんなようなデタラメが起きていた頃です。

(博多大吉)はー。海賊男にも堀辺師範は絡んでいた。

(吉田豪)さらには、ビッグバン・ベイダーの誕生にも絡んでいてっていう。

(赤江珠緒)ビッグバン・ベイダー?

(吉田豪)そうなんですよ。会議には堀辺先生の関係で、骨法の漫画を書いたりしていた永井豪先生。あの、永井豪先生、結構骨法に入り込んでまして、バイオレンスジャックっていう代表作にも骨法が出てきたりとか。骨法漫画も書いています。そういう中で、会議の中で猪木さんが『ブラジルみたいなジャングルの中には驚くようなゴリラみたいなやつらがいる』っていう話をしていて。そこから、『だったらゴリラみたいなとんでもない人間を作ってしまえ』っていう話になって。そしたら永井豪先生が、『そういうのだったら僕が描けます』って。じゃあそれ作っちゃおう!ってことでベイダーが出てきたって(笑)。ゴリラだったんですね。

(博多大吉)最初はゴリラ?

(赤江珠緒)割と猪木さんの伝聞の話からどんどん広がっていくんですね。

(博多大吉)うわー、懐かしいね。このビッグバン・ベイダーのテーマ。ベイダーについては?

(吉田豪)はい。大吉さんが紹介してくれると。

(博多大吉)ざっくり言いますけど、ちょっとね、色モンっちゃ色モンで。最初、こんで大丈夫かね?ってなって、たしかに1・2年は大丈夫じゃなかったんですけど。

(赤江珠緒)ちょっとあの、サタンみたいな感じですよね。かぶりものをしてね。

(博多大吉)だからマスクマンであって、その上に鎧着た感じで入場してきて。もちろん、試合中は鎧外すんですけど。

(吉田豪)そもそもだって、たけしプロレス軍団っていうビートたけしさんの刺客として出てきてるから。まあ、色ものだったですよ。最初は。お前、できんのか?って。



(博多大吉)これもね、シャレにならんくらい暴動が起きたんですよ。

(吉田豪)これも新日本の暴動史のひとつですね(笑)。

(赤江珠緒)ファンたちに受け入れられない。

(博多大吉)やっぱり当時は、リングにタレントが上がることが許されなかった時代で。素人が上がった時点で・・・

(吉田豪)リングを汚すな!っていう。

(博多大吉)物が飛んでくる時代に、たけしさんが軍団をたくさん引き連れてやってきて。『こいつと戦え!』って出てきたのが、鎧着た、見たこともない変なやつで。こいつがまた、猪木さんに勝っちゃったんですよ。2分ちょっとくらいで。で、なんだこれは!?みたいな感じで。

(吉田豪)そう。で、大暴動ですよ(笑)。

(博多大吉)その暴動に参加してたのが、玉袋(筋太郎)さんだったっていう(笑)。そういう話もあるんですけどね。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)でも、結果的に90年代いちばん良かった外国人レスラーになったんですけど。まあ、ちょっと誕生は難産でしたよね。

(吉田豪)ところがその誕生の裏話も衝撃で。僕、前にちょっと堀辺さんから聞いたことがあったんですよ。『ベイダーは上半身だけで予算がなくなったっていう説を聞いたことがあるんですけど』っていう。そしたら、『そうです!』ってあっさりと答えて。どういうことかっていうと、当初の予定では全部ロボットみたいになっていて、人間が中に入って操作する予定だったらしいんですよ。

(博多大吉)えっ?ベイダー?

(吉田豪)巨大なロボット。猪木さんの、ところがベイダー構想は新日本内部の全員の承諾を得られなくって。賛成する人だけで、少ない予算で始めたのが上半身だけのベイダーっていう(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。見切り発進。

(吉田豪)見切り発車です。

(博多大吉)もし、ここでみんなが全員賛同してたら、ベイダーって丸々ロボットだった?

(吉田豪)3メートル、4メートル級のロボットが生まれていたはずなんですよ。

(博多大吉)それと猪木さんは戦う?

(吉田豪)戦う(笑)。

(博多大吉)これはもう、末期。本当、末期ですよ。

(吉田豪)実現しなくて良かったんですよ。

(博多大吉)良かったんですよ。逆に。いや、だってプロレスでもなんでもないでしょ?

(吉田豪)昔のドリフのジャンボマックスみたいなのが出てきて、というね。

(博多大吉)ジャンボマックスとやる!って。

(赤江珠緒)そうか。だから胸までの、お腹が出ている感じの。

(吉田豪)肩からプシュー!ってね、煙が出たりしてたんですけど。で、その暴動に発展した時に客席がいろんなものが飛んでくる中、堀辺先生がリングサイドにいたんですよ。で、大会のパンフレットで頭を守っていたっていう(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(博多大吉)ここは守っておかないとって(笑)。

(吉田豪)あぶないあぶないって(笑)。面白がってたみたいですよ。なんかすごいことになってるなーって(笑)。

(博多大吉)いやいや、こっからだってね、会場ずっと使えなくなったりとか。そうなったんですよ。

(赤江珠緒)なんか堀辺先生、グッチャグチャになってきてるじゃないですか。

(吉田豪)堀辺さんが悪いっていうか、猪木さんが悪いんですよ。堀辺さんは猪木さんの話を『面白い!』って言ってただけですよ。

(博多大吉)本当、いまになって明かされる真実ですよね。猪木さんが海賊男もベイダーもか。

(吉田豪)さらには、ドン・中矢・ニールセンにキレた事件っていうのがありまして。このドン・中矢・ニールセンっていうのを説明からしなきゃいけないんですけど。前田日明との伝説の名勝負がありまして。それによって前田日明が格闘王と呼ばれるようになり。そのドン・中矢・ニールセンっていうキックボクサーなんですけどね。その後、佐竹雅昭さんとか藤原組長とか、いろんな人と戦って、たぶん日本トップクラスに有名なキックの選手として大きくなった人がいるんですけど。その人と、89年に永井豪先生原作の獣神ライガーとのタイアップ企画で、大吉先生とも親交が深い、当時獣神ライガーですね。デビューしたわけですけど。そのライガーになる前の山田恵一選手。

(博多大吉)あ、もう言っちゃった(笑)。

(吉田豪)まあね。リヴァプールの風になったね、人とニールセンの試合が。異種格闘技戦が行われたんですけど。リングサイドで見てた堀辺先生が本気で怒っていた事件がありまして。

(赤江珠緒)どうして?ものをぶつけられて笑っている先生が。

(吉田豪)今回は許さいない!って。それは何に対して怒っていたのか聞いたら、異種格闘技戦とは言っても、まあプロレスだから。ところが、堀辺先生から見たドンは、結果はこうなるんだから・・・っていうことで安心しきって戦っていると。自分のかっこよさを引き出すために山田を道具にして、踏み台にして自分の人気だけを得ようとしてるっていうことで。つまり、相手に対するリスペクトがあまりにもない!っていうことで、TKOでドンが勝った直後、リングサイドから堀辺先生がドンに対し、『俺と戦え!』と吠えたっていう(笑)。

(赤江珠緒)ええっ!?

(博多大吉)これ、見ました。私も。映像かな?写真かな?ちゃんと載っていた。めっちゃ怒ってた。堀辺先生。堀辺師範。

(吉田豪)俺とやれ!っていう(笑)。

(博多大吉)次は俺だ!って。

(赤江珠緒)そんなに怒っちゃって。熱くなって。

(吉田豪)堀辺先生、短気なんですよ。ものすごく。社会のルールをしっかり守ることを日頃から心がけてるんだけど、ある水位を超えた時にはもうダメって言ってて。スイッチが入っちゃう人で。実はものすごいスイッチが入った事件があって。今回の取材、実はそれの確認もテーマだったんですよ。プロレスに関わっていたころの話プラス、堀辺先生マジギレエピソードっていう。実は、スーパージョッキーによく出てたんですよ。

(博多大吉)はい。出られてました。

(吉田豪)ガンバルマンのコーナーで。いろんな空手の先生とか。ジャズ空手の先生とか出てたじゃないですか。あの中で、堀辺先生実は何度か出てまして。その時に、ビートたけしにキレたことがあるっていう。

(赤江珠緒)えっ?あの番組出てて、たけしさんに?

(吉田豪)そうです。という伝説を実はたけし軍団サイドからも聞いていたりしたんで。1回、ちゃんと聞いてみたいと思って、確認したんです。いろんな謎が解けました。スーパージョッキーから出演のオファーがあった時に、3回断ったらしいんですよ。それでも、どうしてもってことで出ることになったんですけど。楽屋で1時間待っても2時間待っても5時間待っても出番が来なくて。

(赤江珠緒)5時間は長いですね。

(吉田豪)で、スタッフから『すいません、今日はこれで終わりです』って言われて、その日呼ばれていたゲストも、『まあしょうがないな』って帰ろうとしてたんですけど。堀辺先生は芸能人じゃないから、『なんだそれ!?』ってことでスイッチが入って。でも下っ端の人間を相手にしても弱いものいじめになるだけだから、たけしを呼べ!と。当時のたけしさんはちょうど講談社を襲撃した後だったんですよ。だから堀辺さんはたけしさんに対して、『お前だって自分の人格を傷つけられたら講談社に乗り込むだろう?今日は俺が傷つけられたから、お前を許さんよ』って言って・・・

(赤江珠緒)かっこいい!

(吉田豪)控室でたけしさんのスネを蹴りだしたんですよ(笑)。

(赤江珠緒)そこはちょっとどうかな?って思うんですけど。

(吉田豪)蹴りながら、『許さん!』って言って(笑)。さらには、堀辺先生の奥さん。百子局長っていう人がいるんですけど。その人もハイヒールで蹴りだしたらしくて。まあ、ハイヒール百子(モモコ)って呼ばれてたっていう(笑)。

(博多大吉)うまいこと言ってる場合じゃないですよ。

(吉田豪)控室にアニマル浜口その他いろんな人たちがいて。『いつアニマルが来るか?と思って構えながらいたんだけど、あいつらは誰もこなかった。あいつらは誰も助けないんだ!』って言ってて。だからそういうことをやって。

(赤江珠緒)(笑)。なるほど。筋は通しなさいという方なんですね。

(吉田豪)でも、まあ大問題じゃないですか。ところがすごいのが、後日お詫びとして日テレサイドから、『テレビの時間30分差し上げますから、自由に使ってください』って言われて、そういう手打ちをして、ロケにガンバルマンが来て、番組収録と。それで手打ちまでだったらわかるんですよ。さらにつながるんですよ。その後、テレビ局からまた電話があって、『もうビートたけしとはやりたくない』って堀辺さんが言ったら、『たけしさんには内緒にするから、スーパージョッキーに出てくれ』って言って。堀辺先生が出てきたら、たけしさんがビビると。そこをカメラに収めたいっていう。

(赤江珠緒)はー!

(吉田豪)っていうか、あり得ないじゃないですか。こんだけガチでモメてる人を、テレビで生放送で出して、たけしさんがビビってる!わーっ!っていう。ないですよね!

(博多大吉)しかもたけしさんがメインの番組ですよ。

(吉田豪)昭和のバラエティー、あり得ないですよ。

(赤江珠緒)あー、そっか。そういう。本気ですもんね。

(吉田豪)本気です。いろんな謎が解けたんですよ。僕、浅草キッドが骨法道場でボロボロにされるっていう話、聞いたことがあったんですけど、『あ、この手打ちのエピソードだ!』っていうのがつながって。で、もう1個、僕噂で聞いたことがあったのが、スーパージョッキーの生放送中に堀辺先生がたけしさんに立ち関節。立ったまま関節技を極めて、そのまま離さなくて放送事故みたいになったっていう噂を聞いたことがあったんですよ。それ聞いたら、『そうそう。それです』って言ってて(笑)。

(赤江珠緒)ええっ!?

(吉田豪)普通だったら、たけし軍団の人たちが技かけられるのに、『たけし、お前出てこい』ってやって、そのまま技かけてっていう。

(博多大吉)で、まあ別に笑いもなく?ただ、関節を極められて終わりという。

(吉田豪)そこ、笑い起きないですよね。たぶん、ただテレビのスタッフ側は笑ってたんでしょうね。それが恐ろしいと思って。昭和のバラエティー、怖えー!

(赤江珠緒)本当の因縁のある人がね。

(吉田豪)面白いで呼んじゃうっていうね(笑)。あり得ないと思いました。

(博多大吉)それができた時代。

(赤江珠緒)そうか。骨法。覚えました。すごくインパクトがありますね。堀辺先生。堀辺先生はじゃあ、いまでも。これ、72才で、いまのお写真ですか?若いですもんね。

(吉田豪)いまは小林よしのり先生とかと一緒に、そういう思想的な活動をされている感じですね。

(博多大吉)そっち方面に。インター下りられた感じですね。

(赤江珠緒)日本を案じてとかそういう感じで。

(吉田豪)日本を案じたりとか、AKBにどんどん夢中になっていく小林よしのり先生を案じたりとかしながら(笑)。

(赤江珠緒)(爆笑)

(博多大吉)いろんな人がいろんな形で案じてる。

(吉田豪)かつて、毎週対談していたターザン山本がどんどん堕ちていくのを案じたりとか。いろんなところを案じてますけど。

(博多大吉)本当ね、週刊プロレスに、本当の武術とはこうだ!っていう連載をずーっとなさっていて。ターザン山本さんとね、対談する感じで。で、すごい幻想が膨らむわけです。骨法って地球上でいちばんすごい格闘技なんだ!で、いちどね、実際試合があったんですけど。ちょっとあの・・・想像と違ったというか。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか。

(吉田豪)最初のは幻想的な感じで面白かったんです。太鼓を叩きながら、三角の構えとか、特殊な構えをしながらの。なんだろうな?あれはあれで有りだと思ったんですけど、やっぱりバーリトゥードにアクセスして、惨敗しちゃったのが大きかったですね。

(博多大吉)骨法だけでやっている分には、ちょっと変わった型というか。2人でこの、糸巻き巻きみたいな感じで。手を合わせていくとか。なんか斬新。これ、斬新すぎやしないか?みたいな感じだったですけどね。でもいまも、骨法。あるんですよね。

(吉田豪)ありますあります。東中野で。

(赤江珠緒)もう後継ぎの方、いらっしゃるんですか?

(吉田豪)整体で本当、盛んになってまして。整体術を学ぶ方々がいっぱい来てますよ。

(赤江珠緒)へー。でも大吉先生。プロレスファンとして、この歴史の本当、舞台裏というのを知ることが出来て。

(博多大吉)プロレスファンとしては本当、ほろ苦い思い出。昔の(笑)。

(吉田豪)ほろ苦い思い出の裏を知ったっていう。謎が解けた感じ。

(博多大吉)まあまあ、いろんな謎が解けました。

(赤江珠緒)(笑)。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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玉袋筋太郎が語る 電気グルーヴ・浅草キッド初めての飲み会の思い出

玉袋筋太郎さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、20数年前に浅草キッドと電気グルーヴがはじめて飲み会した際のエピソードを語っていました。


(玉袋筋太郎)でも電気グルーヴと初めて飲み会やったというね。浅草キッドと4人で、いまから20年ぐらい前かな?

(小林悠)えっ?そんなにたちますか?どんな感じでした?

(玉袋筋太郎)一緒にさ、巣鴨のちょっと悪いところ、遊びに行っちゃって。みんなで。それ終わってから、巣鴨の焼肉屋で飲んで、それから新宿二丁目繰り出して。歌うたえるところで。まあこっちもさ、初対面だしさ。向こうも初対面じゃん。なんかこう、どうしたらいいかわからねーんだけど。やっぱちょっとこう、つっぱらなきゃいけねーんだっていう気持ちもあるんだよね。楽しいんだけど。

(小林悠)はい。

(玉袋筋太郎)そいでさ、こっちの伝家の宝刀をいつ抜くか?っていう感じなんだよ。向こうもそうなんだけど。

(小林悠)ん?

(玉袋筋太郎)電気グルーヴがさ、卓球がさ、カラオケ。『イヨマンテの夜』を歌い出したんだよ。『イーヨマンテー♪』。

(小林悠)それ、なんですか?(笑)。

(玉袋筋太郎)イヨマンテの夜って歌があるんだよ。それを歌いながら、あいつら!先に伝家の宝刀。フリチンになって歌い出したんだ!

(小林悠)ちょっとー!

(玉袋筋太郎)そいで、あっ!畜生!電グルに負けられねー!って。俺たちも裸になって、フリチンだ!っつって。

(小林悠)それが伝家の宝刀ですか!?

(玉袋筋太郎)そうそう。『浅草キッドより脱ぐの早かったか!悔しい、博士!』なんつって。『俺たちも脱ぐぞ!』なんつって。『負けられねー!脱糞だ!』なんつって。

(小林悠)こらっ!

(玉袋筋太郎)まあ、そっから仲良くなったっつーね。あれも忘れられない飲み会だったね。

(小林悠)いまどきの大学生もそんなこと、しないですよ!

(玉袋筋太郎)若かったんだって。20何年前の話だから。

(小林悠)もー、元気ですねー!私は酔っ払って、みのさんに自分の汚れたズボンを拭いてもらったってことがありましたね(笑)。みのもんたさんに。

(玉袋筋太郎)(笑)。情けねー。すっごい・・・朝ズバッ!

(小林悠)お醤油こぼしたんで、みのさんに拭いてもらったっていう(笑)。懐かしいですね。

(玉袋筋太郎)うれしいじゃないの。そうそうそう。

<書き起こしおわり>

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町山智浩が語る 海外ドラマ『スキャンダル 託された秘密』の魅力

映画評論家町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でアメリカで大人気のテレビドラマ『スキャンダル 託された秘密』の魅力について語っていました。

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(町山智浩)ボストンの街の中央部はね、すごく高級なところなんですよ。だから、ジョン・ケリーっていう国務長官がいるんですね。その人の家っていうのを通ったんですけど、7億円だって。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)なんでそんなところ、国務長官が住めるの?って、奥さんがケチャップでハインツって会社、あるじゃないですか。あそこのお嬢さんなんですね。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)すごいお金があるんで。不動産高いんですけど。ボストンって。今日話すのは、そのジョン・ケリーっていう国務長官。知ってます?顔が長い人。

(赤江珠緒)はい、わかります。

(町山智浩)すごい顔してるんですけど(笑)。あの人って2004年。だからいまから10年前になるのか。2004年に大統領選挙の時に、その頃現役のブッシュ大統領の再選を阻止すべく民主党から立候補したって、覚えてます?

(赤江珠緒)はいはいはい。ええ。覚えてます。

(町山智浩)その頃、イラク戦争ですごくモメてたんで。イラク戦争とか、ブッシュのその世界全面戦争みたいなのをやめさせようってことでジョン・ケリーが大統領に立候補して。まあブッシュが再選を果たしたんですけど。結果として。あの選挙っていうのがインチキだって言われてるんですよ。ジョン・ケリーはもしかしたら大統領選に勝っていたかもしれないって。

(赤江珠緒)なんか票でモメましたもんね。

(町山智浩)そうなんです。で、具体的にどういうことだったかっていうと、オハイオっていう州があるんですね。オハイオっていう州は激戦州とか浮動州って言われてて、いつも票が共和党になったり民主党になったり、どっちになるかわからない州なんですよ。で、しかもオハイオがもっている選挙人数っていうんですけど、得点がすごく大きくて。オハイオを勝ったほうが大統領選に勝つといわれているぐらい重要な州なんですね。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)で、その州でブッシュは勝ったんですけれど、その後これはおかしい!って話になったことがあるんですよ。どうしてか?っていうと、出口調査ってあるじゃないですか。投票した後にみんな聞いてくるじゃないですか。CNNとかいろんな新聞社が。で、出口調査では民主党のケリー候補が4%勝ってたんですよ。得票率で。ところが開票してみたらブッシュ大統領の方が2.5%勝ってたんですね。おかしいじゃないですか。出口調査と結果がおかしい。で、おかしい!ってことで調べた人がいて。民主党側の弁護士とかが調査して。そしたら、どうもありとあらゆるところでおかしいと。ある郡ではブッシュが4258票を取ったんですね。ところがその郡全体での投票者が683人しかいなかったんですよ。

(山里亮太)えっ!?

(町山智浩)おかしいでしょ?これ、コンピューターをいじったんじゃないか?って言われてるんですよ。要するに投票の機械。電子投票機なんですね。アメリカは。その地域は。そこのコンピューターをハッキングしてるんじゃないか?って言われてるんですよ。票の書き換えをやったんじゃないかと。それで、票の書き換えをやったと言われている人がいて。マイケル・コーネルっていう共和党のコンサルタントで。天才的なハッカーだったんですね。以前から有名な。で、その人が実際にやったんじゃないか?実行犯じゃないか?ってことでもって、証人として召喚されたんですよ。召喚されて証人として証言する直前に、謎の飛行機事故で死んでるんですよ。

(山里亮太)えーっ!?

(赤江珠緒)異様に怪しいじゃないですか。

(町山智浩)非常に怪しいんですよ。で、この事件はウヤムヤになっちゃったんですよ。っていうようなことがアメリカの選挙ってたくさんあってですね。それを元にしたドラマがあって。今日はその話をしたいんですよ。前フリが長いですけど。すいませんね(笑)。

(赤江珠緒)いやいや。

(町山智浩)あのね、それが今週の木曜日から新シリーズが始まるんですね。アメリカのテレビで。ABCなんですけども。で、ものすごく全米が注目してるんで、その話をしたいんですけど。いま、アメリカでいちばんジェットコースターなドラマって言われているドラマシリーズがありまして。日本でも放送してるんですけど。途中まで。『スキャンダル 託された秘密』っていうんですよ。これはスキャンダルっていうタイトルなんですけど、スキャンダルをコントロールする職業の人が主人公なんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)これね、ブッシュ大統領の父親のブッシュさんっていたじゃないですか。

(赤江珠緒)パパ・ブッシュ。

(町山智浩)はい。その内閣の中の危機管理担当官だった実在の人物でジュディ・スミスさんっていう人がいてですね。この人ね、黒人の女性で、年齢もかなりその当時若かった人なんですけど。天才的なスキャンダル管理力を持ってるんですよ。で、この人、ブッシュ大統領の父親が大統領をやめた後は、民間のスキャンダル管理会社っていうのを設立して。そこでいまもやってるんですね。仕事を。

(赤江珠緒)スキャンダル管理会社?

(町山智浩)はい。これ、どういうのか?っていうと、たとえばモニカ・ルインスキー事件っていうのがあったんですけども。1990年代の終わりに。これ、クリントン大統領の研修生としてモニカ・ルインスキーっていう学生とクリントン大統領が不適切な関係になったって問題になったんですけども。ああいうことがあった時、じゃあ大統領はどうすればいいか?ってことを指示していく人なんですよ。

(赤江・山里)ふーん。

(町山智浩)そういう仕事なんですね。で、表には実際には出てこないんですが、後からわかるし、なにをやったかは秘密なんですけど。面白いのは、ジュディ・スミスさんっていうのは民間でそういう危機管理の仕事を始めてから、最初のクライアントがモニカ・ルインスキーなんですね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)そういうね、この人がいっぱいやった事件とか、現在アメリカで起こっている大統領がらみのスキャンダル事件なんかを全部元にして。この人、ジュディ・スミスを元にしたヒロインが主人公で。この人はね、オリビア・ポープっていう名前でね、女優さんはケリー・ワシントンっていう人が演じてるんですよ。

(山里亮太)ふん。

(町山智浩)で、この人が架空の大統領であるフィッツ・グラントっていう大統領。共和党の大統領ってことになってるんですけど。その大統領の危機管理をするというドラマなんですね。このシリーズは。で、これがね、普通にスキャンダルとかを管理するのって要するに、お金を持って行って相手の口を封じたりとか説得したりとか、あと記者会見をどういう風にするか?たとえば泣いてみなさいとか言ったりするとか、そういうレベルかと思うじゃないですか?

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)そんなのをぜんぜん超えた話なんですけど、アメリカですごい人気になっちゃっているんですよ。でね、番組始まった時に彼女がやるひとつの事件で、DCマダム事件っていうのを担当するんですね。これね、実際にあった事件で、DCってワシントンDCってなんですけども。マダムっていうのはいわゆるコールガールを管理する人をマダムっていうんですね。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)で、ワシントンっていうのはものすごくコールガールが多いんですよ。高級コールガールが。どうしてか?っていうと、議員さんっていうのは各地域に奥さんを置いて、議会に出るためにワシントンに単身赴任してるじゃないですか。で、なんかそういう仕事をする派遣の女性たちがいっぱいいて、それを管理してる人がいたんですね。で、地元のワシントンの警察がその人を逮捕しちゃったんです。逮捕しちゃ、マズかったんです。顧客リストをもっているから。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)顧客リスト、政治家の名前ばっかりなんですよ。これが流出したら大変なことになるわけですよ。

(赤江珠緒)それこそスキャンダルですもんね。

(町山智浩)そう。それをこのスキャンダルっていうドラマの主人公のオリビア・ポープさんはコントロールしようとするっていうのが最初のころの話なんですね。

(山里亮太)えー!すげえ、実話なんだ。

(町山智浩)これ、警察がどんどん追求していって、彼女のリストをつき出したら、議員の名前がバンバン出てきてめちゃくちゃになっちゃうわけですよ。議会が。それでもコントロールしなきゃいけないんで。特にこのドラマの中ではリストの中にですね、彼女がいざとなったら全部暴露するっていう顧客リストの中にですね、最高裁の判事の名前があったんですね。その最高裁の判事、今度大統領が指名したばっかりで。最高裁判事って9人、全部でいて、その人がほとんどアメリカの政治を決めていくんですよ。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)1人が変わるだけでぜんぜんアメリカの政治の方向は変わっちゃうのに、その人たちは大統領が指名すること以外では決まらないんですね。ぜったいに。だから議会でその人を承認するかどうか?っていうのが非常に重要なことになってるんですよ。ところがその人はコールガールの顧客リストに入ってたんですよ。さあ、どうする?っていう話なんですね。

(山里亮太)これがバレたら大変なことになっちゃう。

(赤江珠緒)どうやって・・・もみ消す?

(町山智浩)どうすると思います?顧客リストにのっている議員全部に電話して、『あなたたちが今回の最高裁判事を承認しなければ、あなたたちの名前を全部バラすわよ!』って脅迫して、その最高裁判事を承認させるんですよ。

(山里亮太)えーっ!?

(町山智浩)っていうのが最初の方の話で。すごいなと思ったんですけど。途中で、最高裁判事がリストにのっているのは問題ないっていうのがわかってくるんですよ。なぜリストにのっていたか?っていうと、彼が顧客だったからじゃなくて、最高裁判事候補の奥さんがコールガールだったからなんですよ。その組織に所属している職員だったんですよ。それでリストにのっていた話とかね、すごいな、この展開のしかたは!っていう。実際にあった事件よりも2重3重に捻じっていくんですよ。

(山里亮太)なるほど!

(町山智浩)ちなみにこのDCマダム事件っていうのは実際にあって、顧客リストを抱えたマダムがさあ、どうする?全部暴露するのか?と思っていたら、謎の自殺を遂げました。

(赤江珠緒)はー!すごい。日本でも黒革の手帖みたいなね。ありますね。

(町山智浩)やっぱりね、謎の自殺を遂げるんですね。こういう時ってね。

(赤江珠緒)謎の自殺を遂げるって、どういうことなんでしょうね?

(町山智浩)ねえ。で、もうひとつ事件があって、このジュディ・スミスさんっていう人が民間に下りてから担当した顧客で、チャンドラ・レヴィーっていう女子学生の両親を担当したんですね。このジュディ・スミスさんが。元になった危機管理のプロがね。それ、どうしてかっていうと、チャンドラ・レヴィーさんっていうのは2001年に行方不明になってるんですよ。で、この人、チャンドラ・レヴィーさんは女子学生なんですけども、カリフォルニアの下院議員だったゲイリー・コンディットっていう議員の研修生をやっていたんですけども。行方不明になっちゃったんですよ。

(山里亮太)はあ。

(町山智浩)で、これに関してジュディ・スミスがコントロールをしたんですけども。一応、ゲイリー・コンディット議員は辞職したんですね。研修生との関係を認めて。ところが、死んでいるわけですよ。チャンドラ・レヴィーさんは。これ、この議員が殺したんじゃないかと思うわけじゃないですか。みんな。

(赤江珠緒)いわゆる、消すみたいな感じなんじゃないか?と。

(町山智浩)でしょう?まあ実際はね、ぜんぜん関係ない人に殺されてたんですけども。実際の事件の方では。これね、このスキャンダルっていうドラマの中では、誰が殺したと思います?おんなじ話が出てくるんですよ。ドラマの中に。

(山里亮太)えっ、まさかこの危機管理をしている人?

(町山智浩)この研修生を殺したのは、その関係を知って怒った議員の奥さんだったっていう展開なんです。これね、このスキャンダルっていうドラマは実際にあったのを元に、もっとひどい話にしてくんですよ(笑)。

(赤江珠緒)そうなんですね。でも、ベースには実際にあったものがあったりするんですね。

(町山智浩)全部実際にあったものなんです。これはね、ぜんぜん知らないで日本で見てると『ふーん』っていう感じなんですけど、ほとんどが実際にあったことをモデルになってるんで。すっごい話なんですよ。

(赤江珠緒)それはなんか、怖くなりますね。

(山里亮太)あと、放送しちゃっていいんすね。そういうの。

(町山智浩)(笑)。ねえ。いいのかな?と思いますけどね。で、これね、モニカ・ルインスキーみたいな、大統領と関係があったっていう研修生が出てくるんですね。アマンダっていう研修生が出てきて。で、『私は大統領の子どもを妊娠してるの』っていうんですけど、それは違う人の子どもなんですけども。このスキャンダル、どうしよう?ってなるんですよ。主人公のオリビアは。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、最初はこのアマンダっていうのが嘘をついてるかもしれないって思うんですよ。で、そういう人たちっていっぱいるわけですよ。っていうのは、クリントンの時は大量にクリントンと関係があったっていう女の人が出てきて、どっちが本当なのか?ってわかんないんですよ。で、クリントンは嘘か本当かわからないけど、ほとんどが示談してるんですね。お金積んであげて。

(赤江珠緒)ってことはクリントンさん、自分ではわからないんだ。

(町山智浩)クリントンはわかっていると思うんですけども、外側からはわからないだけですよ。で、このオリビア・ポープっていうスキャンダル潰し屋さんが『本当にこの研修生はフィッツ・グラント大統領と関係があるのかしら?』って聞いていくんですね。で、聞いていけば聞いていくほど、『あ、本当だ!この人は、関係があった!』ってわかるんですよ。どうしてか?っていうと、そのオリビア・ポープも大統領と関係があったからなんですよ。

(赤江・山里)えーっ!?

(町山智浩)スキャンダル潰しのプロのもっている最大のスキャンダルっていうのは、大統領と関係することなんですよ。本人が。

(赤江珠緒)なるほど!だからわかる。はー。

(町山智浩)っていう、すごいドラマになってるんですよ、これ。

(赤江珠緒)何重にも仕掛けがっていう感じですね。

(町山智浩)何重にもなっていて。なにがなんだか?って、途中からわかんなくなってくるんですよ。見てるうちに、『あれ?この人は一体誰と関係があったんだっけ?』ってわかんなくなってくるんですけど。これがね、アメリカで中毒的人気があるってことでもって、すごい人気になってるんですよ。

(赤江珠緒)へー。で、いよいよシーズン4なんですね。

(町山智浩)シーズン4に突入して、今週の木曜日にシーズン4が始まるんで。もう100万人以上が全米で見ると言われてるんですけど、どうしてか?っていうと、前回の最終回はですね、大統領が演説しているところで爆弾がチクチクチクってカウントダウンしているところで終わってたんで。どうなるんだ!?ってみんな思ってるんですよ(笑)。

(山里亮太)えーっ!?

(赤江珠緒)あ、そこでドラマが終わっちゃうっていうことがあるんですか。

(町山智浩)それで前回終わってるんで、どうなるんだろう?ってみんな思ってるんですけど。

(山里亮太)すごい。結構長いこと引っ張られちゃいますもんね。それで。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、これさっき言ったオハイオの投票をいじるっていう話があったじゃないですか。実はこのグラントっていう大統領が大統領になった時の選挙は、実際はさっき言ったような投票結果をコンピューターをハッキングしていじっているからだっていうことが出てくるんですね。このドラマの中で。

(赤江珠緒)ほー。

(町山智浩)普通、それって悪いやつがやることじゃないですか。これ、このオリビア・ポープっていうヒロインがやってるんですよ(笑)。

(山里亮太)主人公が!?いろんな悪事をもみ消していくって・・・すごいな。

(町山智浩)選挙までいじってるんですよ。投票までいじってるんですよ。この人たち。

(赤江珠緒)えっ、法を犯してでもっていうことなんですね。

(町山智浩)そう。だから本当にダーティーなね、汚い汚い世界なんですよ。で、普通この人たち、スキャンダルを潰しているだけかと思うじゃないですか。そうじゃなくて、スキャンダルを使うんですよ。だから大統領選挙の時に、敵の民主党側の大統領を潰したのも、民主党側に対してデマCMを流したオリビア・ポープなんです。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)だからこれ、すっごいドラマで。ぜんぜん主人公はいい人じゃないんですよ。

(赤江珠緒)ねえ。で、自分もスキャンダルの元になっているという危険性もあるし。

(町山智浩)そうなんですよ。とにかくこの大統領を大統領として維持していくことだけが目的なんで。で、最初この大統領、共和党でも穏健派なんですけど。それに対して右派のキリスト教原理主義の女性がですね、すごく大統領を攻撃してくるんで、この人を潰すためにどうすればいいか?って考えて、副大統領に彼女を任命しちゃえばいいんだと。

(山里亮太)ふん。

(町山智浩)要するに内側に取り込んじゃえって、副大統領に指名するんですよ。そのキリスト教右派の女性を。ところがその人、副大統領になってからも妨害をし続けるんですよ。で、どうやってこのうるさい副大統領を黙らせようか?って彼女が考えたのが、その旦那さんが浮気をしてるってことをでっち上げればいいんだってことになるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)で、その秘密を握っているから静かにしろ!って口封じをしようとして、さっき言ったエスコートガール、コールガールを派遣して旦那を誘惑するんですよ。その写真を撮ろうとするんですね。これがスキャンダルを作る側なんですよ。オリビアっていう女性は。ところが、すごい美女の高級コールガールを送っても、ビクともしないんですね。その副大統領の旦那が。で、あれ?おかしいなと思って。カメラとか用意して尾行してるんですけど、おかしいな?って言ってるんですけど。あっ!って思うと、別のところである人と会って、副大統領の旦那がキスしてるんですね。その人と。で、うわっ!と思うんですけど。

(赤江珠緒)お相手が、もういた。

(町山智浩)相手、男なんですよ。

(山里亮太)あっ!おー、なるほど。

(町山智浩)あちゃー!っていう感じなんですよ。

(山里亮太)すんごいスキャンダル、もう1個。

(町山智浩)そう(笑)。そういう、すごい展開があって。これ、すごいのはさっき言った投票をいじったって話、あるじゃないですか。投票をいじったのを突き止めたジャーナリストが出てくるんですね。でもって、大統領補佐官に『あなたたちは投票結果をいじりましたね?』って。そしたら、補佐官はどうすると思います?ジャーナリストを口封じするために。

(赤江珠緒)ええっ?しらを切り通すか・・・

(山里亮太)でもなんか、犯罪は犯さないわけですもんね。殺めたりしない。

(町山智浩)そのジャーナリストと結婚するんですよ。大統領補佐官が。男同士で。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)男同士で。ゲイだったんです。2人ともゲイだったんです。

(赤江珠緒)あ、そうだったんですか。

(町山智浩)そう。すごい展開なんですよ。

(山里亮太)ちょっと待って下さい、町山さん。いま、どっちですか?現実ですか?ドラマの方ですよね?

(町山智浩)ドラマの方です。もうすごくて。ぜんぜん予測できないんで、ジェットコースターに乗っているみたいなんですよ。このドラマ。展開が。

(山里亮太)話が、別に破綻しているわけでもないわけですもんね。

(町山智浩)いや、もうすごいんですよ。アクロバットなんで。さっきから次々といろんな人が殺されたり、自殺として消えていくっていう話、したじゃないですか。で、『私がこういう風に仕事をしている中で、次々と死んでいくけど誰が殺してるの?』ってオリビアが言うんですよ。誰だったと思います?

(山里亮太)それ、知っちゃって大丈夫なやつですか?

(町山智浩)大丈夫ですけど。これ、オリビアのお父さんなんですよ。

(山里亮太)ええっ!?

(町山智浩)オリビアのお父さんはCIAのトップの方の暗殺部隊で。国を安定させるためだったらどんなことでもする部隊のリーダーなんですよ。

(赤江珠緒)うわっ!もう誰も信用してはいけないし・・・

(町山智浩)誰も信用してはいけない。お父さんが『誰も信用してはいけない』ってなんでだろう?って思うと、お母さんが突然現れるんですよ。22年間、現れなかったお母さんが現れて。死んだと思ってるんですよ、オリビアは。お母さんが。で、どうしてたの?って思ったら、お母さんは国際的テロリストで。アメリカに敵対するためだったらなんでもする女でですね。それを旦那さんに見つかってしまい、お父さんに見つかって22年間、秘密刑務所に幽閉されていたのを脱走してきたんですよ。

(赤江珠緒)はー!すごすぎる!

(町山智浩)これからアメリカを破壊するためにあらゆる行動をするっていうところで第4シーズンに突入してくんですけど。これがスキャンダルっていうドラマなんですね(笑)。

(赤江珠緒)じゃあ、これを見てるアメリカの方は、そうきたか!って1回1回、驚いたりするんですね。

(山里亮太)面白そうだなー!

(町山智浩)みんなひっくり返って見てますね。テレビの前でころころひっくり返りながら、うわー!この展開ねーだろ!みたいな。この人、実はバイ・セクシャル!?みたいなね。この人、この人のお父さん!?みたいな。すごいことになってますよ。日本でもね、少しずつ少しずつWOWOWで放送してますんで。まあ追っかけて見ると、最高に、死にそうになりますから。はい。

(赤江珠緒)はい。ありがとうございます。もう夜分にすいません、町山さん。今日はシーズン4が始まるアメリカの人気ドラマ『スキャンダル 託された秘密』をボストンからご紹介いただきました。

<書き起こしおわり>



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