町山智浩 2018年ゴールデングローブ賞を語る

町山智浩 2018年ゴールデングローブ賞を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、2018年のゴールデングローブ賞についてトーク。注目の受賞作品や参加者たちが皆、黒ずくめの衣装で登場した意味などについて話していました。

(町山智浩)ということで、そういうことも含めまして、昨日開かれたゴールデングローブ賞についてお話をしたいんですけども。これもだから、すごいいろんな問題を投げかけるような授賞式でした。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)全ての出席者が全員、黒ずくめの衣装で出てきましたね。それはずっとハリウッドで最近、やっと発覚をして追求が進んでいるセクハラ問題に対しての遺憾の意という形で、抗議の意味でみんな黒い、喪服のようなドレスを着てきたんですけども。で、彼らが何度も授賞式の中で繰り返してきたのは「Time’s Up」という言葉でした。

「Time’s Up」

“I want all of the girls watching here now to know, that a new day is on the horizon.” #TIMESUP

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(山里亮太)「Time’s Up」。はい。

(町山智浩)「Time’s Up」っていうのはね、「もう時間切れよ」という意味なんですよ。で、これは「いままでさんざんセクハラをしていたけども、そういう人たちもそういう状況も、もう終わりよ!」っていう意味で言ったんですね。

(山里亮太)ふんふん。

(町山智浩)はい。日本はしばらく続いているようですけども。

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(山里亮太)大問題だよ、本当に……。

(海保知里)うーん……。

(町山智浩)で、そういう形で結構歴史的な事件だったと思います。ゴールデングローブ賞は。で、いちばんたくさん受賞したのは、すでにこの『たまむすび』で紹介した『スリー・ビルボード』でした。

『スリー・ビルボード』

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(山里亮太)あ、はいはい。

(町山智浩)ドラマ部門作品賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞という4部門を独占しまして。これは2月1日から日本でも公開です。

(山里亮太)じゃあもうちょいですね。はいはい。

(町山智浩)これは本当に、それこそさっき言ったドラッグの問題じゃないんですけども。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)これは「この人はいい人だ」「この人は悪い人だ」って決めつけていくと、どんどんひっくり返していくんですよ。だから「いい/悪い」っていうのは単純に決められるものではないと前に話しましたけどね。『陸王』みたいに顔の怖い人が悪い人だとは決まっていないんだという話をしましたけども(笑)。

(海保知里)いないんですよね(笑)。

(町山智浩)「池井戸潤のドラマはなんで顔が怖い人がみんな悪い人なんだろう?」っていうね。ひっくり返すことがなにもないんですよ。

(山里亮太)瀧さんがちゃんと悪い人でしたからね。

(町山智浩)そう。「悪そうに見えて、悪いこともしていたんだけど、実はその裏に何かがある」っていうことが絶対に池井戸潤ドラマではないので。僕は現代の水戸黄門だなと思っていますけども。

(山里亮太)ああーっ! だって勧善懲悪で、最後にスッとするというあの感じ。

(町山智浩)「でも、悪い人にも理由があったんだ」とか「実は悪くなかったんだ」みたいなことが絶対に起こらないんですよね。

(山里亮太)はい。本当に見ているとスッとして終わりますもんね。だから。

(町山智浩)そうなんですよ。だから、水戸黄門の放送も続いていますけど、現代の水戸黄門だなと思っていますけども。『スリー・ビルボード』はそれをひっくり返す話で、それが賞を独占しまして。ただ、監督賞だけはまた『たまむすび』で紹介した『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督がとりましたね。

『シェイプ・オブ・ウォーター』

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(山里亮太)ああ、言っていましたもんね。これ。

(町山智浩)はい。泣いていました。

(山里亮太)ああ、そうなんですか? 監督が。

(町山智浩)監督が泣いていましたね。

(海保知里)感極まったっていう感じでした?

(町山智浩)感じでした。とにかく彼が子供の頃からずっと考えていた話を40年ぐらいかかって作っているわけですから。で、とにかく怪獣が好き。醜いものが好きだと。それに対する愛で作った映画なので、「この賞を怪物たちに捧げます!」って言っていましたね。素晴らしいですよ。だから、「『美女と野獣』で野獣がイケメンなのはおかしいだろ?」っていうところから始まっていますからね。この映画はね(笑)。

(山里亮太)アハハハハッ!

(町山智浩)ギレルモ・デル・トロ監督に呆れたのは、その賞をとった直後にハンバーガーショップに行ってハンバーガーを食いまくっているツイートをしていましたね。

(山里亮太)フハハハハッ! いや、もうちょっと優雅に余韻を楽しむとかじゃなかったんですか?

(海保知里)パーティーとかじゃないんですか?

(町山智浩)いや、もうこの人はそうやって食べたいものを食べているから、あんなになっちゃったんですけどね。

(山里亮太)おっきいですもんね(笑)。

(町山智浩)そう。体に気をつけた方がいいと思いますが。それで、今回ご紹介する映画なんですが……このゴールデングローブ賞でコメディー部門の作品賞と、シアーシャ・ローナンちゃんが主演女優賞をとりましたけども。『レディ・バード』という映画について紹介します。

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<書き起こしおわり>

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