プチ鹿島 「紀州のドン・ファン」野崎幸助の生涯を語る

プチ鹿島 「紀州のドン・ファン」野崎幸助の生涯を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で突然の死を遂げた「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助さんについてトーク。2冊の著書に書かれたその波乱万丈な生涯について話していました。

(プチ鹿島)今日のテーマは「あなたが知らない紀州のドン・ファン」。いま、ワイドショー、テレビ、新聞、大騒ぎですね。日大アメフトからちょっとこちらの移ったような気がします。もともと僕はこの紀州のドン・ファン……野崎幸助さん(77)。和歌山県田辺市に住んでいた資産家です。その方が先月24日夜に自宅で倒れて死亡したという。僕はたまたまこのニュースを受けて『水曜日のニュース・ロバートソン』というので、この人がどれだけの人かというのを解説したら、次の日に今度は覚せい剤成分がたくさん出てきたということで。一気にそういう事件になりましたね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)それが先週の水曜日から木曜日の話。でも、改めてご説明すると僕がこの人をはじめて知ったのは日刊ゲンダイというタブロイド紙の連載。「4000人に30億円 紀州のドン・ファンが抱いた女たち」というのが連載されていて。とにかく女性が大好き。77才だけどまだ現役で付き合った数は4000人。で、30億円をそのためだけに貢いだという。そういう1人1人の女性の思い出を語って……まあ完全にシモネタなんですけどね。それをやっぱりタブロイド紙って、仕事帰りのおじさんが元気を出す。一面では政治に怒りながら、中ではこういうコラムを読んで、下世話パワーもあってというのがタブロイド紙なんで。すごくキャラクターとしてはそれを象徴している人なんですよね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)下世話も含めて。僕も火曜キックス帰りの特急で読みながら「おもしれーな、この人。このやり手感とエネルギッシュさ、なんだろう?」って思って、本も買ったんです。それが2016年に出た『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』っていう。

(プチ鹿島)これがまあ、面白くて。日刊ゲンダイでも去年の7月に書評をいろんな本とあわせて書かせていただきまして。そしたら、『アメトーーク!』というまた影響力のある読書芸人という回で東野幸治さんがこの本を推していて、一気にベストセラーになったんです。で、笑うのがその『アメトーーク!』効果はデカいですから、今年の4月には『紀州のドン・ファン 野望篇 私が「生涯現役」でいられる理由』っていう2冊目が出たんです。

(塩澤未佳子)ああーっ、そうだったんですか!

(プチ鹿島)今年の4月。この間、出たばっかり。でね、改めて……「なんかエッチなお金持ちのおじいちゃんだったらしいよ」っていう風にぼんやりとご存知の方に改めてご説明します。そもそもどういう人か? 1941年(昭和16年)、和歌山県田辺市生まれ。本でも書いているんですけど、自慢しているのが王貞治さん、張本勲さん、カメラマンのアラーキー、麻生太郎さんと同い年。みなさん、まだいろいろと世間を騒がせてますよね。王さんもこの間、再婚されたし。

(塩澤未佳子)ねえ。ご結婚されて。

(プチ鹿島)だからすごいエネルギッシュな当たり年なんでしょうね。それをイメージしてください。麻生さんと同い年。で、本のプロフィールを見るとどんな仕事をやってきたのか? お酒の販売業、不動産業、金融業。あと紀州ですから梅干しの販売業もしている。言ってみればなんでもやっていたということなんですよね。で、なぜ有名になったのか。これは記憶に新しいんですけど、2016年2月に50才年下の愛人……お相手は20代ですよね。気を許したら6000万円相当の金品を自宅から盗まれたということでワイドショーで話題になった。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、ワイドショーが押しかけていって取材したら「いや、1億円なんて紙クズです」「なんだ、この爺さんは!?」っていうことになっていろいろと調べたら、「とにかくいい女を抱くためだけに私は大金持ちになった」って公言しているひとで。30億だか50億だか資産があるんだけど、女性にしか……っていう。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)で、あの本を書いたり連載が始まったんですよね。本を読むとまえがき、はじめにこう書いてあるんですよね。「私がお金を稼ぐ理由はなんと言っても魅力的な女性とお付き合いをしたい。その一点に尽きます」と。で、「中学卒業後、早く社会に出て金持ちになりたかった。金持ちになることが目標でなく、お金持ちになって好みの女性とエッチすることが目標だった」という。もう中学卒業して社会に出た時点から一貫しているんです。

(塩澤未佳子)ええ。

中学卒業してからずっと一貫している

(プチ鹿島)で、面白いのがね、最初やった商売というのが鉄くず拾い。これ、時代だなと思うのが、鉄くずっていうのにもいろいろありますよね。太平洋戦争でアメリカの爆撃機B-29が投下した爆弾の破片を回収した。それを拾うと高い値段で買い取られた。鉄くずにもいろいろありますから。戦後間もなくで資源が少ないから。B-29の爆弾の破片も回収して、そういう仕事で成り立っていた。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)さらにご自分が本で「商売の転機」と書いているのが訪問販売なんです。これ、どういう訪問販売をしたのか? 避妊具(コンドーム)です。なぜか? 当時、鉄くずを拾っていたら肥溜めがある。そこに避妊具がたくさん捨てられていて、「こんなに需要があるんだ!」って。だけど、イメージしていただくとわかりますけど、当時は薬局の奥の方にひっそりと置かれていたので、やっぱり「子沢山を防ぎたいけど、でも……」っていう。女性はなかなか買いづらいというのを想像して。「じゃあ、自分から安く仕入れて売ろう」っていう。当時、280円で仕入れたものを売値は1200円で売ったという。それが結構当たったっていうんですね。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)で、これシモネタ方面の話に行きますと、最初は漁師さんのお宅に行ったんですって。で、漁師さんは気が荒いから奥さんに訪問販売していると後ろから「テメーッ! うちの嫁になにしてんだ!」みたいな、すごい怒られるという。で、「農家の人は気が優しいから、そっちを狙ったら?」っていうアドバイスを受けてそっちに行ったら、それが当たったという。

(塩澤未佳子)わーっ!

(プチ鹿島)で、なんだったら「実演販売してくれ」みたいな、そんな……まあ、それはシモの話ですけども。それは本を読んでください。っていうのも鍛えられて、なんとこの訪問販売の商売が当たって年収がサラリーマンの3倍になったというんです。

(塩澤未佳子)ほー!

(プチ鹿島)だからこの本を読むと、そういうエッチな話だけかなと思ったら、やっぱりいかにヒントから頭を使って成り上がっていったか?っていうビジネス一代記になっているわけです。それが面白かったんですよ。で、それだけでは収まらず、そのお金を元手に今度は人生最大の勝負、東京に行くわけですよね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)土地勘がないです。土地勘がないから逆に自由なことができる。なにをやったか? 東京駅を降りて丸の内に近いところでティッシュを配り始めた。自分でお金を貸す金融業を始めたっていうんですよ。狙いは国家公務員……官庁とかいろいろありますよね。丸の内は。あと一流企業。普通はそんなところで……たとえばさっきも財務省とかの話をしましたけど、そんな人がお金を借りにくるのか?って普通の常識だったら思いますよね?

(塩澤未佳子)そうですね。そんなに行かないんじゃないかな?

(プチ鹿島)ところが、やっぱり人間って面白いもので、職業とかお給料がどうあれ賭け事が好きな人もいれば愛人を囲っている人もいる。特にそういう官庁とか大企業に勤めている人は恥ずかしくていままでは借金したくてもルートがないからわからなかった。だけど、駅前でティッシュを配っている。しかも、担保も保証人も不要にしたんですよ。だって職場そのものが国なんだから、つぶれようがないから。もし返済が滞っても、その職場に行けば絶対に「ああ、これはすぐに払うから!」ってなるでしょう?

(塩澤未佳子)絶対にいるから。

(プチ鹿島)そこまでいかなくても、どんどん回収できたっていうんですよ。だから面白いね。そういう国家公務員とか○○省に勤めている人がお金なんか借りないだろうって思ったら、意外とちょくちょく借りに来て。むしろ重宝してくれたっていうんですよ。

(塩澤未佳子)へー、そうですか。

(プチ鹿島)面白いですね。目のつけどころっていうのはね。それでやっぱり金融業。お金を貸すお仕事で財をなしていまがあるっていうことなんです。で、女性とどう付き合うのか? 出会うのか? これ、からくりを言うとほぼ、高級デートクラブなんですって。入会金100万円以上の高級デートクラブっていうのがあって、それに複数登録して。それだと自分の好み、「若くて背が高くてスタイルは……」って希望を伝えておくと、社長が本を書いているのは芸能界でまだ売れてはいないけど、お金を稼ぎたいっていうモデルとかタレントの卵みたいなのが登録をしているんですって。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)入会金100万円で身元が明らかな人しか入れてくれないから、向こうも仕事をしやすいんでしょうね。そういうのがあるんです。そういうのをおじさんはタブロイド紙を読むとたまらないんですよ。自分はそんなところ、入れないし。お金もないじゃないですか。だけどその夢、おとぎ話をこの社長がやってくれているという。だから毎週毎週紹介をされる。「社長、こんないい子が入りましたよ」って。

(塩澤未佳子)はー!

ドン・ファンのマイルール

(プチ鹿島)ただ、この社長にはマイルールというのがあって。「そんなに女の子が好きなら、風俗に行けばいいじゃないか」ってよく言われるんですって。だけど、それは自分の中ではちょっと違うと考えているんですって。やっぱりデートクラブに登録して紹介されてお食事をして口説くプロセスが好きなんだと。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)デートクラブからだと、向こうにも断る権利がある。だからフェアなんだって……それは論理が破綻しているってよく友達からは言われるそうなですけど、自分の中ではそういうマイルールがあるんですって。

(塩澤未佳子)それは一貫しているんですね。

(プチ鹿島)で、デートの後には毎回お礼で30万、40万を渡すんですって。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)それも論理が破綻しているんだけど。それは大きな意味でどうなの?っていう。だけど、自分にとっては「プロセスを楽しんだ。ありがとう」ってお小遣いを渡すんです。で、もちろんナンパもする。たとえば飛行機。和歌山から毎週銀座とかに遊びに来ているから。毎週というか、ほぼ毎日でしょうね。

(塩澤未佳子)毎日!

(プチ鹿島)この社長は朝、午前3時に起きて仕事をして。1人でトイレ掃除もして朝方社員を迎え入れて。自分の仕事は昼前に終わっちゃう。で、昼に家に帰って昼寝して、夕方から東京に通い出す。飛行機を自転車のように使っていたという。そうなると、今度は飛行機のキャビンアテンダントさん、CAさん。きれいな方がいらっしゃるでしょう? そういう方もやっぱりなんとか口説きたいってなってその時にひらめいたのが特注名刺を作って渡す。そうするとかならず電話がかかってくるという。

(塩澤未佳子)ええーっ?

(プチ鹿島)そのからくりは何か? 名刺が厚くて二重になっていて。裏側には折りたたんだ1万円札を入れておくんですって(笑)。

(塩澤未佳子)ええーっ!?(笑)。

(プチ鹿島)そうすると、もらった方は社長に……だって名前と連作先が書いてあるわけだから。「すいません。こんなにもらっちゃっていいんですか?」ぐらいのことは一応電話しますわね。

(塩澤未佳子)まあ、たしかに!

(プチ鹿島)黙ってもらう人も中にはいるだろうけど。一応は「すいません」って。その時に、「よかったらお食事でもどうですか?」っていう。で、脈がある人はそれでついてくるっていう。

(塩澤未佳子)うわーっ!

(プチ鹿島)スケベですね。で、もちろん外でも普通にナンパするっていうんですよ。だいたいこの人、女子大生が好きだっていうんですけど、好みの女子大生を見つけたらかならず「ハッピーオーラ、ハッピーエレガント、ハッピーナイスボディ、あなたとデートしたい、エッチしたい」って言うらしいんですよ。で、大概は気持ち悪がられるっていうんですけど、やっぱりモテる人って実はモテていないんだよね。打席数が多いだけなんだよね。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)大概は露骨に嫌な顔をされるっていうんですけど、そこでまた1万円札入りの名刺を渡すとやっぱり気になる人は後から……「お食事ぐらいはいいか」ぐらいな感じで連絡が来るという。

(塩澤未佳子)うわーっ!

(プチ鹿島)そういう、とにかく女性だけなんです。いまからこの『紀州のドン・ファン』っていう2年前に書かれた本を読むと「あれっ?」っていう記述が結構あって。たとえばこんなのがあります。48ページ。「私は酒はビールを少々だけで、おっぱいは吸いますけどタバコは吸いません」って。

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)ねえ。酒もタバコもやらずに女ばっかりなんです。で、この後です。気になるのは。「……当然、スポーツ選手や芸能人たちに流行の覚せい剤等は全くご縁がありません」という。2年前ってほら、有名人の覚せい剤事件がいろいろあったでしょう? それに引っ掛けて言っているんですよ。「覚せい剤には全くご縁がありません」って。まあ、もちろん「やっている」とは書かないでしょうけど、こういう軽口をギャグでするほど。書いているんです。

(塩澤未佳子)そうでしたか。

酒もタバコのせず、女だけ

(プチ鹿島)「酒もタバコもやりません」っていう。で、今年4月に出た本では前書きで「私がこんなに健康でいられるのは年に1回、1週間ほど聖路加病院さんの人間ドックでお世話になっているから、いまもピンピンです」っていう。とにかく健康に。で、覚せい剤どころか1冊目の本のあとがきを読むと「年相応になるな!」ってみなさんにハッパをかけているんですね。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)「バイアグラは飲みません。だけどサプリはたくさん飲みます。いまのお気に入りはセサミンと蚕冬虫夏草です」っていう。だからバイアグラすら手を出さないんですよ。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)ねえ。どれだけ健康に気を使っていたか。ましてや覚せい剤なんか……っていうのがこの本だけでうかがえるわけです。

(塩澤未佳子)わかりますね。

(プチ鹿島)さあ、いままでご紹介してきました4000人と付き合ってきたスケベ爺さん。ところが今回、こういうことになってしまった。これ、いろいろと雑誌を調べてみるとある異変があったんですね。フライデーを読みますと、実はこのドン・ファンが亡くなる1ヶ月前、先月に野崎さんが子供のようにかわいがっていた愛犬のイブちゃんが5月6日に亡くなったという。死んでいる。野崎さんは本当に意気消沈をして……だって20年ずっと一緒にいた犬が突然死ぬわけですよ。

(塩澤未佳子)それは悲しい……。

愛犬イブちゃんの突然死

(プチ鹿島)で、6月11日にイブちゃんのお別れ会を開くつもりですでに和歌山・白浜の高級ホテルを予約して200人ほどのお客にも招待状を出していた。デヴィ夫人もよくワイドショーで言っていましたよね? で、このイブちゃんに関しても本に書いてあるんです。1冊目の本に。「自分にとってのかけがいのないもの。20年以上一緒に暮らしている愛犬、ダックスフントのイブちゃんと散歩すること」。これが毎日の楽しみなんだという。「メス犬のイブちゃんは私の唯一の家族のようなものですから、それはそれは目に入れても痛くないほど溺愛しています。出張で家を空けた時など心配でイブちゃんの世話をお願いしているお手伝いさんに様子を聞くため何度も電話をしてしまうほどです。私が健康でいられるのはエッチとイブちゃんのおかげかもしれません」と。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だからいろいろ4000人の女性と付き合ってきましたけど、いちばん長く愛した女性、これはイブちゃんなんです。20年一緒にいるんですから。そのイブちゃんが先月、20年元気だったのに突然死した。報道によると、急に悶え苦しんで。「えっ?」ってゾッとしますよね。それで社長は気落ちして。そしたら今度は自分が……。

(塩澤未佳子)はー……。

(プチ鹿島)僕はだから、このイブちゃんが死んだというのももしかしたら今回の事件になにか要因というか、あるんじゃないかとにらんでいるんですけどね。少なくともイブちゃんの死因はわからないけど、イブちゃんが死んでから社長がすごく気落ちしていたっていうことはたしかですよ。

(塩澤未佳子)そうでしょうね。

(プチ鹿島)4000人と付き合った社長ですけど、もっとも一緒に暮らしていて20年愛した……社長は2冊目の本でも書いています。「犬だけど猫かわいがり。遺産も全部あげたい」って。犬にですよ。それぐらい溺愛していた女性、イブちゃんが亡くなってしまった。これ、今回のキーポイントになるんじゃないですか? その死に方。もしくは死んでから社長がどうショックを受けたか。まあ、他殺云々っていうのはわからないですよ。だけどやっぱりイブちゃんにたどり着くんですよね。4000人のことをさんざん書いてますけどね。ということで、紀州のドン・ファンでした。

<書き起こしおわり>

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