プチ鹿島 2017年衆議院選挙の不思議さを語る

プチ鹿島 2017年衆議院選挙の不思議さを語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で2017年衆議院選挙を振り返り。この選挙の不思議さや、自民党幹事長、二階俊博さんの活躍などについて話していました。

(プチ鹿島)ということで塩ちゃん、選挙が終わりましたよね。

(塩澤未佳子)終わりましたよね。

(プチ鹿島)なんかこう……言っていいですか? 僕、選挙が終わってからこういうことを言うのもなんですけど、いまだに争点がわからないんですよ(笑)。

(塩澤未佳子)(笑)

(プチ鹿島)いまだにこう……何を問われていたのかよくわからないんですよ。

(塩澤未佳子)本当、そのまんま終わっちゃった(笑)。

(プチ鹿島)だから、不思議が選挙でしたよね。

(塩澤未佳子)最後の最後までね。

(プチ鹿島)でしょう? で、僕は今回、選挙も好きなんですけど、選挙特番っていうのが大好きなんですよ。生放送、僕大好きですから。で、悲喜こもごもっていうんですか? だって人の人生のいちばん大事な瞬間を覗き見できるわけですよね。それを面白おかしくショーアップして見せてくれる。それこそ、四半世紀前から好きだったんです。そしたらですね、今回僕、TBSテレビのインターネット版の選挙特番の司会をやらせてもらったんです。

(塩澤未佳子)すごいですね!

(プチ鹿島)だから逆にいま、録りためていたものを徐々に見てるんですね。池上さんのテレビ東京のとか。あの二階のトシちゃん(二階俊博)がね、張り切って仕掛けていたやつとかね。

(塩澤未佳子)そうそうそう(笑)。

(プチ鹿島)で、なぜか池上さんと安倍さんが中継つながっている時に、後ろで当選者を読み上げたりなんかしてね。あれがまた、いろいろとこう、なるほどなと。

(塩澤未佳子)本当に(笑)。

(プチ鹿島)で、自分が選挙特番をやって結局、さっき「不思議な選挙」って言ったでしょう? というのも、やっぱりいろんなところから中継してもらうわけですよ。自民党の本部とか希望の党の本部とか。ほとんど喜んでいないんです。

(塩澤未佳子)あら?

ほとんど誰も喜んでいない

(プチ鹿島)ほとんど喜んでいないです。で、まあ自民党も勝ったとはいえ……だってそんなに(議席を)増やしていないわけでしょう? で、だいたい立憲民主党が増やしただけで。結局、なんだったの?って。もちろん台風が直撃していたから、そんなにはしゃげないっていうのもあるんでしょうけど、それをおいても、なんか喜んでいないんです。誰も。

(塩澤未佳子)はい。言われてみれば。

(プチ鹿島)だから、「不思議な選挙」って言いましたけど、不気味な選挙に感じたんですよね。夜9時、10時ぐらいの。「なんか、誰も喜んでねえじゃねえか?」って。でも、たしかにね、振り返ってみるとその理由もわかるっちゃあわかるんですよ。たとえば、これ不思議な記事だなと思っていたのが1週間前の毎日新聞。10月16日なんですけども。こんな世論調査の結果が出ていたんですよ。1週間前ですよ。「首相、続投望まず」という人が47%いたんですって。で、「続投してもいいじゃないか」という人が37%ですから、10%以上の人が続投を望まないという。これ、毎日新聞。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)ところが、その毎日新聞の一面を見ると、「自民最大300超えも」ってなるんですよ。ねえ。これ、どっちなのよ?ってよくわからないじゃないですか。

(塩澤未佳子)わからない……。

(プチ鹿島)世論とか民意ってどっちなんだろう?って不思議な気持ちになったまあ……でも結局、自民党が勝って。でも、その自民党もなんか喜ばないみたいな感じ。でも、こういうところに反映されているのかなって思いますよね。だから、議席数で言うとやっぱり小選挙区制だから自民党がバーン!ってなったんですけど、得票率。これ、新聞を見てみると面白いですよね。各紙が報じているんですが、たとえば今日の日経新聞ですと(自民党の)得票率は小選挙区制で48%なんですけども、(獲得した)議席では75%を占めるという。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)で、これが比例代表制(党の名前を書いて投票)になると、これが面白いんですよ。自民党の得票率は33%。1854万票。で、立憲民主党が20%。1107万票。で、希望が17%。だから立憲と希望を足すと37%で(自民党を)超えちゃっているんですよね。

(塩澤未佳子)あっ!

(プチ鹿島)だからこうなると、なかなかほら、小選挙区制って1人しか選ばないから、ちょっとでも勝った者が勝ちなんで。それこそ総取りみたいにバーッて流れていくというその小選挙区制の特徴というか不思議さというか面白さがここに出ているんですけどね。だから僕も開票特番でずーっと全国のを見ているでしょう? そうするとひとつ、気づくことがあって。

(塩澤未佳子)なんですか?

(プチ鹿島)希望の党が出ている選挙区には、だいたい共産党(の候補者)が立っているんです。これ、どういうことかわかります? つまり、最初は「野党共闘だ」って共産党も元の民進党と協力をしていこうというプランというか、願望というか、願いがあったわけですよね。だって対自民党という。ところが、希望の党がいわゆる分裂して保守寄りなことになったことによって、共産党からすれば「なんてことをしてくれたんだ! しかもあれは自民党の補完勢力じゃないか!」っていうので、「じゃあ、もう……」ということで、希望の党の候補者が立っている選挙区にはほぼ共産党が立つ。希望の党にはもれなく共産党も付いてくるという。だいたいそういう選挙区なんです。で、面白いことに、希望の党と共産党を足してみると、意外と自民党に負けていなかったりしてね。

(塩澤未佳子)うーん! こういうところ……。

(プチ鹿島)面白いですよね。面白いというか、興味深いというか。だからこう、誰が勝ったんだ?っていうのがよくわからないっちゃあわからないですよね。これ、10月23日。昨日の朝日新聞です。自民党幹部のコメントで「首相がいちばん嫌われていたが、小池さんが追い抜いて首相は2番になった。小池さんに感謝しないといけない」っていうコメントが載っていますね。

(塩澤未佳子)(笑)

(プチ鹿島)で、これも同じ朝日新聞ですね。選挙期間中の演説ね。「安倍政権」とは言わず、「安定政権」への支持を求めたという。つまり、「安倍政権への支持をお願いします」じゃなくて、「安定政権が続くために1票、お願いします」っていう。あと、公明党なんですよね。これは昨日の読売新聞なんですけども。「公明党、神奈川六区敗北」っていうのがあって。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)公明党っていうのは組織がしっかりしているからね。ある程度現状維持というか、(議席数を)減らさないことに定評があったんですが……これ、「神奈川六区では小選挙区、旧死守ならず」という。落としちゃったんですね。で、公明党が小選挙区で議席を落とすのは2009年以来だということなんです。だから公明党も与党なんですけど。与党で「勝った、勝った」っていうんですけど、意外と……?っていう。で、これは僕、自分の選挙特番で選挙プランナーっていうプロの選挙分析の人をお招きしていろいろと聞いたんですけども。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)公明党の中でもね、いわゆる女性票っていうんですか? 女性の方は「いわゆる憲法とかを守って平和に行きたい。(公明党は)昔ながらのそういう党だったでしょう?」っていうので、ちょっとあまり安倍さんとか自民党に付いていく姿勢がどうなの?っていう人はいるみたいなんですよ。これ、各地を分析している選挙プランナーの分析ですよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だから、「じゃあ、それは棄権するんですか?」って聞いたら、「棄権じゃない」と。だから投票所には行くんです。だけどやっぱり、公明党なのに「今回ばかりは違う党に……」っていう人もいたんじゃないか?っていうプロの分析もあって。そうすると、勝っているようで勝っていないんですよね。

(塩澤未佳子)本当だ。

(プチ鹿島)で、いちばん面白い……「面白い」って言っちゃいけないんですけど、希望の党ですよ。あれだけ政界再編を仕掛けようとしていた若狭(勝)さんが、落ちているんですよ。落ちてどうするんだ?っていう話で。「落ちたの!?」っていう。

(塩澤未佳子)(笑)

(プチ鹿島)そうでしょう? だから、これが今日の日刊スポーツ。若狭さんが明かした胸の内。「『次の次』発言、戦略的だった」と。つまり、若狭さんが顰蹙を買った発言がありまして。これが公示前にNHKの番組で政権を目指す時期を尋ねられた若狭さんが「次の次ぐらい」と答えと。それで「ええっ? 今回はほどほどでいいんだ?」みたいな感じで広がって。なんだったらゴシップ誌を見るとね、小池さんに「余計なことを言うな」って怒られたとか、そういう(笑)。

(塩澤未佳子)(笑)

(プチ鹿島)で、この発言で「今回の衆院選を政権選択選挙と位置づけていない」との受け止め方が広がったということで。言ってみれば、正直なのかもしれないけど、なんかこう、政局というところではケンカが上手くない人だったんだなっていうのが。で、ご自身も落ちちゃったっていうのも。だから若狭さんっていうのは今回、希望の党のある意味象徴といえば象徴ですよね。

(塩澤未佳子)そうかもしれませんよね。だって、いまだにこの火曜日になっても追いかけ回されてますもんね。テレビとかみんな入って、事務所を片付ける様子とかを……。

(プチ鹿島)そうそうそう。まあもう普通のおじさんですからね。比例復活もならない、普通のおじさんですけどね。だからそういう人が政界再編を仕掛けてね、小池さんの側近みたいなイメージで……だから、いかにイメージが独り歩きしていたか?っていうことですよね。で、その選挙特番。僕の番組に来てくれた方。たとえば自民党の当選したての議員もいたんですよ。で、僕は聞いたんです。この『キックス』でもさんざん言っているじゃないですか。「安倍さんのそもそもの『大義』。あれ、ピンと来てます?」って聞いたら、「正直、ピンと来なかった」って(笑)。

プチ鹿島 2017年衆議院選挙「大義」新聞各紙読み比べ
プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で2017年衆議院解散・選挙実施の「大義」について新聞各紙の記事を読み比べ。そこから見えてきたものについて話していました。 イベントお知らせもあります。 pic.twitter.com/xK0DyPRyG...

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)「消費税増税分を社会保障費。たとえば幼児教育無償化とか。ピンと来てました? 昔からそんな匂い、ありました?」って聞いたら、「ないです」って。その人は結構正直な人でね。「だけど、選挙戦がいざ始まって社会保障費……幼児教育の無償化を訴えたら、鹿島さん。有権者の反応がいいんですよ! だから当選できました」って。でも、当たり前じゃないですか。幼児教育の無償化を反対する人なんか、いないですよ。

(塩澤未佳子)はい。そりゃあ、そうしてほしいですよ。

(プチ鹿島)しかも、どの党も言っているわけだからね。だから不思議な……本人は街頭でいざ言い出したら手応えはあったって言うんですよ。でも、そりゃそうじゃないですか。みんな同じことを言っているんだから。みんな同じことを言っているんだけど、なんか沸き立っていないっていう。

(塩澤未佳子)ふーん! ええ。どういう選挙だったんだろうな?(笑)。

(プチ鹿島)わからないです。だから僕(笑)。こう、人によっては右往左往した立ち振舞いを見せたという、ちょっと本性がバレちゃった。「あっ!」っていうのがバレちゃった選挙でもあったのかなと思ったんです。はい。火曜『キックス』、スタートです。

(中略)

注目ポイント・二階のトシちゃん

(プチ鹿島)そういえばさ、僕、今回のひとつの見方というか楽しみ方のひとつにね、やっぱり二階さんなんですよね。やっぱり幹事長というのは選挙を……言ってみれば現場監督ですよね。自分の配分でできるわけですよ。だからちょっと自分に近い人を(候補者に)立てることもできる。今回、二階さんは露骨でしたよね。たとえば新潟5区。これ、前に僕も言いましたけど、泉田(裕彦)さんっていう、去年ちょっと自民党と対立して、新潟の知事選を断念した人が1年たって、自民党から出てくるわけですよ。

(塩澤未佳子)すごいなー、これ。

(プチ鹿島)「はあ?」でしょう。だから僕、新潟日報とかも読んでずっと情勢を追っていたんですけど、地元はそりゃあ、「なんだ、それ?」って。

(塩澤未佳子)戸惑うでしょうね。

(プチ鹿島)しかも、その泉田さんというのはそもそもの選挙区というかご出身地で言うと新潟四区なんですよ。四区に出る準備を整えていたのが、「五区に出ろ」と。「なぜ?」といったら、それは結局二階さんなんですよね。いわゆる当中央部が、四区に出ているのは金子恵美さんっていう女性の候補だったんですが、あの人が二階派なんですよ。だから、そこを四区を死守するため、「泉田、お前は新潟の元知事なんだから。言ってみれば新潟ではどこに行っても大丈夫だから、五区に行け」と。でも、地元は反発しますよね。だから今回泉田さん、受かったのかな。だけど最後の最後まで……だから、二階さんが絡むとモメるんです。そんな……他のことを言っていますけども山梨も二区。あれも二階物件ですからね。

(塩澤未佳子)そうだ。

(プチ鹿島)堀内(詔子)さんっていうのと長崎(幸太郎)さんっていうので。今回、二階さんがどっちかを公認するんじゃなくて、勝った方を公認するという。つまり、これはこの場合でいうと、長崎さんという人が二階さんのバックボーンがあるわけですね。まあ、勝てると踏んだんでしょうね。この際だったらもうケリをつけようっていう。そしたら堀内さんが勝ったと。だから二階さんがゴチャゴチャやっていたおかげでそういう、地元は地元で大変な騒ぎになっちゃったという。

(塩澤未佳子)そうかー。

(プチ鹿島)あと、埼玉十一区もそうですよ。無所属で出馬した今野(智博)さんという方が小泉(龍司)さんという方に負けたんで。これも山梨二区と同じような状況で。やっぱり二階さんが後ろ盾の小泉さん。ここは二階さんが後ろ盾の方が勝ったんです。でも、結局勝った方が勝ち上がって来いっていう。これはやっぱりさっきの選挙のコンサルタントの方に聞いたら「昭和の選挙ですね」と。つまり、中選挙区制で同じ党から2人ぐらいで競わせるっていう。

(塩澤未佳子)そうか!

(プチ鹿島)だからやっぱり二階さんっていうのは古い選挙のやり方をいまもやっている方なんだという分析を聞きまして。地元は迷惑ですよね(笑)。

(塩澤未佳子)そうですよ! 本当に大変(笑)。

(プチ鹿島)二階物件、まだまだあるはずなんですよ。だから二階さんというのは派閥を大きくするために結構無所属とかいろいろと集めるんですよ。だから数だけ大きくしているんですよ。なので路チューの不倫議員とか、結構危なっかしい、最近マスコミで。そういう人が意外と二階派なんです。だから今回、そういう人は落ちてますからね。自民党内の中でも、これは日経新聞ですけども、「派閥で明暗」っていう。岸田派っていうのは全員が当選。二階派は前職8人が落選して。だから派閥の中でもいろいろとあるという。といことは、いろいろとうごめいていたのが二階さん。やっぱり幹事長だから。自分の権限でね。

(塩澤未佳子)二階さんね、どういう感じなんでしょうね。

<書き起こしおわり>

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