吉田豪・コンバットREC・宇多丸 全日本女子プロレス伝説を語る

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吉田豪さんとコンバットRECさんがニコ生『タマフル24時間ラジオ2017』に出演。女子プロレス初心者の宇多丸さんに全日本女子プロレスの最狂伝説を話していました。

吉田豪・コンバットREC・宇多丸 全日本女子プロレス伝説を語る

(吉田豪)なんかね、ざっくりとアイドルの話とかをした方がいいのか?っていうね。


(宇多丸)あ、ぜひね。

(コンバットREC)アイドルの話といえば、吉田さん。アイドルじゃないけど全女の話が最近、熱いんじゃないですか?

(吉田豪)そっちに行く?

(コンバットREC)それ、しないの?

(吉田豪)あ、全然なんでもいいよ。

(コンバットREC)全女の話。全女の本、読みました?

吉田豪の”最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集


(宇多丸)ああ、いただいているけど、まだ読んでないです。

(コンバットREC)読んでないですね。あれ、本当に面白いですね。柳沢さんの本(柳澤健『1993年の女子プロレス』)を読んでいるとすごい立体的になりますよね。

柳澤健『1993年の女子プロレス』


(吉田豪)これ、プロレスをあまり知らない宇多丸さんにどう伝わるか?っていうね。

(宇多丸)そうなのよね。

(コンバットREC)まあ、前提をこの放送でどれだけ言っていいのか?っていうのもありますよね。

(吉田豪)いいんじゃない? ニコ生だから。

(コンバットREC)じゃあ、お願いします。

(吉田豪)あ、俺が言うのね。

(コンバットREC)当たり前じゃないですか。インサイダーが言ってくださいよ。

(吉田豪)だから昔からよく「プロレスって日本も世界もあまり変わらない」みたいに
言われて。「日本が特殊だって言われているのは嘘だ」みたいに言っている人はいたんですけど、やっぱり日本は特殊なんですよ。全女が何が特殊か?っていうと、新人は基本、シュートファイト。で、新人だけじゃなくて上の方もシュートファイトが混ざる確率が……。

(宇多丸)「シュート」っていうのは本当に、ガチで?

(吉田豪)っていうか、結末が決まっていないんですよ。

(コンバットREC)試合は試合として、途中までやるんですよ。

(吉田豪)普通にプロレスとして技を受けるんですけど、途中から普通に「押さえ込みルール」によってガチンコになるんですよ。だから、チャンピオンベルトがガチンコで移動するんですよ。

(宇多丸)おおーっ!

(コンバットREC)全女っていう団体がそれを採用していたんです。

(吉田豪)で、その結果、負けた人がガチで負けて引退したりとかっていう、世界のプロレスで全くあり得ないことを普通にやっていたのが全女で。

(宇多丸)へー!

(コンバットREC)普通の団体っていうのはシュートマッチがあるとしても前座とか若手の試合ではあるかもしれないですけど、タイトルマッチみたいな大事な試合は絶対にやらないんですよ。

(吉田豪)まあ、事故として起きることはあっても、団体側はそれを奨励することはなくて。

(宇多丸)もう理念として、ドンと。

(吉田豪)で、さらに全女が狂っているのは、それを関係者が全部賭けにしているんですよ。お金をかけて……。

(宇多丸)えっ、いいんですか?

(コンバットREC)だから、ガチじゃないと賭けが成立しないじゃないですか。賭けのためなんですよ。

(宇多丸)それ、いいの? この話……。

(吉田豪)全女とかフジテレビのスタッフとかも含めてみんな賭けをしてるんですよ(笑)。画期的な団体(笑)。

(宇多丸)だからある意味、本当にガチで戦わせての。だから本当に闘技士というかさ。

(コンバットREC)そう。それをインタビューで紐解いていく本なんですよ。

(吉田豪)だから昔、ビューティー・ペアが武道館でビューティー・ペア同士のシングルマッチの対決があったんですよ。で、負けたら引退っていうのがあったんですけど。ああいうのも全部、それなんですよ。だから、どっちが引退するかわからない試合をやっちゃっていて。

(コンバットREC)しかも、まだ結構人気があったビューティー・ペアだから、辞めさせる必要なかったのに。

(吉田豪)なんだけど、「あいつらギャラ高くなったからさ、1人にしよう」みたいな(笑)。雑な発想で全部やっているんですよ。

(コンバットREC)そう。ビジネスプランとか一切ないんですよ。「あいつ、ギャラ高えな。クビにしよう。ガチで辞めさせよう」って。

(吉田豪)だから基本、25才定年制っていうのが全女の中にあって。なぜか?っていうと25才ぐらいになるとお金のことをうるさく言ってくるんですよ。中卒とか高卒でよくわかんないまま働かせている分にはいいけど、だんだん知恵がついてきて……。

(宇多丸)本当にグラディエーターじゃん!

(吉田豪)そう。「私たちは搾取されている」って気づいていろいろと言ってくる用になるじゃないですか。そういうのはガチで若手にやらせて潰して、「さようなら~!」っていう(笑)。

(コンバットREC)めんどうくさい年齢になってきたらクビにするために25才で。別に「女性としてきれいだから25まで」とか、そういうのではないんですよ。

(宇多丸)っていうかみんな、(ニコ生のコメントで)「ひでえ」「ひでえ」「うええ」って(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。ところが、気が狂っているのがそんだけひどいこと……さらにひどいことを言われたり、ひどいことをされたり、みんなしているんですよ。なのにみんな、「とにかく楽しい団体で素晴らしかった」みたいな。

(宇多丸)それは、本音なの? それとも……?

(吉田豪)本音です。誰一人悪く言わないんですよ。

(コンバットREC)完全に洗脳されているんです。

(宇多丸)ああ、そういうことなんだ。

全日本女子プロレスの洗脳

(吉田豪)あの、聞けば聞くほど、まず最初に娑婆っ気を抜かれて間違った常識を叩き込まれて。完全に洗脳のノウハウなんですよ。で、いまだに洗脳が解けていない感じなんですよ。で、それをブル中野さんに言ったんですよ。「たぶんこれ、僕ずーっといろんな人の話を聞いて思ったのが、洗脳だと思うんです」って言ったら、「そうかもしれないですけど、この洗脳は解けてほしくないです」っていう。

(コンバットREC)(笑)

(宇多丸)ああ、「夢かもしれないけど、夢でも覚めてほしくない」と。はー! そういうあれなんだ。

(コンバットREC)というのを紐解いていく本なんですよ。副読本としては、さっき言った柳澤健さんの『1993年の女子プロレス』は結構マストで。それもメンバーは結構かぶっているから。

(吉田豪)そのぐらいから押さえ込みルールについてちゃんと聞いて。押さえ込みルールはたぶん90年代初頭のプロレス本でちょっとずつ出てきたエピソードなんですけど、それを本人に直接聞いていい時代になったのがここ最近で。

(宇多丸)だって、そりゃそうですよね。だからいま、その話を聞いて「えっ、それ本人にぶつけたの?」って。

(吉田豪)ただ、またプライドもあるから、「そこまでわかるファンに私たちは支持されたい」みたいなのもあるんですよ。「ガチンコにも勝って私たちはここまで来た」みたいな。

(宇多丸)まあ、ガチで戦うことそのものはさ、選手としては誇りでしょうから。

(吉田豪)そうなんですよ。「ただのショーじゃないぞ」っていうプライドがすごいあるんですよ。

(コンバットREC)だから全女の人の異常なプライドの高さっていうのはそのガチも強いんですよね。上の方の人はね。

(宇多丸)うんうんうん。まあ、そうですよね。強くないと勝てないわけだから。

(コンバットREC)まあ、ただ豪ちゃんの本ですごい面白かったのは、全女の人が考えるガチって、「押さえ込みルール」なんですよ。ただ、(他団体だった)神取忍の考えるガチっていうのは「潰し合いのガチ」で。そのガチ観が違うんですよね。

(吉田豪)あの、神取忍VSジャッキー佐藤っていう伝説の試合があるんですよ。ジャパン女子プロレスっていう、全女しかなかった時に秋元康さんと芸能事務所のボンド企画が絡んでやった80年代半ばぐらいにできた新興プロレス団体があって。そこで神取さんが柔道の実績をもってデビューして。で、(全女を辞めた後、ジャパン女子プロレス設立に参加した)ジャッキー佐藤がビューティー・ペアじゃないですか。で、そこは会社とモメた流れでそこがガチでやることになって。

(コンバットREC)まあ、やらざるを得ない状況になっちゃったんですよ。

(吉田豪)で、ジャッキーさんもガチはガチでやるつもりでいたっていう中で……。

(コンバットREC)両方、ガチでやるつもりでいたんですよね。

(吉田豪)神取さんに僕はインタビューに行ったんですよ。その時に神取さんが完全にジャッキーさんを潰しちゃって。で、ジャッキーさんがそのまま引退になってっていう。

(コンバットREC)もう顔がボッコボコになっちゃったんですよね。ジャッキーさんがやられて。

(吉田豪)女子プロ上あり得ないぐらいの潰し合いをしたんですけど。その時に僕が言ったんですよ。「たぶんこれ、お互いのガチ観が違ったと思うんですよ」って。女子プロのガチっていうのは普通にプロレスをやった後で最後に押さえ込みぐらいのガチで、神取さんのガチはやっぱり柔道仕込みなんで、とにかく打撃でやって関節を絞めてっていう、いわゆるいまの総合格闘技的な技術でやっちゃったんで。

(コンバットREC)打撃でボッコボコにした後で骨をへし折るっていうのが神取さんが考えるガチで。

(吉田豪)「あれ、違ったんじゃないですか?」って言ったら神取さんが「そうかも!」って言って(笑)。

(宇多丸)(笑)

(コンバットREC)それをあれから20年たってやっと気づいたっていうのが結構、あれがすごかったよね。

(吉田豪)「ああーっ、盲点だった!」って言われて(笑)。

(宇多丸)神取忍さんがすごい殺気っていうかさ。本当に殺気でっていうのはなんとなくしっていたけど、そういうあれだったんだ。


(吉田豪)神取さんはそれで伝説になって……っていう人なんですけど。

神取忍VSジャッキー佐藤


(宇多丸)でも、悪気はゼロなんですよね。

(コンバットREC)悪気ゼロ。神取さん的にはガチでやるっていうからやったのにっていう。

(吉田豪)またこの試合が相当立体的になっている本なんですよ。で、そんだけ、最初からガチだってわかっている試合だって言っているのに、ナンシー久美さんというアイドル的に売り出された方が……。

(コンバットREC)みんなに嫌われているはずのナンシー久美さんね。

(吉田豪)っていう人がいるんですけど、その人にその試合の話を振ったら、その人もジャパン女子に行ってすぐに引退したんですけど。「私、実は引退したんだけどその試合を見に行った」って言っていて。で、ジャッキーさんと仲がよかったんですけど、「試合前にジャッキーの控室におでんの差し入れに行った」って言ってるんですよ。そんな、ガチでいまから潰し合う時に。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)で、おでんの差し入れに行って「おでんっていうのは、ちゃんとこの器を洗って返すもんだよ」とかさんざん言って。で、試合がそうなったじゃないですか。「どうしたんですか?」って言ったら、「器を回収に行った」って言ってるんですよ(笑)。

(宇多丸)(笑)

(コンバットREC)キャラがね、みんなそれぞれ立っているんですよ。面白いですよ。

(吉田豪)そう(笑)。誰もがどうかと思うエピソードを話すという。

(宇多丸)へー! でも、すごいんですね。ちょっと狂った世界というか。

(吉田豪)完全に狂ってますよ。

(コンバットREC)でもそれを普通に放送していたんですよね。日曜日のお昼とかにね。

(宇多丸)だって普通にメジャーなね。

(コンバットREC)『マクロス』が終わった後にチャンネルを変えると全女の中継をやっていましたからね。当時。

(吉田豪)他にもだからそういう異常な試合の検証をいっぱいやっているんですよ。北斗晶さんが実は首の骨を折られて死にかけた試合っていうのもあるんですけど、その試合とかもだから、普通にやっぱり放送されていますからね。で、コーナーの2段目ぐらいからパイルドライバーで首の骨を折って。

(コンバットREC)ゴンゴンのツームストン・パイルドライバーね。雪崩式の。

(吉田豪)それが、なにがすごいっていうとそれ、3本勝負の1本目なんですよ。1本目で首の骨が折れましたと。

(コンバットREC)折れているんですよ。

(吉田豪)でも、その後も試合は続くんですよ。

(宇多丸)ええっ!? だって、立ってられないんじゃないですか?

(吉田豪)もうヤバい痛がり方、転がり方をしているのに。

(コンバットREC)誰が見てもわかるのに、止めないんですよ。

(吉田豪)2本目、3本目があるんですよ。

(コンバットREC)それを普通に放送するんですよ。

(吉田豪)で、2本目、3本目で首を攻められるんですよ。あり得ないんですよ。で、そういう話をいろいろ選手とかレフェリーとかに確認するんです。そしたら、その試合のレフェリーにもインタビューをしたんですけど、「その時に首があきらかにヤバいっていうのはみんな、わかった」と。でも、北斗が言うらしいんですよ。「首を引っ張って! 引っ張れば大丈夫だから!」って。絶対にいじっちゃいけないんですよ。首なんて。でも、「ダメだ!」「いいから首、引っ張って。引っ張れば治るから」って言われて、しょうがないから引っ張って、「治った!」って言い切って試合を始めるんですよ。

(宇多丸)本当に下手すると半身不随ですよね。

(吉田豪)完全にアウト。

(コンバットREC)だから、たまたま運がよかったんですね。北斗さんはね。

北斗晶骨折試合


(宇多丸)そんな世界だったんだ。まあ、女子プロは危ないっていうのは聞いたことがあるけど、もともと精神性としてそういう。技だけじゃなくて。へー! 知らなかったわ。

(吉田豪)だからいまの女子プロレスとは全く別物のプロレスがその時代には存在していて。

(コンバットREC)まあ全女というところにはあって。でもその全女と対抗戦を90年代にやることになって。他の団体もそれを垣間見ていくことになるんですよね。

(吉田豪)全女っていうのは選手同士を焚き付けて。わざと「あいつがこんな悪口を言っていたぞ」とか嘘を吹き込んで、本気で仲悪くさせて。それをバチバチの戦いにさせて。

(宇多丸)ガチ戦いをよりガチの戦いにするために(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。そういうことをしょっちゅうやっていたんですよ。で、それを対抗戦の時に他団体にも応用したんですよ。他団体に明らかに仕掛けてひどい試合をするとかを平気でやっていたんですよ。

(宇多丸)でもやっぱり、そうすると総スカンじゃないけど……。

(吉田豪)大変ですよ。だからモメるに決まっているじゃないですか(笑)。

(コンバットREC)秒殺試合とかやってましたからね。

(吉田豪)そう(笑)。

(宇多丸)「どうなってんだよ?」ってさ。「プロレスだろ、おい!」って。

(吉田豪)対抗戦で4対4かな? を、やった時に全員2、3分で負けて次々と控室に戻ってくるのを見て社長が激怒みたいな。「どうなってんの、これ?」みたいな。「こんな話じゃないのに……」みたいな。

(宇多丸)へー。でも、当時はそういうのはそんなに表に浮上していない話だったんですか?

(コンバットREC)でも、見ていて異常なことが起きているのは我々にもわかって。やっぱりみんながわかるようになった契機がブル中野の4メートルギロチンですね。やっぱりね。

ブル中野 金網4メートルギロチン


(吉田豪)も、そうだし。北斗VS神取戦もそうだし。明らかに知っているプロレスとフォルムが違うっていう。

(コンバットREC)まあ、ただ僕は北斗さんに関してはあんまり選手としては、そんなに……なんですよね。あの、口のプロレスの天才っていう感じがして。試合自体は危ない技をいっぱいやるけど、そんなにすごいレスラーかな?って。身体能力はすごい高いよね。

(吉田豪)そう。身体能力がすごい高いのは聞いていて。

(コンバットREC)ただ、体の表現力はあまりない人だなっていう印象はありましたけどね。

(吉田豪)異常な身体能力だったことはみんな言っていたんで。で、神取さんと一緒にこの前一緒にベントをやってそのお話を振ったら、「へー。全然感じなかった!」って。(しゃべり方が)気持ちいい(笑)。

(コンバットREC)北斗さんはね、言うほど体の表現力がある人じゃないなと思いましたけどね。ただ、マイクはすごかったね。

(吉田豪)プロレスの天才だね。

(コンバットREC)マイクがすごい人っていう感じ。マイクが。あとは、危ない角度で落としているだけで。

(吉田豪)いま、ニコ生で言っていい話がここまで出かかっているんですけど、どうしよう?

(コンバットREC)なんすか? 言ってくださいよ。

(吉田豪)イベントで聞いた話。

(コンバットREC)だってこれ、別に1回きりでしょう?

(吉田豪)絶対なんかに貼られたりするよー!

(宇多丸)タイムシフトがあります。

(吉田豪)大好きな話。

(コンバットREC)ここだけロフトプラスワンルールで。

(吉田豪)まあ、じゃあ1個言っちゃいます。あんまり拡散しないでくださいね。フワッと、あんまり説明しないで言います。北朝鮮で新日本プロレスがプロレス興行をやった時に、全女も協力したんですよ。そこでいろんなカップルが生まれたという話があって。

(コンバットREC)そっちの話かよ!

(吉田豪)で、北斗さんと(佐々木)健介さんがそこで結ばれたみたいな話があって。で、いろんな話があった時にある関係者とか選手から聞いたエピソードで。そのホテルにいた時にいやらしい声が聞こえてくると。それをまずキャッチしたのがホーク・ウォリアーで。「大変だ!」って選手みんな呼びに行ったらしいんですよ。「大変だ! ○○○が!」って(笑)。それで、トーテムポールみたいな感じでみんな、壁に5人ぐらい頭を並べて盗聴していたらしいんですよ。いい話だなーって(笑)。すいませんでした、はい。

(コンバットREC)(笑)

(吉田豪)以上です、はい。

(コンバットREC)まあでも、面白い本なんでね。すごい面白い本なんで。柳澤さんの本と一緒に読んだ方がいいですよね。『1993年の女子プロレス』と。その1冊は絶対に読んだ方がいい。

(宇多丸)そうなんだ。全然、ちょっと後回しになっていて。

(コンバットREC)柳澤さんの本との違いは、柳澤さんの本も同じインタビュー集なんですけど。柳澤さんの方は……。

(宇多丸)まあ、「表」というか。

(コンバットREC)いや、表でもないです。全然表でもないです。軸足がレスラーにあるんです。レスラーがその時、その無茶苦茶な状況でどう生きたかを聞いているんですよ。で、豪ちゃんの本は最終的に全部「松永」に落ちるっていうか。

(吉田豪)松永ファミリーというのがその狂った団体をやっていて。

最狂・松永ファミリー

(コンバットREC)経営者の……豪ちゃんの話はレスラーが最終的に話す話が全部経営者に落ちていく話で。柳澤さんの本はレスラー本人の矜持とかに落ちていく本で。同じ人に同じ話を聞いているのに、落ち方が違うんで。両方読むと、結構立体的になるんじゃないかなと思いますね。

(宇多丸)いやー、全然知らなかったです。なるほどね。

(コンバットREC)ぜひぜひ読んでほしいですね。

(宇多丸)なるほどね。『1993年の女子プロレス』と『吉田豪の”最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集』というね。

(コンバットREC)これ、面白いんで。ぜひ読んでほしいですね。

(吉田豪)その発売記念でイベントを何回かやっているんですけど、イベントで出る話も全部面白いんですよ。まだまだ知らない話がどんどん出てきて。

(コンバットREC)ああ、そういえばこの前、ロフトプラスワンでイベントやっていたじゃないですか。影かほるさんが来たやつ。

(吉田豪)影さんのエピソード、最高だったよ!

(コンバットREC)あれ、なに? 教えてよ。

(吉田豪)1個だけ。言っていいのかな?

(コンバットREC)なんか最後、すごい面白かったんでしょ? 影さんがいろいろと言って。

(吉田豪)全女末期の話を1個すると、全女っていうのが1回倒産とかをして、選手がドーッといなくなった頃にZAP-IとZAP-Tっていう覆面レスラーが出てきたんですよ。それは伊藤薫と渡辺智子っていう中堅どころの選手で。

(コンバットREC)まあ、どっちも中野のぶるちゃんで働いてるんですけど。

(吉田豪)それに無理やりマスクをかぶせて試合をさせた感じだったんですけど。それが、最初に試合に乱入したんですけど、誰にも言っていなかったらしいんですよ。リング上で戦っている選手にも、誰にも言ってなくて。知っているのは関係者2人だけ。そういう段階で。で、突然乱入しても、誰も気づかないじゃないですか。まず、乱入しようとした瞬間に2階席から花火を投げて。みんなの視線をこっちに向けた瞬間に、何の事情も知らないまま覆面の選手が2人上がって試合を破壊する。

(宇多丸)本当にただの暴漢だと。

(吉田豪)そう。選手も激怒するじゃないですか。それどころか、松永ファミリーも激怒したらしいんですよ(笑)。

(コンバットREC)なんでやらせているやつが知らないんだよ!(笑)。

(吉田豪)で、そのZAPっていう覆面選手を……当時、松永ファミリーはもうおじいちゃんですよ。松永社長とか。そうなった後で、その覆面選手を羽交い締めにして「テメー、なんてことしやがるんだ!」って言って絞めて。「ち、違うんです! 違うんです! 私は言われてやっただけで……」っていう(笑)。

(コンバットREC)乱入は成功しなかったの?

(吉田豪)いや、乱入は成功したんだけど、終わった後で「テメー、何者だ、この野郎!」って。

(宇多丸)試合にならないじゃないですか。

(コンバットREC)松永ファミリーっていうのはおじいちゃんだけど、もともど柔拳っていうボクシングと柔道が戦うガチンコの試合をやっていた人たちなんです。

(吉田豪)だから、「とにかくなんかあったらガチでやりゃあいい」っていう発想なんですよ。

(コンバットREC)松永ファミリーはすごい強いんですよ。

(宇多丸)「松永ファミリー」って名前がもうヤバいよ(笑)。

(吉田豪)興行でヤクザとモメたら、ヤクザとやっちゃえばいいみたいな発想の人たちなんで。

(コンバットREC)そう。ヤクザと戦っちゃう人たちなんですよ。

(宇多丸)ああ、そうか。なんか話を聞いているとそういう筋の人かと思うけど、そうじゃなくて。

(コンバットREC)筋の人とも格闘技で戦っちゃう狂ったファミリーの人たちなんですよね。4兄弟なんですけど、狂った兄弟なんですよ。で、豪ちゃんの本はその4兄弟がなんだったのか? みたいなところに割と落ちていく本なんですよ。まあ、4兄弟というか会長(松永高司)に落ちるよね。

(吉田豪)そうだね。

(宇多丸)でも本当に誰も知らない乱入で来たらね、「警察呼んで!」ってことじゃないですか。

(吉田豪)そうそう。「暴漢が突然入ってきた!」っていう。

(コンバットREC)面白かったのが、その豪ちゃんの本を読んだ人の感想っていうのが豪ちゃんのリツイートかなんかでTwitter見ていたら入ってきたんですけど、「現代の松永ファミリーって秋元康じゃないの?」っていう。

(吉田豪)あれはいい。

(コンバットREC)あれはいい返しだったね。要は、女の子同士を閉塞感のある状況で特殊なルールで争わせているっていうこの鬼畜っぷりってこれこそ秋元康さんがいまやっていることなんじゃないですか? みたいな感じだったね。

(吉田豪)みんな、どうせヤラセだろ思っている中でガチが混ざっている感じっていう(笑)。

(宇多丸)たしかに、たしかに。っていうかまあ、ガチだからね。

(コンバットREC)女同士のガチを見て楽しんでいる卑劣なやつみたいなね。

(宇多丸)いや、見てるじゃねえか。だって。俺ら、見てるじゃねえか(笑)。

(吉田豪)ガチ最高派じゃないの(笑)。

(コンバットREC)いやいやいや、やめてよー。

<書き起こしおわり>

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