松尾潔 Tamar Braxton『My Man』を語る

松尾潔 Tamar Braxton『My Man』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でテイマー・ブラクストンの『My Man』を紹介していました。

(松尾潔)まず最初にお届けしますのはテイマー・ブラクストンです。ブラクストン姉妹、ブラクストンファミリーの中でもまあいちばんじゃじゃ馬っぽいキャラクターで知られていますね。テイマー・ブラクストン。旦那さんはヴィンセント・ハーバートというご存知の方も多いでしょう。レディ・ガガをスターにしたその仕掛け人としても知られる敏腕プロデューサーですが。そのテイマー・ブラクストン。いまバックで流れております『Never』という曲。これ、私大好きでございまして。まあ、それはそれはメロウな曲、メロウな歌いっぷりだったんですが。

Tamar Braxton『Never』

その時のクリエイターでTCという人がいます。TC・クリスチャン、ティヨン・マック、ティヨン・クリスチャン。いくつかの名前を使い分けておりますが、「TC」という名前で本人もシンガーとして作品をリリースしている男性がいるのですが、何度となくテイマーとはコンビを組んでおりますが、そのTCと組んでまたね、本当にこれ、メロ夜好みの寝取られソングっていうのを作ってくれたんですね。知り合いの女性に夫を取られてしまったという、そういう内容の歌なんですね。で、これはモデルになった夫婦がいまして、なんとテイマー・ブラクストン、トニー・ブラクストン、トレイシー・ブラクストン。こういった姉妹たちの実の両親の話なんですって(笑)。

笑いながら言うことじゃないのかもしれないけれども。で、ジャケット写真にはその両親のかつて愛し合っていた頃の写真がハート型にフレーミングされたものが、ハートが真ん中でビリビリに引き裂かれているっていうジャケットです。

『My Man』ジャケット

非常に下世話なんですが、まあそういった身近なところの悲劇をこういうエンターテイメントに昇華されるっていうのがまあ彼女たちの仕事かもしれませんけども。それにしてもね、リアルな曲です。聞いていただきましょう。先月末にリリースされたばかりの新曲、テイマー・ブラクストンで『My Man』。

Tamar Braxton『My Man』

お届けしたのはテイマー・ブラクストンで『My Man』でございました。これ、『My Man』って言っていますけども、歌の中では「Not my man」っていう風に言っていますね。歌詞の中でも「Not my man」っていうフレーズが出てまいります。これ、本当に歌詞は痛いですよ。「彼女は私のテーブルで一緒にディナーもした仲(She ate dinner at my table)」って。それどころか「私の子供たちの面倒を見てくれたり(even watched my kids)」だとか。それぐらいの仲だったのに、「私の夫を盗んじゃった(And she took my man)」と。もう本当に「友達のツラして、やることはやっていたのよ!(Bitch actin’ like she was my friend)」っていう。

そういう、どこかで聞いたことがあるような……けどこれをね、ブラクストン家っていう華もあれば実力もあるというそういったところの娘の1人が歌うわけでね。実際にこれ、アメリカの……ブラクストン家はもう数年に渡ってリアリティー番組をやっていますけども。その中で公開されたんで、結構なインパクトがあったみたいですね。「両親の離婚にインスピレーションを受けた」ってフレーズとしてサラッと言っていいものか? というぐらいのシュールな感じなんで。さっきもお話したように、そういった悲劇をエンターテイメントに昇華させるっていうのがこういう大衆音楽の役割かもしれないので。逆に僕はピュアなR&Bだなという風に思って聞きました。なにしろ、曲がいいです。

このTCというクリエイターとテイマーの相性は本当によくてね。いまバックで流れている『She Can Have You』。これもね、僕、クリスマスシーズンに何度かかけましたね。彼女のホリデーアルバムの中に収められていた曲ですけども。


https://miyearnzzlabo.com/archives/32020

あとはそうですね、『She Can Have You』のアンサーソングとも言えるのかな? 『If I Don’t Have You』という曲とか。

一連のテイマーの泣き節の中に位置する1曲であり、まあその究極の1曲とも言える『My Man』。お届けいたしました。

<書き起こしおわり>

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