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渡辺志保 Remy Ma VS Nicki Minaj ビーフを解説する

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渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でレミー・マーとニッキー・ミナージュのビーフについて解説していました。


(渡辺志保)オープニングチューンをここでかけさせていただくんですけども。先週もヤナタケさんが解説してくださったんですが、いまもうね、ヒップホップシーンはこの話題で持ち切り!っていう感じがしますけども。引き続き、私も今週レミー・マーティンとニッキー・ミナージュのビーフについてしゃべらせてください! みたいな感じでおりますが。2月末にですね、かの女性ラッパー、レミー・マーティンがニッキー・ミナージュにディス・トラックを発表したと。で、そのタイトルが『Shether』っていうんだけど。これはヤナタケさんも言っていましたけど、元ネタがありまして。かつてナズがジェイ・Zに向けたディス・トラックがあって。それは『Ether』っていうんですけど。

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Nas『Ether』


その『Ether』の上に”Sh”をつけて『Shether』っていう。「彼女をディスっている」っていうことで『Shether』なんですね。で、もともとこの『Ether』っていうのは化学薬品の名前で、日本では「エーテル」って呼ばれるんですけども、有機化合物のひとつ。揮発性が高くて、地上にあるべきではない物質が天に帰ろうとしているとまで言われるほど揮発性が高い。で、ナズは当時、このエーテルが燃える匂いっていうのは悪魔が嫌う匂いっていう風に言われていたそうなんですよ。で、エーテルはもともと麻酔薬としても使われていたということがあったみたいで。だから「このエーテルを燃やして悪魔を追い払え! ジェイ・Z、あっち行け!」っていう意味でこのタイトルをつけたそうなんですね。

で、もともとナズが『Ether』を発表した前のストーリーもありまして。それは当時、2000年ですかね? ジェイ・Zが『The Blueprint』っていうアルバムを出したんですけども。その中に超名曲『Takeover』という曲が入っていまして。これはね、若き日のカニエ・ウェストがプロデュースしたトラックなんですけども、その『Takeover』でモブ・ディープとナズのことを攻撃したんですね。

Jay-Z『Takeover』


で、そのディス・トラックを受けてナズが自分のアルバム『Stillmatic』に入っている1曲でジェイ・Zを攻撃し返したと。なんで、ジェイ・Zの『Takeover』が出て、その後にナズの『Ether』が出て。で、2人のビーフがどんどんどんどん激化していくんですけど。まあ、2010年代に入ってから、2人はスクワッシュ(仲直り)しましたので、いまとなっちゃ「こんなこともあったね」っていう感じなんだけど。なので、この『Ether』のトラックっていうのは結構アイコニック(象徴的)なディス・トラックなんだよね。いまでもこのビート、MCバトルで使ったりすることもあるんですかね?

(DJ YANATAKE)ああ、あると思いますよ。

(渡辺志保)なるほど。ジェイ・Zの『Takeover』とかね、結構バトルで聞くような気もするんですけどお。まあ、そんなトラックを使ってレミー・マーティンがニッキーをディスったと。で、私も、先週みやーんさんも書き起こしのところで紹介して下っていましたけど。『HotNewHipHop』だったか『XXL』だったかでその『Shether』の中のレミー・マーティンのすげーヤバいライン10選みたいなのが出ていて。それを私もTwitterでパパパッと訳させてもらったんですけども。

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あのね、レミー・マーティンね、でも若いリスナーの方は知っているのかな?って言う。ニッキー・ミナージュは知っていると思うけど、レミー・マーティンって若い子は知っているのかな?って私、そもそも思ったんだけど。もともとさ、2001年に彼女がブレイクしたきっかけがありまして。それがM.O.P.の『Ante Up』っていう曲があったんだけど、そのリミックス・バージョンでレミー・マーティンがフィーチャーされて。それももともと、たしかファンクマスター・フレックスが主催するラップバトルにレディー・ラックVSレミー・マーティンっていう試合があって。それに勝ったレミー・マーティンがM.O.P.のシングルにフィーチャーされたというストーリーがあったような気がするんですけど。まあ、その『Ante Up』のリミックスにバスタ・ライムズとテフロンっていうラッパーと一緒にフィーチャーされて。それでブレイクしたわけよ。

M.O.P.『Ante Up Remix ft. Busta Rhymes, Teflon, Remy Martin』


なんでもう15、6年前の話になるんですよね。で、その後にレミー・マーティンはテラー・スクワッドっていうファット・ジョーのクルーに入って、そこでまた一旗揚げて、その後に自分のソロ・プロジェクトのアルバムを出すんだけど……で、それでキャリアも順風満帆ですねっていう時にジェイル(刑務所)に入ってしまって、そこで6年間を過ごすんですね。で、ちょうどその間にニッキー・ミナージュがブレイクして。で、ヤング・マネーとサインして、あんな感じでピンクのウィッグをつけてアルバムを出して。で、いまみたいなスターダムにのし上がったっていうストーリーがある。で、2014年にレミー・マーティンがムショから帰ってきたら、もうすっかりニッキー・ミナージュはポップスターみたいになっていてガンガン金を稼いでいるっていう状況だったんですね。

で、私、レミー・マーティンって結構ニッキー・ミナージュの年上かと思っていたら、これはウィキペディア情報なんですけども、レミー・マーティンとニッキー・ミナージュって歳が2才しか変わらないっていう。結構だから同世代フィメールラッパーではあるんですよ。で、今回の件は本当にもうニッキーがデビューしたぐらいからずーっとずーっと、ちょいちょいレミー・マーティンにサブリミナル・ディスみたいなのを仕掛けていて。で、レミー・マー的には「ニッキーの当時のあのラインは絶対に私に向けたものだと思うんだよね」みたいなことがあって。それがフツフツと積もりに積もって今回の爆発に繋がったという感じがするわけなんですね。

で、私もこの『Shether』の中ですっごい好きなラインがたくさんあって。いちばんグサッときたのが、Twitterにも書いたんだけど、「ニッキー・ミナージュはヤング・マネー、キャッシュ・マネー、パブリックレコーズとサインをしていて、あんたは360°ディール。なので、たとえば彼女のプロモーションビデオとかその他のプロモーション費用、あと、コラボの商品とか自分のツアーで売っているグッズなんかも、その自分がディールしている会社の男たちが儲けを取って、あんたに残るのはほんの35セントぐらい。ちょびっとしか残らないんだよ。それをあんた、ちゃんとわかってんの? 自分はボスじゃない、上司じゃない。誰かを仕切る立場にある人間でもないし。そんな感じなんだから、金の話は止めなさい! 私は自分の原盤権を持っているインディペンデント・アーティストなんだから、私の方が1枚CDを売った時の取り分は多い」っていうような話をしていて。まあ、それはたしかにっていう感じなんですね。

で、結構こういうディス・トラックって本当に巷にあふれているし、まあいまラップバトルも流行っていますけど。結構ディスが上手い条件としては、ディスはディスでも「お前の母ちゃんデベソ」みたいなディスはあんまり程度が高くないというか。そんなの誰が相手でもいいじゃんみたいな。「俺はこんなにすごくて、こんなところがイケてて、こんなに稼いでいる。で、お前の母ちゃんデベソ。お前はチビでハゲでデブだ」みたいなことを言っても、別にクリティカルじゃないっていうか、痛くも痒くもないみたいなディスなんですよね。

で、どういうディスが痛いか?っていうと、やっぱりその人にしか当てはまらないことをいかに上手くリリックに落とし込んで歌うか。で、それをいかにどう返すかっていうのが結構ビーフの醍醐味だったりするんですけど。この『Shether』がね、盛り上がっているのはまさにそういうところもあって。いまの360°ディールのこともそうだけど、結構ね、私が「あっ!」と思ったのは、ニッキー・ミナージュはミーク・ミルと付き合っていましたけど、ミーク・ミルと別れた途端にドレイクとリル・ウェインと一緒に撮った写真なんかをInstagramに上げていて。で、もちろんミーク・ミルはね、ドレイクとビーフがあったりしましたけど。

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「あんた、ミーク・ミルと別れた途端にそうやって昔のクルーに元通りになっちゃって。なんなら、枕営業までしちゃって。おつかれさん!」みたいなことを言っていたりとか。さらに、ニッキー・ミナージュはずーっとデビュー当時からサファリーっていう男の子とずーっと付き合っていて。なんなら、そのサファリーがニッキーのリリックを全部書いていたんじゃないか? ゴーストライティングしていたんじゃないか?っていう噂が前からあったんですけど。サファリーっていう名前と、あとインターネットを見る時のブラウザのサファリ(Safari)をかけて、「あんたはサファリーがいないとオンラインになれないビッチ」みたいな。それは「ブラウザがないとネットにつながらない」。で、「ライン」っていうのはラップのリリックのラインともかけていて、「サファリーがいないとラップを1行も書けないんでしょ?」っていうことを言っていたりなんかして。結構もね、ニキちゃん、こういうことを言われるとグサグサくるんじゃないかな?っていうのを思っています。

で、そんなレミー・マーティンね、このディス・トラックを出した後に、ウェンディー・ウィリアムスっていう人気黒人司会者の女性がいるんですけど。彼女のトークショーに出て。それも、昔の『笑っていいとも!』みたいなお客さんが観覧席にバーッといて。それがほぼほぼ妙齢の、アラフォーぐらいの黒人のおばちゃんたちがみんなお客さんなんだけど。もうね、レミー・マーティンがニッキーのことをしゃべるたびにめちゃめちゃ拍手して。「ゴーゴー! 行け行け!」みたいな感じで今回のビーフのことを語っているんで。それはビデオも上がっているし、それを英語なんですけども書いた記事なんかもいっぱい上がっているからね、ぜひぜひ見てほしいんだけど。

※動画4:45あたりからスタートします

まあ、レミー・マーティン曰く、「これは本当にみんなが知らなくていいビハインド・ザ・シーン(業界の中の話)があって。それがきっかけのひとつでもあるんだけど……みんな、ニッキーってこれまでにマライア・キャリーとかテイラー・スウィフトとか、マイリー・サイラスとかリル・キムのことも揶揄してきたのに、みんなニッキーに何も言い返さないのが不思議だったから、私が言い返してやったんだ」と。で、しかも7分間もあるすっごい長い曲なんですね。『Shether』は。なんで、めちゃめちゃ言いたいことが溜まっていたっていうことなんですけども。で、「たとえばこれまで同じアウォードに出ても、私には賞がもらえずに、全部ニッキーのところにアウォードが行くようになっていたし、私はレッドカーペットを歩かせてもらえずにニッキーだけが歩くように仕向けられていた。何もかも、ニッキーを良く見せるためにフィメールラップのシーンが仕組まれている」みたいな感じのことも言っていて。なので、曲では「あんたの頭をかっ切って本当の(血の)レッドカーペットを歩かせてやるよ!」みたいなことを言っていたりとか。

(DJ YANATAKE)怖っ!

(渡辺志保)でね、ただそのムショに6年間入っていたからかわからないですけど、ちょいちょいね、ちょっと時代遅れというか一昔前のネタなんかもレミー・マーティンのリリックには見られるんですよね。で、自分の『Ante Up』のことをひっぱり出したりとか。あと、第二弾のディス・トラック『Another One』っていうのを出しましたけども。その中のラインで「When it’s dark and hell is hot, I’ll DM your ex」っていうラインがあるんですけど。これって、「I’ll DM your ex(あんたの元カレにDMを送るからね)」っていう。で、その前にあるライン「When it’s dark and hell is hot」って、「DM your ex」をまとめると「DMX」なんですけど。そのDMXのアルバムの名前をそこにくっつけているんですよね。で、「DM your ex」と「DMX」をかけているんだけど、それもこのアルバムを調べてみたら、1998年のアルバムで。何年前だよ?っていう感じがするんですけど。

Remy Ma『Another One』


でもね、レミーは本当にね、ちょいちょい挟むワードプレイとか韻の踏み方とかが本当に巧妙に仕掛けられていて。マジで怒らせると怖いな、この人……っていうのを私、実感しましたし。で、ニッキー・ミナージュはいまどういう風に反論しているか?っていうと、特になにもしていない。ただ、自分のSNSにビヨンセが「ニッキーは素晴らしい女の子で、ニッキーはラップクイーンですよ」って言っている動画を上げていて。でもそれもさ、ビヨンセが言っているだけじゃん、みたいな。で、レミー・マーティンは『Shether』の中で「あんたはジェイ・Zじゃないんだからね。あんたがいくらボスの真似をしても、あんたはジェイ・Zにはなれないんだからね!」って言っているんだけど、それに対してそのビヨンセのセリフで返すっていうのはまた、レミー・マーティンさんもイラッと来たんじゃないかな?っていう風に私は思っています。

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Nicki Minajさん(@nickiminaj)がシェアした投稿 –


で、ちなみにレミー・マーティンつながりでもうひとつ言わせてもらうと、彼女、キーシャ・コールの新しい曲『You』っていう曲があるんですけど。それ、フレンチ・モンタナと一緒にフィーチャーされていて。で、キーシャはレミー・マーティンがムショに入っている間も面会に行くぐらい仲が良かったわけよ。昔から。で、そこでさ、このビデオをぜひ見てほしいんだけど。まあ、浮気した男を椅子にくくりつけて、キーシャ・コールが家の2階の窓からプールにガシャーン!って落とすというすごい恐ろしいビデオなんだけど。そこにブラックジャックみたいに手術道具を抱えたレミー・マーティンが来るんですよ。で、キーシャを裏切った男の歯を抜こうとするシーンがあったりとか。まあ、とにかく浮気男を痛めつけて、最後はトランクの中に浮気相手と入れて、どこかに放置するというストーリーなんだけど。この『Shether』を聞いてからこのキーシャ・コールの『You』のビデオを見ると、レミー・マーティンのことがもっと好きになるみたいなツイートとかも見られますので、ぜひぜひあわせてチェックしていただきたいと思います。

Keyshia Cole『You ft. Remy Ma, French Montana』


じゃあここでもう1回『Shether』をかけてもらってもいいですかね? 先週に引き続き、みなさんに聞いてほしいと思います。聞いてください。レミー・マーティンで『Shether』。

Remy Ma『Shether』


はい。いまお届けしましたのはレミー・マーティンで『Shether』でした。まあ、いまニッキー・ミナージュはパリのファッションウィークでね、いろいろ忙しそうでございます。おっぱい片方出して忙しかったりするので……。


まあ、アメリカに戻ってきてから、なにか仕掛けるのか? とかいろいろ憶測が飛んでいますが。まあ、ちょっとね、本当ね、こいつだけは怒らせたくないなっていう相手がまさにレミー・マーティンという感じもするし。ちょっと、1個だけ付け加えさせてもらうと、さっき話したキーシャ・コールの『You』のビデオの中でキーシャが自分の誕生日ケーキに包丁を突き立てるシーンがあるんですよ。で、それを男の顔にバーッとケーキを塗るんだけど。そのね、誕生日ケーキに包丁を突き刺すのはトリーナも前にやっていて。結構たぶんね、怒れる女たちのね、常套手段みたいな。


なので、私も本当に頭に来たら自分の誕生日ケーキを用意して、それに包丁をガット刺して。それをこう旦那にね、ビッチャー! 「お前がやったこと、わかってんのかよ!」みたいな感じでやりたいなというのをいまからプランしていますので。はい。みなさんもね、ぜひぜひジョインしたいという方はご連絡ください(笑)。

<書き起こしおわり>
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