渡辺志保 2017年グラミー賞を振り返る

渡辺志保 2017年グラミー賞を振り返る INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2017年の第59回グラミー賞を振り返り。主要部門でアデルに敗れたビヨンセなどについて話していました。

(渡辺志保)っていう感じで、先週ヤナタケさんもblock.fm『INSIDE OUT』の中でちょっとお話されてましたけれども。

DJ YANATAKE 2017年グラミー賞を振り返る
DJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2017年グラミー賞を振り返り。主要4部門のうちの最優秀新人賞を受賞したチャンス・ザ・ラッパーや、惜しくもアデルに敗れ主要部門は逃したビヨンセの話などをしていました。...

ちょうど1週間前。日本時間ですと2月13日の午前中ですけども。グラミー賞の第59回の授賞式が行われまして。私もReal Soundさんにまとめの記事を書かせて頂いているんですけども。まあ、本当にアデル強し! という感じでしたね。一晩で5つのトロフィーをアデルさんは持ち帰っておりまして。うち3つは、ビッグ4と呼ばれる部門があるんですけども。レコード・オブ・ジ・イヤー、ソング・オブ・ジ・イヤー、アルバム・オブ・ジ・イヤー。そして新人賞のニューアーティスト・オブ・ジ・イヤーがありますが、そのうちの3つを全てアデルさんがゲットして帰ったっていう。

主要4部門中3部門でアデルが受賞

で、グラミー賞ね、もともと第59回。今年の授賞式においてはもともとビヨンセが最多ノミネート歌手。で、9部門にノミネートされていて、まあまあまあ、私もこの番組で60分間ビヨンセのアルバムだけしゃべったこともありますから。

渡辺志保 ビヨンセ『Lemonade』徹底解説
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でビヨンセの最新アルバム『Lemonade』について徹底解説。実際にアトランタで見たビヨンセのライブの話なども交えつつ、ビヨンセが伝えようとしているメッセージについて話していました。...

私としては本当に、当然ながらというかビヨンセにかなり肩入れしていた。で、アルバム・オブ・ジ・イヤーはビヨンセがとるんじゃないかな?っていう風に思っていたんですけど、そこはアデルの『25』が受賞したということで。で、結構みなさん、例年以上にグラミーに関しては海外メディアも、あと日本のメディアとか音楽ライターの方もいろんなことをすでにネット上を中心に書いてらっしゃいますけども。まあ、アデルの『25』がアルバム・オブ・ジ・イヤーに選ばれたっていうのは当たり前っていうか。で、『Hello』がベストソングに選ばれたっていうのも当たり前だと思う。

っていうのは、あのアルバムは世界で2000万枚売れているんですよね。で、アメリカだけで920万枚売れているという、どんだけの人がアデルの歌声を丸々1年ぐらいですけども、聞いていたんだろう?っていう感じがしますし。それだけ多くの人の心を震わせた。で、それだけ多くの人に愛された楽曲、アルバムはもちろんね、世界最高峰と言われる音楽賞、グラミー賞のトロフィーをディザーブすべきだと思うけども、それと同時にビヨンセに関してはやっぱり『Lemonade』のアルバム1枚には政治的なメッセージであるとか、もうビヨンセが歌手人生を通して伝えたいこととか。もっと言うと彼女の人生をかけて伝えたいことみたいなものがビジュアルとサウンドにギュッと詰まったアルバムだったので。

なんでしょうね? 売上ももちろん大事。それだけのポピュラーな楽曲として広まったっていうことももちろん大事だけど、なんかそういう楽曲そのもの、音楽そのものに宿されたメッセージみたいなものも、グラミー賞の場で評価対象になればよかったのになというのは少し、私も思います。で、ビヨンセはちなみに2部門だけ受賞しまして。ベスト・ビデオ部門。あんだけの映像を作ったんだから、それは文句ないっすよって感じですよね。あとは、ベスト・アーバンコンテンポラリー・アルバムっていうことで。R&B系のアルバムの最優秀作品として選ばれたんだけど。もちろん、アーバンコンテンポラリー作品として本当に本当に素晴らしいんだけど……でも、もうちょっと違う気がするみたいな。

で、もっと言うと、トランプ政権に変わりまして、トランプの大統領就任式の次の日にはウィメンズマーチといって女性権利の向上、女性の人権の向上のために世界中で大規模なデモ行進が行われたりっていうこともあって。そういうったこともふまえて、なんかもうちょっと、曲に込められたメッセージみたいなもの、表現したかったものみたいなものにトロフィーがフォーカスされたら良かったのになという風には思いました。パフォーマンスに関してはもう本当に本当に全て素晴らしかったと思いますし、そのへんはReal Soundさんでも書かせていただいたので、ぜひぜひチェックしていただければと思います。

ちなみにアデルが最後、アルバム・オブ・ジ・イヤーとレコード・オブ・ジ・イヤーを受賞したんですけど、そこもプレゼンターもさ、ティム・マッグロウとフェイス・ヒルっていう二大カントリー歌手ですよね。で、日本にいるとあんまりアメリカのカントリーミュージックってそんなにメインの音楽としてはフォーカスされていないような気がするんですけども、カントリー音楽ってもともとちょっと保守層の方が聞く音楽っていうか。こうこれぞアメリカ! みたいな感じの。で、言われるところによるとトランプの支持層にはカントリーミュージックファンが多い。逆に言うと、カントリーミュージックファンにはトランプの支持者が多いっていうのも言われてまして。で、その大人気歌手、2人。ティム・マッグロウとフェイス・ヒルが最後に出てきて、2部門同時に続けて発表をする。で、かつアデルがトロフィーを持っているっていう。なんかもう、「白いアメリカ」みたいな。まあ、アデルはイギリス人だけどさ。「マジョリティーって、これか!」っていうのをちょっと私はまざまざと感じてしまったし。

で、最後のいちばんハイライトですよ。レコード・オブ・ジ・イヤーとアルバム・オブ・ジ・イヤー。ちなみに去年は誰がその2部門のプレゼンターになったのか?っていうと、アルバム・オブ・ジ・イヤーはアース・ウィンド・アンド・ファイアーなの。で、レコード・オブ・ジ・イヤーは最後にビヨンセが白いドレスで出てきて発表したんですよ。で、もっと言うと一昨年に関してはアルバム・オブ・ジ・イヤーのプレゼンターはプリンス。そしてレコード・オブ・ジ・イヤーはジェイミー・フォックスとスティービー・ワンダーがプレゼンターとして出てきて。なんだろう? そこまで真っ白にキャンバスを塗らなくてもよくないですか? みたいなのをちょっと感じちゃいましたね。最後の最後で。だから、「マイノリティーってなんなんだろう?」とか思ったし。

で、最後に賞の受賞の前にはグラミー賞の委員会の会長さんが出てきて、「音楽とユニティー、大事だよ! いまこそ音楽で団結だ!」みたいなことを言っていたのに。うーん、なんかこの終わり方ってちょっと寂しいな……という感じがしました。まあでも、チャンス・ザ・ラッパーおめでとう! みたいな感じもしますので、引き続き……まあ、このグラミー賞がきっかけで、今年はチャンスにもすごいスポットライトが当たっていましたから、日本でもより多くの人がチャンス・ザ・ラッパーの音楽を聞いて知ってもらえればなっていうところにも私、期待をかけているところですので。なんかすっごいしゃべっちゃった(笑)。なのでまあ、それが私の第59回グラミー賞の総括というか、ちょっと思ったところでした。

ちなみに、そのビヨンセのあれこれとか、ヒップホップ、ラップもドレイクの『Hotline Bling』が2部門を受賞していましたけども。それで、ドレイクってガチのラッパーじゃないじゃないですか。歌いながら、ナヨナヨ踊りながら歌っているぐらいだから。で、そこに文句を言ったのがあのブーシー・バッドアスなんですよ。で、ブーシー・バッドアスが「今年のグラミーの結果に文句があるなら、解決法はひとつ。俺たちが”ゲットー・グラミー・アウォード”を作ればいい」みたいなことを言っていて。「た、たしかに……」みたいな(笑)。だったらね、フランク・オーシャンも正当に評価されるかもしれませんので、ブーシー・バッドアスが主催するゲットー・グラミー・アウォードにも今後、注目していきたいと思います!

<書き起こしおわり>

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