町山智浩 ドイツ映画『ありがとう、トニ・エルドマン』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で2017年アカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされているドイツ映画『ありがとう、トニ・エルドマン』を紹介していました。


(町山智浩)今日もですね、実はアカデミー賞ものなんですけども。いま、アカデミー賞にノミネートされている作品でドイツ映画なんですが。外国語映画賞部門のノミネート作品で『ありがとう、トニ・エルドマン』という映画なんですよ。

(赤江珠緒)はい。

アカデミー賞外国語映画部門有力候補

(町山智浩)これね、もうすでにヨーロッパ中の映画賞を片っ端からとっている映画なんですね。今回もアカデミー賞では最有力ではないかと言われているドイツ映画なんですけども。これ、トニ・エルドマンという名前は、主人公はお父さんで。60才ぐらいのお父さんで、その人のもうひとつの人格の名前なんですよ。

(赤江珠緒)ほうほう。

(町山智浩)この人はね、いろんな人になる……イタズラが好きで、映画の最初で郵便屋さんが郵便を届けに来るシーンがあるんですね。お父さんの家に。そうすると、「ちょっと待ってくれ。私は双子の弟なんだ」って言って部屋に引っ込んで。カツラとか、出っ歯になるおもちゃの歯みたいなのを口につけて別人になって、「ああ、いま兄貴が出たみたいだけど……」って。双子を1人で演じたり、意味のないイタズラをやりまくるお父さんなんですよ。

(赤江珠緒)はいはい(笑)。

(町山智浩)で、これがまたウザいんですよ。このお父さんのイタズラが。そんなに面白くないんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうなのね(笑)。

(町山智浩)そう。で、ギャグをいっぱいやるんですけど。このお父さんっていうのは娘がいるんですよ。娘さんはもう35を過ぎているイネスという一人娘なんですね。で、このお父さんは非常に生活能力の低いお父さんで、だいぶ前に離婚されちゃっているんですよ。で、ずっと会っていないんですね。で、お父さんは小学校の音楽の先生をやっているんですが、あんまりお金儲けに興味がなくて、ボロボロの家にワンちゃんと一緒に1人で住んでいて。ちょっと世捨て人っぽいんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、娘のところにたまに行っては、くだらないジョークを言うんで。離婚しているお母さんの家にいる娘のところにね。すごくウザがられているんですよ。

(赤江珠緒)ちょっと面倒くさいタイプですな。たしかに(笑)。

(町山智浩)面倒くさいタイプなんですけど、これね、オヤジギャグを連発する人なんですよ。この人。

(赤江珠緒)はー、はあはあ。

(町山智浩)でね、面白いなと思ったのは「オヤジギャグ」っていう言葉は世界中にあるんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうなんだ!

(山里亮太)そうなんだ。日本のものじゃないんだ。

(町山智浩)そう。英語だと「Daddy’s Joke」って言うんですよ。

(赤江珠緒)そのまんま!

(町山智浩)そのまんま、オヤジのギャグ。でね、韓国語でもね、「アジェギャグ」って言うんですよ。「アジェ」っていうのは「おやっさん、おじさん」とかなんですよ。だから、たぶん世界中にあるんです。オヤジギャグって。

(赤江珠緒)(笑)。面白いですね。やっぱりそうなるんですね。人って。

(町山智浩)ねえ。たぶんね、紀元前からあると思いますよ。古代ローマとかエジプトでも、たぶんお父さんはくだらないジョークを言って、ダジャレを言って、娘から無視されているんだと思いますけどね。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)全世界、ずーっと歴史があるんだ。

(町山智浩)だから、くだらないことを言っても、この娘は「ああ、またか……」みたいな感じで何の反応もしないんですよ。だって笑えないし。おかしくないから。ただウザいだけっていう感じになるんですけど。で、そうやって一生懸命娘に構ってもらおうとこのお父さんはするんですが、娘はそれどころじゃないんですよ。このイネスっていう娘さんは実はすごいドイツの石油会社のエリート社員なんですね。

(赤江珠緒)ふーん。うんうん。

(町山智浩)で、こうやってお父さんといる間も携帯でビジネスの話ばっかりしているんですよ。

(赤江珠緒)対照的な親子。

(町山智浩)そう。対照的な親子なんですよ。お父さんはなんかもう、音楽とか笑いとかの方が人生では大事で。お金なんかどうでもいいと思っているから貧乏なんですけど。それで離婚されちゃっているんですけどね。で、娘が相手にしてくれなくて寂しいなと思って1人で暮らしていると、お父さんの大事にしているワンちゃんが死んじゃうんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、もう本当にどうしようと思って、突発的にというか、突然娘が働いているところに行っちゃうんですね。このお父さんが。寂しくてしょうがなくて。で、この娘が働いているのはね、ドイツ人なんですけど、ルーマニアのブカレストという首都なんですね。そこで、地元の……ルーマニアって石油が出るらしいんですけど、そこの油田採掘業をやっているんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、すごいドイツの国際企業の支社があって。そこにお父さんがいきなり行っちゃうんですよ。娘に会いたくて。で、娘はすごく困るんですけど、来ちゃったもんだからしょうがないから、ビジネスのパーティーとかそういうところにお父さんがまとわりつくんですけど、仕方なくまとわりつかせているんですね。

(赤江珠緒)ふんふん。

(町山智浩)ところが、やっぱりそのせいで上手く行かなくなっちゃうんですよ。で、「もうお父さんが来たせいで仕事が上手く行かないじゃないのよ! 出て行ってよ! 邪魔しないで!」ってブチ切れちゃうんですけど。

(赤江珠緒)まあ、そうなりますよね。

(町山智浩)で、お父さんが「わかったよ……」ってショボーンと出て行ったと思うと、この娘が仕事をしていると、あちこちにお父さんがいるんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)だからたとえばビジネスでミーティングしてたり、いわゆるビジネスランチっていうのをとるじゃないですか。お昼とか、近くのカフェとかで。すると、近くにいるんですよ。そのお父さんが。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)変装して。

(赤江珠緒)変装して。めげないお父さんだな!

(町山智浩)めげない。出っ歯の付け歯とかをして、カツラとかかぶって。で、「お父さん! なんでいるのよ!?」とか言うと、「いや、私はあなたのお父さんではありません。トニ・エルドマンというビジネスマンなんです」って言って、去らないんです。ストーカーみたいにしてお父さんが娘を追っかけまわすっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、コメディーです。これ。

(赤江珠緒)そうなんだ。

ウザい父親のコメディー映画

(町山智浩)そうなんです。これがね、すっごいヨーロッパで当たったんですよ。大当たりして。で、もう大ヒットしているんですよ。3時間ぐらいあるんですけど。で、見てみるとね、コメディーということになっているんですけど、ゲラゲラ笑うコメディーじゃないんですよ。まあ、日本でもよくあるタイプなんですけど、非常に気まずい気持ちになる笑いなんですよね。

(赤江珠緒)ああ、親子のそういうちょっと噛み合わなさっていうのはね。

(町山智浩)噛み合わない感じ。気まずい感じなんですよ。で、それがずっと続くんですけど。だんだん娘がどういう生活をしているか? をストーカーしてお父さんが探っていくんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)するとまず、会社の同僚と恋愛関係にあることがわかるんですけど。で、それを追っかけまわすんですが、部屋の中までは見れないんですね。ところがカメラは部屋の中に入ってくるんですよ。それでまあ、2人のいわゆるエッチが始まるんですが、まあ映画史上こんなに殺伐としたエッチはないというぐらい、愛も恋もなにもないエッチなんですよ。それが。

(赤江珠緒)ええっ?(笑)。

(町山智浩)もうね、見るとびっくりしますよ。「うわっ、これ、なんなの?」みたいな。鮭が卵に精子をかけているみたいなものをやっているんで(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)「うわーっ!」っと思いますよ。これ。「味も素っ気もねえな、これ」っていうね。

(山里亮太)繁殖行動。

(町山智浩)そう。それでもうこの娘がね、全然楽しくないんですよね。一生懸命仕事して、キリキリキリキリして。それで彼氏もそんな男だし。で、全然笑顔もなにもないんですよ。で、お父さんは思わず言っちゃうんですよ。「お前、本当にそれでも人間なのか?」って言っちゃうんですよ。「喜びも楽しみもないし、お前は全然笑顔がないじゃないか」って言っちゃうんですよ。でも、そんなこと言っちゃダメだよね。

(赤江珠緒)いや、嫌でしょう。ねえ。フラフラしているお父さんにそんなこと言われたら。

(町山智浩)ねえ。「あんた、そういうことだけやっていたから、貧乏でどうしようもないじゃないの!」っていう感じになっちゃいますよね? で、これね、実はこういう親子の話に見せていて、現在のヨーロッパの現状みたいなものを描いているということで、ヨーロッパですごい話題になっているんですよ。

(赤江珠緒)えっ? この関係が?

現在のヨーロッパの現状を描く

(町山智浩)っていうのはこれね、ルーマニアで働いているんですけど、主人公の娘さんとかドイツの会社の人たちはすごいんですよ。ハイテクで。で、みんな超高級な服を着て、高級車に乗って。それで高級クラブに行って。で、コカイン吸ったりしているんですよ。で、金がものすごくあるんですよ。ところがその周辺にいるルーマニアの人たちはものすごい貧乏なんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)もう、ビルの下の廃墟みたいなところに、靴もない女の子たちが物を拾って食べているようなところが映るんですよ。で、それを上から見下ろすんですよ。そのドイツ人のヒロインが。でも、なんとも思わないんですよ。このヨーロッパの格差はすごい恐ろしいですよ。

(赤江珠緒)はー、そんなに。うん。

(町山智浩)だって現地から石油を採っているんですけど、採掘しているわけで。これはルーマニアの財産じゃないですか。石油って。でも、全部吸い上げちゃうんですよ。ドイツの企業が。で、そういったことに対して何も思わなくなっちゃっているんですよ。麻痺しちゃって。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)これ、僕知らなかったんでちょっとショックで。アフリカって昔、採掘権をイギリスやアメリカの会社が持っていて、石油とかいろんな鉱物を採掘して、全部搾取して地元にお金を落とさなかったんですよ。アフリカって。長い間ね。だからアフリカって貧乏だったんですよ。アフリカってすごくいろんな物が出るじゃないですか。石油だの、ダイヤモンドだの、金だの。それなのに、なんでアフリカの人たちは貧乏なんだ?って言ったら、お金を落とさなかったからですよ。取って行っちゃってたからですよ。みんな。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それでアフリカの各国はみんな怒って、イギリスやアメリカを締め出したんで、アフリカはいま経済がすごくいい感じなんですね。で、そのおかげで逆にテロとかも起こっていますけども。それを、要はアフリカではできなくなったんで東ヨーロッパでやっているんですね。これね。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)これはちょっと恐ろしいなって。搾取の構造なんですよ。でも、この娘さんはただ仕事が大変だから、もう全然そういうことに心が行かないんですけど、このお父さん、トニ・エルドマンは地元の貧しい人たちにスッと溶け込んじゃうんですよ。

(山里亮太)ああ、わかる。気さくだし。

(町山智浩)そうそう。言葉もしゃべれないんだけど。言葉も全く通じないんだけども、地元の貧しい人の家に行っちゃって。それで、食べ物をもらったりとか、そういうところにいきなりフラッと行って子供たちを音楽を教えたりね。そういうことをして、一緒についていったお父さんの方はどんどんどんどん地元の人たちとコミュニケーションを取って中に溶け込んでいく。で、理解していくんですよ。彼らの苦しみとかを。

(赤江珠緒)へー! うんうん。

(町山智浩)っていう、実は裏テーマはそういう話なんですよ。ヨーロッパはひとつで、EUになっていったりして、経済的にグローバリゼーションになっているけども、実は強い国が弱い国を搾取していると。で、同じヨーロッパ人同士で全然心が通じ合っていないっていう。全く地元の人とかとはしゃべらないんで。そのドイツ人たちは。

(赤江珠緒)イネスは。はい。

(町山智浩)だからそういうね、ことを裏で描いているという非常によくできた映画でしたね。

(赤江珠緒)はー! でも、面白そうですね。

(町山智浩)面白いんですけど、すごく居心地が悪いんですよ。寒いギャグがずっと続くんで。「さ、寒い、寒い、寒い……」とか思いながら見ているんですけども。で、あとひとつね、すごくやっぱりこれは自分が父親だからですけど。娘が38になっても、父親からするとちっちゃい頃に自転車の乗り方を教えていた時の娘のままなんですよね。いつまでも。

(赤江珠緒)ああ、そうか。うん。

(町山智浩)だから、子供の頃に喜んだイタズラとかをするんですよ。

(赤江・山里)ああーっ!

(町山智浩)そうそう。親の方は心の中では娘は全然変わっていないんですよ。でも、娘はもうぜんぜん違う人になっているのに、親はわからないんですよね。

(山里亮太)切なくなりそうだね。親の世代が見ていると。

(町山智浩)これね、切ないんです。この間、『Fences』っていう映画を紹介しましたけど。あれは父親がどんどん自分の子供に圧力をかけていく、とんでもない親父の話だったんですね。

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(赤江珠緒)夢を潰していくっていうね。

(町山智浩)夢を潰していく。「俺は若い頃、苦労したんだから!」とか言って。逆に「お前なんかどんなにがんばってもダメなんだから!」って潰していくっていうすごく悪い親だったんですけど、こっちのお父さんは逆に娘が大人になったことが理解できないっていうね(笑)。親はどっちもみんな困ったもんだなというね、感じでしたけど。

(赤江珠緒)へー。なんか町山さんがちょっと身につまされるというのは、こっちのお父さんのことですか?

(町山智浩)こっちのお父さんですね。っていうか、この映画ね、まず娘と一緒に『ラ・ラ・ランド』を見に行った時に予告編をやっていたんですよ。で、予告編でお父さんがウザくて娘が困るっていう展開を見ていて、隣に座っている娘の顔を見たら本当に「ウゲーッ」って顔をしていましたね(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)ウチも! みたいな感じで?(笑)。

(町山智浩)そう(笑)。「うわっ、嫌だ、これ。たまらん……」って。だって、職場に来るんですからね。お父さんが。

(赤江珠緒)そうですよね。それはたしかに。

(町山智浩)超面倒くさいっていうね。超嫌っていう感じなんですけど。ただね、やっぱりお父さんは人生で上手くいかなかったから、逆に貧しい人たちの気持ちがわかるっていう展開で。この間の『Fences』っていう映画は逆で、人生で上手くいかなかったから、上手くいこうとする人を邪魔するっていう父親になっていましたけど。このへんのこじらせ方っていうのは人によって違うんだなって思ったんですよね。

(赤江珠緒)本当ですね。ベースには子供への愛情があるんですけどね。どっちもね。

(町山智浩)どっちもあるんだけど、こじらせちゃっているんですよね。こじらせ方が違うんですけど。あとやっぱり、この搾取している、ルーマニアの人たちが貧しいのに目をつぶって自分の利益を求める感じっていうのはね、結局やっぱり罪悪感があるからどんどんどんどんこの女の子は辛くなってくるんですよ。

(赤江珠緒)ああー、なるほど。

(町山智浩)だから、「笑顔がない、楽しそうにしていない」っていうのは、お金はすごくあるんですけどね。それはやっぱり足元で貧しい人たちがいることを心からシャットアウトしている辛さみたいなことと関係しているんで、これもこの間紹介した『海は燃えている』っていう映画。難民が次々と来ては死んでいくというイタリアの島で、全く難民のことを考えないで楽しく暮らしている人がどんどんおかしくなっていくっていう話でしたよね?

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(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)だからそれともつながってきてね。非常にどれも現代の映画だなと思いますね。

(赤江珠緒)そうですね。無関心じゃないと、かえって自分が壊れそうでっていうことなんですかね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、いま音楽が後ろで聞こえてきたんですけど。これ、前もかけたんですけど、ホイットニー・ヒューストンの『Greatest Love Of All』っていう曲なんですよ。

Whitney Houston『Greatest Love Of All』



(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これ、もともとはモハメド・アリの伝記映画『アリ/ザ・グレーテスト』のテーマソングとして作られた歌なんですね。で、要するに黒人としてすごく差別されたアリが「俺はグレーテストだ。俺は最高だ!」っていうことで戦っていったという話を歌にしているんですけど。これ、ラブソングのように聞こえるんですが、実際は歌詞が違うんですよ。「人生で最高の、最も大切な、なによりも最初のはじまりの愛は自分を愛すること」っていう歌詞なんですよ。

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(赤江珠緒)うーん。

(町山智浩)だから、モハメド・アリの歌だし、その黒人の公民権運動の歌でもあったし。それこそ、女性の権利の歌でもあるし。「全ての人生のはじまりはまず自分を愛することからしか始まらないんだ」っていう歌詞なんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)これがこの『トニ・エルドマン』の中でフルコーラスで歌われるシーンがあるんですよ。だからこれはもう、ストーリーを言ったらわかると思うんですけど、要するに自分を愛せなくなっちゃった人を救う歌なんですよ。

(赤江珠緒)そっかー。そういう意味ではややこしそうなそのお父ちゃんも、娘にとってのヒーローになる……かもしれないね。映画の中でね。

(町山智浩)そうなんですよ。そういうところで、いちばんラストのポスターになっているシーンは本当に涙ボロボロなんですけども。まさかここででも、『Greatest Love Of All』がかかると思わなかったんでびっくりしましたけどね。

(赤江珠緒)はー、そうですか。

(山里亮太)曲の意味を知っておけばね、またさらにグッとくるし。

(町山智浩)そう。もうこの歌は本当にね……でも、これは子供に向って歌っている歌なんですよね。子供たちに向って自分を愛することを教えましょうっていう歌なんですよ。

(山里亮太)ああ、これは好きなタイプの人情ものかもしれない。僕。

(赤江珠緒)ねえ。いいですね。

(町山智浩)そうなんですけどね。これ、もうハリウッドで映画化が決定していますね。

(赤江珠緒)もうリメイクされる?

(町山智浩)リメイクされる。ジャック・ニコルソンがお父さん役で。

(山里亮太)日本版でも作れそうな。

(町山智浩)これ、日本でも山田洋次監督が昔、100回ぐらいやっていたような気がしますけども(笑)。

(赤江珠緒)ねえ(笑)。古今東西。

(町山智浩)松竹映画のような気がしますが(笑)。まあ、どこの国も同じだっていうことですね。

(赤江珠緒)そうですね。うん。この映画『ありがとう、トニ・エルドマン』は6月からシネスイッチ銀座ほか、全国で順次公開予定です。ありがとうございます。

(町山智浩)はい。来週、お邪魔しますんで。

(赤江珠緒)はい。『たまむすび』プラチナウィークで町山さんにはスタジオに来ていただいて、今年のアカデミー賞を予想していただきます。じゃあ町山さん、また来週。

(町山智浩)はい。また来週。

(赤江珠緒)ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>
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