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渡辺志保とDJ YANATAKE 2016年ヒップホップ年間ベスト大賞

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DJ YANATAKEさんと渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2016年のヒップホップ・を総括。ベストソングやアーティスト、ベストアルバムなどを紹介していました。

渡辺志保とDJ YANATAKE 2016年ヒップホップ年間ベスト大賞

(渡辺志保)というわけで、今年は私とヤナタケさんで2016年『INSIDE OUT』アワードをお届けしてまいりたいと思います。さっそくですが、まず最初にベスト・ストーリーテラー・オブ・ジ・イヤーの発表です。はい。無理くり私が作った部門なんですけども……ベスト・ストーリーテラー・オブ・ジ・イヤーですね。今年いちばんすぐれたストーリーテリングをラップで聞かせてくれたアーティストを紹介したいと思うんですけども。これはもう、彼しかいないということで、J・コールをここで推したいと思います。

Best Story Teller of The Year J.Cole

で、J・コールなんですけども今月、12月9日にですね、2年ぶりのアルバム『4 Your Eyez Only』という最新アルバムをリリースしましたけども、このアルバムって前作のアルバムに関しては彼は自分の幼少期の頃の話とか、高校生の時に童貞を捨てた話とか、自分のすごい身の回りの伝記的なバイオグラフィカルなアルバムをリリースして。で、そこでも高い評価を得たんですけども、今回リリースした『4 Your Eyez Only』というのはまず最初の方で曲の中で「俺はクラックを売ってストリートで生きてきたんだ」みたいな描写が始まるんですね。

で、J・コールのファンだったら「あれっ? J・コールはそんなハスラーな生活を送ってきたっけな?」って思うんですけども。どんどんどんどんね、アルバムを聞いていくとこの『4 Your Eyez Only』という曲がいちばん最後に収録されているんですが、これを聞くと「残念ながら、いみがいまこの僕のラップを聞いているということは、僕はこの世にはもう存在しないんだよね。僕はもう殺されちゃって。命を落として君のそばにはいないんだ」っていうことが語られておりまして。それを聞くとタネ明かし的にわかるんだけど、この『4 Your Eyez Only』というアルバムはJ・コールのお友達らしいんですけど、ジェームズっていう人の一生を……ジェームズさんがビデオテープみたいな感じで自分の娘さんに宛てた声のメッセージとして録音している作品というのがこの『4 Your Eyez Only』というアルバムなんですね。

で、ストリートでハッスルして、その後にガールフレンドと出会って結婚して。で、娘が生まれて最後に死んでしまうというストーリーなんですけども。で、そのジェームズという1人の黒人男性の人生にいまのBlack Lives Matterの問題であるとか家族愛の素晴らしさとか、そういうことを織り交ぜながらラップしているアルバムでして。本当にね、めちゃめちゃ完成度が高いし、何度でも聞きたくなってしまうようなアルバムです。で、『She’s Mine Pt. 1』と『She’s Mine Pt. 2』っていう曲が入っているんだけど、これは『Pt.1』の方は自分の奥さんに、そして『Pt.2』の方は生まれてきた娘さんに向けた曲でして。

J・コールも実生活で今年娘が生まれたということがまことしやかに報道されておりまして。まだ本人の口からちゃんと発表されたわけではないんですけども、そういった体験もライムに落とし込まれているんじゃないでしょうか? というようなアルバムでございます。では、そのJ・コールのアルバム『4 Your Eyez Only』からこちらの曲を聞いてください。J・コールで『4 Your Eyez Only』。

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J Cole『4 Your Eyez Only』



はい。というわけで『INSIDE OUT』アワード2016、最初に発表しましたのはベスト・ストーリーテラー・オブ・ジ・イヤーというわけでJ・コール『4 Your Eyez Only』を紹介させていただきました。ちなみにこの曲はア・トライブ・コールド・クエストのアルバムにも参加している日本人のキーボーディスト、BIGYUKIさんがこの曲に参加していたりとか、あと今日紹介させていただきたいブログがあって。奧田翔さんという若者がいるんですけども。私もTwitter上で知り合って、かつちょっと前に初めてHarlemで実際にお会いしたんですけど。彼がこの『4 Your Eyez Only』の収録楽曲全曲をブログで対訳を発表してるんですね。

(DJ YANATAKE)あ、俺も見た、それ。

(渡辺志保)めちゃくちゃ熱い、そしてすごく丁寧な対訳になっておりますので。で、いまもちょっとヤナさんと話していたんだけど、J・コールってすっごいラップが上手くて。もうこのジェネレーションの稀代のリリシストみたいに言われているんだけど、なかなか日本だとその魅力が伝わってないんじゃないか?って思うことも私、ございますので。ぜひぜひこの奧田翔さんのブログを参照していただいてJ・コールがどんなことをラップしているのか? どんなストーリーになっているのか?っていうところをちょっとチェックしてほしいななんて思っていみました。いま翔さんのブログのアドレスをツイートしましたので、ぜひぜひチェックしてみてください。


だいぶ酔っ払っている時に私も会っちゃって……

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)想像がつくと思いますけども。はい(笑)。

(DJ YANATAKE)でもJ・コールのアルバム、めちゃくちゃ売れているもんね。

(渡辺志保)そうなんですよ! で、2016年のビルボードとかで集計しているアルバムの初週売上ベスト3が1位がドレイクの『Views』。2位がビヨンセの『Lemonade』。そして3位がこのJ・コールのアルバムなんですよね。すごいのよ。で、前作もすごい売れているんだけど、なかなか日本でさ、J・コールの話を熱くするのってAKLOくんぐらいしか知らないみたいな……(笑)。あと、この奧田さんぐらいしか知らないみたいな。

(DJ YANATAKE)でも先週、放送には乗せれなかったんだけど、K DUB SHINEに「最近お気に入りのUSヒップホップは何ですか?」って聞いたら「J・コールだね」って。

(渡辺志保)さすが! やっぱりね、固く韻を踏まれるタイプのラッパーの方なんかはJ・コール、注目してらっしゃるのでしょうか。みたいな感じですけども、まあ1組目はJ・コールをお送りしました。というわけで、サクサクッとお送りしております『INSIDE OUT』アワード2016、続きましてはベスト・コラボレーション・オブ・ジ・イヤー! この聞き慣れたイントロが来ましたけども、ベスト・コラボレーション・オブ・ジ・イヤーはですね、DJキャレド『I Got the Keys ft. Jay Z, Future』ということで推したいと思います。

Best Collaboration of The Year DJ Khaled

で、今年はキャレドにとってもすっごい当たり年で。彼ね、また2015年の下半期ぐらいからシーンで再評価され始めていて。で、スナチャ(Snapchat)ですごい「俺の成功への鍵(Key To Success)」みたいな感じで本当にウザいぐらいにSnapchatで「俺はこうやっていろんなオフィスにちょっと顔を出すのも、これがKey To Successなんだ!」みたいな感じで自分の成功の秘訣みたいなものをちょいちょいちょいちょい四六時中アップしていて。で、それが面白がられて『エレンの部屋』っていう全米で人気のトークショーがありますけど。そういうのに招かれたりとか。

あと、ジェイ・ZがDJキャレドのマネージャーになりますということも発表されてロック・ネイションと契約したりなんかもしていて。ただ、キャレドのすごいところはロック・ネイション……ジェイ・Zと言えばTIDALを手中に収めていますけど、ロック・ネイションと契約しつつ、ジェイ・Zとマネジメント契約を交わしつつ、自分はアップルミュージックのCMに出ちゃうみたいな。それもキャレドが愛されるが故なのかな? という感じもしますし。そのコラボ能力の高さっていうのは彼のこれまでのアルバムでも本当にめちゃめちゃ証明されていますけども。

私も今年、ビヨンセのライブをアトランタに見に行って。で、前座のDJがキャレドなんですよ。で、ほぼ全公演を……キャレドが出れない時はDJドラマとかがピンチヒッターで出ていたんですけど、キャレドが、たとえばアトランタだったら2・チェインズ、ヨー・ゴッティ、T.I.、リュダクリスみたいなラッパーを全員呼んで、1人1曲ずつビヨンセのライブの前にパフォーマンスさせるんですよ。それもさ、たぶん大御所だと「はあ? なんで俺がビヨンセの前座に1曲だけ、わざわざアトランタまで行かなきゃいけねえんだよ?」って思うかもしれないんだけど、たぶんそこをね、笑顔で「あ、うんうん。行く行く!」って言わせてしまうのがキャレドのコラボ能力の高さなのかなと思ったり思わなかったり。

で、この『I Got the Keys』に関してもジェイ・Zとフューチャーの曲なんですが、これね、PVがめちゃめちゃかっこよくて。ストーリー的にはジェイ・Zがムショから出所するのをみんなでスーツをビシッと決めてお出迎えするという。ボスのカムバックをみんなで待っていてお祝いするという作りのPVなんですけど。そこのカメオ出演がすごくて。リック・ロス、2チェインズ、プシャ・T、エイサップ・ファーグ、T.I.、スウィズ・ビーツ、バスタ・ライムズ、ファボラス、ヨー・ゴッティ、ブライソン・ティラーなどなどがPVにちょこっと、みんなでジェイ・Zのご帰還を待つ組の手下みたいな役で出ていまして。そういうところにもキャレドさんのコラボ能力の高さを感じてしまいました。

本当ね、これミュージックビデオを見ていただければすぐにわかると思いますし、その次に発表された『Do You Mind』というPVに関しても本当にいろんなアーティストが出てきて。



もうね、スターアーティストのムダ使いみたいな感じがしますが、まあ今年のコラボレーション・オブ・ジ・イヤー、『INSIDE OUT』的にはこちらの曲で推したいと思います。それでは聞いてください。DJキャレドで『I Got the Keys ft. Jay Z, Future』。

DJ Khaled『I Got the Keys ft. Jay Z, Future』



はい。いまお届けしておりますのはベスト・コラボレーション・オブ・ジ・イヤー、DJキャレド feat. ジェイ・Z&フューチャーで『I Got the Keys』。彼のアルバム『Major Key』もすごいことになっていますので、ぜひぜひ聞いてみてください。

では次の部門に参りましょう。続きまして、ベスト・カムバック・オブ・ジ・イヤー。これもこいつらしかいなくないっすか?っていう感じなんですけど、ア・トライブ・コールド・クエストのお三方を選出したいと思います。

Best Come Back of The Year ATCQ

(DJ YANATAKE)俺、「グッチ・メイン」って言うかと思ったよ。

(渡辺志保)でしょ? でもね、私もグッチ・メインかレミー・マーティンですっごい悩んだっていうか……

(DJ YANATAKE)レミー・マーもそうだよね。

(渡辺志保)でもね、グッチ・メインはもう散々言いすぎたし、私、他の媒体とかでも「祝、出所!」みたいな感じで散々書いた感じがあるので。そのね、シーンに対する重みを考えると……私もちょっと冷静な頭で「重み」を考えるとやっぱりア・トライブ・コールド・クエストが……

(DJ YANATAKE)(笑)。なるほど、個人的な視点というよりはもうちょっとジャーナリスト的な視点で。

(渡辺志保)そうですね。私もシーンを俯瞰的に見ることも大切かなと思いまして、18年ぶりにアルバム『We Got It From Here… Thank You 4 Your Service』をリリースしたというわけでATCQ、トライブ。抑えておく? みたいな感じですかね。でも、どうですか? ヤナタケさんとかはトライブももうバリバリね……

(DJ YANATAKE)バリバリ世代で。もうね、発売のアナウンスがあった日にオフィシャルサイトにすぐ行って。アメリカでTシャツとMP3のセットを即購入して……いまだ届きません!

(渡辺志保)いまだ届きません(笑)。

(DJ YANATAKE)「発送が遅れます」っていうメールと「発送しました」っていうメールは来たんですよ。でもね、まだ届いていないの。発売日に買ったんだけどね。

(渡辺志保)あらららら……もしかしたらQ・ティップさんが世界中に発送しなきゃいけないから、ちょっと遅延しているのかもしれないですけども。そうそう。で、今年はたとえばデ・ラ・ソウルも数年ぶりのアルバムをリリースしまして。この間もちょっとケーダブさんと話したんですけど、こういうベテランの人がすっごい久しぶりにアルバムを出すとか、ベテランの方の新作アルバムってなんかいまのビートに無理やり合わせている曲とかもそこかしらにあったりして。別にこれ、この人のラップじゃなくてもいいんじゃね? みたいな曲とかアルバムが少なくない。たまにそういう作品も見受けられるんだけど、このデ・ラ・ソウルとかATCQに関しては10年間の重みとか18年間の重み。人間として成長した証。そしてミュージシャンとしても成長した証みたいなものをしっかり作品に落とし込んでいて、それが本当に素晴らしいなと思ったんですよね。

デ・ラ・ソウルのアルバムもジル・スコットなんかも参加していてすごいよかったし。で、このATCQのアルバムに関しては高橋芳朗さんなんかもね、おっしゃっていますけども。トランプ政権に対する反骨精神であるとか、そういったところまで反映されていて。もうお見事としか言いようがないかなと思いました。

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で、今日、ここ『INSIDE OUT』でお届けしますのは、以前に『We The People』という曲をかけさせていただいたんですけども。

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今日は同じアルバム『We Got It From Here… Thank You 4 Your Service』の中から『Dis Generation』という曲をかけさせてもらいたくて。なんでこの曲にしたか?っていうと、昔を懐かしむような描写もある曲なんですけど、この曲ね、ジョーイ・バッドアス、アール・スウェットシャツ、ケンドリック・ラマー、そしてJ・コールの名前を出していて。で、「彼らがいまのヒップホップシーンの門番だ」っていう風にQ・ティップも言っているんですよね。


で、昔を懐かしむおっさんの曲とかはいっぱいあるんだけど、こうやってちゃんと若手のラッパー、Dis Generation(この世代の)ラッパーに向けてちゃんとこういう風にネームドロップしているベテランってもしかして少ないんじゃないの?っていう風に思いまして。ちょっと『INSIDE OUT』っぽさもありますし、選ばせてもらいました。

というわけで、2016年のベスト・カムバック・オブ・ジ・イヤーはア・トライブ・コールド・クエスト。聞いてください。『Dis Generation』。

A Tribe Called Quest『Dis Generation』



はい。ベスト・カムバック・オブ・ジ・イヤーはア・トライブ・コールド・クエスト。彼らの18年ぶりの最新アルバムとなりました『We Got It From Here… Thank You 4 Your Service』から『Dis Generation』を聞いていただきました。

(中略)

続きまして、ベストDJ・オブ・ジ・イヤーを発表させていただきたいと思います。今年のベストDJ・オブ・ジ・イヤーはDJ LEADさん!

Best DJ of The Year DJ LEAD

(DJ YANATAKE)おめでとう! DJ LEAD!(拍手)。

(渡辺志保)ちなみに前年はDJ TY-KOHさんを選出させていただきまして。2年連続で日本のDJの方を選ばせていただいているんですけども。なんと言っても今年個人的にもすごくリマーカブルだったイベントですが、あのHot97のサマージャム(Summer Jam)が東京にやって来たということで。

(DJ YANATAKE)ねえ。これはもう今年のヒップホップの重大ニュースというかトップニュースっていう感じだよね。

(渡辺志保)ずっとね、ニュージャージーのスタジアムでやってきたニューヨークのHot97のサマージャムという一大イベントでございますが、国外で開催するのは今年の東京が初めてということで。しかもLEADさんと言えば数年前からずっとHot97でも『INTERNATIONAL HOUR』っていう自分の番組を持っていたんですよね。で、かつHeavy Hittersっていう由緒あるDJクルーにも所属していて。やっぱりここまでアグレッシブに活躍している日本人のヒップホップDJってね、なかなか我々、それこそ”Dis Generation”で言うとLEADさんが頭ひとつ飛び抜けているかな?っていう感じが……

(DJ YANATAKE)もう頭ひとつどころじゃないんじゃないですか。ワールドワイドな活躍っていう意味ではね。

(渡辺志保)この間も私、インタビューさせていただいたんですけど。本当に世界中に行っているんですよね。上海でDJしたり、北京でDJしたり、ニューヨークだったりとか、あとはヨーロッパ、タイとかね。だからすごいお話を聞いていてもエキサイティング出し。で、ちょっと裏方の話になりますけど、このサマージャムって結構何年もかかって東京に誘致しようっていう動きもありまして。今年はそれがやっと結実したという。しかも、プシャ・T、ファボラス、フレンチ・モンタナ、ジョーイ・バッドアスなどなどね、引き連れて。本当にラインナップ的にも申し分ない……

(DJ YANATAKE)あとはオマリオンか。

(渡辺志保)オマリオンですね。で、日本からはAk-69さんとAKLO! というね、感じで私もめちゃめちゃめちゃめちゃ楽しませて頂いたので。2017年もぜひぜひ開催してもらいたいと思いますけども。でも、そんなDJ LEADさん、いろいろとご尽力されたということで。もちろんHot97の『Summer Jam Tokyo』でもプレイを聞かせてくださったということでDJ・オブ・ジ・イヤーとして選出させていただきたいと思います。

(DJ LEAD)どうも、DJ LEADです。『INSIDE OUT』アワード2016、DJ・オブ・ジ・イヤーをいただきました。ありがとうございます。来年も日本をはじめ、アメリカ、アジア、ヨーロッパと世界中のフロアをロックしたいと思っています。そして今年よりはるかにパワーアップした『Hot97 Summer Jam Tokyo』を見せれるようにがんばっていきたいと思いますので、来年2017年もよろしくお願いします。DJ LEADでした!

(渡辺志保)はい。というわけでDJ LEADさんからコメントをいただいておりますが。そこでLEADさん、ユニバーサルからMIX CDが出ているということで。それがHot97 Summer Jamをオマージュしたというか、その企画のMIX CDなんですよね。なので、そこから1曲聞いていただきたいと思うんですが、そのSummer Jam Tokyoにも来日したジョーイ・バッドアスの今年のヒット曲ですね。こちらを聞いていただきたいと思います。ジョーイ・バッドアスで『Devastated』。

Joey Bada$$『Devastated』



(渡辺志保)はい。いまお届けしていますのはベストDJ・オブ・ジ・イヤー、DJ LEADさんをレップしてジョーイ・バッドアスの『Devastated』をお届けしています。曲をかける前に駆け足で紹介しちゃったんですけども、LEADさんの最新MIX CDが12月14日にユニバーサルミュージックさんからリリースされます『HOT97 SUMMER JAM TOKYO mixed by DJ LEAD』。私もこれ、聞かせてもらったんだけど、結構ね、攻めた背婉曲っていうか。LEADさんも言っていたのが「日本のキャッチーさというよりはアメリカのキャッチーさを大事にしてミックスしました」っていう風におっしゃっていたので。結構ね、たぶん初CD化みたいな曲もたくさんあると思いますね。ぜひぜひ、『INSIDE OUT』のリスナーの方にもチェックしてほしいなという風に思います。

では、続いてまいりましょう。続いての部門はベスト・ブレイクスルー・アーティスト・オブ・ジ・イヤー。イエーッ! 今日のアワード系で唯一選出した日本人MCになるんですけど。ベスト・ブレイクスルー・オブ・ジ・イヤーはRyugo Ishidaさんにお送りしたいと思います。ということで、いま後ろでかかっていますけども『YRB(Young Rick Boy)』というわけで。Ryugo Ishidaさん、ひいては女性MCのSophieeちゃんと一緒にやっているゆるふわギャングもそうですけど、今年……特に下半期のギアの上げ方っていうのがすごかったなと思いますし。この曲が収録された『Everyday Is Flyday』もストリートで大ヒット。なんか聞くところによると一部でもうプレミアがついているとかなんとかって。

Best Breakthrough of The Year Ryugo Ishida

(DJ YANATAKE)ああ、そうなの?

(渡辺志保)って聞きましたし。で、いまもちょっと言ったゆるふわギャングとしても、クラウドファンディングでアルバムの制作費を集めたらなんと目標額をはるかに上回る額が期間内で集まったとか。で、取材もBlack Fileのインタビューもそうですけど、サイゾーとかね、SPA! かなんかにも載っているんでしたっけ? そういうメディアからの注目のされ方っていうのもすごいし。で、ライブのパフォーマンススキルも申し分ないっていう感じで。ついこの間、クリスマスイブの夜か。『田中面舞踏会』のスピンオフみたいな形でT.R.E.A.M.のみなさんのイベントが代官山ユニットでありましたけど。そこでもRyugoくんとゆるふわギャングのパフォーマンスがありまして。やっぱりすごい引き込まれてしまいましたね。

見るたびにライブが上手くなっているなと思うし、お客さん、オーディエンスを引きつける力みたいなのが……やっぱりそれってね、KOHHくんとかもそうですけど、生まれ持ったカリスマティックなものがないとなかなか難しいところだと思うんですけど。がっちりお客さんもロックしていましたし。来年はそのゆるふわギャングのアルバムもいろいろ出るというわけでいま以上にどんな、我々が見たことないような世界を見せてくれるのか非常に楽しみなところでございます。というわけで、では聞いてください。ベスト・ブレイクスルー・オブ・ジ・イヤー、Ryugo Ishidaの『YRB』です。

Ryugo Ishida『YRB』



(渡辺志保)はい。いまお送りしておりますのはベスト・ブレイクスルー・オブ・ジ・イヤー、Ryugo Ishidaで『YRB(Young Rich Boy)』をお届けしました。ちなみに結構忘れられないRyugo Ishidaくんのライブがあって。原宿のUCっていうすごい小箱なんですけど、そこでやったライブで。まあゆるふわギャング名義でライブをやっていたんですけど。このね、『YRB』を歌って。で、お客さんが結構30すぎたおっさんが多かったんですね。で、そのおっさんたちも「いま貧乏でもYoung Rich Boy♪」っていうのを大合唱していて(笑)。「おめーら、いま貧乏だったら困るだろ!」みたいな(笑)。

(DJ YANATAKE)(爆笑)

(渡辺志保)「もう、”Young Rich Boy”じゃなくて”リッチおじさん”になっていないと困るぐらいだろ、てめーら!」みたいに私、思っていたの。私も合唱していたんだけど。でも、やっぱりそれぐらいさ、一回りぐらい歳が離れたおじさん、おばさんでも虜にしちゃうっていうか歌いたくなっちゃう、彼のライブを見たくなっちゃうっていうのはね、すごいある意味感無量だったし。で、このRyugo Ishidaくんを選びましたけど、今年はやっぱりYENTOWNとかBAD HOPとかKANDYTOWNとか、そういう大所帯クルー、新世代クルーなんかの台頭もすごかったし。個人的にはKOHHくん以降の日本語ラップのシーンみたいな。なんかもう本当にラップすることとかヒップホップそのものが生活の一部になっているという若者がすごく台頭してきたなと。日本のシーンに限って言えば、そういう1年だったかなと思います。

では、続いて発表させていただきましょう。続きましては、ベスト・トレンド・オブ・ジ・イヤー! というわけで、ベスト・トレンド・オブ・ジ・イヤーはドレイク。ドレイクしかいなくないっすか? みたいな。

Best Trend of The Year Drake

(DJ YANATAKE)ねえ!

(渡辺志保)ドレイクをさ、この「○○アワード」のどこに位置づけようか自分でも悩んだんですけど。で、勝手にベスト・トレンド・オブ・ジ・イヤーっていうのを作っちゃったんだけど。やっぱりね、この1年のトレンドを制したのはドレイクさんしかいなかったんじゃないっすか?っていう感じがします。で、これバックでかかっているのはシングルの『One Dance』ですけども。この『One Dance』もビルボードが選ぶ2016年のオフィシャルサマーチューンとして選出されていたりとか。あとは15ヶ国でチャート1位になったんですよ。ヤバくないですか? で、ビルボードチャートにおいても10週連続1位なんですよ。で、実はドレイクって本当にこれまでたくさんヒット曲があったけど。『Started From The Bottom』とか『Hotline Bling』とかあったけど、それをもってしても全米1位のシングルってこれまでなかったんですよ。なんだけど、この『One Dance』で初めて全米1位になったんですよね。

で、かつSpotify史上もっともストリーミングされた楽曲みたいなのにも認定されていて。本当にね、どこを向いてもドレイク。で、アルバム『Views』が発売されましたけど、こちらもアップルミュージックで10億回以上再生された初めてのアルバムっていうことで。本当にどこを切っても、どこを取っても新しい記録を樹立したというのが今年のドレイクさんでございました。あとはでも、ドレイクっていま、半分ヘイターなんかもすごいこの1、2年でめちゃめちゃ増えていて。で、「カルチャー・バルチャー」って。「あいつはトレンドをただ食い物にしているだけのやつだ」みたいなことを言われていて。この『One Dance』もレゲエ・ダンスホールっぽいトロピカルなビートっていうのはもっと前にも、ジャスティン・ビーバーとかメジャー・レイザーとかやっていましたけども。それをちょっと自分でヒョイと取り入れて、一発ヒットにしちゃったりとか。

あとはね、色恋の話題も絶えませんから。最新ゴシップでドレイクのお相手、J・ロー(ジェニファー・ロペス)ですからね。テイラー・スウィフトだったりとか、セレーナ・ウィリアムスだったりいましたけど、いま最新のゴシップのお相手はジェニファー・ロペス! というわけで、熟女好きっていうところは評価に値しますけども(笑)。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)というわけで、ヘイターもめちゃめちゃ多いからね。ドレイク、2017年はどうなってしまうのか?っていう、そういうところも含めて注目したいなと思います。というわけで、2016年のベスト・トレンド・オブ・ジ・イヤーはドレイク。聞いてください。『One Dance feat. Kyla & Wizkid』。

Drake『One Dance feat. Kyla & Wizkid』



(渡辺志保)はい。というわけで『INSIDE OUT』アワード2016をお送りしておりますが、『INSIDE OUT』が選ぶ今年いちばんトレンディーだった男、ベスト・トレンド・オブ・ジ・イヤーというわけでドレイク。そしていまお聞きいただいておりましのはドレイクの大大大ヒットシングル『One Dance feat. Kyla & Wizkid』ですね。いまでも私、クラブに行ってこの曲がかかると本当にノリノリで踊っちゃう!

(DJ YANATAKE)これ、でも日本でさ、さっきのJ・コールじゃないけどさ、アメリカの人気と日本との温度差……LEADくんも前にそういう話をしていましたけども。やっぱりすごい顕著でさ。『One Dance』がアメリカで大ブレイクしている時、なかなかDJ的には苦戦した1曲だったんだよね。でもみんなかけ続けて。やっぱりいまはね、すごい盛り上がる曲になりましたね。

(渡辺志保)ああ、そうなんですね。私、前も、夏時期にも言ったかもしれないけど、この曲がかかるともう誰でもいいから男女でワイニーしてください!って思いますので。まあ、この曲がかかったら男の子もね、ちょっといいな、あの後ろ姿イケてるな、みたいな女の子を見つけて、もうワイニーすればいいのに!っていうね(笑)。なんのこっちゃ?っていう感じだけど(笑)。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)まあドレイク、本当にいちいちアルバムもそうですし、ミュージックビデオもそうですし。あと、彼のビジュアルのひとつひとつがネットでめちゃめちゃネタにされるっていう。そういうところまで、彼は計算して自分で自らトレンドを作るトレンディーな男になっているわけですけども。まあ、2017年にどんなムーブが……で、いきなり延期になりましたけど『More Life』っていう新しいアルバムなのかプレイリストなのかはっきりしないですけども。そういった話題もありますので、2017年も引き続きドレイクのことはウォッチしてまいりたいと思います。

(DJ YANATAKE)いちばん売れたアルバムはドレイクだもんね。売上的にはね。

(渡辺志保)はい。売上高的にはそうですね。

(中略)

(渡辺志保)というわけで『INSIDE OUT』アワードも佳境に入ってまいりました。続きまして発表させていただきましょう。ベスト・ミックステープ・オブ・ジ・イヤー! イエーッ! カマイヤー!

Best Mixtape of The Year Kamaiyah

(DJ YANATAKE)来たね。ゴリ押し、来たね(笑)。

(渡辺志保)カマイヤーを推し続けて2016年は終わってしまいましたっていう感じがするんですけども。このね、ぶっちゃけミックステープも超悩みましたよ。たとえば、総評的にジェネラルな見地ではおそらくチャンス・ザ・ラッパーの『Coloring Book』とかね。そういうのが……

(DJ YANATAKE)あれが、どうなんだろうね? ミックステープっていうものの形がもういろんなものになっちゃってさ。なにを基準に”ミックステープ”って言っていいのかわからない時代になってきたもんね。

(渡辺志保)そう。DatPiffとかHotNewHipHopとかLiveMixtapesみたいなところで発表されるのが私の中では由緒正しいミックステープなんだけど、チャンス・ザ・ラッパーみたいにアップルミュージックのストリーミング限定とかで発表されちゃうと、なんかちょっと私の中のミックステープの定義がガラガラッと崩れるみたいな。

(DJ YANATAKE)わかる。わかる。まあでも、新しい形ではあるけどね。

(渡辺志保)お金払うからダウンロードさせてよ! みたいな感じがするんですけど。本当に今年も傑作ミックステープがバンバンバンバン出ていましたけども、まあ来年への期待とか展望とかそういったものも含めてこのベイエリア出身の若手女性ラッパー、カマイヤーの『A Good Night in the Ghetto』を『INSIDE OUT』的ベスト・ミックステープ・オブ・ジ・イヤーに選出したいと思います。カマイヤーちゃんは本当ね、今年1年すごい健闘した年だったと思いますし、YGのアルバム『Still Brazy』なんかにも参加していまして。その後にYGと一緒に大きくツアーにも出ておりますっていう感じなんですよ。で、新しいPVがこの間も、『I’m On』っていうこのミックステープの中の曲からPVが1本発表されましたけども。



そこでも本当にブレないカマイヤー節。で、履いてるキックスから着ている服のブランドまで本当にひとつひとつが90年代オマージュ。っていうかたぶん実際に自分が着ているものだと思うんですけど。そういったところもブレないし。「セクシーな私」とか「どんどん男が寄ってきて相手には困らないわ」みたいなことをラップしているのではなくて、純粋にゲットーでの暮らしに対する葛藤とかね、自分が持っている身体的な悩みであるとかそういったこともラップしていて。それもすごく等身大で素晴らしいなと思ったし。今後彼女が成功して行くにつれてどんどんブリンブリンな方向に行かないでほしいな、なんて思ったりもしているんですけども。まあ、西海岸のヒップホップも非常に盛り上がっておりますし、来年以降、カマイヤーに関してもどんな活躍を見せてくれるか非常に期待しております。というわけで、聞いてください。カマイヤーのミックステープ『A Good Night in the Ghetto』から『How Does It Feel』。

Kamaiyah『How Does It Feel』



(渡辺志保)はい。いまお送りしておりますのは『INSIDE OUT』的2016年ヒップホップアワードでベスト・ミックステープ・オブ・ジ・イヤーに選ばせていただきましたカマイヤー『A Good Night in the Ghetto』から『How Does It Feel』です。今年の初旬からカマイヤーを推し続けてきて、いつか彼女に会えるといいななんて思いますね。なんかいい耳寄り情報があれば教えてください。でも、いまちょっとヤナさんとも話していたんですけどどんどんこのミックステープの定義というものも変わっていますねという話で。大きく変わった点というか、チャンス・ザ・ラッパーの『Coloring Book』があれだけヒットしまして。で、グラミー賞の委員会までもがこれまでは無料で発表された作品に関してはグラミーを授与する対象外としていましたけど、あまりにもチャンスの新作が素晴らしいから対象とすると。そこまで地殻変動が起きましたから、また来年ね、無料で公開するけどそこから波及する広がりみたいなものがどんどん大きくなるのかもしれないなと思うし。あ、これですね。チャンス・ザ・ラッパーの『No Problem』がかかっておりますけども。



「無料で公開」と言えば日本でもBAD HOPが無料で自分たちのCDを配布して。

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かつ、ライブも無料で、大阪と地元川崎で開催していましたし。

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この間もKANDYTOWNがリキッドルームでフリーライブをやっていて。タダ(フリー)で自分のコンテンツをより多くのリスナーに届けて、そこから大きいリターンを……大きいレピュテーションであるとかそういったものを求めるというのは、また次の……ただタダで配っているだけじゃないんだぞ!っていうところまで行ったのかな、そういうところまでリーチしたのかなという風にも今年、非常に強く思いました。というわけでベスト・ミックステープ・オブ・ジ・イヤーはカマイヤー『A Good Night in the Ghetto』でございました。

はい。残すところあと3部門となってまいりましたが、続いては、来ました! ベスト・アルバム・オブ・ジ・イヤー! すいません。これしかないっていう感じなんですけど、ベスト・アルバム・オブ・ジ・イヤーはビヨンセで『Lemonade』! 

Best Album of The Year Lemonade

よいしょ! そして、『Lemonade』に乗ってベスト・ソング・オブ・ジ・イヤーもビヨンセの『Formation』!

Best Song of The Year Formation

(DJ YANATAKE)イエーッ!

(渡辺志保)選ばせていただきました。もうこれは私だからかもしれないんですけど。これ、『INSIDE OUT』が私じゃなくてAKLOくんが全部選んでいたらまた違う結果になったと思いますけども。今年はやっぱりビヨンセにやられたっていうか。たとえばね、ちっちゃい話ですけどVH1でやっている『Hip Hop Owners』っていう企画番組が毎年あるんですけど。それは毎年ね、デフ・ジャムとかサウスのヒップホップとかテーマを決めてお送りしているんですけど。今年のテーマは女性MCだったんですね。で、ミッシー・エリオットが表彰されるシーンとかもあったりして。で、かつアメリカの世論で言うと今年はヒラリー・クリントン大統領候補の健闘なんかもありましたし、それを支える女性ミュージシャンの活躍……リアーナであったり、このビヨンセであったり、ケイティ・ペリーであったりっていうのもありましたし。ちょっとここ日本でもね、東京都知事が小池百合子氏が当選したみたいな感じで。なんかね、女性が発する言葉や言動、そういったところにまた違う意味を持たせた1年だったんじゃないかな? という風に思っております。

で、このビヨンセの『Lemonade』なんですけども、個人的にもすごいサウンドトラック・オブ・マイライフみたいな。自分の人生に欠かせない1枚になりましたというのは本当に間違いないんですけども。

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渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でビヨンセの最新アルバム『Lemonade』について徹底解説。実際にアトランタで見たビヨンセのライブの話なども交えつつ、ビ...

このビヨンセのアルバム発売以降、たとえばね、ノーネームのミックステープの『Telephone』とか、あとラプソディーが『Crown』というEPを発表しましたし。あと、ビヨンセの妹ですけどソランジュに関しても本当に本当に本当に素晴らしいアルバムを出していて。しかもそれぞれすごいね、主張が激しい。で、自分の自己(アイデンティティー)だけじゃなくて、いまのアメリカの社会であるとか、フェミニズム、フェミニストの視点から歌った楽曲なんかもすごく多く見受けられるような気がしましたし。

それはね、やっぱり今年の2月にビヨンセがこの『Formation』というミュージックビデオを出し、その後にスーパーボウルですごくリマーカブルなパフォーマンスがありましたけど、そういったパフォーマンスを経てこのビジュアルアルバム『Lemonade』で……もう本当に自分の旦那の不貞から、自分のルーツから、そして浮気疑惑のあった旦那さんを許してもう1回再構築する。そして本当にみんな、自由に向かって走り出そうよ!っていう全宇宙に向けたメッセージみたいな感じですごく綿密な、丁寧に作られたアルバムでございましたし、このビヨンセに勇気をもらった女性。男性も含めてですけども、本当にたくさんのそういったリスナーの方がいたんじゃないかなと思っております。

『Lemonade』、まだ聞いていない方はこれ、ビジュアルアルバムですので、丸々60分の映像をもってして「アルバム」と呼んでいるんですけど。まだ見ていないという方はいまからでも遅くはありませんので、ぜひぜひっチェックしていただきたいと思います。では、こちらを聞いていただきましょう。今年のベスト・ソング・オブ・ジ・イヤー、ビヨンセで『Formation』。

Beyonce『Formation』



(渡辺志保)はい。いまお届けしていますのはベスト・ソング・オブ・ジ・イヤー、そしてベスト・アルバム・オブ・ジ・イヤーの中からビヨンセで『Formation』をお届けしました。みなぎる~! みたいな(笑)。黙って座ってちゃいられない! みたいな感じがしますけど。はい。ビヨンセでございました。

(中略)

(渡辺志保)今年もね、いまダダダダッと『INSIDE OUT』アワードと題してお送りしてきましたけど、みなさん、どんな1年だったでしょうか? みなさんのお気に入りの1曲、あればぜひぜひ「#INSIDE_OUT」をつけてこちらも私たちにも教えてほしいなと思うんですけども。アメリカでは、さっきもビヨンセの話なんかもしましたけど、ア・トライブ・コールド・クエストなんかもそうですし、より主張あるアルバムというのがかなり増えたんじゃないかなと思います。あと、フランク・オーシャンなんかもそうだけどさ、アルバムの既成概念にとらわれないアルバム。もう発表の仕方もすごい自由だし、中身も自由。

カニエなんかは本当に収録曲を後から差し替えちゃったりもするぐらい自由。で、さっきのビヨンセなんかも最初はアルバムの発表を彼女はケーブルテレビで、テレビ番組として自分のニューアルバムを発表したという経緯もありますから。どんどんそこね、クリエイティブになっていると思うし、アーティストも、あとは裏方の人もそうかもしれないけど、より新しいこと、チャレンジングなことをしているというのが私の今年の感想でもありました。

あと、結構チャンスとかカニエとかビヨンセに関してはヒップホップとかR&Bシーンの中だけではなく、ポップアルバムとしても評価されているなというのはいろんな評論とかを見て感じたことですし。国内に目を向けると、やはり『フリースタイルダンジョン』なんかのヒットもありましてより「ラップ」という手法そのものが文字通りお茶の間まで届くようになったのかなという風に思っていまして。テレビつけたら結構本当にラップを用いたCMなんていうものがバンバン流れているぐらいだし、その分、ヒップホップとかラップに触れる母数、リスナーの方も増えたのかなという風にも思うし。

そんな方がちょっとでもヒップホップの楽しさ、バトルだけじゃないラップの楽しさみたいなところにもリーチしてくれれば、こんなにうれしいことはありませんと思うし。まあ、いろんなね、サブカル系の雑誌であるとか文芸誌であるとかもどんどんどんどんみなさんラップの特集とかヒップホップの特集なんかもしてくださっていて。私も今年、いままでお声がかからなかったようなメディアに文章を載せさせていただくような事もあって、それはすごくすごくすごくうれしいんですけど……

その一方で19年続いたヒップホップカルチャーマガジン『WOOFIN’』がなんと今週、12月29日発売号をもってその19年の歴史に幕を閉じてしまう a.k.a 休刊ということもあって。こんなに日本ではラップがすごいバブルみたいに盛り上がっているのに、ずーっとヒップホップとかレゲエそのものを牽引してきた『WOOFIN’』がなくなっちゃうってすごい私の中ではアンビバレントな感情っていうか、すごいちょっとしんみりするというか。一言で言えば残念という感じがします。私も『WOOFIN’』では本当に好き勝手書かせてもらったし、たとえば今年はアトランタのミーゴスを表紙に編集長が持ってきてくれたりなんかもして。あそこでたとえば三代目J Soul Brothersさんとかを表紙にしていたら休刊にならなかったのかもしれないとか思ったりとかもしますけども。なにはともあれ、『WOOFIN’』もその歴史に幕を下ろしてしまうということで、2017年の日本のヒップホップシーンも一体どんな風になってしまうのかな? と。

その一方では新しいメディアなんかもWebを中心に出てきておりますので、そういったところでまた新しい書き手であるとか、ちょっと面白いブレイクしそうなアーティストであるとか、そういったところがまた活発になればいいなという風にも思っております。早口で総論みたいなところを述べさせていただきましたが。ヤナタケさん的には何かありますか? 今年の思い出は。

(DJ YANATAKE)いろいろあるんですけど、時間がないんで最後、行っちゃおうかな? まあでも、今年も『INSIDE OUT』、本当にありがとうございました。

(渡辺志保)本当にそうですね。丸5年を迎えることができまして。

(DJ YANATAKE)また来年も楽しくやっていきましょう。

(渡辺志保)はい。よろしくお願いします。というわけで最後に残ったこの1部門を紹介して今年の年内最後の『INSIDE OUT』を終わりたいと思うんですけども。今年、ジ・ベスト・アーティスト・オブ・ジ・イヤーに選ばせていただきました。シカゴ出身のカニエ・ウェストさんでーす! おめでとうございます! 

Best Artist of The Year Kanye West

というわけでもうカニエにはやられた! 去年も同じようなことを言っていたかもしれないけど。アルバムがいつ出るんや?っていうところから始まって、もうカニエ狂想曲みたいなことがあって。

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そして最新のカニエさんはなんとあのドナルド・トランプと面会を果たして、シカゴの現状をどうにか改善してほしいと訴えた。そして2024年の大統領選挙に立候補するということまで。カニエ狂想曲はまだまだ続いております。今年のカニエまとめっていうのを29日発売の『WOOFIN’』最新号にも掲載しておりますので、みなさん、2017年もカニエをね、追って楽しくヒップホップライフをすごしていきましょう。では、最後にお届けしますのはカニエ・ウェストで『Father Stretch my Hands Pt1』。

(DJ YANATAKE)今年もありがとうございました!

(渡辺志保)ありがとうございました!

Kanye West『Father Stretch my Hands Pt1』


<書き起こしおわり>