町山智浩 映画『ラ・ラ・ランド』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアカデミー賞主要部門の最有力候補の映画『ラ・ラ・ランド』を紹介していました。

(町山智浩)今日はですね、アメリカ時間の先ほど発表になりましたゴールデングローブ賞。アメリカのハリウッドの外国人映画記者クラブによる今年最高の映画ということでノミネートがあったんですが、そこで7部門で候補になっている『ラ・ラ・ランド』という映画を紹介します。


(赤江珠緒)おおっ、7部門で。

(町山智浩)はい。作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞ほか計7部門なんですね。で、これはアカデミー作品賞にもっとも近い映画です。

(山里亮太)大本命。

(町山智浩)大本命です。で、『ラ・ラ・ランド』というこの映画を僕はトロント映画祭で9月に見たんですけども。トロント映画祭では観客賞をとりましたね。

(赤江珠緒)そうか。その時も町山さん、絶賛をされていましたもんね。

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(町山智浩)はい。本当にね、最高に楽しくて、最高にカラフルで、最高にロマンティックで、最高に切ない映画でしたね。

(赤江珠緒)へー! いいですね!

(町山智浩)もう本当にどんな人でも見れる。1人で行ってもいいし。男も、女も。女性同士、男性同士で見ても全然おかしくないし、ご家族連れでも見れて。もう最高ですよ。

(赤江珠緒)なんかロマンティックで楽しい映画っていうのがあんまり最近は賞をとっていないようなね、印象がありましたけども。

(町山智浩)最近はだからもう、ロボットが出てきて暴れたり、ビルがぶっ壊れたりする映画ばっかりなんでね(笑)。もう本当に、「あっ、映画だ!」っていう感じでしたよ。「これが映画だ!」っていう感じでしたね。で、これ、『ラ・ラ・ランド』という話は、主人公が2人ですね。ヒロインはミアという女の子で、オーディションに片っ端から行ってるんですけど全然受からない女優志願の女の子です。これを演じるのが『アメージング・スパイダーマン』でヒロインをやっていたエマ・ストーンという、ものすごい目玉の大きい女の子なんですけども。

(赤江珠緒)エマ・ストーン。はい。

(町山智浩)それで、彼氏の方。男の方がライアン・ゴズリング。ライアン・ゴズリングといえば、『ドライヴ』で最高にかっこいいドライバーを演じたり、あと、『ブルーバレンタイン』で、ほら。最初はイケメンなのに太ってハゲてしまうパパの役をやっていましたけども。それですごい演技派ですよ。なんでもできる人ですね。このライアン・ゴズリングは売れないジャズミュージシャン。ジャズのピアニストなんです。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)この2人がスターを目指してハリウッドで暮らしている2人なんですね。で、この2人が出会って恋に落ちて……という物語が『ラ・ラ・ランド』なんですが。『ラ・ラ・ランド』というのは『La La Land』と書くんですよ。「LA」っていうのはロサンゼルスのことですよね? だからロサンゼルスのことを別名「ラ・ラ・ランド」とも言うんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)ただね、これには悪い意味みたいなのがあるんですよ。つまり、ロサンゼルスに住んでいる人たちはみんなこの主人公たちみたいにスターになる夢を見ているんですよ。で、「彼女はラ・ラ・ランドに住んでいるんだ」っていうのはね、「彼女は夢見がちなんだ。現実を見ていないんだ」っていう意味があるんですよ。

(赤江珠緒)はー! へー!

(町山智浩)だから、「ラララ~♪ みたいな感じだね、彼女の頭の中は」っていう言い方なんですよ。

(山里亮太)「ご陽気だね」みたいな。

(町山智浩)そうそう。で、実際にね、ハリウッドに行ってテレビ番組とか撮影している時に、スタッフなんかと一緒にレストランとかカフェに入るじゃないですか。そうすると、ウェイトレスとかウェイターの人とかがみんなすっごいイケメンとか美女なんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)普通のレストランとかでもね。で、僕らはカメラを持っていたりするじゃないですか。カメラマンが。そうすると、「撮影しているの?」ってウェイトレスの人とかが聞くんですよ。「もし、なにか撮ることがあったらちょっと私のことを思い出したりしてください」って名刺をくれるんですよ。

(山里亮太)へー! あ、そうか。みんなそれを夢見てバイトしているから。

(町山智浩)そうなんです。みんなオーディションとか受けまくっているんですけど、なかなか目が出なくてそこでウェイトレスとかをやっているんで。僕らはカメラを持っていると、すぐに名刺を置くんですよ。で、この主人公のエマ・ストーンもそういう子で、ワーナー・ブラザース撮影所のコーヒーショップで働いているんですね。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(町山智浩)これは実在する店なんですけど。で、その夢に向っている2人の恋物語なんですけども。まずこの映画ね、いちばんオープニングがすごくて。ロサンゼルスのフリーウェイ(高速道路)で車が渋滞になるんですよ。で、ロサンゼルスっていっつも渋滞しているんですよ。全ての道路が。で、渋滞してみんな詰まっていて、クラクションを鳴らしたりしていると、そのうちにもう全然動かないんで頭にきて、ドアを開けて乗っていた人たちが車を降り始めるんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこから全員が踊りだすんですよ。一斉に。

(赤江珠緒)踊りだす?

(町山智浩)100人ぐらいの人が渋滞している高速道路で踊りだすんです。車の上に飛び乗ったりして。これ、本当にロサンゼルスで道路を封鎖して撮影しているんですよ。で、この映画、まずひとつは『ラ・ラ・ランド』っていうロサンゼルスに対するラブストーリーなんで。オマージュなんで、ロサンゼルスの48ヶ所で実際にロケーションをしているんですよ。それがもう、本当に美しいんです。夢のように撮られています。「夢の国」なんで。

(赤江珠緒)へー! まず画像が美しい?

(町山智浩)はい。そこに写真があると思うんですけど。エマ・ストーンたちが友達の女の子同士4人でドレスで歩いている写真、ありませんか? ドレスの色が綺麗でしょう?

(赤江珠緒)たしかに、ドレスがカラフル! 青と赤と黄色っていうね。

カラフルな色使い

(町山智浩)そう。原色で。これは、昔の1950年代、60年代のミュージカル映画の色使いなんですよ。っていうのはその頃、まだ多くの映画がモノクロだったんです。で、大作だけがカラーで撮られていたんですよ。お金をかけた映画だけが。で、カラーで撮るとカラーが珍しいからとにかく徹底的に衣装とかインテリアとかをレインボーカラーにするんですよ。

(赤江珠緒)「天然色」みたいなね。

(町山智浩)そうそうそう。その当時の映画は「総天然色」とか言って。だからせっかくカラーなんだから色も全部きれいにしましょうって、ドレスとか全部きれいなんですよ。スーツもその頃の映画って普通だったら絶対に着ないようなスカイブルーのスーツとか黄色いスーツとか紫のスーツとかを着ているんですよ。その頃の映画の人たちって。それはカラー映画だからもったいないから色をいっぱい使おうっていうことなんですね。

(赤江珠緒)そういうことか。

(町山智浩)そのカラーになっているんです。この映画は。

(赤江珠緒)じゃあやっぱり結果、色がすごいいろんなところに散りばめられて。それだけで美しいですね。

(町山智浩)ものすごいきれいなんですよ。もう本当に夢を見るような感じなんですよ。でね、また音楽がいま後ろで流れているのはこの映画のサントラなんですけど。主人公はジャズピアニストなんで一応ジャズなんですけど……すごくおしゃれでダンサブルでポップなジャズなんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)とにかく楽しい楽しいジャズなんですね。

(赤江珠緒)たしかに美しい。この曲も。

(山里亮太)なんかね、優雅な。

(町山智浩)これはね、要するにフランスミュージカルの音楽に近いんですよ。1950年代にアメリカではミュージカルの黄金時代が来るんですね。で、それに影響されて1960年代にフランスでミュージカルが作られるんですよ。ハリウッドミュージカルに捧げる形で。で、いちばん有名なのは『シェルブールの雨傘』という映画なんですね。1964年の。

(赤江珠緒)はいはい。カトリーヌ・ドヌーヴ。

(町山智浩)これ、素晴らしいんですよ。最初にいろんな色の雨傘が出てきて、傘がダンスを踊るところから始まるんですけど。で、その色使いとかポップなジャズのイメージをこの映画に持ち込んでいるんですよ。で、『ロシュフォールの恋人たち』っていう続編もあるんですけど、そちらの方もものすごく色がきれいなんですよ。で、なおかつその50年代ミュージカルのオマージュもありまして。これ、写真があるかと思うんですけども、エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが2人でダンスしているシーンがあるんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これは1950年代にフレッド・アステアというミュージカルの大スターが出演した『バンド・ワゴン』という映画がありまして、その中でセントラルパークでダンスするシーンへのオマージュなんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)ただ、この映画が面白いのはミュージカルってみんなバカバカしいと思うじゃないですか。

(赤江珠緒)ちょっととっつきにくいかな? みたいな。

(町山智浩)そう。だって突然踊りだすでしょ? 普通に話していると。ねえ。それ自体をギャグにしているんですよ。で、これ、突然タップダンスを踊るんですね。ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの2人が。その時にね、カバンになぜかタップシューズを持ってきていて、それまで履いていた靴を脱いでタップシューズに履き替えてから踊り始めるんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)だから段取りを見せちゃっていて。このへんはギャグなんですよっていうところをちゃんと見せているところがすごく面白いんですね。

(山里亮太)なるほど! そうか。ミュージカルとか難しいかな? とか。ちょっと音楽とかをいろいろ知っていないと無理かな? とかって思っていたんですけど。

(町山智浩)いや、もう全然そういうところはないんですよ。とにかく、どれも楽しい楽しい曲にしてあるんで。で、ただね、この映画のすごいところはそこからどんどん深い話に入っていくんですよ。で、彼らは要するに夢を見ている人たちじゃないですか。「いつか成功する。俺のやっていることは正しいんだ。俺の音楽は素晴らしいんだ」と思っているわけですね。でもやっぱり、現実にぶつかっていくんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、上手く行かなくなっていくんですよ。最初は2人で恋に落ちて、もう超楽しいんですけど。その楽しいところもすごくて、2人が最初はいがみ合ったりして上手く行かないんですよ。すれ違いとかあって。

(赤江珠緒)ありがちなラブストーリーの。いいですよね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、オーディションに落っこちたりしているし。彼はジャズミュージシャンとして認められないし。でも、そこで2人で「実は好きなんだ」っていうことを言った瞬間に、グリフィス天文台っていう天文台がハリウッドの見下ろす丘に上にあるんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、そこで天文台で2人が初めて互いの気持ちがわかりあった瞬間に、その天文台にあるプラネタリウムの中を2人が踊りながら上昇していくんですよ。

(山里亮太)上昇?

(町山智浩)上にあがっていくんですよ。だって恋すると天にも上る気持ちになるじゃないですか。で、本当にプラネタリウムの上をあがっていって、そのまま宇宙にあがっていくんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(山里亮太)コメディー的だ。

(町山智浩)いや、もうコメディーじゃないでしょう。それは。

(山里亮太)だってそんな……

(町山智浩)愛でしょう。それは、あなた!

(山里亮太)ええっ!? そうか……恋がわからないとこういうのを笑っちゃうようになっちゃうんだね。

(町山智浩)星空を見れば、宇宙にあがっていくんですよ。その時に。だからそこが本当に素晴らしくて、もうゾクゾクするような瞬間だったりするんですけど。ただ、この映画がすごいのはね、そのグリフィス天文台っていうのはデートスポットなんですよ。で、ハリウッドに住んでいる人だったら、誰でもそこでデートしたことがあるんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そんなに?

(町山智浩)だから、このシーンではハリウッドの人たちみんなもう号泣なんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)僕、実は黒沢年雄さんの娘さんの黒沢レイラさんっていう人とこの間、別の番組でお話したんですけど。で、「グリフィス天文台で2人がはじめて互いの気持ちがわかって天に浮かぶんですよ」って言ったら、「私もいまの旦那とはじめてデートをしたのはそこなのよ!」って言ってましたね。

(赤江珠緒)へー! みんな思い出があるんだ。

(町山智浩)そう。だからこれ、ロサンゼルスに住んでいる人たちはもうみんな涙ボロボロで大変なことになっちゃう映画なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)それで、アカデミー賞っていうのは主にロサンゼルスに住んでいるハリウッドの映画関係者だけが投票する賞なんですよね。これはもう、確実に行くでしょう。

(山里亮太)そうですね(笑)。そうなると。

(町山智浩)そう。老いも若きも思い出があるわけですよ。それぞれのシーンに。で、これはズルいなと僕は思っているんですけど(笑)。

(赤江珠緒)でも、そういうロマンティックで幸福感たっぷりのお話っていうことですか?

(町山智浩)はい。それがだんだん現実にぶつかっていって、そこから非常にリアリズムの方に入っていくんですね。で、そこが非常によくできていて、実は『シェルブールの雨傘』っていう映画もミュージカルなんですけども、その当時にフランスであったアルジェリア戦争が背景にあって非常に厳しい話になっているんですよ。で、愛し合っている者同士が、でもやっぱり結ばれないこともあるんだという物語になっているんですね。現実を見せていくんですよ。社会的な。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、そういう話になっていくんですけど、特にこの映画の場合にはマーティン・スコセッシ監督が1977年に撮った『ニューヨーク・ニューヨーク』という映画を元にしています。それは、歌手を目指すライザ・ミネリとジャズミュージシャンを目指すロバート・デ・ニーロの恋物語なんですけども、だんだん上手くいかなくなっていくんですね。2人が。で、この2人の関係もそれをなぞっていくような形なんですよ。この『ラ・ラ・ランド』も。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ただね、これすごいのは監督がですね、デミアン・チャゼルという監督で、この人はまだ31才なんですよ。

(赤江珠緒)ほー!

『セッション』のデミアン・チャゼル監督

(町山智浩)31才でこの人生の機微とかを描くっていうのはすごいなと思ったんですね。で、この人はその前に『セッション』という映画を……これ、山里さんもご覧になっていますよね?

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(山里亮太)見ました、見ました。すごかったー!

(町山智浩)あのドラマーを目指す男の子がハゲオヤジの鬼コーチに徹底的にいじめまれて。

(赤江珠緒)私も見ました。

(町山智浩)それで音楽で戦っていくという。あれはたった2.5億円の制作予算で撮って、160億円ぐらい儲けているんですよ。大成功だったんですね。彼はまだその頃、20代ですよ。ただ、あの映画って結構批判もあって。ジャズとか音楽を格闘技のように見せているでしょう? でも、音楽ってそんなんじゃないんだ。本当はもっと楽しいものなんだよっていう風に批判をされたんですよ。特に音楽家の人たちに。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、今回はまさにそれに対する答えなんですよ。音楽というのは人の心を救うものなんだっていう映画になっているんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)しかもこの映画がすごくチャレンジなのは、実はミュージカルってアメリカではほとんど当たっていないんですよ。長い間。で、『レ・ミゼラブル』みたいなものや『シカゴ』とかブロードウェイのミュージカルの映画化っていうのは当たっているんですけど、ハリウッド式の50年代ハリウッド的なミュージカルっていうのは全然当たらないんですよ。で、失敗し続けていて、特にさっき言った『ニューヨーク・ニューヨーク』っていう映画も大コケしているんですね。

(赤江珠緒)ふーん。うんうん。

(町山智浩)で、多くの天才と言われた映画監督たちがこのハリウッド式ミュージカルの再生、復活に挑戦して失敗して挫折しているんです。まず、ピーター・ボグダノヴィッチという監督がいまして。この人は『ペーパー・ムーン』とか『ラスト・ショー』っていう映画で天才と評価されていたんですが、ハリウッドミュージカルの再生として『アット・ロング・ラスト・ラブ』という映画を1975年に作って、それが大失敗してハリウッドを追放される形になります。

(赤江珠緒)えっ、そこまで?

(町山智浩)超大作だったためなんです。大赤字を出して。で、『ニューヨーク・ニューヨーク』も失敗して。あと、フランシス・フォード・コッポラ監督が『ゴッドファーザー』とか『地獄の黙示録』の巨匠なんですが、1982年にやはりハリウッド式のジャズミュージカルを復活させようとして、『ワン・フロム ・ザ・ハート』という超大作を作ったんですね。大失敗して、会社は潰れちゃうんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、そのハリウッドの名だたる天才たちが次々と挑戦して全員失敗して挫折して泥にまみれてきたハリウッドミュージカルの復活をわずか31才のダミアン・チャゼルは挑戦して大成功したんですよ。今回。

(赤江珠緒)成功してるんだ!

(町山智浩)もう、大成功ですよ。すごいな! と思って。しかもこの映画、今年のはじめに1回試写をやって試写では大不評で大失敗しているんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)で、編集をし直したんですよ。

(赤江珠緒)編集をし直した?

(町山智浩)し直したんですよ。急遽。で、映画っていうのはやっぱり編集なんですね。で、素晴らしい映画として生まれ変わっているらしいんですよ。それで。

(赤江珠緒)ええっ!

(町山智浩)で、とにかくこの映画、最後の方で大変なことが起こっていくんです。まあ、夢と現実が交錯するような映画なんですが、後半の方がデビッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』っていう映画的な展開をしていくんですね。これ、説明しにくいんですが、『マルホランド・ドライブ』っていうのもやはりハリウッドでスターを目指す女の子の話なんですよ。大女優を目指す。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、ところがその大女優の夢と現実が恐ろしい形になっていくという一種のホラー映画なんですね。『マルホランド・ドライブ』というのは。そういう夢と現実がすさまじい交錯をし始めるんですよ。クライマックスの7分間ぐらいで。その展開がものすごくて。ハリウッドミュージカルの最高傑作と言われている『巴里のアメリカ人』という映画があるんですよ。1951年の。それに対するオマージュになっていくんですよ。と、言ってもわからないと思うんですけど。

(赤江珠緒)ねえ。ちょっとそのへんはわからないですけども……

(山里亮太)この監督さん、『セッション』の時も最後、もうすごかったもんね。ブワーッ!って。

(町山智浩)その通りです! 山ちゃん、その通りなんですよ!

(山里亮太)あ、やっぱり?

(町山智浩)『セッション』の最後の10分間ってものすごかったじゃないですか。テンションが。あれが起こるんですよ。あれの100倍くらいのことが起こるんです。この映画、最後に。

(赤江・山里)ええーっ!?

すさまじいラストの展開

(町山智浩)なんてったってこれ、エキストラとかダンサーの数が1600人ですから。この映画。すさまじいスケールで大スペクタクルが展開するんですよ。もう山ちゃんがいま言った通り、『セッション』のラストの5万倍ぐらいのことが起こります。この映画。

(赤江珠緒)うわっ、見たいな!

(山里亮太)ええーっ! あれって相当衝撃的だったのに!

(町山智浩)すごい映画でしたよ。それでもう僕、トロント映画祭で見た時はみんな涙がボロボロでスタンディングオベーションでしたね。

(赤江珠緒)へー! 最後、号泣?

(町山智浩)はい。号泣ですよ。もう。ということでまあ、これは本当にすごい映画で。ハリウッド映画への愛にも満ちているんで、これはやっぱりアカデミー賞をとるしかないだろうと思っているんですけども。

(赤江珠緒)いやー、だっていま手元にパンフレットがあるんですけど、その映像、写真を見るだけで本当にきれいですもんね。

(町山智浩)本当にきれいで、夢のようなんですよ。

(赤江珠緒)全部が絵になっていて、きれいだなっていう。それで最後にそんな展開?

(町山智浩)で、またこのエマ・ストーンの歌も素晴らしいんですよ。で、人生の厳しさとか悲しさとか楽しさを全部見せてくれるんで。

(赤江珠緒)いや、映画らしい映画ですね。本当にそう言われると。

(町山智浩)でもね、残念なのは公開が2月24日なんですよ(笑)。

(赤江珠緒)日本ではね、2月24日ということでございます。

(町山智浩)でももう韓国では公開しているんで。もう、どうしても見たいっていう人は韓国に飛んでいって見た方がいいぐらいの映画ですね。

(赤江・山里)(笑)

(赤江珠緒)そうですか。いやー、町山さんも大絶賛ですね。これはね。

(町山智浩)もう、すごいです。これ。ということで、『ラ・ラ・ランド』でした。はい。

(赤江珠緒)アカデミー賞作品賞の大本命ということで、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』をご紹介していただきました。日本では来年の2月24日に公開されます。はい。ということで、見に行きたいと思います。ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

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