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町山智浩 ハミルトンが作ったアメリカの政治システムを語る

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町山智浩さんがBS朝日『町山智浩のアメリカの”いま”を知るTV』の中で、アメリカ建国時にアレクサンダー・ハミルトンがほぼ1人で作り上げたアメリカの政治システムについてトーク。それが現代のトランプVSヒラリーの選挙戦に及ぼした影響について話していました。


(ナレーション)地方の白人労働者ブルーカラーに熱狂的に支持されたトランプ候補が都市部ホワイトカラーの象徴でもあるヒラリー候補を負かしたと捉える向きもある今回の大統領選。実はアメリカでは建国からこのような対立が200年以上ずーっと繰り返されているんです。いったいどういうことなんでしょうか?

(町山智浩)(アレクサンダー・)ハミルトンっていう人がいて。ハミルトンっていうのはジョージ・ワシントン初代大統領の副官だった人なんですよ。もともとはただの商人だったんだけど、その時に優秀だったんでアメリカの最初の政治システムを作る時に彼が1人でほとんど全部作っちゃったんですよ。20代で。

(藤谷文子)すごい!

(町山智浩)天才なんですよ。だから、三権分立とか、最高裁制度とか、そういったものを作って。あと、中央銀行とかドル紙幣の造幣を始めたのも彼で。あと、アメリカには国軍っていうのがなかったんですよ。州軍しかなかったんですね。それで、国軍を作る必要があるっていうので、それを設置したのもハミルトンで。10ドル札の顔になっているんですよ。

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10ドル札の顔 ハミルトン


(藤谷文子)ああ、それが。

(町山智浩)ただ、大統領になれなかったんですよ。決闘で殺されちゃって(笑)。その頃はまだ決闘してよかったんで。

(藤谷文子)決闘ありの時代だった。

(町山智浩)そうなんですよ。ハミルトンが最初からこういったシステムを全部決めていて。大統領の人気を短くするっていうのもハミルトンのアイデアなんです。

(藤谷文子)なんかヤバかった時には……っていうことですね。

(町山智浩)そう。っていうのは、(アメリカが)世界最初の民主国家だったから、はじめて大統領制度っていうのをすることになったと。1人の人間に神のような権利を与えるっていうのはものすごく怖い。信用できないから、(任期を)4年にするっていうことなんですよ。

(藤谷文子)怖いですけどね。トランプがこの4年の間にどこまでボロボロにしちゃうのか? みたいな(笑)。

(町山智浩)ねえ。でも、4年だったらまだ手当てがきくっていうことで……

(ナレーション)連邦政府 VS 州の自治

(藤谷文子)やっぱり各州が別の法律を持っている国だから、抵抗ができるって言うことなんですね?

(町山智浩)一応憲法で州の自治は保証されてはいるんですけど。ただ、憲法で同時に「連邦法がいちばんの法である」って書いてあるから……

(藤谷文子)そうか。じゃあもう本当に絶対ですよって言われたら、抵抗はできない?

(町山智浩)そう。だからすごく矛盾で。憲法はトップにあって、憲法では連邦法なんですよ。ところが、憲法の中に「州の自治権が優先される」って書いてあるの。でも、憲法はいちばんだって言っているの。

(藤谷文子)わからない……

(町山智浩)矛盾しているの。グルグル回るの。だから、面白いんですよ。これは。結構ね、アメリカの政治制度はわざとそういう矛盾を入れていて。

(藤谷文子)わざと?

(町山智浩)そう。これは明らかにわざと入れていて。どっちも優先だと言っておくと。

(ナレーション)連邦法と州法の矛盾はなぜできた?

連邦法と州法の矛盾

(町山智浩)実は、アメリカを建国する時に13州をそれぞれバラバラの独立国家にするっていう派閥があったの。それはジェファーソン大統領の派閥で。彼らは完全な独立国家にすると言っていたんですよ。それに対してハミルトンという人は、そうじゃなくてアメリカは連邦国家としてその上に中央政権を置く、そういうシステムにするんだっていう風に主張してそれがものすごい対立をしたんで、妥協するために、憲法はトップだけれども、州の法律を尊重するという、どっちがどっちってわからないことをわざと。

(藤谷文子)もう、しょうがなく?

(町山智浩)そう。その憲法を作ったのはハミルトンだから。しょうがなく。対立しているから、「じゃあ、どっちも偉いっていうことにしましょう!」って(笑)。

(藤谷文子)打開策だったんだ(笑)。

(町山智浩)打開策。だから、戦争になっちゃった。南北戦争は、各州が奴隷制度をやる。で、連邦が憲法を変えて奴隷制度を否定した。それで対立しているわけですよね。わざと対立は盛り込んであるんだけど、それでしょっちゅう対立するんです。

(藤谷文子)そうか。それで時々、各州でなにかあったら「連邦に裁判で行きますよ!」みたいに? あの『Loving』っていう映画がそうでしたね。

(町山智浩)はいはい。見ました?

(藤谷文子)見ました。

(ナレーション)来年の第89回アカデミー賞有力候補作品『Loving』。異人種間の結婚禁止法が残っていたバージニア州で肌の色を超えて愛し合ったラビング夫婦が様々な公的暴力にさらされながらも最高裁判所に州法の違憲性を訴え戦いに挑む姿を描くヒューマンドラマ。

(町山智浩)あれはだから、すごく変な法律で。黒人と白人が結婚すると黒人だけが起訴されて刑務所に入れられるの。白人は裁かれないんです。

(藤谷文子)ねえ。旦那さんだけ出てきて。映画の中で最初の方で。すごい不思議なことがいっぱいありましたよね。あの映画の中で。たぶん、現実に基づいて描いているんでしょうけど。

(町山智浩)南部と北部のちょうど境目の州の話なんですね。あれはバージニアか。バージニアってすぐ上がワシントンなの。くっついていて。

(藤谷文子)そうか。それで、結婚はワシントンでできたんですね。

(町山智浩)もともとその、首都をワシントンにするっていう考えもジェファーソンが言った「各州の権利を大事にする」っていうのとつながっていて……

(藤谷文子)ええ。

(ナレーション)ジェファーソン VS ハミルトン

(町山智浩)最初、アメリカの首都ってニューヨークだったんですよ。ウォール街だったんです。

(藤谷文子)もっといっぱい企業もあったし、人口もあっちの方が多いんですよね?

(町山智浩)そう。商業の中心でしょ? だから、貿易とか商業とか金融の中心であるウォール街に首都があって。そういう国にしようとしてハミルトンがそこに首都を作ったんです。そしたらジェファーソンっていう人は「アメリカは田舎の国であるべきだ」と。

(藤谷文子)へー、面白い(笑)。

(町山智浩)それで、「都会の資本主義者がアメリカの心を汚す。アメリカの心は田舎に住むヨーマンっていう小さい農家の人たちの心がアメリカの心なんだ!」って、無理やりワシントンに……その頃、田舎だったワシントンに首都を移しちゃったんです。だから、首都をどこにするか?っていうのはアメリカっていう国をどう考えるか?っていうイデオロギーの対立なんです。

(藤谷文子)ねえ。面白い。

(町山智浩)で、実際にいま続いているトランプとヒラリーの対立もそうで。トランプがずっとヒラリーのことを「ウォール街! ウォール街! ウォール街!」って。100万回ぐらい言ったんじゃないの?(笑)。なんか、ウォール街とヒラリーが一体になっちゃうんだけど(笑)。

(藤谷文子)(笑)

(町山智浩)あれは「ウォール街のやつら、金持ちの資本家どもがお前ら労働者を苦しめているんだ! 利用しているんだ!」っていうのを植え付ける……

(藤谷文子)そうか。そういうのに対して嫌悪感がある人たちが「そうだ!」ってなるから。

(町山智浩)そうそう。でも、それって実はアメリカ建国時のハミルトンとジェファーソンの対立がそのままずーっといまも続いていて。

(藤谷文子)なかなか根深いですね。

(町山智浩)根深い。南北戦争の時もだから、リンカーンを支持したのは北部の資本家たちだったのね。だから、南部の人たちは「南部の田舎者たちを北部の金持ちが潰そうとしているんだ!」って言ったり。ずーっと同じことが繰り返されて、今回の事態になってしまったという(笑)。

<書き起こしおわり>

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