宇多丸 『君の名は。』と『星空のむこうの国』を語る

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で前週に行った『君の名は。』の映画評を補足。三宅隆太監督から聞いた1986年の作品『星空のむこうの国』との類似点などを話していました。


(宇多丸)ええとね、先週の放送の続きというか補足的なことで言うとですね、『君の名は。』という現在国民的なメガヒットを続けている新海誠作品を『ムービーウォッチメン』で評論いたしまして、私なりにがんばってやったわけですが。で、その評はいま、公式ホームページに毎週毎週、文字での起こし記事が載っておりますので。非常に読み応えがあると思いますので、放送を聞き逃した方なんかはぜひ。あと、もし後からいろいろチェックしたい方なんかはそちらを見ていただきたいと思っているんですが。


『君の名は。』評を終えて、先週は三宅隆太監督がゲストだったじゃないですか。あっという間に終わってしまいましたけどね。時間は短めでしたけど、なんで劇場公開しなかったんですか特集。意外な方向からきましたよね。海外、アメリカではすごく話題になっているのに……とか、そういうことでもなくて。ヨーロッパ製の、それもいわゆるソフトストーリー。起承転結がジャンル映画的にパキッとつくやつじゃなくて、いちばんある意味興行的には難しいというか、あんまり拾ってもらえなくなってきているようなあたりを中心に、その見分け方などをご紹介いただいたわけなんですけども。

その三宅さんのが終わってからしばらく雑談をしていて。お話をしていて、「宇多丸さん、『星空のむこうの国』って作品って見たことがありますか?」っていう。小中和哉監督が作られたもので、かなり前なんですよね。1986年の『星空のむこうの国』という。で、ここにちょっとあらすじがあるんだけど。三宅監督もそこで「こういう話なんですよ」とやおら三宅監督があらすじの説明を始めたんで、それを言いますね。ちょっとあらすじを読みますよ。

『星空のむこうの国』あらすじ

「高校生の昭雄はここ1週間、見知らぬ美少女の夢ばかり見ていた。ある日、昭雄は並走する電車の窓に夢の少女を見つける。その日、家に帰ると昭雄は1週間前に交通事故で死んだことになっていた。夢の少女・理沙に引き寄せられるようにしてパラレルワールドに迷い込んでしまったのだ。そして、シリウス流星群を2人で見ようという約束を果たすため、昭雄は理沙を入院中の病院から連れ出す」という。要するに、夢で知らない少女と出会うとか、あとそこにタイムリープ要素が入っているとか。パラレルワールド的な。さらに流星群を見るみたいな。これを聞いて、「えっ? すげえ『君の名は。』っぺーじゃないですか!」みたいな感じで。で、三宅さんも「そうですよね」って。たぶんですけど、新海誠さんなりが小中和哉さんの『星空のむこうの国』を――結構カルト的な人気というか、一部の方にすごい人気がある伝説の作品みたいなことなんで――きっとお好きなのかもしれないですよね。真偽の程はわからないですけど」なんて言っていて。

で、なかなかその『星空のむこうの国』、ネットとかでも他にちょろっと書かれている方もいらっしゃるのかな? 類似点とかを指摘されている方もいるけど、そんなに大々的に話をされていることもなかったんで、「ああ、そうなんですか!」って。で、また不勉強にも僕、それを見ていなかったんで。で、「なんとかして見たいな」と思ったんだけど。で、DVDは発売されているんだけど、当然廃盤で。これがまたね、どえらいプレミア価格がついていて。やっぱり、特に『君の名は。』との類似っていうのもあるからなんでしょうね。どえらいプレミア価格がついていて。これはやっぱりね、私一応そのさ、毎週こうやってちゃんとやっているし。『君の名は。』評論も僕なりにですよ、がんばってやったので。これはもう、「ここで、それを見ていませんじゃ自分が気持ち悪い……ええーいっ!」と思ってクリックしてですね、その結構プレミアがついちゃっているやつを買っちゃったんですよ。

で、拝見しました。小中和哉監督。NHK少年ドラマシリーズへのオマージュを捧げたジュブナイルファンタジーの傑作ということで。だからまあ、本当にそういうテイストではあったんですね。で、見て。あれはたぶん撮影が16ミリフィルムとかなのかな? すごくだから手作り感があふれる画面で、全体としてあって。CGなんかもないですから、途中で少年の体がフーッと消えていくところなんかはもう本当に手作り合成っていうか。どうやっているんだろう? とにかく、すごい自主制作映画的な匂いさえただようような、そんな感じですごくキュートな作品なんだけど。で、たしかに出だししばらく、電車がすれ違う瞬間に車窓に夢の少女をハッ!って見つけて。「ああっ!」ってなるところとか、あと少年のモノローグで始まるところとか。始まってしばらくは、「あっ、たしかに。これ、あれっ、あれっ? 結構、思った以上に似ているかも?」みたいな感じで、ドキドキしながら見ていたんですけど。

でも、見進めるうちにですね、やっぱり全然……もちろん当然のことながらタッチから、最終的に話が向かっていく方向から何から、やっぱり全然違くて。ということでございます。まあたとえて言うなら、『アポカリプト』はたしかに『裸のジャングル』の影響を強く受けているかもしれないが、でも両者は実際に見ると結構似ていないっていう(笑)。全然違う映画になっていますよと。だから仮にこの映画『星空のむこうの国』の影響があったとしても、まあそれを全然違う形で。まさにいまの2016年の、みんなが大好きな要素ブチ込みの、いろんな意味で良くも悪くも現代的なエンターテイメントとして仕上げて見せた今回の作品っていうのはその意味でも、じゃあすごいじゃん!っていうことになるんじゃないかな? という風に思ったりなんかいたしました。ええ。

結構かかりました。お金がね(苦笑)。肝心の評は終わっているのに……これ、先週見ておきたかったな! そしたらドヤ顔で出したのにな。「みなさん、ご存知でしょうかね~!(ドーン!)」って出したのになっていうね(笑)。ということでございます。


<書き起こしおわり>

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事