槙野智章 日本代表移動バス内での選曲コンセプトを語る

槙野智章 日本代表移動バス内での選曲コンセプトを語る block.fm

サッカー日本代表の槙野智章さんがblock.fm『Smooth Navigation with EMPORIO ARMANI』に出演。サッカー日本代表の移動バスなどで選曲を担当している槙野さんが、タケル・ジョン・オトグロ(TJO)さんとその選曲コンセプトについて話していました。

(TJO)結構あれですか? 槙野さん、音楽は大好き?

(槙野智章)音楽はね、昔から大好きですね。

(TJO)じゃあ、今日は槙野さんの音楽的なところとか、キャラクター的なところを含めていろいろ聞けたらなと思うので。

(槙野智章)どんどん引き出してください。よろしくお願いします。

(TJO)よろしくお願いします。というわけで、いま後ろで聞こえているこの曲はなんですか?

(槙野智章)これはですね、プロサッカー生活においてやっぱり日本人だけでチームが組まれていないんですけども。基本的に日本で活躍しているブラジル人が非常に多いんですよね。その中で、ブラジルの選手から「この曲はいいよ」っていうのを教えてもらった曲になっています。

(TJO)なるほど。で、この曲が、マイケル・テロ(Michel Telo)ですね。

Michel Telo『Humilde Residencia』

(槙野智章)はい。

(TJO)これはいつごろ知った曲ですか?

(槙野智章)これはですね、彼のデビュー曲でもある、みなさんの頭の中にも流れている『Ai Se Eu Te Pego』という歌……

Michel Telo『Ai Se Eu Te Pego』

(TJO)はいはい。

(槙野智章)『ウィニングイレブン』の主題歌にもなっているんですけども。あえて、その曲じゃないセカンド曲ですね。だいたいこれを試合の前に流して、みんなで緊張している雰囲気を和ませる。みんなで踊りながらウォーミングアップに向かうっていう中で、僕のルーティンですね。これを第一に流しますね。

(TJO)かならずかけるんですね。これって、あれですか? 控室の中でがっつり大きいスピーカーで音を鳴らして聞く感じですか?

(槙野智章)そうですね。僕が大きいスピーカーを持ち込んで。で、Bluetoothで飛ばして。それをみんなが聞いてテンションを上げるっていう感じでやっていますね。

(TJO)へー! じゃあ、試合前の時間は全て槙野さんが選んだ曲?

(槙野智章)そうですね。だから僕の曲でチームの結果も左右されるっていうことなんで、非常に大役を担っているというか。

(TJO)重要ですね(笑)。そういう流れで言うと、日本代表の中でも音楽担当ということで。日本選手団の移動バスの中で、なんとDJ槙野としてチームメイトのみなさんのモチベーションを上げるべく選曲をされているということだったんですけど。たとえば、普段の試合とか移動のバスとかだと、やっぱり流れとかも考えたりするんですか?

(槙野智章)そうですね。練習の行き来のバスの行く時に流す曲、そして練習が終わってホテルに帰る曲なんかも、洋楽、J-POPを上手く変えながらですね、チームの雰囲気、監督の雰囲気を見ながら選曲しています。

(TJO)ああ、そうなんですね。すごいな、それ(笑)。

(槙野智章)いや、もう非常にね、僕の流す曲で選手のテンションだったり……口元を見て、「あ、この曲ハマってんな」とか。

(TJO)「歌ってるな」みたいな?

(槙野智章)そうですね。「この曲、ちょっと違うな」と思ったら次の曲に行ったりとか。

(TJO)あ、途中でもすぐにパッと切り替えたり?

(槙野智章)すぐ。はい。

(TJO)あ、全然そういうのは躊躇なくやられる?

(槙野智章)全然OKっす。曲は止めないように。みんなのテンションを見ながらですね。

(TJO)へー! 本物のDJじゃないですか。それじゃ、完全に。

(槙野智章)(笑)。で、だいたいホテルに着いた時に、音楽が止まってもみんながまだ口ずさむようだったら僕の勝ちです。

(TJO)そういう状況も、ある?

(槙野智章)そうですね。で、それをメモして、「ああ、この曲はハマったな」とか。それを全部メモして、だいたい選手のテンションに合わせて、それを織り込んでいくっていう感じですね。

(TJO)で、次のタイミングからもその曲をちゃんとセットの中に入れていくという?

(槙野智章)そうですね。

(TJO)たとえば、音が止まってからも口ずさんでいるっていう話がかなり印象的だと思うんですけど。その曲、たとえば何の曲とかですか?

(槙野智章)たとえばですね、いま流れているジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の『Love Yourself』。これは日本代表のチームの中でいま、非常にヒットしている曲でして。

Justin Bieber『Love Yourself』

(TJO)へー!

(槙野智章)移動中はもちろんですけど、ストレッチをしている時間ですね。1人の時間の時でもこれを流して、みんなが自分の身体とコミュニケーションを取っている時にこの曲を流すと非常にいい雰囲気に包まれている傾向がありますね。

(TJO)おおーっ! この曲が、いまのところ、最近のみんなのヒットチューンという?

(槙野智章)そうですね。これがもう、いちばんですね。中でも、イタリアで活躍されている長友佑都選手はこれをリピートしまくっています。

(TJO)ああ、そうなんですね! そんな情報まで聞けるとはという感じなんですけども。

(中略)

(TJO)で、いまちょっと、1曲紹介していただいていいですか?

(槙野智章)このね、エンリケ・イグレシアス(Enrique Iglesias)の『Bailando』っていう歌なんですけども、日本語に直すと「踊ろうよ!」っていうことなんですけども。

Enrique Iglesias『Bailando』

(TJO)うんうん。

(槙野智章)これもですね、実は日本代表ではなくてこれは浦和レッズで流しているという曲なんですけども。その名の通り、「踊ろうよ!」っていうことで。試合前に緊迫したムードだったり、こわばっている選手って中には何人もいるし。ベテランの経験ある選手でも、嗚咽というか……本当にシビアな状況が続いている雰囲気なんですけども、そこであえてこういうファニーな歌を流して、みんなで手を取り合って「踊ろうよ! この状況を楽しもうよ!」っていうことで、これを流しているんですけど。

(TJO)へー!

(槙野智章)基本的にこれを流した時にはほぼ全勝しています。

(TJO)おっ、すごいですね!

(槙野智章)やっぱりルーティンがある中で、流さないといけない曲があるとどうしても監督のミーティングで長くなって流せなくなる時とかもあるんですけど。まあばっちりこのルーティンにハマって、これが試合前にドン! と来た時にはみんないいプレーだったりいい結果が出ていますね。

(TJO)すごいですね。そういうマスト曲ってあるんですね。

(槙野智章)これ、マストです!

(TJO)はー! しかも、監督の話とかの時間も全部計算して選曲する。ますますDJですね(笑)。

(槙野智章)ありがとうございます。

(TJO)時間配分までコントロールしてっていう。

(槙野智章)まあ、中でもこの歌、『Bailando』っていう歌を歌った後にコーラスで、「Bailando♪」っていうのがあるんですけど。これを僕が言った後に選手が返してくれた時はもう最高潮っす!

(TJO)へー! それ、すごいいいですね。

(槙野智章)はい。まあ、選手がそれだけリラックスして乗っている証拠ですね。

(TJO)なるほど、なるほど。そうなんですね。

(中略)

(槙野智章)僕、好きな曲だったりとか、海外の曲もそうなんですけど、絶対に和訳して。その自分にズシッと来るメッセージは携帯のメモにちゃんとメモしておいて、インタビューがある時に、自分の言葉かのように自分で発するというようなことをやっているんですけど(笑)。

(TJO)へー!(笑)。でも、実際に和訳して曲の内容とか意味も知ると、さらに思い入れが強くなりません?

(槙野智章)もう全然違います。で、この『Love Yourself』なんてさっき日本代表で流行っているって言いましたけど、この『Love Yourself』の和訳を調べて、さらにその奥深くをどんどん調べていったら、ジャスティン・ビーバーが前の彼女にあてた歌だったり、皮肉った歌っていうのをまた選手に伝えたら、みんながもっと聞き入って。「ああ、これはこんなメッセージがあったんだね」っていうのを知ると、またどんどん好きになるっていう。裏の裏をどんどん聞いていくっていうのも、またひとつの楽しみだなって。

(TJO)あれですね。DJって、曲をかけてみんなのテンションを上げたり、ムードはチェンジするんですけど、そういうところまで。言葉ひとつひとつを伝えていく時間ってあまりなかったりするじゃないですか。だから、DJ槙野っていうか選曲家槙野に、いま……

(槙野智章)(笑)。次の仕事、ありますかね?

(TJO)あると思います(笑)。でも、それはね、すごくいいですね。

(槙野智章)本当ですか? いま、日本代表のスタッフにフランス人チームが結構数多くいるんですけど。フランス人の他にスペイン人もいます。セルビア系の方もいます。そういう方に、日本の歌とかも流して評価してもらうんですけど。「この歌、いいね!」とか、彼らから「この曲、どうやってダウンロードするの?」って聞いてもらえるぐらい。僕も流して、アタックしているんですけど。

(TJO)そうなんですね。ちなみにそれで最近彼らに刺さった曲って何だったりします?

(槙野智章)ええと、AK-69の……外国の方はやっぱり日本語はわからないので、なにを言っているかはわからないんですけど、そのトラックが好きだって言ってますね。

(TJO)ああ、なるほど! AKさんとかみなさん、反応するんですね。

(槙野智章)大好きですね。まあ、日本語の中でもすごいメッセージ性が強くて。僕、大好きなんです。

(TJO)逆に、彼らにこの日本語の曲の意味も教えてあげたりは?

(槙野智章)教えます。教えます。

(TJO)それもちゃんと伝えるんですね。はー!

(槙野智章)なかなか口に出さないような言い回しの言葉らしいんで。まあ、手を叩いて笑ったリとかもしてましたね。はい。

(TJO)なるほど、なるほど(笑)。そこから日本語を覚えていったりするんでしょうね。

<書き起こしおわり>

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