宇多丸『HiGH&LOW』鬼邪高校テーマ曲『Jump Around』を語る

宇多丸『HiGH&LOW』鬼邪高校テーマ曲『Jump Around』を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で映画『HiGH&LOW THE MOVIE』の推しキャラクター、鬼邪高校の村山さんについてトーク。鬼邪高校のテーマ曲『Jump Around』を紹介していました。

(宇多丸)まあ、そんな楽しい日々とかあったんですけど。いろんなことがあったんですけど……まあ、とにかく『HiGH&LOW』、特に後ほど映画評の中でも言うつもりなんですけど、応援上映っていうのに行ってきて。これがもう、全ての印象をふっ飛ばしてしまいましたね。全てのエンターテインメントをふっ飛ばしましたね。「映画を超える」なんて、『HiGH&LOW THE MOVIE』の惹句であって、当然私、映画好きですからそういうことを言われるとカチンと来るわけですよ。「はあ? 簡単に言わないでよ」と。……ある意味、超えたよね。それをね。それは、超えてきましたよ。

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ということで、思わぬ方向から超えてきた『HiGH&LOW THE MOVIE』ということで。後ほど、中の話はいろいろしていこうと思うんですけど。

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まあやっぱりさ、こういうのはさ、外側から見てやいのやいのね、批評というか粗探しを始めだすとキリがない作品なので。とりあえず一旦はさ、僕は毎週どの作品に対してもそういう風にアプローチしているつもりですけど。やっぱり1回はその作品にダイブするというか、その作品を心底つき合って見るというか。肉体関係を結んでみる勢いでやってみるわけですよ。で、まあどっぷりハマってみたわけですね。で、その中で、それこそビデオ考古学者のコンバットRECとか橋下プロデューサー、橋Pなんかは「琥珀さん! 琥珀さん!」って。まあ、琥珀さんもわかるんだけど。AKIRAさんが演じる、特に今回の劇場版の中心人物というか、この人が本当に困った人で(笑)。琥珀さんが本当に困った人すぎて、こういうことになっているっていう人なんだけど。

まあ、琥珀さんはいいのよ。琥珀さんは僕も大好きなんだけど……琥珀さんはもともとMUGENというグループを組んでいて。井浦新さん演じる龍也っていうのとね、「MUGENは仲間を裏切らねえ!」なんてやっているんだけど、どうもそのね、MUGEN。そしてそのMUGEN流れの山王連合会って、一応主人公というか、メインになっている人たちはちょっと俺の好みからするとウェットすぎますよ、あいつらは。なんぼなんでも。「琥珀さん! 琥珀さん、なんでわかってくれないんすか!?」って(笑)。しかも、わかるからね。最終的にね。「えっ、聞くの、話?」みたいな(笑)。あ、そうだ。応援上映の突っ込みの中で、「効いている! 効いている!」っていうのがあってよかったですけど(笑)。まあ、それはいいんだ。

だから、琥珀さん周りはちょっとね、僕の個人的な好みからはちょっとウェットすぎ。あと、やっぱり自分勝手すぎ(笑)。いろんなことを個人の思いで、大きな決断をしすぎ(笑)。で、その結果いろんな人に本当に迷惑がかかっているというのがありますんで。僕的にはですね、やっぱりこういうのは「僕は○推し!」みたいなのを作って楽しむものじゃないですか。で、やっぱり見ていて、いちばんの僕の推しは鬼邪高校(おやこうこう)っていう……まあ、これがもうすでにふざけているもんね。不良の学校。『クローズ』的な不良の学校ですよ。それが「おやこうこう」っていう読みになるっていうふざけた名前なんだけど。鬼邪高校の頭を取っている村山さんという方がおりまして、僕は村山さん推しですね。山田裕貴さんという、D-BOYSの方が演じられてますけども。

ちょっと、雰囲気的には清春さん風な感じの、ちょっとロックな感じっていうか。で、鬼邪高校の特に村山さんの感じは全体に90年代西海岸スケーター感というか、そういう感じでファッションもなっていたりとかして。まあ、ファッションはともかくとして、僕は村山さんのなにが好きか?っていうと、どいつもこいつも集団になってさ、なんだかんだやっているわけじゃないですか。「絆が……」とか「仲間を裏切らねえ!」とか言っているわけじゃないですか。村山さんは、やっぱりなんか頭は取っているんだけど、それはいまたまたまのことであって……というか。チームの中にあって、ちゃんと個があるというか。1人は1人だっていう感じがちゃんと漂わせているキャラクターなので、この中でいちばん強烈な個を感じさせるというか。1人でも別に平気っていう感じがする人っていうか。それが僕は村山さん、好きですね。

村山さん推し

もちろん、テレビシリーズの中でも村山さんを巡るエピソードが僕はいちばん好きですね。一旦ちょっとやる気なくなっちゃってからの、轟っていうメガネをかけた人が挑戦してきてからのいろんなエピソード。やっぱりいちばんキャラクターとしても人間的な魅力がはっきりあって、村山さん、すごい好きだなというあたりでございまして。ということで、ちゃんとムービーウォッチメンで『HiGH&LOW』という作品の論に行く前にですね、私、鬼邪高校の特に村山さん推し……あ、ちなみにクルー全体としては僕は、MIGHTY WARRIORSです。やっぱり。かっこいいもんね。MIGHTY WARRIORS、かっこいいな!

俺、同じラップ業界、ヒップホップ業界にいるけど、あんな華やかなクラブ、行ったことねえなあ(笑)。あれがさ、全部セットだっていうのも驚いちゃってさ。だいたい、日本の映画に出てくるクラブシーンって、大体がダサい……ってっていうか、日本の映画に限んないんだよ。クラブシーンって、ダサいんですよ。っていうか、音楽をかけて「フォーッ!」なんて踊ってるのはダセーんだ、んなもんは。なんだけど、ちゃんとかっこよく。で、都内のいろんなクラブで撮った場面とか、我々は業界のほぼ内部みたいなもんだから、見るとだいたいどこのクラブのどこの角度から撮っているなとかわかっちゃって。で、自分たちにとっての日常の延長でもあるから、ちょっと軽く白けるじゃないけど、「あーあ……」ってタカをくくちゃうところがあるんだけど。

今回のでMIGHTY WARRIORSが拠点にしているディスコというか、クラブというか、でっかいのがあって。「これ、どこだ? ええっ? この空間の広さからするとageHaぐらいしか思いつかないけど、ageHaはこんなところあったかな?」みたいな。挙句ね、格闘があって、途中でびっくりするような、「ええっ!?」っていうような空間の使い方をするんだけど。で、後からパンフを見てみたら、セットだっていうんだからね。これは驚いちゃったね。で、そこにANARCHYが出てきたりとかね。完全に、僕らのシーンから出てきた人が出てきているのを見ると、非常に誇らしい思いが。だから、クルーとしてはMIGHTY WARRIORSが好きなんだけど、個人としては村山さん推しということで、ここらで曲をかけようと思うんですが。

まあ、『HiGH&LOW THE MOVIE』。サントラなんかも出ていて、非常に世界的な豪華なメンツが参加していたりするんだけど、そこであえて、鬼邪高校のテーマというか。毎回この曲がかかるので。DOBERMAN INFINITYというLDHの中の、EXILE TRIBEの中のグループが『Jump Around』という、オリジナルは1992年。ハウス・オブ・ペイン(House Of Pain)の曲をカバーしている曲が流れるんですけど。まあ、ひょっとしたらこれをカバーだって知らない人もいるかもしれないですね。まあ、非常に有名な曲だし、いまだに結構これ、たまにリアルタイムで聞いてなかったような世代がいっぱいいるところでかかって、普通に盛り上がっているから、やっぱり盛り上がる曲なんだね。なので、オリジナルを今日はあえてお聞きいただきたいと思います。

1992年、ハウス・オブ・ペインというグループ。プロデュースは当時、サイプレス・ヒル(Cypress Hill)というグループで非常に、ある意味ヒップホップシーンのトップに立って、ロック業界からも非常に注目を浴びていたDJマグス(DJ Muggs)という人がプロデュースでございます。ハウス・オブ・ペインというグループはアイリッシュ系、アイルランド系のグループで、グループのアティチュードとしてアイルランド系というのを強く打ち出していたグループでございます。メインラッパーのエバーラスト(Everlast)っていうのは後にロック的な方向に行ったりなんかもしましたけど。

で、これ当時シングルが出た時に、「ああっ、なんかこれ、すごいフレッシュなノリの曲が出たな!」っていう。ちょっと遅めのスカなノリっていうか。ジャングル・ブラザーズ(Jungle Brothers)のリミックスだとそういうのがあったりしたけど。「ああ、遅めのスカみたいなのでこんなかっこいい感じになるんだ!」みたいな。ちょっとRHYMESTERがいまやっている『Style Wars』っていう新曲もちょっと遅めの裏打ちなノリとかもあって、ちょっと似たところがある気もするんですね。ということで、鬼邪高校のテーマ曲。DOBERMAN INFINITYがカバーしたオリジナルの方の曲でございます。ハウス・オブ・ペインで『Jump Around』。

House of Pain『Jump Around』


はい。ハウス・オブ・ペイン、1992年の本当にいまだにヒップホップの現場ではかかることもある、非常に有名でかつ盛り上がる曲。ハウス・オブ・ペインの『Jump Around』。DOBERMAN INFINITYのカバーバージョンの方をお聞きの方が、いまむしろそっちの方を知っている人の方が日本では多いんだと思うんですけど。改めて聞き比べればいかにDOBERMAN INFINITYのみなさんがこれの原曲のラップのフロウというか、聞こえの感じを日本語にどう上手く置き換えているか?っていうのがすごくわかると思いますね。

試みとしてはTaro Soulがノーティー・バイ・ネイチャー(Naughty By Nature)の『Hip Hop Hooray』という、だいたい年代的には似たような感じですけど。の、日本語カバーバージョンをやったのと同じアプローチですね。

いちばん早いのは、Taro Soulが早かったと思いますね。といったあたりで、私は村山さん推しということを言ったあたりで。後ほど、ムービーウォッチメンで『HiGH&LOW THE MOVIE』を行ってみたいと思います!

<書き起こしおわり>

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