Wardaaと鳥居咲子 Okasian、Keith Ape、DEANと88risingを語る

鳥居咲子 韓国ヒップホップシーンを語る dommune

FNMNLのWardaaさんがDommune『ヒップホップコリア』特集に出演。鳥居咲子(a.k.a ヴィヴィアン)さんとともに韓国ヒップホップアーティストのOkasian、Keith Aple、DEAN、そして注目YouTubeチャンネルの88risingを紹介していました。
※The Cohort『Look Around』を聞いた後でのトークです。

(Wardaa)はい。ということで、さっきと比べると全然暗いというか。そしてラップのスタイルも全然違いますよね。韻というか押韻のグルーヴ感みたいなのがあんまり重要視されてないっていうか。すごい吐き捨てるような感じっていうのが……僕、個人的にやっぱりそういうのが好きだったので、すごいハマったというか。最初にラップをしていたのがOkasianなんですけど。去年、来た時にインタビューに同席させてもらって。

(鳥居咲子)あ、はいはいはい。

(Wardaa)やっぱり周りのハイライト・レコーズ(HI-LITE RECORDS)のメンバーもやっぱりアンダーグラウンドのいまのスタイルを作り上げたのはOkasianだっていう風に言っていましたね。

(鳥居咲子)はい。それは間違いないと思いますね。ハイライトっていう……まあ後で詳しく説明しますけども。ハイライトっていうレーベルがあって、そこにOkasianが入ったんですけど。ハイライトってもともと割とポップだったりロックだったりみたいな音楽を多様にやっていたんですけど、Okasianが入ったらOkasianのスタイル一辺倒になっちゃって。みーんなOkasianに合わせていったみたいなところが。それぐらい影響力が強くって。

(Wardaa)うんうん。

(鳥居咲子)まあ、Okasianはアメリカ人なんですね。韓国系アメリカ人で、血は韓国だけどアメリカで生まれ育って、アメリカ国籍で。

(Wardaa)逆輸入っていう感じですよね。

(鳥居咲子)そう。逆輸入ですね。で、大人になってからハイライトに来て、韓国で活動を始めたんで。やっぱりアメリカのトレンドを取り入れるもなにも、そのままアメリカのトレンドの真ん中にいる人、みたいな。

(Wardaa)そうですよね。

(鳥居咲子)そういう人が来たんで。それが、またハイライトの中だけじゃなくて、シーン全体に影響を与えたみたいなのはあったと思います。

(Wardaa)そうですよね。だからその『Orca Tape』が、The Cohortがいまのところ唯一出した作品になっていて。それで、さっきの曲の最後にラップをしたのがキッド・アッシュ(Kid Ash)っていうラッパーなんですけど、このキッド・アッシュがキース・エイプ(Keith Ape)なんですよね。

(鳥居咲子)はい。名前を変えました。

(Wardaa)名前を変えて、キース・エイプになって2015年の正月に出したのが『It G Ma』という曲で。それをちょっと聞いてみましょうか。まあ、知っている方も多いかもしれないですけど。

(鳥居咲子)そうですね。はい。

Keith Ape『It G Ma』

(Wardaa)はい。ということで、この曲が去年出て、1曲でさっきも言いましたけど。キース・エイプはアメリカに行ってしまって。

(鳥居咲子)契約してね。ハイライトとの契約を中途で円満解除して。で、アメリカに。

(Wardaa)すごいですよね。で、この曲には日本人のラッパーが2人参加していて。1人が、先ほども紹介したSQUASH SQUADのLootaと、もう1人が最近超ビッグニュースで、宇多田ヒカルのアルバムに参加するっていうKOHHが参加していて。日本でもかなり、『It G Ma』自体も話題になりましたし。

(鳥居咲子)そうですね。

(Wardaa)韓国より、むしろアメリカの方が話題になっているんですよね。

(鳥居咲子)そうですね。韓国が割と思った以上に話題になっていなんですよ。もうなんか、なんでしょうね? やっぱりアメリカに……しかも最初はアメリカに住んでいる韓国系アメリカ人とか、韓国系の間で火がついて。で、そこから普通にアメリカ人に広がっていったっていう。

(Wardaa)そうなんですよね。しかも、もうひとつトピックがあって。この曲がアメリカに広まったのも、最初はネガティブな理由だったというか。OG・マコ(OG Maco)というアトランタのラッパーの『U Guessed It』っていう曲を明らかにトラックとかを参考にしているだろうっていって。OG・マコ本人にも怒られるというか……

OG Maco『U Guessed It』

(鳥居咲子)最初、ちょっとキレてましたよね。

(Wardaa)そうなんですよ。それがあって、アメリカのメディアとかもかなりこの曲をポジティブなのかネガティブなのか取り上げて、それで広まっていったっていうところもありますね。

(鳥居咲子)ありますね。

(Wardaa)ただ、OG・マコ本人も最終的に握手したりとか……

(鳥居咲子)一緒に仲直りして写真を撮ってみたいなのを。

(Wardaa)そういうのもあったし。やっぱり曲自体の力がすごいあったから、ちゃんと広まっていったっていう感じはありますよね。

(鳥居咲子)OG・マコの元ネタって言ったらあれだけど……を、ちょっと超えちゃった部分もあったりして(笑)。

(Wardaa)やっぱりキース・エイプのすごさっていうのはスキル云々じゃないというか。乗り越えていく感じっていうか、力技でいろんなものをブチ壊していく感じっていうのがあって。それで、ずっとアメリカでもかっこいい活動を続けていてですね。キース・エイプの曲をもう1曲ぐらいかけていいですか? これはですね、ケン・レベル(Ken Rebel)っていうニューヨークのラッパーとキース・エイプとOkasian、JayAllDayが参加した『UNDERWATER REBELS』っていう曲があるのでそれをちょっと聞いてください。

KEN REBEL『UNDERWATER REBELS FEAT. KEITH APE, Okasian, JayAllDay』

(Wardaa)はい。ということで、キース・エイプがニューヨークのラッパーのケン・レベルとやった『UNDERWATER REBELS feat. Okasian & JayAllDay』っていう。

(鳥居咲子)はい。いつメンですね。

(Wardaa)はい。いつものThe Cohortのメンツですね。この曲とか、PVも結構ニューヨークの街を荒らし回るっていうPVが上がっていて。PVも430万回ぐらい視聴回数が行っていて。キース・エイプは『It G Ma』以外結構知られていないというか、最初に当て過ぎちゃっているので、知られていない……

(鳥居咲子)そうですね。韓国でもそもそも知られていない状態だったのにっていう。

(Wardaa)っていう状態が続いているんですけど。いまも全然、アメリカでもちゃんと支持を受けているんですよね。で、本当は9月にEPが出る予定だったんですよ。9月1日に『Self Portrait』というEPが出る予定だったんですけど、まだ出ていない。遅れているっていう感じなんですけど。このEPとかのミュージックビデオが何本か上がっているんですけど、それを上げているのが88risingっていうYouTubeのチャンネルがあるんですよね。

(鳥居咲子)はい。

(Wardaa)ただ、ひとつのYouTubeのチャンネルなんですけど、すごいいろんなことをやっているというか、面白いことをしている人たちで。この88risingも韓国ヒップホップにかなり関わりがあるので、ちょっと紹介したいんですけどいいですか?

(鳥居咲子)はい。88rising、いま話題騒然なんですけど。でも、何者なのかよく分からないっていう……

(Wardaa)そうなんですよね。88risingは……じゃあちょっとそのキース・エイプの新しいEPに入る曲を1曲。

Keith Ape『Diamonds ft. Jedi P』

(Wardaa)はい。キース・エイプの『Diamonds ft. Jedi P』っていう曲で、このPVが上がっているのがYouTubeの「88rising」っていうチャンネルなんですけど。この88risingは韓国だけじゃなくてアジアのヒップホップとかそういうアンダーグラウンドなカルチャーを盛り上げていこうっていうチャンネルで、すごいコンセプチュアルなことをたくさんやっていて。たとえば、ヒップホップ好きの人なら知っているかもしれないですけど、インドネシアにいま16才のラッパーでリッチ・チガ(Richi Chigga)っていう子がいるんですよ。その子のミュージックビデオとかも出しているのがこの88risingだったりとか。


https://miyearnzzlabo.com/archives/38793

(鳥居咲子)ああー、なるほど!

(Wardaa)あと、アメリカにもたぶんすごいコネクションがあるっぽくて。リル・ヨッティー(Lil Yachty)っていうすごいいまアメリカで人気の19才のラッパーがいるんですけど。そのリル・ヨッティーにBIG BANGの曲のインストでフリースタイルをさせるっていう。なんか面白い企画を。

(鳥居咲子)すごいコネクションもだけど、経済力もたぶんすごいんですよね。

(Wardaa)そうなんですよね。なんで88risingはアジアをフックアップしていくっていう話なんで。

(鳥居咲子)映像を主に作っているっていう感じなんですかね?

(Wardaa)です。映像も作っていて、曲のリリースとかもやっているっていう感じですよね。

(鳥居咲子)なるほど。さっきもちょっと話したんですけど、日本の某会社とかにも88risingが声をかけたりとかもあるみたいなんで。これから日本とかも……まだ日本は参加してないんですよね?

(Wardaa)日本のローンチパーティーみたいなのはしているんですけど。ただ、まだ日本のアーティストと一緒になにかをやるみたいなのは……KOHHとOkasianの『Save Time』っていう曲が1曲、上がっていましたけど。

(鳥居咲子)なるほど。すごいですね。

(Wardaa)なんで、かなり88risingは注目のプラットフォームかなと。その88risingにもピックアップされるもう1人のいまをときめくアーティストを紹介してもいいでしょうか? ちょっとラッパーからはズレるんですけども、DEAN(DΞΔN・ディーン)という人がおりまして。

(鳥居咲子)あっ、出た! たぶん楽しみにしている人がいっぱいいると思うんですけど(笑)。「DEAN、ついに来た!」って(笑)。

(Wardaa)はい。DEANはどっちかって言うとR&B寄りで。かなり顔もイケてますし、人気的にはアイドル的な人気ですよね。

(鳥居咲子)そうですね。なんかDEANだけの特殊な位置づけな気がする。アイドル的でもあるけど、なんかこれまでにない、もう「DEAN」っていうポジションですよね。

(Wardaa)でも、それはかなりすごいですよね。去年ぐらいから注目をされ始めて。

(鳥居咲子)っていかデビューが去年です。

(Wardaa)で、今月来日もするアンダーソン・パック(Anderson.Paak)とも共演していたりもするっていう、かなりすごい動きをしているアーティストがいるんですね。

(鳥居咲子)エリック・ベリンジャー(Eric Bellinger)とか、そのへんとも共演しているっていう。

(Wardaa)DEANの『Bonnie & Clyde』という曲をちょっと聞いてみます。

DEAN『Bonnie & Clyde』

(Wardaa)はい。ということでDEAN。

(鳥居咲子)素晴らしいですね。いい音で聞くと余計にすごいいいですね。

(Wardaa)作り込まれ方もしっかりしていて。DEANも音的にはめっちゃオリジナルのことをやっているというわけではなくてですね、USにSOULECTIONっていう新しいビートとR&Bとかを融合させているDJコレクティブみたいなのがいて。そのSOULECTIONとかの影響をかなり受けてるんですよね。なんで、そこらへんも取り込み方が早いというか。

(鳥居咲子)そうですね。ビルボードトップ100を取り入れているというか。なんか、常に追いついている感じですよね。

(Wardaa)そうですね。それでそのDEANは韓国でSOULECTIONみたいなクルーを自分たちでやっているんですよね。それがClub Eskimoっていうクルーで。

(鳥居咲子)これがまた、情報が少ないんですよ。

(Wardaa)かなり少ないんですよね(笑)。誰がいるかぐらいしか分からなくて。まあ、この後に紹介するCrushっていう、これも大人気アーティストですよね。Crushだったり、あとはトラックメイカーでMisoっていう、これは女性ですね。あとはmillicっていう方だったりとか。SOULECTION的な音が好きな人だったらかなり好きなトラックメイカーっていうのが揃っていて。Club Eskimoは注目してほしいと思います。

(鳥居咲子)はい。

<書き起こしおわり>

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