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いとうせいこうとサイプレス上野 フリースタイルラップブームを語る

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いとうせいこうさんがFM yokohama『Baydream』にゲスト出演。サイプレス上野さんとフリースタイルラップブームについて話していました。(トークテーマ「ヒップホップ談義」についてリスナーから送られてきたメールに回答しています)。



(サイプレス上野)(投稿メールを読む)「『あのラッパー強い/弱い』という表現はどうなんでしょう? それはあくまでフリースタイルバトルの話で、たとえば弱いと言われているラッパーの音源ってかっこよくないんですか? そんなことないですよね。一応90年代から日本語ラップをしっかりチェックしてきたつもりの33才の意見です。まずは音源、そしてライブ。しっかりお金を出して聞き倒してからいろいろ言ってもらいたいです。簡単にSNSとかでラッパーにものを言うな! おっさんの戯言でした」というね。

(いとうせいこう)おっさんじゃないしね。33なんて。

(サイプレス上野)33だったらまだ……

(いとうせいこう)若者ですね。

(サイプレス上野)たしかに、これはフリースタイルの……

(いとうせいこう)いいところと、悪いところと。

(サイプレス上野)そこだけでやっぱり判断しちゃうっていうね。けど、若い……特にもっと若い子たちはいま、テレビとネットで見れるようになって入ってきたら。俺なんてね、なにせ(『フリースタイルダンジョン』で)5連敗していたあのどん底の……

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泥沼のダンジョン5連敗

(いとうせいこう)(笑)。それは俺にも責任があるけどさ。悪かった、悪かった。

(サイプレス上野)いやいや、全然せいこうさんは悪くないです。審査員なんで。けど、それとか本当に街を歩いてて全員敵に見える状態になって。

(いとうせいこう)(笑)

(サイプレス上野)若いガキンチョたちはTwitterとかで「いい加減、勝てよ!」とか。

(遠藤舞)「負けた! 負けた!」って言ってくるとかでしょ?(笑)。

(サイプレス上野)「負けた! 負けた!」とかって。勝ちてえよ、俺だって! みたいな。で、なにが勝てるのか、よくわかんねえみたいな。迷いの森というか。本当に。あって……で、その後に『高校生ラップ選手権』で「写真、いいっすか?」って言われたやつが、それを書いていたやつだったんですよ。

(いとうせいこう)ああー。

(サイプレス上野)「俺、○○なんすよ」とかって。で、普通書いていたやつって、言わないじゃないですか。怒られるとか思って。

(いとうせいこう)言わないよね。

(サイプレス上野)けど、それを超えてくるバカだったから、そいつのこと愛おしくなっちゃって。本当に。

(いとうせいこう)(笑)

(遠藤舞)ピュアだなー(笑)。

(サイプレス上野)ピュアすぎて。こういう子が絡んできているんだったら、まだあれだなって。大人になったな、俺もって思って。

(いとうせいこう)しゃべり方を知らなかったっていうことなんだね。

(サイプレス上野)あと、絡みたいっていう。けど、強い/弱いじゃなくて、音源からライブっていうので、やっぱりそういうのを学んできたから俺も36になって。ずっと前からそういうのを学んできたから。そこだけね、いまはクローズアップされてますけども。

(いとうせいこう)まあゲームの強いものと精神性の強いものとは違いますからね。いろいろね、これもバトルは入り口で。こういう風なルールがあるんだ、こういうところが面白いんだってことをわかるには、バトルはいちばんわかりやすい。プレゼンとしてはいいじゃない。でも、その奥があるよ!っていうね。楽しいよね。それがね。

(サイプレス上野)そっからもう、どんどん深い森に入ってきますからね。

(いとうせいこう)そうです。その通りです。

(サイプレス上野)じゃあ、ちょっとこの投稿者にはせいこうさんから、お願いします。

(いとうせいこう)よっしゃっしゃっす!

(サイプレス上野)よっしゃっしゃっす! いい話が今日、できまくるんで。

(遠藤舞)そうですね。熱いですね。

(サイプレス上野)熱いよ。もうヒップホップの話になったら。さあ、こんな感じで今日のトークテーマは「ヒップホップ談義」です。バシバシ送ってください!

(中略)

(サイプレス上野)メッセージが来ておりますね。今日は「ヒップホップ談義」ということで。(投稿メールを読む)「日本のヒップホップ黎明期だと近田春夫さん、高木完さん、藤原ヒロシさんのタイニー・パンクス、そしてゲストのいとうせいこうさんだと思います。なんとなくものすごい縦社会な感じがしますが、せいこうさんから見て最近のフリースタイルブームは続いてほしいですか? 続きますか?」ということで。

フリースタイルブーム

(いとうせいこう)いや、続くんじゃないですかね。僕はZEEBRAに、とにかく行けるところまで行っちゃえ! もう、なんの規制も……「ここは危ないんじゃないか?」とか言うことなく、行けるところまでとにかくローリングしちゃって。そこでなにが残るのか?っていうのは、もう後の問題じゃないですか。

(サイプレス上野)そうですね。

(いとうせいこう)でも、やっぱり小学生から中学生から、みんなやっちゃっているから。事がもう変わってきちゃっているよね。ディメンションが。次元が。それはそう思いますね。

(サイプレス上野)たしかに。みんながもうやり始めるっていう、そのすごいいいきっかけになっていますからね。

(いとうせいこう)そう。で、そのことが楽しいっていうのを子供たちもわかってきちゃったら、これは止めようがないですよね。あとは、言う中身がちゃんとしているのかどうか?っていうことを、僕ら大人が見たりなんかしてね。

(サイプレス上野)そうですね。ちょっとエデュテインメント(Edutainment)というか。

(いとうせいこう)そうそうそう。

(サイプレス上野)やっぱりちょっと若い子たちだと、たまにバトルで見たりするんですけど。やっぱり……

(いとうせいこう)もう同じようなことを言ってるじゃん。

(サイプレス上野)言っちゃいけないようなことを言って……ってなっちゃっているから。そこはやっぱり学んでいくことによって。

(いとうせいこう)そう。人間としてどうなの? そういう暴言ってダメじゃない? そうじゃない言い方で言うのがいいんじゃないの? とかっていうのは、やっぱりそこで知恵がつくからね。

(サイプレス上野)素晴らしい。じゃあ、この投稿者にはせいこうさんから……

(いとうせいこう)よっしゃっしゃっす!

(サイプレス上野)よっしゃっしゃっす! みんなヒップホップに対して真面目ですね。(投稿メールを読む)「ヒップホップなんですが、以前は全く興味がありませんでした。が、『Baydream』のおかげで『フリースタイルダンジョン』も見るようになりました。素人ながらにボヤッと見たり聞いたりしていますが、みなさん早口すぎて字幕がないとなにを言っているかわかりません。もうちょっと聞き取りやすければラップも浸透するのではないでしょうか?」ということで。

聞き取りと字幕問題

(いとうせいこう)でも、いまの人たちはかなり聞き取りやすい人たちが出ているよね。もっと聞き取りにくい人、いっぱいいるわけで。

(サイプレス上野)めちゃめちゃいると思うんですよ。で、せいこうさんとかはだって生で審査員してもらっている時は、要するにリリックが字幕で出てないですからね。

(いとうせいこう)出てないのよね。あれ、大変なんだよね。で、こっちに後でコメントを求められるから、韻を踏んでるのをみんな書いて。メモってるの。あれで、もう頭がいっぱいになっちゃうんだよね。

(サイプレス上野)すごいっすよね。だから審査員って……俺も8月に『Under 22』でやったんですけど。本当に書いたりとか、いいところをちゃんと覚えておかないと、「なに言ってんだ?」ってなっちゃうから。「こんな大変なことをやっているんだ! もう金輪際、やらなくていいや」とか思って(笑)。

(いとう・遠藤)(笑)

(いとうせいこう)そうだよ。

(サイプレス上野)プレイヤーの方がまだ気持ちが楽で。

(いとうせいこう)いやいや、サ上はサ上で5連敗して人にそういう風に言われているかもしれないけど、審査員もさ、「なんだ、あの審査は?」ってしょっちゅう言われるけど……でもこっちもさ、「ここはこいつのいいところをもっと伸ばしたいんだ!」とか、もっと大きい見地に立ったりしてるわけじゃないですか。「ここで落とすわけにはいかない。こいつにはかならず何かある」とか、そういう勘とか。そういうものでやっているからね。まあ、みんな何かを、「ヒップホップのためだったら、仕方ない」と思ってやっているから。それで、盛り上がるんでしょうね。

(サイプレス上野)そうっすね。だからこれ、ちょっとラップの聞きやすいっていうのはなんだろうな? 一回りしちゃったけど、聞きラップもすごい流行ったじゃないですか。KICK THE CAN CREW以降、RIP SLYME以降っていうか。で、雨後の筍みたいな感じでポンポン出てきて、ヒップホップが薄まっちゃった時代があって。俺たちはそれを指をくわえて見ているっていうか。「同期のやつが、売れやがって!」みたいな。

(いとうせいこう)(笑)

(サイプレス上野)そう思ったりしてたけれども、いま、さらにまた、わかりやすく子供も入れるけども、まだ耳を鍛えていけば聞こえるようになってくるから。

(いとうせいこう)そうなのよ。

(遠藤舞)あ、そうなんですか?

(いとうせいこう)そう。慣れてくると、いきなり聞こえるようになるから。

(遠藤舞)英語みたいな?

(いとうせいこう)英語みたいなもんだよ。

(サイプレス上野)そうそう。急に、なに言ってるかすげーわかるようになってくると思うから。たとえば『ダンジョン』だけの世界で言ったりしたら、「聞きやすいようにやれ」って俺、言われたら別に次からやれるけど。それじゃ別に勝てないから。

(いとうせいこう)うん。そうね、そうね。

(サイプレス上野)「あいつ、ゆっくりなだけじゃん」ってなっちゃうので。そこはやっぱりバトルとして楽しんでもらいたいなと。あと、聞きやすいラップっていうのはCDだったり作品だったら、探せばあるんでね。

(いとうせいこう)あるあるある。そして、歌詞カードも付いているから。

(サイプレス上野)そう。ぜひね、みなさん。だって、字幕を出す時点で俺たち、結構モメたんだよ。『ダンジョン』側と。

(いとうせいこう)ああ、やっぱり。そりゃそうだよね。

(サイプレス上野)ラッパーとしては「出さなくていい」っていう意見が多かったんですよね。

(いとうせいこう)わかるわ。でも、テレビとしては出したことによって、ヒップホップを知らない人たちが「えっ? こんなに韻を踏んでるんだ」ってはじめてわかったんだよね。

(サイプレス上野)あれが本当に分岐点だったなと思った。やっぱり、俺たちだけの意見じゃなくて、みんなが意見を出しあったっていう気がします。じゃあ、この投稿者には俺から……よっしゃっしゃっす!

<書き起こしおわり>

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