宇多丸・吉田豪・コンバットREC 『シン・ゴジラ』を語る

宇多丸・吉田豪・コンバットREC 『シン・ゴジラ』を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

吉田豪さんとコンバットRECさんがニコニコ生放送『タマフル24時間ラジオ』に出演。宇多丸さんと映画『シン・ゴジラ』について話し合っていました。

(吉田豪)つーか、『シン・ゴジラ』を今日、話しに来たんじゃなかったの? いいの?

(コンバットREC)いや、別にそういうわけでもないですけど……

(宇多丸)『シン・ゴジラ』熱はどうですか?

(コンバットREC)『シン・ゴジラ』、面白いですよ。

(吉田豪)だって、春日(太一)さんが話すんですよね?

(宇多丸)春日さんがその話を。

(コンバットREC)今週、杉作(J太郎)さんと伴ジャクソンと僕で『シン・ゴジラ』座談会をやりましたよ。

(吉田豪)ああ、BUBKAでね。

(宇多丸)ああ、そうなんだ。

(コンバットREC)BUBKAの今月末発売のに掲載される……

(吉田豪)で、そのためにJさんが『シン・ゴジラ』を見に行って。感想を聞いたんですよ。

(宇多丸)それはでも、やっぱり杉作さんの読みがメインになってきてしまう……

杉作J太郎『シン・ゴジラ』の感想

(吉田豪)いや、でもJさん最高でしたよ。やっぱり。この前、聞いたんですけど。結局いま、石原さとみの評判がすごい悪いじゃないですか。

(宇多丸)ああ、まあそれはちょっとかわいそうだと思うけどな。

(吉田豪)あの英語の感じだのなんだのを叩かれたりっていう。Jさんはとにかく情報を一切入れないで見たらしいんですよ。で、感想としては、「とにかく石原さとみが最高!」って言っていて(笑)。

(宇多丸)あの人だってさ、「かわいい」がもうね……

(吉田豪)なにも知らなかったから、突然石原さとみが完全に惣流・アスカ・ラングレーとして出てきたからびっくりして……

(宇多丸)ああ、だからまあ、そういうことだろうね。

(コンバットREC)でも僕は石原さとみでよかったと思いましたよ。あれ、石原さとみ以外の人だったら、もっと叩かれてましたよ。石原さとみはみんな好きじゃないですか。

(宇多丸)ある意味、石原さとみという受け止め力があっての?

(コンバットREC)石原さとみだから、こんぐらいで済んでいるんだという。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)ちなみにJさんが熱く石原さとみの魅力を語った後で、「いま、石原さとみがすごいネットで叩かれてるんですよ」って言った時にものすごい絶句して。「な、なんで?」っていう(笑)。

(宇多丸)でも、小保方さんをさ、「かわいい」という一点張りで擁護しているのと同じ理由でしょ?(笑)。

(吉田豪)(笑)

(コンバットREC)いや、でもいいじゃないですか。イーオンで身につけた英語力。コマーシャルやってるからね。

(吉田豪)そうなんですよ。「イーオン背負ってるんだから、英語が下手なわけないんですよ!」って言ってました。

(宇多丸)ああ、やっぱり。さすがその視点ね。なるほどね(笑)。イーオンで英語が下手なわけがない(笑)。そういうレベルかよ?っていう(笑)。

(吉田豪)(笑)

(コンバットREC)だから竹野内(豊)もイーオン行ってるのかもしれないですけどね。結構がんばってましたからね。英語ね。

(宇多丸)まあ、竹野内の役はあんな感じでいいけど。その、ネイティブっていう設定だからさ。でも一応、ああいう立場の人はどうしゃべるかみたいなのを彼女なりに取材した結果らしいし、まあ昔の特撮映画に出てくる怪しい外人風みたいなさ。そういう狙いもあると思うから。全体としてそんな、芝居のいわゆるリアル芝居っていうんじゃないから。トーンが統一されているから、俺は全然ありでしょって思ってますけどね。

(吉田豪)全然ありですよね。

(コンバットREC)僕は1回目はやっぱりちょっと気になりましたけどね。でも2回目はもうそういうもんとして見れるから全然気にならなかったし。どんどん好きになりましたね。

(宇多丸)まあ、初見時のさ……

(コンバットREC)でも、これまだ見てない人がいるから、ネタバレ……

(吉田豪)ここは大丈夫ですよ、別に。

(宇多丸)だって予告で……アスカっていう意見もあるし、俺は最初に(葛城)ミサトさんっぽいって予告を見た時に思ってて。あの振り返り方のあれとかがさ、こう……「ああ、庵野さんがイメージする大人の女像のある種の型に」っていう感じが。

(コンバットREC)杉作さんが不満だって言っていたのは、ヤシオリ作戦が始まる時にさ、2人が着替えたじゃない? あそこで杉作さんは石原さとみがメカゴジラに乗って戦うと思っていたんだって。

(吉田豪)ああ、そうそうそう。なにも情報を入れてなかったから。

(コンバットREC)「メカゴジラが出てこなかった!」ってすごい怒っていて。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)「エヴァみたいな感じで乗り込むと思っていたのに。えっ、乗り込まないの!?」って(笑)。

(宇多丸)いままでの話のリアリティーラインが(笑)。

(吉田・REC)(笑)

(宇多丸)あんなに、内閣とかあんなにグダグダ揉めているところに、なんでメカゴジラが出てくるんだ!?って(笑)。

(コンバットREC)あ、ちょっとすいません。いま、ネタバレしちゃいました。メカゴジラ、出てこないんですよ。ごめんなさい!

(吉田豪)出ないんですよ。残念ながらね。

(宇多丸)ジェットジャガーは出ません!

(吉田豪)結構ね、普通に凹んでましたよ。「出ると思ったのに!」って。

(宇多丸)まあね。でも後半、あそこからはリアリティーラインがちょっとだけ下がってさ。

(コンバットREC)でもこれ、普段やっているのは大変だね。ネタバレしないで映画を語るのって、ほぼ不可能に近いじゃん。だってこんなの。

(宇多丸)まあ、ねえ。

ネタバレ問題

(吉田豪)でもやっぱ、ネタバレしてるとかって叩かれたりするじゃないですか。相当気を使っても。

(宇多丸)まあね。でもさ、本当にゼロで見たい人はわざわざ俺のコーナーなんか聞かなければいいわけで。だから、それはね。あんまり言われても。あと、基本的にはそんなにネタバレされても困るもんでもないでしょう?っていうか。

(吉田豪)だから僕が『シン・ゴジラ』を見て、なるべくネタバレしないように画像だけでつぶやいたんですよ。『イデオン発動篇』の画像を貼って「こんな感じの映画でした」って。あれでも怒られましたからね(笑)。

(宇多丸)(笑)

(コンバットREC)僕もTwitterとかでは怒られるから、内容とかは触れないようにしましたよ。

(吉田豪)「ネタバレしたじゃないか!」って2、3人に言われて。

(宇多丸)前さ、ハロプロのハロコンの、誰からの卒業ライブのあれで。「こんな感じでした」っつってさ、幻魔大戦のラストのさ、車座になってこう……(笑)。

(吉田豪)そんなのあったっけ? ハロコンで。

(宇多丸)違う。来れなかったの。来れなかった時のやつで、「きっとこんな感じだったんだと思います」って(笑)。車座になって回っていくエンドロールのさ……

(コンバットREC)石川・吉澤の卒コン。

(宇多丸)そうそうそう(笑)。「きっとこんな感じだったと思います」「そうそう、そんな感じ」っていう(笑)。いい加減すぎる返事をしていたっていうね(笑)。俺、いちばんネタバレしちゃいけないのは、あの形だと思いますね。あれはちょっと驚いたから。

(吉田豪)もう出ちゃってますもんね。ネットにも。

(宇多丸)おもちゃが出ちゃっている。『スターウォーズ』と同じで。だからAmazonでこうやって、「グッズないかな?」って見ていると、「うわっ!」っていう。それはありますよね。

(吉田豪)予告で見たことがない形が……っていう。

(コンバットREC)でもさ、この期に及んでネタバレとか言ってるのは、「早く見に行けよ!」っていうだけな気がするけど。

(宇多丸)出た。『スターウォーズ フォースの覚醒』の時に正月の2日とかかな? 12月18日に公開されて、その時に居酒屋で飲んでいて、大声で「あのさ、ハン・ソロがさー!」って。「ちょちょちょっ、そんな大声だと、やっぱり見ていない人もいるから……」「そんなもん、いまもう1週間とかたってんだから! 見てねえやつが悪いんだよ!」って(笑)。

(コンバットREC)いや、ネタバレで怒るほど好きなんだったら、もう見に行ってるだろう?って気がするけど。

(宇多丸)いや、でもそう思う。だから、本当よ。こんだけ評判になっていて、『シン・ゴジラ』はもう3、4週間たってるっけ?

(コンバットREC)まあね。ただ、「俺は絶対にブルーレイで見ようと思っていた!」っていう人がいたら面白いけどね。

(宇多丸)「俺はブルーレイ派!」って(笑)。

(コンバットREC)「映画館が嫌いなんだ!」っていう人がいたら、それはたしかにごめんなさいですけど。

(宇多丸)まあね。いや、結構ほら、テレビで放映している時になってようやくさ、バーッと言ってきたり……

(コンバットREC)まあテレビで見るのが楽しいんだよね。

(宇多丸)わかるわかる。それはわかる。

(吉田豪)まあね、みんな同時に見れるからね。

(宇多丸)あと、たまたまやっているところに見ちゃう方が、っぽいじゃない?

(コンバットREC)あの途中から見る感じ、最高だよね。

(宇多丸)だから遅く起きてさ、「あ、午後ローなにやってんだ? おっ! おいおいおい! 『コマンドー』、しかもまだここかい!」みたいな(笑)。「あのセリフ、まだ間に合うぞ!」っていうさ(笑)。「OK!(ドーン!)」っていうのね。そうそうそう。

(中略)

(宇多丸)なんか、いいんじゃないですか。ゴジラ話は。アニメ化するっていう話ですよ。誰がするの?

(吉田豪)別口で。

(コンバットREC)全然違うんでしょ? 『シン・ゴジラ』のアニメ化じゃないでしょ?

(宇多丸)ああ、そう。

(吉田豪)監督まで発表されてますよ。

(宇多丸)ああ、そうか。虚淵(玄)さんが。『まどマギ』の。

(コンバットREC)だから面白いかもしれないね。どういう風に切るか。でも今後さ、ゴジラがどう進むべきか?っていうのは気になりませんでした?

(宇多丸)今回のはだって、もう単体っていうかさ。

今後のゴジラ展開

(コンバットREC)終わらしているよね。でもさ……ああ、これは言えないのか。続けようと思えば続けられるじゃないですか。

(吉田豪)まあ、そういう感じですよね。

(コンバットREC)庵野さんは「絶対にやらない」って言っているみたいですけど。

(宇多丸)たださ、あれで続けたらもうゴジラじゃないでしょ? あの先をやったら。ねえ。っていうか、エヴァじゃん(笑)。っていうかさ、あの設定っていうかあのオチがさ、どこまでもエヴァだったからさ。

(コンバットREC)だから、どうやって続けていくか? ですよね。

(宇多丸)シリーズっていうか怪獣映画を。

(コンバットREC)要はさ、俺はもう怪獣プロレスに戻すっていうのは、将来的にはいいと思うんだけど。5年後とか10年後にもう1回、怪獣プロレスに戻すのは。しばらくは……

(宇多丸)そうかね? 俺、今回のでこういう方向をやりきったから、逆にプロレス需要ある気がしますけどね。

(コンバットREC)僕はね、今回は庵野さんじゃないですか。いろんな作家に投げて、「好きなゴジラを撮ってください」っていう。

(宇多丸)毎回リブートで。

(コンバットREC)そうそうそう。「はじめてのゴジラだと思ってやってみて」っていうのを、いろんな人に振っていくのがいいんじゃないかな? という気がします。しばらくは。

(宇多丸)っていうか、そのやり方がいいよね。前のを背負ってやるからさ。

(コンバットREC)そうそうそう。もう続編じゃないんですっていうので、毎回毎回やっていくのがいいのかな?っていう気がしますね。

(宇多丸)プロレスはハリウッドがやるよね。だって、この間もさ、ムートーと……一応VSものだったし。今度もコング対ゴジラだもんね。一応、ハリウッドはそっちに行こうとしてますよね。

(コンバットREC)そう。東宝さん的にはさ、今回は(興行収入が)50億は超えると言われているヒットなわけですから。まあ、やりたいわけじゃないですか。ゴジラブランドが復活しているわけだし。

(宇多丸)ただ、まあ今回は結構特別だよね。

(コンバットREC)まあ、特別ですよね。でもこれで、こんぐらいやっていいんだよってことで、いろんな作家が挑んでいくっていうのはいいと思いますね。

(宇多丸)あと、その作りもさ、すごく日本映画の粗が出ないように計算され尽くしたやり方だから。じゃあ、こういう形で日本の大作映画がいきなりクオリティー、全体がアップするか?っていうと、それはまた別問題っていうか。

(コンバットREC)でもね、やっぱりね、それは庵野さんが今回、すごく戦ったからですよ。ものすごい現場、戦ったらしいですよ。やっぱり。

(吉田豪)まあでも、確実に大人の事情が絡むでしょ?

(コンバットREC)だって大作であればあるほどしがらみとか事情とかいっぱいあるわけで。

(吉田豪)だから、それに負けたのが『進撃の巨人』でしょ?

(コンバットREC)いや、そんなことは一言も俺は言ってないよ!

(吉田豪)(笑)

(宇多丸)「負けた」というより、『進撃』までは別にそこはあのラインでありだったんだけど、「それじゃダメだろう?」っていうラインの問い直しを厳しくして。僕も風の噂で、そのライン引きを厳しくしたっていうのは聞くので。

(吉田豪)同じ監督で同じような出演者で、あそこまで出来るっていうね。

(宇多丸)やっぱこの2本の差はなんなのか?っていうのを考えるとすごく……

(コンバットREC)それは出演者がみんな、「今回は庵野監督と仕事できて」としか言わないので察しろっていうことですよね?

(吉田豪)監督が、「とにかく脚本がよかった」って言っていたね。今回ね。

(宇多丸)まあ、それは間違いない。だし、要はできること、できないことの線引きがはっきりしているっていうかさ。演技のさせ方しかり。

(コンバットREC)現場のメイキングの写真が全て、現場で庵野さんが支持している写真っていうね。

(吉田豪)相当庵野さんがコントロールしていたみたいですね。

(宇多丸)まあ作品を見れば。だって俺、評の中で「庵野、庵野、庵野」しか言ってないけど。別にそっから、それで誰からも文句が出ないっていうことは……ってことですよね?

(コンバットREC)完全に庵野さんがコントロールしてたってことですよね。全体をね。

(中略)

(吉田豪)おっ、春日太一さんがツイートしてますよ。『吉田豪さんが明らかにもっていきたがっている「そっち」への話は俺が朝しますよ。一年経ってシンゴジラを経た上で分かった「進撃」への総括的なこと。』っていう。春日さんがいろいろと責任をもって話すみたいです。

(宇多丸)なるほど。ぶっこんでくると。ちなみに、これ、アンケート使えるんですよ。聞いて、投票とかしてもらえる。たとえば、『シン・ゴジラ』をもう見ている人とかできるわけですよ。ちょっとやってみましょう。

(コンバットREC)みんな見てれば、ネタバレ気にしないでいこう。

(宇多丸)『シン・ゴジラ』を見ている人と見ていない人でいま、アンケートを取ろうと思います。お願いします。

(吉田豪)文春の花田さんの感想が最高だったでしょ? 見てない? 「ゴジラがかわいそうだ」っていう(笑)。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)「みんなでよってたかってゴジラをいじめて、ひどい」っていう。

(宇多丸)それ、たしかターザン山本さんもそれに近いようなことをおっしゃってましたね?

(吉田豪)なんか「辛気臭いやつらが出てきて。笑顔がない映画だ」って(笑)。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)なんであの状況で笑顔を出すんだよ!?っていう(笑)。

(コンバットREC)でも、杉作さんも近いことを言ってましたよ。「ゴジラ、1人ですごいがんばってた!」みたいな(笑)。

(宇多丸・吉田)(笑)

(吉田豪)ゴジラに感情移入してるんだ(笑)。

(宇多丸)おかしいでしょ?(笑)。面白いね。やっぱね。はい。ということでアンケート。『シン・ゴジラ』を見ている人、見てない人の投票。「1、見ている 2、見ていない」。どうかな? (コメントを読む)「片桐はいりの笑顔があっただろ」(笑)。たしかに、たしかに。あの場面ね、高良くんも笑っているし。あと、最後は市川実日子さんも笑いますしね。一応ね。さあ、来るかな? 投票、どうだ? (結果 見ている:66% 見ていない:34%) あ、結構見てねえな。

(吉田豪)3分の2。

(宇多丸)はっきり言って、見た方がいいのは間違いないですよ。間違いなく。なんか、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』とかもそうだけど。まあ、好きか嫌いかはどうかとして、結構10何年に1回っていうか……

(コンバットREC)もっとじゃないですか? 日本の……普通の大作映画じゃなくて、超大作映画じゃないですか。これ。超大作映画で邦画で面白かったのって、僕らの世代でリアルタイムであったっけ?っていう……

(吉田豪)この前のAbemaTVで宇多丸さんがバニビのレナに言っていたじゃないですか。「『マッドマックス』を見ていない? だから伸び悩んでるんだよ!」って(笑)。

(コンバットREC)最悪だな!

(宇多丸)いや、「そういうところじゃないの? 伸び悩むの」っていう(笑)。

(コンバットREC)(笑)。キツいこと言うなー。よくないよ、そういうこと言うの! それは普通に腹立つなー。

(宇多丸・吉田)(笑)

(宇多丸)毎週でも、呼んで一緒に仕事しているから。

(コンバットREC)いやいや、それを言っちゃダメでしょう。

(吉田豪)最高でしたよ(笑)。

(宇多丸)指導する立場としては。

(コンバットREC)もちろん、好き嫌いはあると思いますけど。僕は、今回『シン・ゴジラ』、15億。プロモーションを入れて15億だから、実制作は15億行ってないのかな? プロモーション費をすごく抑さえてるんだよね? 要は『パシフィック・リム』の10分の1の予算で『パシフィック・リム』よりも面白いじゃん!って思いましたよね。

(宇多丸)うんうん。全然使い道というか、そこが。たとえばゴジラ、途中で止めちゃったりして。配分をすごいさ……

(吉田豪)まあ、CGをそんなに使わなくていいようにするとか。

(宇多丸)とか、庵野さんの6分の1理論っていうさ。「怪獣映画は登場するのが6分の1以上だと子供っぽくなる」っていうのがあって、まああれに留めているんだと思うけど。そういうところ、コスト計算も含めて。あとさ、僕、あのバランスがすごい最高だと思ったの。特撮っぽさと、ちゃんと手触りは残しながらCGを交えてショボくなく見せるっていうのさ。

(吉田豪)うんうん。

(コンバットREC)そうね。まあ、着ぐるみでやろうとしたんだけど上手くいかなくて、CGに切り替えたっていう。だから、その時点で実は樋口さんの仕事がなくなっちゃっているんだよね。CG屋さんの仕事だからさ。特美も……

(吉田豪)樋口さんの仕事がなくなっている?

(コンバットREC)いやいや、やめようよ、そこは突っ込まない……

(吉田豪)(笑)

(宇多丸)でもさ、どこからどこまでかはシームレスでわからないけど、ミニチュア感とか着ぐるみ感は残しながらもショボくないっていうさ。

(コンバットREC)あと、白組さんがね、あんだけいい仕事って。庵野さんが相当厳しくリテイクをたぶん要求したんだと思いますね。

(宇多丸)たぶんさ、ハリウッド的なCGの「リアル」な感じっていうのと違うコストのかけ方をしているから。なんかそういうのがよかったんでしょうねとは思うんだけど。

(コンバットREC)僕はね、座談会でも言いましたけど、カメラアングルがとにかく素晴らしいと。カメラの置き場所が人間の視点以外には絶対にカメラを置かないっていうのを徹底したんですよね。要は、普通に人間の視点から見ている、もしくは空撮で見ている。もしくは、ビルの屋上とかからロング(望遠)で見ているみたいなところ以外はカメラを置いてないんですよ。

(宇多丸)ゴジラ、結構デカくなってから、上からグーッと回るようなショットとか。あれはまあ、空撮っていう……

(コンバットREC)空撮じゃないですか。あれは人間の視点としてあるじゃないですか。

(吉田豪)飛行機に乗ってっていうね。

(コンバットREC)要は、怪獣プロレスになると、「なんでこんな都合のいい距離でバストショットが撮れるの?」みたいな。

(吉田豪)神の視点みたいな感じの。

(コンバットREC)神の視点っていうか、都合よくプロレス中継みたいな画がガンガン入ってくるようになっちゃうんですよね。どうしても。ウルトラマンとかもそうなりがちなんですけど。そういう画を一切使ってないんですよね。

(吉田豪)この角度で誰が見ているんだ?って言うね。

(コンバットREC)だから全部、人間が見ている画になってるんですよね。そういうところはすごいこだわっていましたね。

(宇多丸)ということで、3割強ぐらい見てない方がいらっしゃる……

(コンバットREC)見た方がいいですよ!

(宇多丸)それは間違いない。好みは別として。『マッドマックス』もそうだけどさ。話のとっかかりでもいいから、見た方がいいよっていうのあるじゃないですか。そういうこと。で、そういうのを「見ていない」っていうから、「そういうところじゃねえの?」っていうさ(笑)。

(コンバットREC)まあ、よっぽど怪獣映画がどうしても嫌いっていうんだったらね。

(宇多丸)でもそれね、見終わった後にメールやっていて。これが全く受け付けないんだったらそれは怪獣映画を受け付けないってことかもしれないから。

(コンバットREC)こんなによくできている怪獣映画、何十年ぶりだよ?っていう。初ゴジ以来っていうね。

(宇多丸)そう。本当に。だし、まああれを超えている部分もやっぱりあると思うから。

(コンバットREC)いっぱいありますよ。でも、84年版のリベンジっていう志はすごい感じましたね。

(宇多丸)モルモット吉田さんのにも書いてあったけど、新幹線が手前に走ってきて失笑みたいなね。リベンジとしてあるっていう。

(吉田豪)正しい新幹線の使い方。

(宇多丸)まさに84年。俺、リアルタイムでゴジラをちゃんと新作見たのは84年ゴジラだから。

(吉田豪)ですね。タイミング的に。

(コンバットREC)84年版ってでも公開前って……

(吉田豪)あれ、町山(智浩)さん出てるんですよね。たしかモブシーンで。

(宇多丸)へー!

(コンバットREC)あれって公開前に「現代にゴジラが出たらどうなるか、リアルにシミュレーションします」ってはっきり言われていたんですよね。で、すっごい期待してたんですよね。絶対に核の使用の話とかにもなるし……っていうのとかも全部あって。すごい期待してて、まあ見たらちょっとがっかりだったんだけど。やっぱり公開前は当時みんな期待してて。

(宇多丸)3G対決ですからね。まさに『ゴーストバスターズ』……すごいね。『ゴーストバスターズ』のリメイクと『シン・ゴジラ』とっていうね。あと『グレムリン』が揃えば3G対決っていう。

(コンバットREC)なんで、あれは全然……庵野さんとかも期待していたはずなんですよ。当時。それを多分見に行ってがっかりした経験があって、「じゃあその志をやってやろう!」っていうのはすごい感じましたけどね。

<書き起こしおわり>

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