高橋芳朗 長門芳郎『パイドパイパー・デイズ』を語る

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高橋芳朗さんがTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』の中で、伝説のバンド、シュガー・ベイブの誕生に関わった長門芳郎さんの回顧録『パイドパイパー・デイズ』を紹介していました。



(高橋芳朗)じゃあ今日は、こういうテーマでお送りします。あのシュガー・ベイブの誕生にも関わった伝説のレコードショップのオーナー、長門芳郎さんをご存じですか? ということで……

(ジェーン・スー)気になるね。

(高橋芳朗)お送りしたいと思います。7月15日に刊行されたこちら、長門芳郎さんという方の自伝『パイドパイパー・デイズ 私的音楽回想録』というのを切り口に、今日は曲を紹介したいんですけども。

(ジェーン・スー)ふーん。

(高橋芳朗)この長門芳郎さんという方、説明しますとですね、長崎県出身の音楽プロデューサー、音楽雑文家を肩書としている方で、日本のロックの貴重な証言者にして豊富な知識を持って数々の名盤を世に紹介してきた、ポップスの水先案内という風に資料には書かれていますけども。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)70年代には数々の伝説的なバンド、アーティストのマネージャーを務めていたんですね。たとえば、シュガー・ベイブ。山下達郎さん、大貫妙子さん、村松邦男さんなんかが在籍していた幻の伝説のバンド。それから、ティン・パン・アレー。細野晴臣さん、松任谷正隆さん、鈴木茂さんなんかが在籍していたバンドですね。

(ジェーン・スー)うんうん。

(高橋芳朗)あとはソロ時代の、まだYMO結成前の細野晴臣さんなんかのマネージャーを務めていて、80年代には青山にありました伝説のレコードショップ、パイドパイパーハウスの店主を務めてらしてですね。

(ジェーン・スー)ああ、そうなんですね。

(高橋芳朗)で、パイドパイパーハウスは青山の骨董通りにあったんですけども、長門さん独自のセレクションで日本の音楽シーンにもう絶大な影響をおよぼしているんですけども。村上春樹さんの短編小説『雨やどり』とか、あと田中康夫さんの『なんとなく、クリスタル』とかにも、このパイドパイパーハウスは登場してきたり。

(ジェーン・スー)出た、『なんクリ』。時代感がわかるよ。

(高橋芳朗)で、お店の常連客にはピチカート・ファイヴの小西康陽さん、オリジナル・ラブの田島貴男さん、佐野元春さん。で、田中康夫さん曰く、音楽業界の人々が集うある種の梁山泊みたいなところだったという風に表現していましたけどもね。で、この『パイドパイパー・デイズ』はそんな長門さん初の回顧録。

(ジェーン・スー)じゃあ当時、時代はこうだったっていうことを自ら書いてらっしゃるんですね。

(堀井美香)まだいらっしゃるんですか?

(高橋芳朗)はい。とにかくね、もうすごい話のオンパレードです。今週月曜日に僕、ネット配信番組で長門さんとご一緒したんですけども。もう、「すごいですね」としか言えないというかですね。

(ジェーン・スー)生き字引という感じですか? 当時の。

(高橋芳朗)「これ、映画化できるぞ!」みたいな。『あの頃ペニー・レインと』みたいに映画化できるような感じなんですけども。たとえば、長門さんは大瀧詠一さんと山下達郎さんがはじめて出会ったその場所に居合わせていたり。そういう人だったりするわけですよ。

(ジェーン・スー)おおっ!

(高橋芳朗)でもまあ、やっぱり中でも特にね、いちばん興味深いというか引きがあるのは、シュガー・ベイブの結成だったり、彼らの唯一のアルバム『SONGS』の制作秘話みたいなところがいちばん読み応えがあるところだと思うんですけども。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)なので今日は、この本の中にも詳細に綴られていますけども、そんな
シュガー・ベイブと彼らに影響を与えた音楽を聞き比べてみたいと思います。まずは、シュガー・ベイブの曲からかけたいんですけども。まあ、公式には山下達郎さんの名義でリリースされた『パレード』という1976年の作品を聞いてもらいたいと思います。これ、もともとはシュガー・ベイブのレパートリーとして1974年に作られた曲なんですけども、結局シュガー・ベイブとしてはレコーディングされることはなく。

(ジェーン・スー)うん。

(高橋芳朗)後々、「これをお蔵入りするにはもったいないね」ということで、山下さんがレコーディングしてオフィシャル化されたという、そういう敬意があります。はい。じゃあさっそく聞いてください。山下達郎さんで『パレード』です。

山下達郎『パレード』


シュガー・ベイブ『パレード』


※1:30あたりからスタートします。

(高橋芳朗)シュガー・ベイブというか山下達郎さんで『パレード』を聞いていただきました。みなさん、聞き覚えはありますよね?

(ジェーン・スー)そうですね。堀井さんもこの曲は知っている?

(堀井美香)はい。『オレたちひょうきん族』です。

(高橋芳朗)エンディングテーマで、EPOさんが歌っていましたけども。で、これシュガー・ベイブとして録音した『パレード』はデモバージョンとしてアルバム『SONGS』のデラックスエディションにボーナストラックとして収録されているので聞くことができるんですけど。そのデモは大瀧詠一さんのすすめでシュガー・ベイブをレコード会社にプレゼンするために、ニッポン放送の銀河スタジオでレコーディングされたそうなんです。

(ジェーン・スー)へー!

(高橋芳朗)で、その時の様子がこの本、『パイドパイパー・デイズ』に書いてあるんですけど。「その時に録音したのは山下くんが書き下ろしたフィフス・アベニュー・バンド(The Fifth Avenue Band)調の『パレード』。ライブの定番曲『夏の終わりに』。前年12月のデビューコンサートで初披露した『SHOW』。それに大瀧さんの『指切り』のカバーという4曲。完成したデモテープを持って前島社長と僕で東芝のエキスプレスレーベルなどいくつかレコード会社に売り込みに歩いたが、よい反応を示すレーベルは現れなかった」。

(ジェーン・スー)アホか?っていう話ですけどね。

(高橋芳朗)ねえ! 信じられませんけどね。

(ジェーン・スー)失礼しました。そっちの方がいいです。信じられませんね!

(高橋芳朗)(爆笑)。というわけで、CMを挟んで、その「フィフス・アベニュー・バンド調の『パレード』」と書いてあるそのフィフス・アベニュー・バンドの曲を聞いてみたいと思います。

(CM明け)

(ジェーン・スー)今日はシュガー・ベイブの名曲に関わる重要人物、長門芳郎さんについてお送りしています。

(高橋芳朗)はい。じゃあ続いてはシュガー・ベイブに絶大な影響を与えたバンドフィフス・アベニュー・バンドの『Nice Folks』という曲を紹介したいと思います。1969年の作品になります。フィフス・アベニュー・バンドはニューヨークのグリニッジ・ビレッジで結成されたバンドで、アルバムは1969年にリリースしたセルフタイトルのアルバム1枚を残しているのみとなっております。

(ジェーン・スー)あ、1枚しか出してないんだ。

(高橋芳朗)で、アルバム1枚を残してもう解散しちゃっていることからもわかると思うんですけども、当時は日本はもちろんアメリカでも全く評価されてなくて。そういう点では、シュガー・ベイブと似ているのかもしれないですけども。もう、ウィキペディアにもね、フィフス・アベニュー・バンドの項目はないです。

(ジェーン・スー)ああ、そうなんだ。へー!

(高橋芳朗)ないです。で、はじめて日本盤が出たのも、リリースから10年以上たってからのことなんですよね。でもまあ、長門さんの界隈。シュガー・ベイブとかはっぴいえんどのみなさんの間では、もうリリースされた間もない頃から名盤としてスタンダード化していたということですね。で、いまでこそ、名だたるレジェンドに影響を与えた名盤として日本でも割と知られるようになりましたけども、それはやっぱり、長門さんの功績によるところが大きいのかな? という感じがいたします。

(ジェーン・スー)そうなんだね。はい。

(高橋芳朗)じゃあさっきのね、シュガー・ベイブの『パレード』を頭にぼんやり浮かべながら、聞いてみてください。フィフス・アベニュー・バンドで『Nice Folks』です。

Fifth Avenue Band『Nice Folks』



(高橋芳朗)フィフス・アベニュー・バンドで『Nice Folks』を聞いていただきました。もう今日の天気にばっちりですね。

(ジェーン・スー)ねえ。永遠のポップミュージックっていう感じがしましたけども。

(高橋芳朗)エバーグリーンってやつですね。

(ジェーン・スー)それそれ。

(高橋芳朗)もうシュガー・ベイブとフィフス・アベニュー・バンドだけかけていれば聴取率が上がりそうな気がしますね。

(ジェーン・スー)(笑)。雑だな。

(高橋芳朗)で、あれですよ。フィフス・アベニュー・バンドと言えば、KIRINJIの堀込高樹さんも非常に影響を受けていて。ソロコンサートでこの最後に入っている『Angel』という曲をカバーしています。




(ジェーン・スー)そうだったんですか! 私、ちょっとそれ行ったライブかな? 記憶になくてごめんなさい。

(高橋芳朗)ちょっと聞き比べてみてください。というわけで、この長門さんの……

(ジェーン・スー)もう1回、本の名前をお願いします。

(高橋芳朗)『パイドパイパー・デイズ』。もう日本のロック史のドキュメンタリーとしても面白いですし。すごいエピソードの連発。あと、ディスクガイド的にも楽しめる1冊なんで、ぜひみなさん、手にとってみてください。


(ジェーン・スー)中を見てみたら、当時のフライヤーとか写真なんかもふんだんに入っていて。

(高橋芳朗)もうね、これを読んで思うのはアンチ断捨離。ものを捨てちゃ、ダメ!

(ジェーン・スー)たしかにね。本当、そうだよね。

(高橋芳朗)あとですね、この『パイドパイパー・デイズ』の出版に合わせて長門さん選曲のコンピレーションCDの発売になっています。『ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ』。ソニーレコードから2000円で。


(ジェーン・スー)ああ、そうなんですね。

(高橋芳朗)もう、嫌になるぐらいいい曲が入っています(笑)。

(ジェーン・スー)嫌になっちゃった(笑)。

(高橋芳朗)はい。あと、タワーレコード渋谷店ではこの伝説のパイドパイパー・ハウスが5階フロアの一角に半年間の期間限定で復活しております。

(ジェーン・堀井)へー!

(高橋芳朗)で、売り場には長門さんセレクションのCDやアナログはもちろんなんですけども、当時の貴重なポスターやフライヤーも展示されていて。で、長門さん自身もお店に立っていることが多いです。

(ジェーン・スー)そうなんだ。

(高橋芳朗)で、めちゃくちゃ気さくな方なんで。話しかけていろいろお聞きするのもいいんじゃないでしょうかね。なので、タワーレコード渋谷店にちょっと寄ってみてください。


(ジェーン・スー)これは足を運ばねばなりませんね。

(高橋芳朗)生活情報でございました。

(ジェーン・スー)というわけでそろそろエンディングテーマが聞こえてきましたが。来週のテーマは?

(高橋芳朗)まあ、リオオリンピックが開幕直前ということ。なんかブラジル音楽にちなんだ企画を考えております。

(ジェーン・スー)あの、来週の予告が実行された試しがないんですけど……

(堀井美香)いつもしないんですけど(笑)。

(高橋芳朗)まあ、いろいろあるじゃない。しょうがないじゃん。

(堀井美香)じゃあ、なにに変わるか楽しみにしていますね(笑)。

(高橋芳朗)変わらん! 俺は変わらんぞ!

(ジェーン・スー)リオオリンピックじゃなさそうということだけ、お伝えいたします。高橋さん、ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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