ピエール瀧と赤江珠緒『エヴェレスト 神々の山嶺』を語る

ピエール瀧 出演映画『エヴェレスト 神々の山嶺』を語る たまむすび

ピエール瀧さんと赤江珠緒さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で瀧さんが出演した映画『エヴェレスト 神々の山嶺』や登山について話していました。

(赤江珠緒)瀧さんの出演されている映画、拝見いたしましたよ。

(ピエール瀧)ああー、『スターウォーズ』?

(赤江珠緒)違うでしょ、あなた(笑)。出てこないでしょ?『スターウォーズ』(笑)。

(ピエール瀧)出てませんでした?

(赤江珠緒)出てきそうな、一瞬雰囲気もありますけど(笑)。出てこないでしょ?どの星にもいないでしょ?あなたは。

(ピエール瀧)あ、出てませんでしたか?

(赤江珠緒)『エヴェレスト 神々の山嶺』というね。

(ピエール瀧)うん。『帝国の逆襲』。

(赤江珠緒)(笑)

(ピエール瀧)『エヴェレスト 神々の山嶺 帝国の逆襲』。

(赤江珠緒)違う違う(笑)。非常に現実的なこちらは映画ですよ。ねえ。エヴェレストの最高峰に登るという。岡田准一さんと、そして阿部寛さんの主演の映画。

(ピエール瀧)あと、IKKOさんと。3人。

主演:阿部寛、岡田准一、IKKO

(赤江珠緒)(笑)。IKKOさん、いないでしょ?『どんだけ~!』とか言わないでしょ?山を見て。

(ピエール瀧)『どんだけ~!さむ~い!』。

(赤江珠緒)言わないでしょ(笑)。

(ピエール瀧)『背負投げ~!』(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。違うでしょ!もっと本当に、ねえ。冬山に登るという。挑戦するっていう映画ですよ。

(ピエール瀧)そうですね。冬山っていうか、エヴェレストですから年中通して冬でしょうからね。その標高になると(笑)。

(赤江珠緒)そうね、そうね(笑)。冬とか関係ないよね。エヴェレストのだって頂上ってさ、気温が氷点下50度近いと。頂上付近はデスゾーンと呼ばれ、氷点下50度近く、最大風速が50メートル以上ですって。もう、木造家屋が倒れるほど。で、気圧が地上の1/3で、酸素の補給なしに長期滞在すると心肺機能の低下から最終的には死に至るという。もう、ね。人が行けるような場所では本来ないというようなところにね、挑む男たちの映画。

(ピエール瀧)ですね。IKKOさんを含めて。

(赤江珠緒)(笑)。いや、だからいまIKKOさんがいちばんびっくりしてるから(笑)。どうして私!?みたいな(笑)。

(ピエール瀧)(笑)。ねー。いや、でもね。

(赤江珠緒)うん。やっぱり岡田さんと阿部さんがすごいですね。

(ピエール瀧)原作のあるお話ですけども。山の知識がちょっとある、ないで見え方が違うんですよね。実は。赤江さん、わからないところもあったでしょ?正直。

(赤江珠緒)違うよの、違うよの。私ね、山岳警備隊を取材したことがあって。雪の富山の剱岳。まあ、雪っていっても私が行った時は5月・・・雪がだいぶ溶けてはいるけど、まだ雪が残っているところを上がって。その山岳警備隊を密着取材したことがあるんですよ。

(ピエール瀧)あ、へー。『あがってま~す♪』だ。

(赤江珠緒)(笑)。だから、今回この『エヴェレスト 神々の山嶺』。この山屋って言われる山に挑む人たちのそれが見えてね。いやー、すごいと思いました。

(ピエール瀧)だからその、このぐらいの標高になると酸素もどんどん薄くなってきますから。映画の中でね、羽生っていう伝説のクライマー。阿部寛さんが演じますけども。この人が、だから南西壁を登って。

(赤江珠緒)絶壁になっているところね。

(ピエール瀧)壁のところ。あそこを登っていくじゃないですか。しかも冬季。冬に単独。1人で無酸素。で、あそこの壁を垂直に登るっていうことがどんだけ無茶なことか?っていうのが感覚でわかっている、わかってないだと、たぶん見え方が違うと思うんですよね。映画の。

(赤江珠緒)ああー、そうか!

(ピエール瀧)なんでそんなバカなことをして・・・っていう。どうして、岡田くん演じる深町はついて行けないの?みたいなことになるかもしれないけど、当然何ですよね。

(赤江珠緒)当然です。当然です。そりゃ、ついて行けないですね。で、もう顔も雪焼けで真っ赤を通り越して、真っ黒になるしね。

(ピエール瀧)凍傷の危険とかもあったりする世界ですからね。

(赤江珠緒)いやー。いいですよ。で、瀧さんは全くエヴェレストに近づかずっていう役でしたからね。行かれてはないですよね?

(ピエール瀧)エヴェレスト、行ってないですよ。

(赤江珠緒)ちょっとでも、現場には行ってみたかったですか?

(ピエール瀧)でもね、5千メートル近辺で撮影していたらしいんですけども。行ったのは、岡田くん、そして阿部さん、そして尾野真千子さん、あとIKKOさんっていうことになりますけども。

(赤江珠緒)(笑)。どうしてもIKKOさんを入れたいの!?(笑)。IKKOさん、メイク役?(笑)。かかわってないでしょ?IKKOさんは。

(ピエール瀧)(笑)。で、そのみなさんで行ったらしいんですけども。いろんなことが違うって言ってました。本当に。夜の星空やら何やら。

(赤江珠緒)違うよね。別世界ですよね。

(ピエール瀧)っていうのでやっぱ、なんでしょうね?いろんなものの見え方が変わるって言ってましたからね。

(赤江珠緒)だって私、富山のね、富山県警の方たちが山岳警備隊をされているんですけど。まあ、ものすっごい鍛えてらっしゃるし。普段からね。で、夏山にはもちろんいて。山で遭難した人とかを助けに行くっていう仕事なんで。で、普通の人がね、5時間ぐらいかけて上がる山を走って2時間ぐらいで上がるんですよ。

(ピエール瀧)おおー、その標高のところを。

(赤江珠緒)そう。ダダダダッ!って全部走って行って。で、背負って下りてくるっていうことをされているんで。で、もうもちろん命がけじゃないですか。

(ピエール瀧)基本、人を救助に行くやつですからね。

(赤江珠緒)なんかもうね、夜とか集まってご飯とかを食べてる時とかも、なんかもう身体は鍛えまくっているんだけど、心は澄み切っているみたいな人たちで。ちょっと目がね、俗世界の人じゃないぐらい、澄み切っていたよ。

(ピエール瀧)まあ、そうだね。

(赤江珠緒)びっくりした。私。

(ピエール瀧)僕もだから、前も赤江さんに話したことがあるかもしれないですけど。大晦日にガチャピンと一緒に富士山を登るっていう・・・

(赤江珠緒)(笑)。ええっ!?

(ピエール瀧)企画。

(赤江珠緒)富士山も冬はもう、大変ですもんね?

(ピエール瀧)正直、激ヤバです(笑)。

(赤江珠緒)そうでしょう。あそこはイカンって。だって、夏しかやっぱり登れない期間だってあるからね。

滑落訓練

(ピエール瀧)僕はもう完全に山の素人ですから。まあ、2日ぐらい前から入って。五合目の山小屋の。山小屋は五合目までしか開いてませんから、そこから上は全部もう、雪と氷で覆われちゃってますから。そこで、滑落訓練っていうのをやるんです。まず。滑落訓練、やったでしょ?

(赤江珠緒)やった!

(ピエール瀧)寒いから、ゴアテックスみたいなツルツルしたやつ、着てるんですよね。で、アイゼンっつって下にスパイクみたいなのを登山靴につけて、ガシッ!ガシッ!ってやりながら登っていくんですけど。ツルン!って滑ってコケたら・・・

(赤江珠緒)止まらないんですよ。

(ピエール瀧)結局下、そのぐらいの標高になると雪じゃないんですよね。もうね。氷何ですよね。全部ね。

(赤江珠緒)うん。で、氷の滑り台だから。

(ピエール瀧)氷と岩の世界だから、氷の滑り台をツルン!って滑るんで。『瀧さん、転倒したら5秒以内にこの身につけているピッケルの尖っている方を壁面に食い込ませて。刺して。ガガガガガガッ!って滑り落ちるのを5秒以内にどんなことをしてでもいいから、止めてください!』って。言われたでしょ?

(赤江珠緒)やった!

(ピエール瀧)『これね、5秒以内に止められなかったら、瀧さん、死にます』って言われて(笑)。『マジで!?』っていう(笑)。

(赤江珠緒)そう。ねえ。あれ、だけどとっさにそんなこと、できるかな!?みたいな。

(ピエール瀧)そうなんだよね。

(赤江珠緒)で、ちょっと低い坂みたいなところでやらされたよ!

(ピエール瀧)やるでしょ?倒れながら、この肘のところにつけて。ピッケルの先をガッ!ってやって。ガガガガガガッ!って止めるやつ、何回もやらされたでしょ?

(赤江珠緒)やらされた。

(ピエール瀧)で、あれ5秒以内に止められないと、加速してっちゃうともう止めれないじゃないですか。自分の力では。

(赤江珠緒)そう。だからもう、1歩1歩、本当に転ばないようにあるかなきゃいけないしね。

(ピエール瀧)で、加速していると、結局途中に岩がゴロゴロしてむき出してますから。ツルン!っていうところに、そこに岩にガイーン!って当って。で、また向きが変わってガイーン!ガイーン!って。要はパチンコみたいに。スマートボールみたいな感じで、ガイーン!ガイーン!ガイーン!っていって、何回目かのガイーン!ガイーン!で意識がなくなって。あとは自然に止まるまで下って行っちゃうんですよね。

(赤江珠緒)うわー、そっか。だから私もね、雪山上がった時に、すっごいプロの、山岳警備隊でもない地元の初老の方。山をずっと慣れているっていう、その方がついてくださって。ガイドみたいに。で、その方と、つないでいたんですよ。パートナーみたいにつながれて、それで登って。でもね、その方はね、背の小さいおじいさんだったんですけども。もう、『ワシの歩く歩幅と同じ所を踏めば楽だから』って言ってくださって。やっぱり山岳警備隊の方とかは大股でガッ!ガッ!ガッ!って歩くんですけど。その方はもう、小さい小幅でスッスッスッて歩かれるんですよ。

(ピエール瀧)うん。

(赤江珠緒)で、その通りに歩くと、すごく楽なの。

(ピエール瀧)あ、その登り方もあるんすよね。

(赤江珠緒)ある。で、登って、帰りはやっぱり雪山だから、『滑って帰ったらいい』っていって。ソリみたいなのに乗せてくれて。ソリっていうか、簡易的なビニールみたいなのね。それこそ、ツルッて滑るから。『これで滑って、帰りは楽だから赤江さん、乗って帰りなさい』って。で、そのおじいさんが、紐を持って私が滑るのをコントロールしながら、走りながらついてきてくれて。『ええーっ!?』と思いました。

(ピエール瀧)ああー、赤江を散歩させている状態?(笑)。

(赤江珠緒)そうそう!『なにこれ!?』っていう世界でした(笑)。

<書き起こしおわり>


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