町山智浩と小西克哉 2016年アメリカ大統領選挙を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『Session22』のアメリカ大統領選挙特番に電話で出演。小西克哉さん、荻上チキさん、渡辺正人さんらとともに、激動の予備選挙の状況について話していました。



(荻上チキ)いまの雰囲気。もっといろいろ聞きたいということで、この方にお電話でお話を聞いていきたいと思います。TBSラジオ『たまむすび』でもお馴染みです。アメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんに現地での雰囲気などを伝えていただきたいと思います。町山さん、よろしくお願いします。

(町山智浩)はい。町山です。よろしくお願いします。

(荻上チキ)よろしくお願いします。さて、先日もですね、町山さんにレポートしていただいたんですけども。ニューハンプシャーの予備選後にお話をいただいたんですが。その後、いまアメリカの選挙の動きっていうのは、町山さん。どうご覧になっていますか?

(町山智浩)その後、もうすぐサウスカロライナの方でまた予備選があるんですけども。トランプがですね、討論会で『イラク戦争はブッシュの責任だ』という発言をしたんですが、支持率が落ちてないという状態ですね。

(荻上チキ)落ちてない。

(町山智浩)それはかなり共和党にとってはタブーの部分を突いたんですけども。これで支持率が落ちてないっていうのは、かなり共和党にとってはマズいだろうと言われてますね。

(荻上チキ)こういった発言をトランプさんがした時にブーイングも起きたみたいな報じられ方もあるんですけども。

(町山智浩)はい。これはね、討論会場にね、共和党が動員をかけたんですよ。ブーイングをするための動員をネットを通じてかけまして。ところが、その人数がそんなに多くなかったっていうのもかなり苦しかったみたいです。

(荻上・小西)(笑)

(荻上チキ)失敗ですか?

(町山智浩)はい。っていうのはトランプ側のメディアっていうのがありまして。トランプ側ってこともないですけど、『DRUDGE REPORT』っていう非常に右翼系のネット新聞があるんですよ。

[リンク]DRUDGE REPORT


(荻上チキ)はいはい。

(町山智浩)で、そこがすごいトランプ推しをしてまして。で、彼らは対抗して動員をかけたんですが。そちらの方がちょっと多かったみたいですね。

(荻上チキ)へー(笑)。すごいですね。そういうような状況の中で、まだまだトランプさんは勢いがあるんですね。

大混戦の予備選挙

(町山智浩)ありますね。だからいま言われているのは、共和党も民主党ももしかしたら、夏の党大会まで候補が決まらない状況になる可能性があると。そうすると、1968年の民主党大会みたいな事態も想定されると言われています。

(荻上チキ)うーん。それはどういう状況ですか?

(町山智浩)だから1968年に実はロバート・ケネディさんとマッカーシーっていう別のマッカーシーさんがね、ベトナム戦争を終わらせようってことで民主党の大統領候補に出たんですけども。そのままだとベトナム戦争、終わってしまうので。その頃、ベトナム戦争を始めたジョンソン大統領の副大統領が突然、『選挙に参加する』って言い出したんですね。

(荻上チキ)ほう。

(町山智浩)ロバート・ケネディさんが暗殺されたっていうのもありまして。で、それを民主党大会でやった時に、特別代議員というようなものはないんですけど。その当時は。その当時は予備選をやらない州がたくさんあったんですよ。で、その予備選をやらない州の票を全部ハンフリーっていう副大統領が集めたために、それが事前にわかっていたため、大暴動になったんですよ。シカゴ民主党大会では。それで流血の事態になりましたけども。今回、ヒラリーさんが民主党大会までに過半数以上を取れないと、特別代議員を動員する可能性があるんですね。

(荻上チキ)はい。特別代議員。

(町山智浩)特別代議員っていう民主党大会で大変なことがあってから、いろいろ民主党の中ではありまして。結局、その少数派である黒人とかラテン系の人とか女性とか、いろんな立場の人。組合員とか。そういった人たちのリーダーに特別な票を与えたんですね。

(荻上チキ)ほう。なるほど。

(町山智浩)で、その人たちは予備選の結果と無関係に投票できるんですよ。

(荻上チキ)うんうんうん。

(町山智浩)で、ヒラリーさんはすでにそれを300票以上確保してるんですね。で、サンダースさんに勝てない場合、それを最終的にブチ込んで勝つという、かなり強引なやり方をするかもしれないと。

(荻上チキ)はいはい。

(町山智浩)で、そうなった場合、民主党内部の党員たちの人気と、実際の候補が違うという結果になりますよね?要するに、民主党のエリートによる投票でヒラリーさんが決まるとなると。するとこれ、民主党自体の分裂的なことになってしまうと。

(荻上チキ)はい。そうなります。

(町山智浩)だから共和党の方も共和党大会まで決まらないと、同じような事態になるわけですね。だからこれ、まさに二大政党制っていうものが非常に大変な事態になっていると言われてます。

(荻上チキ)うーん。これは非常に混乱している状況だということなんですけども。選挙の様子についてですね、リスナーの方から質問が来ております。

(南部広美)はい。(質問メールを読む)『海外ドラマを見ていると、よくネガティブキャンペーンというのをやっていますよね?ドラマではずいぶんえげつないことをやっていますが、実際の大統領選はどうなんでしょうか?』と質問をいただいてます。

(荻上チキ)はい。町山さん、いかがですか?

ネガティブキャンペーンの実態

(町山智浩)はい。これはね、もともとブッシュのお父さんが選挙に出た時に始まったんですけども。これはプロフェッショナルがいまして。そういうネガティブテレビコマーシャルっていうものをやるプロフェッショナルが。その人がいまのFOXニュースというテレビチャンネルの総帥になったロジャー・アイレスっていう人なんですよ。

(荻上チキ)はあはあ。

(町山智浩)で、その人は完全にそういう戦略のプロで。あることないことをコマーシャルでやるっていうのがあって。それから流行りはじめていまに至っているんですが。そのコマーシャルで徹底的に相手の悪いところを突いていくというやり方ですね。

(荻上チキ)うん。こういう予備選挙の段階でも、ネガティブキャンペーンは党内でも熾烈に行われるんですか?

(町山智浩)党内でもですか?いや、コマーシャルが多いですよ。ネガティブキャンペーンは。

(南部広美)コマーシャルですか。

(町山智浩)コマーシャルと電話です。

(荻上チキ)電話?どういうやつですか?

(町山智浩)電話はすごくて。マケインさんとブッシュが昔ですね、カロライナの方で予備選を争った時は、自宅に電話がかかってくるんですよ。謎の電話が。それで、『マケインさんに黒人の隠し子がいるって話は聞いたことがありますか?』って。そういう電話がかかってくるんですよ。

(荻上チキ)はあ。

(町山智浩)で、それに関してはブッシュのブレーンがやらせたっていうことがかなり明確になっていて。問題になっていますね。そのぐらい汚いことをやるんで。特にカロライナ、サウスカロライナはアメリカの中で最も汚い予備選が行われる場所だと言われています。

(荻上チキ)へー!

(町山智浩)映画にもなっています。『ザ・キャンペーン』っていうコメディー映画になるぐらい、ものすごい汚いことが行われますね。

(荻上チキ)ほう。怪文書がばら撒かれるみたいなことが、堂々と電話とかで行われているということになるんですね。

(町山智浩)行われている。マケインさんはインド系の孤児を養子にしたんですけども。それを『黒人の隠し子がいる』という風にねじ曲げて電話しまくったんですね。ブッシュの方の選挙事務所の方が(笑)。

(小西克哉)町山さん。スタジオ小西です。ご無沙汰してます。

(町山智浩)本当にご無沙汰してます。

(小西克哉)いやいやいや、相変わらず火曜日の『たまむすび』ではぶっ飛ばした発言してますよね。聞いてますよ。

(町山智浩)小西さん、お酒飲んでないですね?大丈夫ですね?(笑)。

(荻上チキ)(笑)

(小西克哉)飲んでないよ!今日はもう、ドライでいってるんだから。

(町山智浩)あ、よかったです(笑)。

(小西克哉)禁酒法で。あのね、アイオワに入られたという風に聞いてるんですが。現地、いろんなところの選対本部とか見られて。あと、集会とかを見て、集まっている人間とか、それから雰囲気ですよね。その集会。それ、たとえばサンダースとかトランプとか、違いがあったら教えてほしいんですけど。あと、どこの陣営の女の子がかわいいとか、かわいくないとか。

(町山智浩)(笑)

(小西克哉)よく見てるでしょ?あなた、ぜったいにそのへん。

(町山智浩)なんで(笑)。それ、小西さんでしょ?それ(笑)。一緒にしないでくださいよ。

(荻上チキ)(笑)

(小西克哉)そのへんちょっと、日本の報道でないようなところをちょっと言ってほしいんだけど。

各陣営の雰囲気

(町山智浩)はいはい。ええと、ドゥビューク(Dubuque)っていう田舎の方に町に行きまして。トラクターを作っている工場があるところなんですけども。そこにトランプさんがボーイング757で着陸したんですけども。それで、地元の人たちは別に支持じゃない人もかなり来てるんですよ。トランプさんの場合。

(荻上チキ)ほう。

(町山智浩)で、とにかくこんなこと滅多にないからっていうことで、野次馬がすごくて。で、『誰を支持するんですか?』っていうと、『いや、別にまだ決めてない』とか『共和党に登録していない』とかね。だからもう、本当に地元にとっては大イベントだから、みんな来ましたっていう感じなんで。熱心な人はそんなに数は多くなかったんですよ。人数の割に。

(荻上チキ)うん。

(町山智浩)ただ、サンダースさんの方は、これシーダーラピッズ(Cedar Rapids)っていうアイオワで二番目に大きい町で集会に参加したんですが。そちらはね、以前、僕は『ウォールストリートを占拠せよ(Occupy Wall Street)』という運動がありまして。その時にウォール街を学生とか若い人たちが『シット・イン(Sit In)』っていうんですけど。座り込みをして、そこに泊まり込みをして運動していた時と非常によく似ていましたね。サンダースさんの集会は。

(荻上チキ)ほう。

(町山智浩)若い人がものすごく多いのと、あと、ただ見に来たっていう人はいなくて。ものすごく全員が熱心で。熱狂的な感じでした。

(荻上チキ)メッセージもね、格差是正っていう点では共通してますよね。

(町山智浩)はい。ただ、すごく僕、トランプさんの集会もバーニー・サンダースの集会も非常に似ている感じはしたんですよ。っていうのは、両方とも、トランプは徹底的に共和党の悪口を言うわけですよ。

(荻上チキ)はいはい。

(町山智浩)『あいつらはウォール街から金をもらっている!』とはっきりと言ってましたね。で、二番目のテッド・クルーズは奥さんがゴールドマン・サックスの取締役ですから。もらっているとかそういうわけじゃなくて、家計が一緒なんですよ。

(荻上チキ)うんうんうん。

(町山智浩)だからそれを徹底的に批判して。『私は全部自分の懐から出している』と。で、もうひとつ。コーク兄弟という石油化学産業のコングロマリットを経営している兄弟がいるんですが。アメリカには。で、彼らがずーっとアメリカの政治をコントロールしようとして、ティーパーティーっていう運動をやったりとかしてたんですね。

(荻上チキ)ええ、ええ。

(町山智浩)ティーパーティーっていうのは草の根運動ではなくて、実は石油化学産業のお金で作られたものなんですけども。

(荻上チキ)ああ、結構組織された面があるんですか?

(町山智浩)もうはっきりと組織されたことになっていて。本人たちも最近は認めているんですよ。最初は秘密だったんですけど。で、彼らは最近は、イベントをやってですね。そこに大統領になりたい人たちを集めて。で、そこに大金持ちの大寄付者たちを集めて。で、ミーティングをして、『誰に寄付しようかな?』っていうことをやっているんですよ。

(荻上チキ)へー!

(町山智浩)要するに、金持ち軍団が一ヶ所に集まって、金持ちのお金がほしい共和党の政治家たちを集めて。で、それに対してトランプは、『いま、そういうことをやってるぞ!』ってツイートして。『あいつら、操り人形だぜ』ってやったんですよ。

(荻上チキ)へー!

(町山智浩)だから実は、バーニー・サンダースとトランプはやっていることは同じで。戦っているものは1%の富裕層なんですよ。右と左にわかれてますけどね。

(荻上チキ)はいはいはい。

(小西克哉)あの、トランプの支持層っていうのは日本でも報道されているのは、ちょっとイケてないというか、B層というか。たとえば、学歴がそれほどないとか。所得レベルがそれほど高くないとかっていう、まあひとつの、一定のイメージがあるんだけど。それはアイオワで見られても、そういったことは同感だと思われましたですか?

(町山智浩)まあ、アイオワの場合、平均年収が全体に低いので。それで白人がほとんどなので。いわゆる小西さんがおっしゃられたような人がほとんどなので(笑)。

(小西克哉)(笑)。差別化できないと。いろんなところで。

(町山智浩)差別化しにくいんですが。非常に。ただ、さっき言ったDRUDGE REPORTという、いわゆる日本で言うとネトウヨメディアがあるんですよ。で、それは要するに与党とか、既成政党に対する反発が非常に強い右翼系の若者たちがいるんですね。

(荻上チキ)うん。

(町山智浩)彼らは、行ってますよ。トランプの方に。彼らの場合は、別に既成の政党に縛られてなくて。ただ、非常に保守的で差別的な人たちなんですけども。ネット世代の中にいるんですよ。それでDRUDGE REPORTっていうのはもう最初にアメリカで政治的なインディペンデントメディアで大当たりしたところなんですね。で、そこがトランプに行ってる感じなんですよ。それを読んでいるような人が。

(荻上チキ)サンダースさんの方は支持層っていうのはどんな感じですか?

(町山智浩)サンダースさんは僕が行った時はもう完全に学生でしたね。

(荻上チキ)学生?

(町山智浩)はい。それは、公立大学の学費を無料にするっていう風にぶち上げてますから。それは当然なんですけども。で、彼らはブッシュ政権の頃からずーっといままで学費が高くて。で、それを借金として抱えて苦労してきて。オバマ政権の中で改善されなかった人たちなんですよ。

(荻上チキ)はいはい。

(町山智浩)だから、そのオバマ政権に対する不満があってサンダースさんを支持しているという形になっていますが。サンダースさんはトランプさんと同じように、オバマ政権にはっきりと『NO』って言ってるんですよ。

(荻上チキ)ほう。なるほど。

(町山智浩)で、ここが問題で。そうすると、黒人票とラテン系のヒスパニック票はちょっとサンダースさん、いま危ないんですよ。

(荻上チキ)危ないですか?ほう。サンダースさん危なくても、今度はじゃあ誰にその人たちは入れるってことになるんですか?

(町山智浩)ええとね、アフリカ系の人たちはほとんどがオバマさんを支持してるんで。オバマの政策を継承すると言ってるヒラリーさんの方に入れるっていう感じになっているんですね。現在。

(荻上チキ)ああー、ヒラリーさんの方に。

(町山智浩)はい。で、いま慌ててサンダースさんが黒人票を取りに回ってるんですよ。ヒスパニック票と。で、これからそっちの方の予備選が続くんで。

(荻上チキ)うん。となると、発言の内容っていうのも若干変化していく可能性がサンダースさんもあるということですか?

(町山智浩)変化していくでしょうね。あの、サンダースさんのもうひとつの問題は、ユダヤ人であるっていうことなんですね。

(荻上チキ)ユダヤ人。

(町山智浩)はい。黒人やラテン系の人たちは、ユダヤ人っていうか非キリスト教に対しては、あまり寛容ではないので。そのへんが難しいですね。

(荻上チキ)うーん。ふんふん。なるほど。

(南部広美)質問メールです。(メールを読む)『アメリカの選挙では、日本のように選挙中は戸別訪問などの活動はダメなのですか?あと、日本では「私は○○党の△△さんを支持する」などという話はなんとなくタブーな感じですが、アメリカ国民もそうなのでしょうか?』という質問をいただいてます。

(町山智浩)はい。2つ質問があって、戸別訪問はOKです。

(荻上チキ)OK。うん。

戸別訪問

(町山智浩)特に僕がアイオワに行った時はちょうど土日だったので、戸別訪問をあちこちで見ました。町を歩いてるんですよ、みんな。で、特にすごかったのはサンダースさんとテッド・クルーズが戸別訪問をやっていたんですけども。そのアイオワの周辺の州があるんですね。隣の州。たとえばだから、イリノイとかあるんですけど。そこにいる支持者も『州境を越えてアイオワに入って来い!戸別訪問をやってくれ!』って。ものすごい動員をかけていたんですよ。

(荻上チキ)ええ、ええ。

(町山智浩)で、家族でお父さんとお母さんが娘を連れて回るんですよ。家を。一軒一軒。で、『票を入れてください』って。それが、トランプは一切なかったんですよ。

(荻上チキ)おおー、なかったんですか?

(町山智浩)そうなんですよ。彼はね、兵隊がいないんですよ。まだ。

(荻上チキ)ああー。ネトウヨは使えないんですか?

(町山智浩)(笑)。ネトウヨは戸別訪問、いちばん苦手なんじゃないのかな?(笑)。

(荻上チキ)(笑)

(小西克哉)ネトウヨ、外に行かないから。訪問できないよ。寒いし(笑)。

(荻上チキ)そうかそうか(笑)。集会で動員するぐらいが限界っていう感じですね?

(町山智浩)そうなんですよ。やっぱりね、お母さんとか家族とか、そういう感じで非常に地に足のついた人たちを掴んでないんですよ。まだトランプさんは。

(小西克哉)町山さん、あの、トランプのさ、選対本部長かなんかが女の人で。なんかルネッサンスの美術史を専攻した女だっていうのを聞いたんだけど。そんなんでいいの?ねえ。ちょっと。

(町山智浩)(笑)。小西さん、本当にお酒、入ってないですか?(笑)。

(小西克哉)入ってないよ!何言ってんだよ(笑)。

(荻上チキ)(笑)。あの、お酒の匂いはしないですよ。

(町山智浩)大丈夫ですか?

(小西克哉)たしか、そうだったよ。そのおばちゃん。

(町山智浩)あの人、もともとブッシュ支持だった人なんですけども。途中でティーパーティーに入って。で、その後にティーパーティーからトランプに移ったっていう、ちょっと怪しい人なんですけども(笑)。

(小西克哉)それでどこまでやる気出してるか、わかるじゃんね。渡辺さん。ここ、渡辺さんはちなみにあれだよ。アウトリーチというか、選挙運動のおそらく日本で最も詳しい人だから。よくご存知だと思うんだけど(笑)。

(荻上チキ)渡辺さん、どうなんですか?そのトランプ陣営の地盤の弱さというのは?

(渡辺将人)いや、あの、まさにいま『ネトウヨは使えない』っていう話があったんですけども。やっぱり、組織がないんですよね。テレビでワーッと人気があって。で、さっき町山さんがおっしゃっていたように、ものすごい人気で集会には来るんですけども、彼見たさで来るような人たちが多くて。

(荻上チキ)ああー。

(渡辺将人)それぞれのちっちゃな町に、やっぱり他のサンダースの陣営にしても、クルーズにしても、事務所を持って。そこにボランティアが詰めて。で、土日も選挙直前もそういう戸別訪問をするんですけども。トランプはやっぱりそういう組織を持っていない。それが彼の弱点なんですけども。

(荻上チキ)じゃあ、ドブ板選挙みたいなのができないっていうことですか?

(渡辺将人)どうなんでしょうね?

(小西克哉)だから空中戦でいま、凧を上げているんだよね。必死になって。

(荻上チキ)地上戦がなかなか戦えないっていう?

(小西克哉)地上戦がどこまで戦えるのか?っていうのをいま、専門家が見てるんだよね。うん。

(荻上チキ)これからそこに力を入れるっていうことは?

(小西克哉)これからどこまで戦えるのか、見てやろうか?っていう風にみんな、見てると思うよ。

(荻上チキ)ネトウヨが家から出てこないとダメなんですね?

(小西克哉)(笑)。そこがわかんないんだよね。

(荻上チキ)でも、お金があるから人を雇えそうな気がするんですけどね。

(町山智浩)いや、それは間違いです。

(荻上チキ)間違いですか?

(町山智浩)トランプさん、いちばんお金ないですよ。

(荻上チキ)いちばんお金ない?

(町山智浩)いちばん選挙資金が少ないですよ。

(荻上チキ)ほうほう。ポケットマネーで限界だから?

(町山智浩)トランプさん、たしか10ミリオンしか出してなくて。自分持ちなんですよ。

(荻上チキ)ああー、献金はどうなんですか?

(町山智浩)献金は受けてないですよ。まだ。基本的に受けてないです。献金を最も集めているのは、テッド・クルーズです。あ、いや、(ジェブ・)ブッシュがいちばん集めていたんですけど。もともと、あの人は共和党の内部のエスタブリッシュメントと呼ばれる大金持ちたちのコネクションがありましたからね。

(荻上チキ)うん。

(町山智浩)で、ブッシュは100ミリオンぐらい集めていたんですよ。だから1億ドルぐらい集めていたんですけども、まあ空振りなんですね。で、いまテッド・クルーズのところにですね、ヘッジファンドとか天然ガスの大金持ちのお金とかが10ミリオン単位。だから10億円以上の単位で集まっています。テッド・クルーズがいちばん金持ちです。

(荻上チキ)ああー。

(町山智浩)で、奥さんはゴールドマン・サックスの取締役ですから。

(荻上チキ)なるほど。じゃあトランプさん、結構厳しいんですね。お金の面では。

(町山智浩)お金じゃなくて、やっぱりメディアの知名度があの人にとっては財産です。

(荻上チキ)なるほど。町山さん、もうひとつの質問なんですけども。アメリカ国民の人は『○○党の△△さんを支持する』っていう発言は日本並にタブーなのか?それとも、ガンガンやっているのか?これ、結構やっているイメージがありますね。

(町山智浩)ガンガンやってますね。ただ、テレビとかでは言えないんですよ。メディアを使っては。自分たちのツイートとか、フェイスブックとかで発言する感じですね。

(荻上チキ)なるほど。

(町山智浩)あと、シャツを着て歩くとか。

(荻上チキ)シャツ?

著名人たちが支持する候補

(町山智浩)はい。だから選挙期間になると、自分が支持する政治家の名前を書いたシャツを着て、ブラピとか、アンジェリーナ・ジョリー。あ、夫婦だな(笑)。そういう人たちが公の場に出たりするようになるんですね。

(荻上チキ)ほうほう。

(町山智浩)あと、まあ集会に参加しますよね。だからバーニー・サンダースの集会には、かなり参加してましたけどね。はい。

(荻上チキ)じゃあ、集会に参加している様子が、たとえばメディアで報じられたりするみたいな格好で広がっていくんですかね?

(町山智浩)はい。前からそうです。たとえば、もう2000年のゴアの時には、ロバート・デ・ニーロとベン・アフレックがよく映ってましたよね。

(荻上チキ)ああー。デ・ニーロが。

(町山智浩)はい。デ・ニーロさんはいつも。デ・ニーロさんはヒラリーさんを支持してますね。今回ね。で、ビヨンセとかケイティ・ペリーとか女性アーティスト、シンガーソングライターはごっそりヒラリーさん支持っていう感じになっています。

(荻上チキ)ああー。

(小西克哉)バーニー・サンダースを支持のハリウッド系有名人はいますか?

(町山智浩)ええとね、少しずつ出てきています。まだ移っている感じですね。はい。

(荻上チキ)まだこの人が著名で、バーン!っていう感じではないという感じですかね?

(町山智浩)あ、います。いま、スーザン・サランドンさんっていう人がいます。

(小西克哉)大女優ですよね。

(町山智浩)はい。『ロッキー・ホラー・ショー』とか出てきて。この人はもう、60年代からずーっとですね、運動家なんですけども。旦那のティム・ロビンスと一緒に。それで彼女がですね、バーニー・サンダース支持を表明してますよね。

(小西克哉)彼女はパレスチナ人の権利擁護をやっているから。ユダヤ人のバーニー・サンダースを支持するのも微妙な感じだよね?(笑)。

(荻上チキ)不思議ですよね。

(町山智浩)ただね、バーニー・サンダース自身はそんなにユダヤ系のロビーとはつながっていないらしいんですよ。たまたまユダヤ人として育ったっていうだけであって。はい。そういう宗教的なものは一切ないので。さあ、それをどうするか?という感じになっていますね。

(荻上チキ)なるほど。他にもリスナーの方からいろいろ質問が来ているんですけど、町山さんとはそろそろお別れということです。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)はい。すいません。寝起きですいませんでした!

(荻上チキ)(笑)

(小西克哉)朝早いんだ。なるほど。

(荻上チキ)そっちはそうですよね(笑)。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
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