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松尾潔 1993年アメリカR&Bチャートを振り返る

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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で1993年のR&Bチャートを振り返り。この年にヒットした曲を聞きながら、解説をしていきました。

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(松尾潔)続いては、こちらのコーナーです。いまでも聞きたいナンバーワン。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。ですが、リスナーのみなさんの中には『そもそもR&Bって何だろう?』という方も少なくないようです。そこでこのコーナーでは、アメリカのR&Bチャートのナンバーワンヒットを年度別にピックアップ。歴史的名曲の数々を聞きながら、僕がわかりやすくご説明します。

第25回目となる今回は、1993年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しましょう。93年にR&Bチャートでナンバーワンになった曲っていうのは合計14曲ございます。まずは2曲、お聞きをいただきたいと思います。93年と言いますと、アメリカのR&Bシーンではニューヨーク、ロスアンゼルス、シカゴ。そういった昔から音楽産業の中心と言われていたような都市がいくつかありましたけど。そこに、アトランタという名前がどんどんどんどん存在感を増した、そんな時期ですね。

もちろん南部きっての大都市というアトランタなんですが。このあたりから大爆発が始まっていくわけですね。96年のオリンピックのあたりでそれは頂点を迎えるわけですけども。まずは2曲。アトランタと本拠地とするヴォーカルグループをご紹介したいと思います。

最初にご紹介しますのは女性4人組。エクスケイプ(Xscape)です。この年、10月から11月にかけて、まあちょうどいまぐらいの時期ですね。そんな秋のロングヒット。4週連続のナンバーワンを記録しました『Just Kickin’ It』。彼女たちの最初のビッグヒットですね。デビューアルバムの『Hummin’ Comin’ at ‘Cha』に収録されております。

そしてやはりデビューアルバムからの大ヒットとなりました、こちら男性5人組。シルク(Silk)。シルクというね、ヴォーカルグループは70年代にも別のグループがいたんですけども。90年代以降はこちらを示すことが多いですね。キース・スウェット(Keith Sweat)の肝いりで、彼のレーベルから。そして彼がアトランタに所有していたスタジオでレコーディングされた、そんな1曲です。『Lose Control』というデビューアルバムの中から『Freak Me』という曲。これは3月から5月にかけて8週連続。破格のナンバーワンヒットとなりました。

それでは、エクスケイプ『Just Kickin’ It』。シルクで『Freak Me』。2曲続けてどうぞ。

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Xscape『Just Kickin’ It』


Silk『Freak Me』



いまでも聞きたいナンバーワン、1993年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しています。エクスケイプ『Just Kickin’ It』。そしてシルクの『Freak Me』。いずれもアメリカの南部の大都市、アトランタから発信された音楽です。特にシルクの『Freak Me』という曲は8週連続のナンバーワンとなりまして。この年最大のR&Bヒットとなりました。1993年にナンバーワンを記録したR&Bヒットは合計14曲ございます。

その前の年からの持ち越しヒットでまず、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の『I Will Always Love You』。このナンバーワンヒットが1993年のスタートを飾りました。そして、ノーティー・バイ・ネイチャー(Naughty By Nature)というね、ラップグループ。彼らはクイーン・ラティファ(Queen Latifah)なんかと一緒にね、ニュージャージーをレペゼンしていたんですけど。東海岸のラップグループ、ノーティー・バイ・ネイチャーの『Hip Hop Hooray』。こちらが2月に1位を記録いたします。



そして東に対抗するかのように西から『Nuthin’ But a ‘G’ Thang』という曲をナンバーワンに送り込みましたのは元N.W.A.のトラックメイカーでありラッパーでありますDr.ドレ(Dr. Dre)。まあ、Dr.ドレのソロ名義での大ヒットですね。『Nuthin’ But a ‘G’ Thang』。そこにフィーチャーされていたスヌープ・ドギー・ドッグ(Snoop Doggy Dogg)というラッパーもこの曲で決定的な名声を手に掴みます。



そして、スヌープのソロデビューへとつながっていくわけなんですけどもね。いま、このあたりの話題っていうのがまた旬になっていますね。Dr.ドレが在籍していたN.W.A.の伝記映画がアメリカで大ヒット。『ストレイト・アウタ・コンプトン』っていう映画。来月から日本でもね、公開が始まりますけども。なんでも、アメリカにおいてですよ。アフリカ系の映画監督が作った作品としては史上最高額の興行収益をあげているそうですね。楽しみです。

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そして、シルクの『Freak Me』。これが3月から8週連続のナンバーワンヒット。ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)『That’s the Way Love Goes』。



ヒューストンからのヴォーカルグループ、H-Town『Knockin’ Da Boots』。



そして、SWV『Weak』。



Tag Teamというね、南部の、当時のマイアミですとかアトランタで流行りましたベースサウンドという流行りの南部の音に乗って『Whoomp! (There It Is)』。類似曲もたくさんありましたけど。それが7月に1位を獲得しております。



そして、Jodeciが『Lately』というスティービー・ワンダー(Stevie Wonder)のクラシックをカバーして。



で、これと競うようにして、先ほどお話しましたDr.ドレと同じ元N.W.A.のアイスキューブ(Ice Cube)が『Check Yo Self』という曲を8月にポーンと1位に放り込みます。Das EFXというラップデュオもフィーチャーしておりました。



この頃のヒップホップの作品っていうのは時代を作っているという感じがしましたね。Das EFXとかアイスキューブとか、このあたりは当時の国内盤の解説っていうのを僕が書いているんですけども。この間、読みなおしてみますと僕も、後にこういう作品がクラシックとして残るっていうことをわかっていないんですけども。やっぱり、新しい息吹きっていうのを浴びているだけで楽しいっていう感じが自分の文章を読んでいて行間から感じました。

そして、SWV。この年、2曲めのナンバーワンヒット『Right Here/Human Nature』。これ、『Right Here』がもともとアルバムに入っていたんですが、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の『Human Nature』をサンプリングしたことによって、より広がりを見せたという。まあ、リミックス文化の中でも屈指の成功例と言われていますね。



そしてエクスケイプ『Just Kickin’ It』。先ほどご紹介いたしました。もう秋らしいバラードでした。そしてね、続いてDRSの『Gangsta Lean』っていう曲がね、これが伏兵の大健闘っていうか。6週に渡って大ヒットしたんですけど。これね、いまバックに流れていますね。サウンドだけ聞いていると本当にメロウな男性ヴォーカルグループ。もうベッドサイド・ミュージックか?と聞き間違えるぐらい。我々、非英語圏に住んでますから、特権としてそういう楽しみ方もできるという方、多いんじゃないかな?と思いますが。これ、歌っている内容が『サグ(Thug)』ということも多い。



要は、ヒップホップの描く対象によくなる、なんて言うんでしょうね?殺伐とした日常を描いたりしているわけです。何しろ、曲のタイトルがギャングスタですからね。要は、N.W.Aのような、彼らの場合はロスアンゼルスのコンプトンと言われている地区から出てきて。そういういわゆるゲトーでの生態をある種こう、ノンフィクションタッチで描く。写実的な表現であるヒップホップに対して絵画的にそれを表したのがこういうDRSのようなR&B勢によるギャングスタ・デイズの描写ですね。『Gangsta Lean』っていう曲。本当にこの時代を象徴する1曲だと思いますね。

そして年末になって1位の座につきましたのが安定のベイビーフェイス(Babyface)作品。テヴィン・キャンベル(Tevin Campbell)の『Can We Talk』でございました。まあ、こうやって話してみますと曲の数はわずか14曲なんですけど。それぞれに語るトピックっていうのがちゃんとあるなと思いますね。



93年っていうのはどんな時代か?っていうと、日本ではわかりやすいところですとJリーグが始まった年ですよね。そして皇太子と雅子様がご成婚っていうのはこの年ですね。本当に、この93年の前半っていうのは特におめでたいムードが日本を包んでいたような、そんな気がいたします。もう、経済は破綻しつつあったと。ですが、だからこそなのか、こういうおめでたいこととかね、慶事とかそういうのが印象深いのかもしれません。

アメリカでは、1月に大統領に就任したのがクリントンです。民主党政権ということで、このR&Bがこれだけ盛り上がってきたということと無関係ではありませんね。まあ、そのことについてお話するのは趣旨ではないんですけども。やはりやっぱり、民主党が政権を取った時っていうのはR&Bは活性化されるんだなっていうのは歴史が証明していますよね。

特にクリントンっていうのはアンジー・ストーン(Angie Stone)が『My People』っていうアフリカンアメリカンの偉人の名前をどんどん出していく曲の中でクリントンの名前を入れているぐらいで。クリントンへのリスペクトを込めて。『はじめての黒人大統領』という言い方が成立するぐらいの人ですからね。まあもちろん、その後にバラク・オバマっていう人の登場を待つことになるんですけど。まあ、そうですね。ビル・クリントンが大統領に就任した。その時の就任パーティーの時に、取り仕切ったのがクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)っていう、この事実だけでいまお話したことは語れるのかもしれませんけども。

まあ、そんな1993年。もう一度言いますけども、クリントンが大統領に就任した時点でナンバーワンだったのがこれから聞いていただく曲です。ご紹介しましょう。ホイットニー・ヒューストンで『I Will Always Love You』。

Whitney Houston『I Will Always Love You』



1993年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介してまいりました。いまでも聞きたいナンバーワン。最後にご紹介しましたのは、ホイットニー・ヒューストン『I Will Always Love You』。1992年の12月から、93年の2月にかけて10週連続のナンバーワンでございました。収録されているアルバムは、もちろん映画のサウンドトラック『ボディーガード』ですね。『ケビン・コスナーって人気ありましたね!』なんてこの曲を聞きながらいま、スタッフと話しておりました。

まあけど、93年っていうのは当然日本でも『ボディーガード』、大変なロングランになりまして。大ヒットしていたんですけども。映画史的に見ますと、フェリーニが亡くなった年なんですね。『ボディーガード』とフェリーニ、遠いなっていう話でした。

<書き起こしおわり>
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