宇多丸『WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を語る

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宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の映画評論コーナーでPerfumeのワールドツアーを描いたドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』について話していました。



(宇多丸)さあ、ここから夜11時までは劇場で公開されている最新映画を映画ウォッチ超人ことシネマンディアス宇多丸がウキウキウォッチング。その監視結果を報告するという映画評論コーナーでございます。今夜扱う映画は先週、ムービーガチャマシーンを回して決まったこの映画。『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』。

『世界を股にかけて活躍する』という文句がね、あんまり誇張ではなくなってきた人気ガールズユニットPerfume初のドキュメンタリー映画。結成15周年となる彼女たちが2014年から2015年にかけて行った海外ツアー『Perfume WORLD TOUR 3rd』にカメラが密着。バックステージの映像や独占インタビューを交え、その軌跡とライブ制作の苦労を描き出すということでございます。

ライブ映像そのものはもう既にソフト化、商品化されておりますが、その裏側をドキュメンタリーということでございます。さあ、ということでリスナーのみなさんからの感想。この映画を劇場で見ましたよという方。ウォッチメンからの監視報告、メールなどでいただいております。ありがとうございます。メールの量は、普通。普段と比べて。なんだけどまあ、非常にね、Perfumeファン限定というぐらいの方向の作品にもかかわらずという意味では、多い方なんじゃないですかね?賛否で言うと、賛が8割、否が2割。

『Perfumeすごい!』『感動して泣いた』『情熱や真摯さが見られて胸が熱くなった』などが主な褒める意見でございます。否定的な意見としては『Perfumeはすごいけど、映画としては単調・退屈だった』とか、『特別料金2千円は高い』などがありました。この映画で初めてPerfumeをちゃんと見たという意見もちらほらあって。しかも、そういう人は非常に好評だった。これはよかったですね。これは本当、よかったと思います。

(感想メール省略)

ありがとうございます。まあ、概ね好評ということでございます。ということで、『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』。私もですね、RHYMESTERツアー真っ最中の鹿児島の、鹿児島ライブ当日午前中に早起きして、TOHOシネマズ与次郎という鹿児島市にある映画館で見てきて。その後、TOHOシネマズ渋谷でも見るということでね、見てまいりました。

宇多丸とPerfumeの関係

まあ私、宇多丸とPerfumeのこれまでの関わりとか、私のPerfumeに対する思いみたいなのについてはここでいちいち述べているとキリがないので。ざっくり・・・まあ、ネットとかでね、まとめ的に詳しく書いていただいている方もいますし。あと、私の拙著『マブ論』というのでね、時系列順にPerfumeを私がどう評価してきたのか?というのを読めますので。いちいち言いません。

まあ、ざっくり言ってかなり古くからのファンですよと。少なくとも、メディア上で『Perfumeいいよ』って言い出した人としては最古の部類に入ると思いますと。でですね、まあ私のスタンスとしては控えめに言っても僕にとっては、広義のアイドルとしてのみならず、全音楽グループ、全エンターテイナーの中でもPerfumeは僕にとっては圧倒的に特別な存在。控えめに言ってそんな感じです。はい。

と、同時にですね、これは昨年。2014年春にPerfume FESっていう対バンイベントをPerfumeが開いて。それにRHYMESTER、呼んでいただいたんですね。私、ちょっと縁が深いということで。で、それで対バン、共演して。そこで、『あ、そういえば俺、Perfumeファンであると同時に、こういう目線っていうのも実は強かったな』というのをより確信を深めた部分でもあるんですけど。

宇多丸が振り返る Perfume FES2014 ライムスターPerfume共演ライブ
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要は、これちょっと僭越ながらですよ。今日は『僭越ながら』という言葉がいっぱい出てくると思いますが。ものすごーく尊敬している同業者っていうことです。『ものすごーく尊敬している同業者っていう視点も俺、実は強いな。だからPerfume、好きなんだよな』っていうか。同業者として尊敬している。ということで今回の評は、古くから応援してきたファン目線っていうのももちろんありますが、それ以上にやっぱりその、僭越ながら、同業者目線っていうのがかなり僕は強く。特にやっぱりツアー中に見たもので。すごく入った話になるんじゃないか?と思います。

でですね、まずは特に非Perfumeファンの方。言っておかねばならないこと。まあ、初めてこれでPerfumeをちゃんと見たっていうので。で、好意的な方もいっぱいいらっしゃるようなんで。それは本当によかったですけど。ただ僕はやっぱり、『あ、ぜんぜんPerfume、何も知らないんだよね』という人に、いきなり今回の作品からすすめるのはちょっとはばかられるかな?と思います。

正直、うーん。一般劇場公開はされていますが。まず2千円っていう特別価格設定からしても明らかなように、まあぶっちゃけはっきり僕はファンムービーだと思います。つまり、よく知らない人に、何の思い入れも予備知識もない人に、いきなり『ここから入り口にしろ』とはちょっと言わないかな?っていう感じです。でですね、監督されている佐渡岳利さんっていう方。この方、NHKのもともとプロデューサーの方で。MUSIC JAPANのプロデューサー。Perfumeが司会をやっていますよね。

とか、Perfumeのドキュメンタリー番組をNHKで4本撮られていると。これがもう、すごいPerfumeの成長というか道のりを克明に記録していて。素晴らしい作品群なんだけど。その佐渡さん自身が今回、いろんな、たとえばReal Soundっていうところのインタビューで『テレビだと不特定多数の人が見るのでPerfumeに興味がない人にもわかるように作らないといけないと心がけているんだけど、映画はおそらく全く興味がないという人は来ないので、見にくる人はみんなPerfumeを知っているという前提で、テレビよりはもう少しコアな部分に踏み込んだような作りにしている』というようなことをインタビューで、佐渡さんご自身がおっしゃっていて。

で、たとえばですね、わかりやすいところで言うとPerfumeね、広島ローカルアイドル。で、インディー時代からのいわゆる成功譚。非常に奇跡的。ドラマティックな感動的な成功譚であるとか。あるいは、たとえばですね、今回のオープニングで出てきた驚異的なステージ映像演出。真鍋大度さんという方がやられている驚異的な映像演出の裏側を見せるとか、そういう言ってみればドキュメンタリー的にわかりやすく興味深い、開かれたトピックみたいなものはですね、さっき言ったNHKの佐渡さんがすでに撮られた4本のドキュメンタリーですでに一通りやっているんですね。

その、『こんなところから成功してきました』とか『映像はこうやってやっていますよ』とか。あと、『振付師のMIKIKO先生はこうやっていますよ』みたいな。今回もいっぱい出てきましたけど。で、ファンの多くの方はそのドキュメンタリーも見ているであろうから。同じことを繰り返すのはファンに対してはちょっとできないっていうのは当然あったでしょうし。

ファン的にはすでにしかも、そういう下積みからの苦労して物語モードみたいなのはPerfume自身もファンもとっくにもう、次の次の次のモードとかに行っちゃっている段階なので。そういう意味では一見さんがいきなりここで全てを理解できるような作りじゃないっていうのはたしかだと思います。今回の映画、ライブDVDとしてはすでに商品化されているライブなわけですね。なので、ライブの中身ががっつり見たい人は当然こっちを見ているだろうし・・・という前提で、舞台裏っていうのを追った。文字通り、舞台裏ですね。

舞台の裏。裏側から見せる視点っていうのがすごい興味深いメイキングドキュメンタリーなんですけど。特に中でも、アメリカで初ライブする。それが成功するか否か?っていうのがひとつの大きな山にはなっている。ですけど、今回の映画はですね、殊更にそのアメリカで初ライブ。それが成功するかどうか?っていうのを殊更に盛り上げすぎないっていうか、作為的にドラマティックにしないような構成になっているっていうかですね。

作為的にドラマティックにしない構成

ある意味、ものすごーく淡々としています。まあこれ、単調と感じる人がいてもしょうがないかな?と思う程度には、すっごく単調としています。まあ、同じアイドルのドキュメンタリー映画として、比較対象としてわかりやすいので挙げさせていただくと、同じライブ舞台裏ものドキュメンタリーでも、たとえばAKBドキュメンタリー。特にやっぱり2作目みたいなですね、トラブルがワーッ!起こって。そのトラブルが起こる度に修羅場が起こって。で、本人たちがもう七転八倒して・・・っていう修羅場ゆえの面白さみたいなのは、はっきり申し上げて今回のPerfumeの映画には1個も起きません。

トラブルとかはもちろんあるんですよ。っていうか、実際には肉体的にも精神的にもものすごーくつらい場面。あるいは重大なトラブルであるとか、Perfumeにも絶対にあるはずですよね。で、その一端はたしかに今回の映画の中にも映り込んではいるんですよ。たとえばライブ後にメンバーが氷水で足を冷やしていたり。出て行く時もあーちゃんが首に氷を当てていたりとか。あれね、やりようによってはもう『こんなに過酷なんです!』っていうのを強調することはできるでしょうし。

あるいは機材トラブルで・・・みたいな場面もあるんだけど。そこはいちいち大事にせず。Perfumeの場合、ライブ後にすぐ反省会をして、修正するところは修正して。で、トラブルやらミスがあっても、なんとかチームでカバーしあって。で、それでもダメなら笑い飛ばしてちゃんと次のステージに、まさしく粛々と。『粛々と』っていう言葉が相応しいと思うんだけど、粛々と備えていく。

で、そのサイクルの繰り返しなわけです。ライブをやる、反省する、次に備える。ライブをやる、ブラッシュアップする、次に備える。この繰り返しなわけです。で、ある意味それは本当にあまりにも地道な積み重ねすぎて。パッと見、すごく単調にも見えるかもしれないサイクルなんですよね。この映画はまさにそのサイクル。繰り返し、繰り返し。一見、単調にしか見えない地味なサイクルを繰り返し繰り返します。

しかし、毎ステージ、毎ライブ、でも同じ景色っていうのはひとつとしてないわけですよ。つまり絶え間ない変化、進歩のプロセスもある。繰り返しに見えるけど、実は同じじゃない。少しずつ、小さなスパイラルで少しずつ前に進んで、どんどん高みに実は上がっている。つまりこの、淡々と、粛々としたこの積み重ねこそ、なんて言うかな?大きく言えば、真っ当なエンターテイナー、真っ当なものづくりの姿勢っていうんですかね?

それこそがPerfumeの偉大さであり、特別さの本質なんだっていうことこそ、わかりやすい、たとえばトラブルでモメて、さあどうする?クリア!とか。そういうわかりやすいドラマ的な展開以上に、この淡々とさ、粛々とさこそがPerfumeの偉大さの本質なんだっていうことを、たぶん作り手はそっちを強調したかったからじゃないかな?と。

要するに、変にドラマティックにしたくなかったんじゃないかな?っていう風に思いますたぶん編集次第ではいくらでもそんなドラマなんてさ、後から雰囲気的にね、作ることはできるはずなのに。はい。で、実際ですね、僕さっきも言いました。同業者目線。同じ音楽アーティストで。3人組でもあるしね。で、ツアーをずっと続けている身としては本当に、『ああー、わかるわー!』。何なら、『あ、やっぱりちょっと俺らと似てるところ、あるな!』っていう部分の本当、連続でした。本当にこれ、僭越ながらですけど。はい。

あの、ちなみに僕らのですね、この1個前にやっていたアルバムツアーで『ダーティーサイエンスツアー』っていうののDVDがドキュメンタリー仕立てになっているんですよ。ツアーの様子をずっと同行しててっていう。それはある意味、今回の映画に近い作りなんだけど。それを撮っていた監督のtatsuakiくんっていう人に言われたのは、『RHYMESTERはおっきなケンカとかもしないし、トラブルとかがあっても粛々とやっているから、はっきり言ってカメラを回しててもそんなに面白いことが起きないんだよね』って言われて(笑)。

まあ、そうだよねっていう。要するに真っ当に積み上げていくしかないから、そんなに面白いことが起きないよっていうのは俺らが言われたことでもあるっていう。たとえばね、彼女たち、今回の『WE ARE Perfume』でもですね、曲目のセットリストを少しずつ修正していったり。通しゲネプロの後にずーっと延々と、こうでもない、こうでもない、ここ、こうなんじゃないか?って。まさに僕らもやってることですし。

あと、会場が変わることによって、これは僕らよりもPerfumeの方がより厳密なんだなと思ったのは、やっぱり振付とかいろんな映像を使った演出とか、いろんなものがより僕らより厳密ですから。会場が変わって奥行きが変わるだけで、ここからステージの前に行くまでの距離が変わるだけで、ちょっと段取りを変えなくちゃいけないとか。そういうところで段取りを変えるとか。

途中であーちゃんが、ワールドツアーの2回目のワールドツアーよりセットがだいたい似てるんだけど。『階段が1段、増えたじゃん。だからその分・・・』みたいなことを言っていて。でも、そういうところで工夫を1個重ねるとか。あと、曲間のちょっとした間をね、空けるか、縮めるのか?曲が終わって、すぐオンでポンって行くのか、ワーッ!って来るのを待って行くのか?さあ、どっちにしようか?とか。

あるいは、途中でのっちがこんなことを言った。『「ねぇ」という曲をやる前に、タイトルを言わないで始めた方がいいんじゃないか?』とか。これもやっぱり、そういう調整を少しずつやる。そういう提案をしてやってみるとかですね。これ、まさにその気のおけないやり取りっていうのを撮れるのは、佐渡さんがずーっとPerfumeと一緒に仕事をしてきて、信頼関係を築いているからこその、もう完全にリラックスした。足を揉みながら、ストレッチしながらの、マキシマムザホルモンのTシャツを着ながらのさ、打ち合わせ。

でも、あれを見ていて、『ああ、本当にこの通りだよ。こういう細かーい、細かーい工夫。試行錯誤の積み重ねでしか、いいものってできないんだよ。実はやっぱりこうなんだ!だから、いくらやることのスケールがデカくなろうと、俺らぐらいの規模でやっていようと、やっぱり同じじゃねーか!』と思って。そういうところとかも、すごく俺はいちばんグッと来たのは、今回同業者として。

たとえば会場を見て、『えっ、ちょっと大きすぎない?』ってビビッたり。後は途中でのっちが言ってましたけど。階段。奥の方の席から見てみて。『ああ、こんな遠いのか。大丈夫か?』みたいな。たしかめてみるとか。ああいうの、全部やることですから。はい。で、まあその工夫の積み重ねなんだと。これはどんなにデカくなっても同じだと。じゃあ、それこそたとえば冒頭についているサウス・バイ・サウスウエスト。テキサスのオースティンでやっているでっかいフェスの公演で真鍋大度さんっていう、先ほども言いましたけど、脅威の映像演出みたいなのが出てますけど。

それにしたって、Perfumeの3人が幕みたいなのにこもって、それを動かす。つまり、MIKIKOさんの振付とか衣装とか、そして彼女たちのそのパフォーマンス。全てが一体になったものなんだっていうのがわかる感じじゃない?つまり、どんだけハイテクな、どんだけガチッとした金をかけた演出に見えようとも、ベースにはやっぱり人力が、アナログな努力っていうのがやっぱりあるんだよ!っていうことね。これ、たぶんハリウッドの超金かかったCG大作だって同じことだと思うよ。結局、人の努力なんだよっていうさ。

で、それがだからこそ、今回のですごく印象的だったのは、毎公演、同じカメラワークというか。ステージ裏側から1カットで本人たちがステージ袖にスタンバイして。位置について、板付きして。で、幕がこうやって、いわゆる振り落とし。幕がドーン!って落ちて踊り出すっていう。繰り返し繰り返し同じ見せ方で見せる。

印象的な繰り返し

あれ、まさに俺らがライブ前に。あの光景なんすよ。幕がかかっていて、向こう側で。で、バーン!って落ちる。そうすると、同じことの同じ見せ方の繰り返しだから、一見それは同じことの繰り返しに見えるけど、バーン!って幕が落ちた先の景色は同じようで一度たりとも同じじゃないっていう。これがまさにあの映画、象徴しているわけですよね。あの繰り返しがね。はい。いっつも僕らが見ている光景。全てのライブをやるアーティストが見ている光景を繰り返す。

その意味で、いちばんのハイライトはやっぱり今回、最初のアメリカ公演。LAのパラディアムっていうところでやる。あ、時間が超ねーな、もう!ええと、アメリカで受け入れられるか?っていう不安は当然あるものの、やっぱりその乗り越える不安みたいな葛藤をですね、構成でもっと強調することもできたけど、それをあえてせずに。要は悲壮感みたいなものをあんまり表に出さない。そこはやっぱりPerfumeらしさなんだろうと。

ライブ直前、気合入れして。あーちゃんが『次、来れるかわかんないから、悔いのないように』って。ああいうことを言ったりとか。で、ところが舞台袖にスタンバイしている時に、あれ、すごいよね。『LEDがつきません。LEDの演出、使えません』って。これ、もうAKBドキュメンタリーでいったらもう『オーイ!オラーッ!お前、どうなっとるんじゃー!?』ってなる場面ですけど。ここでバーン!ってなってパニックにもならずに。体ひとつで勝負をかけに行く。同じように。全く同じように板付きしに行く。そして踊り出す3人の背中のなんと男前なことかっていう。はい。

でも、その実際にそこで幕がドーン!振り落としやったら、ツアー最大級のドカーン!が来るという。要するに、事ほど左様にトラブルが起きてもですね、いわゆる修羅場ゆえの面白さとかそういう方向に行かずに、もうこれこそがPerfumeの素晴らしさを表現する究極の一語だと思うけど。常に『多幸感』っていう方向にちゃんと着地していくと。『AKBが「プラトーン」ならPerfumeは「ネイビーシールズ」かな?』とか思ったんだけど。なんかあんまり戦いのメタファーが合わないの。Perfumeは。多幸感が。

これ、どういうことか?っていうと、ひとつにはもちろんメンバー3人の、みんなが言う奇跡的なバランスで構成された人柄、絆の強さっていうのがあるけど。同時にですね、これがすごい大きい。Perfumeの場合、今回のドキュメンタリーでも終始強調されている部分ですけど。やっぱりスタッフ込みのチーム力っていうことですね。ここもやっぱりRHYMESTERチーム、自分たちのチームをすごく思い起こしましたけど。内山さんだっけ?舞台監督との距離感とか、すごい『ああ、わかるわかる!』っていうか。

要するに、『WE ARE Perfume』っていうのはそのことなんだよね。チーム。『私たちはPerfume』。チームごと。で、ただPerfumeチームが他の音楽グループとは決定的に違う多幸感を醸し出すのは実は、ここが大事だと思うんだけど。誰のエゴも前に出てこないチームなんだよね。誰のエゴが中心にもないグループなの。こんなこと、なかなかないですよ。アーティストやプロデューサーが強力に、誰か1人が強力に引っ張るとかではなくて、メンバー本人たち含め、Perfumeというエンターテイメントをより良くするために各セクションが個々でベストを尽くすっていうバランスなんですよ。

そう。エゴを前に出す人が1人もいない。中田さんだって曲を作るだけだし。それが奇跡的に合わさって、ものすごいあれを作る。だから多幸感。なので最後にアミューズの会長の大里会長が出てきた時に、異質な人物が出てきた感じ、するでしょ?あの、1人エゴが強烈に強い人物が最後に出てくるから(笑)。いままで画面に1人も映ったことがないタイプの人が出てきた!っていう感じがするというね。はい。ということなんじゃないかと思います。

あと、たとえばトラブルが悲壮感につながらないっていう意味で、今回の見せ場の一つだけど、ロンドン公演でね、のっちがもう豪快なミスをして。それをでもちゃんと、笑い飛ばしつつも、しっかり検証して反省会に回っているというあたり。やっぱり粛々とという部分だと思います。まあ、音楽の付け方とかね、含めてたしかにちょっと、いくらなんでも繰り返し感、強すぎるかな?とも思うんだけど。

でもちゃんと、たとえばニューヨーク公演。ダレるかな?と思うところで、あーちゃんがカメラ側。つまり監督側に向かって本番前に『今日が最後の公演だから』っていうんで。グッと、たぶん握手でしょうね。求めてきたり。そういうところでやっぱり、おっ!って。かならず、おっ!っていう瞬間がある。っていう感じだと思います。

まあ、半ば意図的なものだとしても、劇場で見るにはもう一声、何か。僕は映画館にかけるということは、僕は監督とはちょっと逆の考え方で。もっと公共性が高くなるっていう風に僕は思うから。うーん、作りはあったんじゃないか?って思うけど。あとまあ、冒頭にサウス・バイ・サウスウエストの映像をドーン!って持ってくるなら、最後の方であの驚異的演出のなんかしらの舞台裏を見せてくれるんだろうと期待してたら、それもないのか・・・とか。ちょっとがっかりしたところではあるけど。

ただ、一応念の為に言っておきますけど、僕、いままでいろんなことを言ってきましたけど。その全部、号泣しながら見ていますんで。120分間。今年というか、こんなに泣き続けてスクリーンの前にいたこともないというのは事実でございます。とにかくね、これだけは言える。あーちゃんが途中でこう言うんですよね。『伝わるってうれしい』。これの喜びに満ちた120分だと思うんですよね。はい。

ファン以外の人もですね、日本人アーティストがアメリカでライブ大成功なんて話を聞くと、『だいたい日本から行ったファンたちなんでしょ?ほとんど』とか、『現地の日本人なんでしょ?』とか思うかもしれないけど。そういうレベルとはぜんぜん違うアメリカライブ大成功だっていうのは素直に驚ける部分なんじゃないでしょうかね?

あと、そうですね。さっきから言っているエンターテイナーとしての姿勢の真っ当な部分っていうか。僕からすると、全ての真っ当なものづくりの人はこうやってやっているんだっていうところが、すごく勇気が出るし。要するに、いちいち腐らずにちゃんとやっていれば大丈夫。要するに工夫を重ねて、あと、エゴじゃなくチーム力を大事にしてやるというところに、これは普遍的に感動。感心するところだと思います。少なくとも。

まあ、私の希望を言えばですね、佐渡さんの撮ったNHKのドキュメンタリー4本とセットでボックスセットになると完璧なんじゃないかな?と思いましたけど。はい。ということで、キリもないしね、ここでまとめれば、Perfume Love Foreverといったところで。まあ、それはそうなんですけどということでございます。でも本当にあの、改めて尊敬する。尊敬が増しました。大した奴らです。あんたら、スゲーよ!ということでぜひぜひ劇場で。いま、劇場でウォッチするのが素晴らしいんじゃないでしょうか。ぜひ、劇場で見てください。

<書き起こしおわり>

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