金田淳子が宇多丸に語る『島耕作』流ビジネス処世術

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

ボーイズラブ研究家の金田淳子さんがTBSラジオ『タマフル』で、弘兼憲史先生の漫画『島耕作』シリーズを紹介。ビジネスパーソンが学ぶべき島耕作流処世術を解説していました。

(宇多丸)『人間交差点』と言えば漫画家弘兼憲史さんの代表作。そして、弘兼先生のもう一つの代表作と言えば、もちろん『島耕作』。出世街道を爆進し、課長から会長まで登りつめたビジネスパーソンの中のビジネスパーソン、島耕作の処世術を学び、ゴールデンウイークでたるみきったその性根を叩きなおしてはいかがでしょうか?そんな意識の高い特集をお送りしてくれるのは、今年3月、富山県特集以来の登場となる、ボーイズラブ研究家、金淳こと、金田淳子さんです。よろしくお願いします。

(金田淳子)はい。よろしくお願いします。男と男の人間交差点を鋭く見つめていくアナリスト、金田淳子です。


(宇多丸)アナリスト。いいですね。たしかにアナリスト。分析家ということですね。

(金田淳子)今日もよろしくお願いします。

(宇多丸)よろしくお願いします。まあ、なにしろ富山県特集のアナリストぶりもね。

(金田淳子)まあね、富山県についてはちょっと私も一家言ありますからね。

(宇多丸)ええ。ちょっとやっていただきましたけども。役に立たなさ加減が本当に半端ない・・・

(金田淳子)いや、まあ橋Pとのコラボレーションによって、東京が富山であることも証明されたってことですよね。

(宇多丸)まあ、あの特集はね、言っちゃえば橋Pと金淳さんの暴走に僕が一言で言えば閉口するという。そこがポイントの特集なので。だから今日はでも、結構ためになると思うんですよね。

(金田淳子)今日はかなりためになると思いますよ。

(宇多丸)あの、結構研究成果の発表というところもありますからね。金淳さんね。えー、ちなみに金田さんと島耕作、どのようなご関係で?

(金田淳子)まあね、島と中年女といえば、普通は肉体関係なんですけど。

(宇多丸)まあ、すぐヤリますからね。

(金田淳子)ねえ。残念ながら、私は肉体関係はなくて。

(宇多丸)まあ、二次元ですからね。

(金田淳子)そうですね。まあ、昨年11月に河出書房新社さんから弘兼先生の40周年記念号ということで、『総特集 弘兼憲史』っていうのが出されまして。まあ、いまも大好評発売中なんですが。こちらにちょっと原稿をね、島耕作を全部読んで、それに出てくる男たちの関係とはどのように描かれているか?みたいなことをちょっと論考を寄せさせていただいたんですね。


(宇多丸)これはもう、オフィシャル仕事ですよね。

(金田淳子)まあ、言うなればそうなわけですよ。

(宇多丸)ちょっ、あの、ちょっと目線のイルな感じがね、伝わるかな?という。

(金田淳子)(笑)

(宇多丸)僕、あの、島耕作特集をやるって時に、『えっ?金淳さんで大丈夫なの?』みたいに思ったけど。まあ、オフィシャル仕事やってるしなって、これ、だいぶ免罪符になりました。正直。

(金田淳子)(笑)。まあね、たしかにね。私も起用されていいのかどうか?っていうのは、私自身の中でもありました。しかし、まあ私、現在レギュラー出演中の、一応インターネットで見れる番組。『真夜中のニャーゴ』の金曜日のパーソナリティーなんですけど。それで2時間熱く、まあ島耕作を語るっていうのを、全体で6回しかやってないのに、すでに2回やってしまいました。こっそりと。

(宇多丸)(笑)。3分の1じゃないですか!

(金田淳子)そう。すでにだから、その番組の成分は3分の1は島であると言っても過言ではない。

(宇多丸)あの、前から本当にお好きだったってことなんですね?じゃあね。

(金田淳子)そうですね。たびたび読んでいて、ちょっとヤバい漫画。いい意味とかいう感じで知ってはいたんですけど。先ほど言った、総特集 弘兼憲史のために1から読みなおして、全部読んでいるうちに、やっぱり愛着がすごい湧いたわけですよね。で、様々な、思っていたのと違う・・・もっとサラリーマンっぽい話かな?って私の中で誤解していたところがあったんですけど。違う。もっと、どっちかって言うと、奇妙な冒険っていうか。アドベンチャー?みたいな。

(宇多丸)ああー。まあその、あらかじめの固定観念、イメージとは違う部分も、改めて発見したりなんかして。

(金田淳子)そうですね。それが面白かったですね。

(宇多丸)あるいはだってそのね、金淳さんのフィールドから言えばですよ、要は島耕作という男はやたらとこう、いろんな女性とね、やっちゃあ、入れ替わり立ち代りなわけじゃないですか。そういったあたりとか、どうお感じになるのかな?なんてのはね、気になるあたりだったんですけどね。まあ、そこも含めて今日は伺えるんですかね?

(金田淳子)はい。まあちょっと、今日はね、真実を語っていっちゃいますよ。

(宇多丸)真実?(笑)。いつも真実をお願いしますよ!『今日は』ってね。

(金田淳子)いやいや、いつもですよ。

(宇多丸)いつもですよ。まあ、ということで、人間交差点。我々が明日やるイベント。まあ、弘兼先生公認のタイトルでございますので。今夜はほぼ、オフィシャルの島耕作特集ということで。

(金田淳子)ああー、そう、なのかな?(笑)。

(宇多丸)わかりませんけどね。あの、この特集をやったことで、弘兼先生が激怒されて、公認の名前、使うな!ってことになると本当、私、ビジネスパーソン的にも問題が、ダメージが大きいので。そのあたりちょっとね・・・

(金田淳子)気をつけなくちゃいけない。しかし私は、実際島耕作に描かれていることしか言いません。

島耕作のビジネス処世術 3つの『あ』

(宇多丸)まあ、たしかに。嘘を言うわけではないということでございます。ということで、金淳さんですね、今夜は漫画 島耕作から見えてくるビジネススキル。処世術をですね、ビジネスマナーっぽくですね。本、ありますよね。ハウトゥー本みたいなの。そういう感じで、『3つの「あ」』というキーワードにまとめてもらったと。まあ、この時点でもうすでに嫌な匂いというかね。

(金田淳子)いやいやいや。いやいやいや。

(宇多丸)『あ』っていう。もう、ひとつしか思い浮かばない・・・逆に、3つもあったのかよ?っていう。

(金田淳子)あれ?いろいろあるじゃないですか。『あ』と言えばね。

(宇多丸)まあでも、金淳さんと『あ』っていうと、もうひとつしか思いつかない・・・

(金田淳子)まあまあまあ。まあまあまあ。

(宇多丸)ということで、まあ不安はあるんだけど。本編に入る前に、まず本当に島耕作ね。読まれてない方もいらっしゃるかもしれないので。ビギナーのために、漫画 島耕作とはどんな漫画なのか、簡単に解説をお願いします。

(金田淳子)そうですね。こちら、日本一有名なサラリーマンにいまとなってはなってしまいましたけど。この主人公、島耕作。1947年生まれ。もう、団塊ど真ん中ですね。この島耕作を中心に据えまして、初芝という架空の家電大手企業を舞台としまして、まあ独特のファンタジックな作風。そして、時々リアルな感じで、まあサラリーマン模様を描いていく。そういった漫画ですね。

(宇多丸)男性サラリーマンの、『こんなこといいな、できたらいいな』を叶える?

(金田淳子)そう。それですね。『あんな穴、こんな穴♪』ですね。

(宇多丸)言っちゃってるじゃないですか、もう。

(金田淳子)いやいやいや、言ってない(笑)。そして、まあ売上的にはもう累計4千万部になっておりますね。大ヒットですね。しかも、それが面白いのはこう、ずっと続いているということで。しかも、作品内の時間の流れと現実の時間の流れが同じなんですね。だから、いま島耕作で描かれているのが2015年ぴったりということになります。

(宇多丸)ああー、そっか。

(金田淳子)で、始まったのが、連載開始が83年で。はじめの1冊は、やっぱり試験的なところがあって。1年ぐらいかけて描かれていたんですけど。その時、まあ課長島耕作で始まって。昇進していく。部長島耕作、取締役島耕作、常務島耕作、専務島耕作、社長島耕作。現在では、会長島耕作。

(宇多丸)会長ですよ!でも本当に、ビジネスパーソンとしては理想的なキャリアを。

(金田淳子)そうですね。もうトントン拍子に上がっていきました。

(宇多丸)会長ってないでしょ?普通。

(金田淳子)ですね。まず、会長のある会社自体がそんなにないんじゃないかな?っていうね。

(宇多丸)だいたい同族で譲っちゃったりするんじゃないの?だって、そんなの。って感じがしますけど。素晴らしい。まあ、リアルタイムに、83年から2015まで、島さんのその歩みがずっとリアルタイムに来ている。

(金田淳子)そうですね。ここがリアルタイムで。実はやっぱり人気があるから、『若い頃の島のことも見たいな』という要望に応えてなのか、モーニングの姉妹誌であるイブニングで、2001年からヤング島耕作、係長島耕作。そしてさらに、ここまで描いちゃったから、早稲田に入った頃の島耕作ことを見たいなっていう感じになって、学生島耕作とかも。

(宇多丸)が、学生!?学生ってすごいですよね!学生島耕作。

(金田淳子)早稲田の学生だった時の島の話をいま・・・

(宇多丸)『ヤング』と『学生』はもう、役職じゃないですからね。

(金田淳子)まあ、このままいくと、やっぱりどんどんさかのぼって。中学生島耕作。

(宇多丸)幼児島耕作。

(金田淳子)胎児島耕作。

(宇多丸)胎児(笑)。胎児は、まあそうですね。この可能性、お父さん、お母さんのね・・・あるかもしれないですけど。

(金田淳子)って行くんじゃないかな?っていう予測もよくされていることですね。

(宇多丸)なるほどなるほど。その男のね、そういう男性サラリーマンのあんなこといいな、こんなこと・・・夢を叶える、まあある種、スーパーサラリーマンなんだけど。ジェームズ・ボンドと違って、ちゃんと齢をとって、あれになっていくっていうところがちょっと変わってますね。やっぱりね。

(金田淳子)そうなんですよね。そして、現実で起きた政治変動とか不況とか地震とかの災害ですね。そういうのも実際、作品の中で起こって。まあ島がその時、どう感じたか?っていうのとかも語られているんで。他には、あんまりそういう手法の漫画がないかな?とは思うんです。

(宇多丸)なるほど。これ、だからやっぱりずっと読み続けたくなっちゃいますね。こういう風になっているとね。さあ、といったあたりで、概要をお聞きしましたが。いよいよ本編に入ってまいりましょう。3つの『あ』ということなので。1つ目の『あ』ですね。島耕作に学ぶビジネススキル。1つ目の『あ』。『あせらない』。さあ、ということで。よかった。ホッとしました。なんだー。そっちですか?

(金田淳子)そう。いろいろありますよ。『あ』と言ってもね。『あ』で始まる言葉、いっぱいあるじゃないですか。

(宇多丸)まあ、あせらないっていうのもね、金淳さん的に読んでいくと、どういうことか、まだ油断できないんで、聞いていきましょう。どういうことでしょうか?

(金田淳子)これはですね、やっぱり島ってこんなに出世してるから、ガツガツと出世街道を爆進するために人を蹴落とそうとしたり、派閥をものすごい選んだ上で入ったりとか。そういう計画性みたいなのとか、あるんじゃないか?って思われているかもしれませんが、むしろ、流されタイプ。

(宇多丸)ああ、受動的だと。

(金田淳子)そうそう。別に出世しなきゃ!という気持ちも、実はもともとなかったんですよね。

(宇多丸)ああー、じゃあいわゆるできるサラリーマン感とはちょっと違う?

(金田淳子)そうですね。そこまで出世のために何かをあくせくしようっていうのはないと。島のよく出てくるセリフに、何か、割と本当に大変なことが起きているんですけど、一拍おいて、『これは大変なことになったぞ』ってつぶやくっていうのが割りかしよく出てくるんですけど。

↑リンク先で『これは大変なことになったぞ』画像見れます。

(宇多丸)ふんふん。

(金田淳子)全くあせっちゃあいない。この男。何か大きいことが起こっても、そういうったスタンスが大事ってことですね。で、まあそれは、あくせくしないってことにもつながっていくと。

(宇多丸)はいはいはい。

(金田淳子)で、まあ仕事であんまり、実はしているんだろうけど、仕事の局面があんまり描かれないんで。そこまで、何をどう努力してるか?っていうのはわからないんですね。

(宇多丸)本当はその仕事の中身では卓越した何かね、努力なり、スキルなり持っているのかもしれないけど。そこは、あんまり描かれない?

(金田淳子)そうですね。やっぱり、ちょっとラブアフェアーとかそっちの方面がよく描かれているので。まあ、仕事の方は、若干ね、普通にしてる。自然にしてるのかな?

(宇多丸)要するにガツガツ、人よりいっぱい仕事をしてるとか、そういうイメージでもなく?

(金田淳子)そうですね。残業をものすごいしているっていう感覚もなしっていう感じで。

(宇多丸)あと、『俺ががんばっているぞ!』みたいなアピールを作中でする感じもない?

(金田淳子)ないですね。周りに対して、そういうのを強調していくっていう、なんか押し付けがましさっていうのはない。

(宇多丸)割とサラリとしていて。

(金田淳子)そうですね。どうやってそれで仕事をしているのか?って思うけれども、これはですね、島耕作特有のね、物理法則がありまして。

(宇多丸)物理法則?

(金田淳子)はい。島が寝た女や、たまたま知り合った女、あと、飲み屋の女などの知り合いがたまたま取引先の偉い人だった。

(宇多丸)まあ、物理っていうか、そういう世界の法則があるわけですね。

(金田淳子)そういう世界の法則に任せていくわけですよ。

(宇多丸)はいはい。なので、じゃああれか?島耕作さんが、むしろ会社の外でアフェアーを重ねると、それが結果的にビジネスの世界に重なっていくという?

(金田淳子)それですわ。なので、あんま仕事でガツガツしちゃいけないと。それと、1つは仕事を選ばないっていうのもありまして。あの、これをちょっと見てくださいよ。この、総特集島耕作のいちばんはじめを飾る、薔薇風呂に入る島耕作っていう素晴らしい・・・

(宇多丸)薔薇風呂の中でなんかシャンパンみたいなのを開けてますけども。


(金田淳子)はい。これで読者に対して目線をガーッ!って見せつけてくる。これ、実はモーニングの表紙を飾ったものなんですけども。なぜか、こういう面白い表紙に限って単行本には収録されないことが多くて。

(宇多丸)ああ、そうですか。

(金田淳子)私も残念にずっと思っていたんですが。この本を作った担当者が・・・

(宇多丸)よくわかっているのか、頭に持ってきていると。

(金田淳子)そうそう。頭に持ってきて、ちゃんと収録してくれた。カラーで。そういった意味でも、この総特集、買っておくべき本なんですけど。これを見てわかる通り、島さん、仕事を選ばないなっていう。

(宇多丸)仕事って(笑)。描かれているから。これ、別にそれは、劇中とは関係ないじゃないですか。

(金田淳子)いやいや、これは島さんの仕事ですよ。

(宇多丸)本当ですか。ちょっと、ねえ。この段階でどんぐらいですかね?立ち位置ね。『ちょっと専務、宣伝のためにちょっと、裸で風呂入ってもらえますかね?』『いや、俺ちょっとそういうんじゃないんだけど・・・』みたいな。

(金田淳子)いやいや、もうその場合、『これは大変なことになったぞ』と。

(宇多丸)『なったぞ』と言いながら、任せるのか。抵抗したりしない。

(金田淳子)そうそう。すでにもう薔薇が風呂に満たされていて。『あ、お願いします』ってなった時に、まあ次のコマで『これは大変なことになったぞ』って言いながら、もう脱ぎ始めてる。そういう流され方が大事。

(宇多丸)要はその、無駄になにか自分を自己主張したりとか、そういうのは組織の中だと、まあ、あんまりいいことになっていかないぞってことなんですかね??

(金田淳子)そうそうそう。まあ、そういうことでしょうね。あの、激しく『自分が!自分が!』みたいにはいかないと。そして、実はさらにアフェアーの点でも重要なのは、ラブアフェアーでは、島はこんなにも女性と寝ているから、ものすごいナンパとかしてるんじゃないか?って思われガチじゃないですか。

(宇多丸)たしかに。そうしないとね、ならないんじゃないですか?アフェアーに。

(金田淳子)違うんですよ。島の場合、作中ではほぼ1回も自分からは言い寄っておりません。

(宇多丸)へー!

(金田淳子)つまり、女性から言い寄ってくるのです。

(宇多丸)それは・・・結構な話ですけど。参考にならねーよ、それ。

(金田淳子)いやいや、だからもう、女性に対してもあせらない。

(宇多丸)ただね、これ、でもたしかに、いま『参考にならない』って言いましたけど。やっぱり齢とってきたりして、若い時にこう、がっついている時ほど、あんまりダメで。で、『もう俺、ダメだわ。枯れたわ』みたいになってからの方が、むしろいい感じ。これ、あるかもしんないですね。

(金田淳子)宇多丸さんもそう思いますか!?

(宇多丸)ええ、ええ。

(金田淳子)人生として。

(宇多丸)いや、でも実際、実感としてそういうの、あるかもしれない。

(金田淳子)ですよね?やっぱり、そのガツガツぶりが仕事も女も逃していくわけですよ。

(宇多丸)仕事もたしかに、なんか若い時は『俺、ぜんぜん勝ち上がってくんで!』みたいに言ってると、『ああ、そうですか』っていう感じだけど。もっと粛々とやっている人の方が、結果的に伸びたりみたいなの、あるかもしんないですね。

(金田淳子)ほら!宇多丸さん、説得され気味じゃないですか。

(宇多丸)まあ、『受け』ってやつです。

(金田淳子)『受け』。もう、さすが『総受けの宇多丸』と呼ばれるだけのことはある・・・

(宇多丸)専門用語はほどほどにお願いしますよ。

(金田淳子)すごい。

(宇多丸)なるほど。でも、わかる気もします。それ、ちょっとね。がっつかない方がいいは。ちなみにこんなにいろんなね、島さんね、要は複数の女性と関係を持っているでしょ?『このーっ!キーッ!刺してやる!』みたいなことになったりしないんですか?

(金田淳子)それがね、意外とならないんですが。それは次のポイントでも言いたいんですが。まあ、その前にあの、女性があまりにも言い寄ってくるので、それが仕事につながることも大いにあるんですが。まあ、ピンチになったっていう時もよくあって。それはあの、刺されたりは全くしないのが不思議なところではあるんですが。まあその、女性が言い寄ってくるから仕事をしっかりした事案っていうのが結構あって。

(宇多丸)ほうほう。

(金田淳子)あの、島耕作って特殊な世界なんで、大型小売店の社長夫人たちを接待する旅行っていうのがありまして。地獄絵図なんですけども、若手男性社員たちが生贄として捧げられるんですね。

(宇多丸)あらあらあら。枕営業。まさに。

(金田淳子)そう。それですわ。島も、アメリカで課長の時に、いきなりふくよかな社長夫人に部屋に呼び出されて、裸になられて、『Come on,Japanese boy』ってなって。もう、普通はそこで『あっ・・・』とかって逃げると思うんですけども。『警察!警察!』っていう感じなんですけども。あの、社風がね、やっぱそういった感じなんで、もう島も粛々と服を脱ぐと。

(宇多丸)『これは大変なことになったぞ』と。

(金田淳子)『これは大変なことになったぞ』と思いながら、服は脱ぐ。で、脱いだところで、その股間のイチモツを見たアメリカの婦人が、思わず発した一言が、『Oh!ウタマロ!』なんですね。そういった活躍ぶりがちょっと見逃せない・・・

(宇多丸)しかも、その下のコマとか、ちょっと描写しづらい・・・『カポッ』とかいって、もうアウトな感じがあるんですけど。

(金田淳子)まあ、『カポッ』ってなってますね。

(宇多丸)ああ、そう。これはさ、その島さんのお持ち物はね、それはよろしいということもあるでしょうし。ちょっとこれは参考にはならない・・・

(金田淳子)いやいやいや、まあでも、こうやって仕事をしっかりしている局面も、実はそのアフェアー面ではあるというね。

(宇多丸)なるほど。なるほど。アフェアーなんだけど、それが仕事につながっていくような。それは初芝というこの会社のね、社風もあるという。下半身攻撃が。

(金田淳子)そうですね。まあ、社風っていうので次の『あ』と、つなげますか。

(宇多丸)ということで、『あせらない』。まあ、わかる気もしますけどね。なんかあった時に、『ああーっ!』ってなっていたら、これダメですもん。私、学ぶべきところでございます。続きまして、島耕作に学ぶビジネススキル、2つ目の『あ』。『抗わない』。まああの、はっきり申し上げると、『あせらない』とそんなに変わらないと思うんですけど。『抗わない』。

(金田淳子)あ、そうでしたか?まあまあまあ。

(宇多丸)『抗わない』。どういうことでしょうか?これ。

(金田淳子)そうですね。まあ、自分からガツガツしないし、そして初芝っていうのはなかなか、先ほどから言っているように不思議な社風なんですね。その社風に対して、むしろそこに乗って行く。その波に乗って行くっていうのが大事ってことなんですね。

(宇多丸)おおー、長い物には巻かれていく。

(金田淳子)そう。巻かれていくスタイル。先ほどの、まあウタマロもそうですし。

(宇多丸)そうですね。枕営業が推奨されているわけですもんね。とんでもないですね。場合によっちゃあね。これ、ブラック企業ですよ、だって。

(金田淳子)まあ、完全にちょっと、刑事事件に発展するあれもあるんですけれども。別に刑事事件にならなくとも、実は初芝の社風っていうのが結構独特でして。実は創業者の男がいるんですけども。創業者が、自分の右腕であった男と愛人を共有していたっていうエピソードがバッチリとあるんですね。それがまあ、重要なことになっている。

(宇多丸)共有?

(金田淳子)共有というのは性的に共有しておりまして。

(宇多丸)両方とも関係はしていて。

(金田淳子)しかもまあ、一度に3人でアレするといったこともしょっちゅうだったという。

(宇多丸)まあ、3Pというやつですかね?

(金田淳子)それですね。そういう社風なんですよ。

(宇多丸)えっ?だから要するに創業者からして3Pしているような社風。

(金田淳子)そうです。創業者が、自分と一緒に仕事してくれる男と、仲良く女を共有するという社風です。

(宇多丸)ただこれは、あの、それこそホモソーシャル集団の中ではね・・・僕とかちょっと本当、よくわかんないところなんだけど。一緒に風俗に行って仲良くなるとか。何?その笑い声?いまの笑い、何?

(金田淳子)あっ、いやいや・・・

(宇多丸)僕とかわかんないところだけど、一緒に風俗行って・・・とか、聞くじゃないですか。そんなような類の延長線上ですかね?これね。

(金田淳子)そうですね。というわけで、島もまあ、この社風に従いまして。あとまあ、本当女の方から言い寄ってくるってこともありまして。とりあえずあの、派閥のボスっていうのがいるんですけど。その派閥のボスと、その愛人である典子ママという人を性的な意味で共有したりしております。


(宇多丸)これ、普通だったらボスの女とね、関係しちゃったりしたら、社風によっては、『君、クビだ!』ってなる・・・

(金田淳子)あの、一発左遷事案だと思うんですけども。

(宇多丸)本当ですよね。『シベリア支社に行ってもらうよ』ってことじゃないですか。

(金田淳子)そうなんですよ。『初芝シベリア支社に行ってもらおうか』ってことになりそうなのに、逆に・・・一瞬ケンカになりかけるんですけど、上手く行くっていうね。むしろ、他の局面でも、この関係はしょっちゅう他の女を介在させて、他の男と営まれて。男たちとの関係が円滑になって、仕事がスムーズっていう話がしょっちゅう出てくるんですよ。

(宇多丸)へー。はいはいはい。

(金田淳子)でも、これを見てるとですね、もうね、女の人を挟まず、男同士でやればいいのではないか?と私なんかは思うぐらいです。

(宇多丸)うんうん。つまりその、女性を中に介した、実は性的コミュニケーションなんじゃないか?と。

(金田淳子)そうそう。そうなんですよ。もう完全に、まあ創業者なんか、ベッドを3人で共にしていたわけですから。そこに実は女の人はいらないんじゃないかな?みたいな。

(宇多丸)いや、これ実際のところね、いわゆるそのアダルトビデオとかで3Pの場面とか、あるじゃないですか。もっと多くてもいいですけど。男が多くなればなるほど、むしろ男性側の接触が増えてくるっていうか。これってもう、たとえばチンとチンがくっついてんじゃん!と。で、これを嫌に感じないっていうのは結構なものですぞ!って思ったりするんですよ。

(金田淳子)ですぞ。そうそう、そうじゃないですか。

(宇多丸)だからその、ここに抵抗を感じないってことは、実は男性同士の・・・ホモソーシャルはね、ホモフォビア、ホモ嫌悪とつながりやすいとか言うけど。実は、直接いくのははばかられるから、そういう感じなんじゃねーの?って思う時はちょっとありますよ。

(金田淳子)そうなんですよね。そこに女の人を入れなきゃって思い込んでいるけども、実はそこに濃厚な男同士の交わりがあるんじゃないかな?ってことで、そういうことに気づいた人が、作中にもいる。

(宇多丸)ほう!

(金田淳子)課長のね、4巻に登場する、俺たちの樫村健三ですよ。

(宇多丸)俺たちの樫村健三?

(金田淳子)樫村健三といえば、島耕作の中でも、ほぼ一番人気と言っていいキャラだと思うんですけども。

(宇多丸)どんなキャラクターなんですか?

(金田淳子)樫村はですね、早稲田からずーっと島と同期で。同期でナンバーワンで出世していく優秀な男なんですよ。この樫村ちゃんがですね、途中までは気づいてなかったんですけど、たぶん30すぎたぐらいになって、『俺はゲイで、島が好きだ』って気づいちゃうんですよ。

(宇多丸)ああー、まあまあまあ、ない話じゃないでしょうね。

(金田淳子)それで、告白をしたんですが、またそこで島のすごい薄い反応がありまして。

(宇多丸)(笑)。全体に淡々としてるわけですね。ちょっとね。

(金田淳子)島は、すごいいつも薄い反応をしてるんで。

(宇多丸)まあ、俺は違うかな、みたいな?

(金田淳子)そうそう。『俺はそういう趣味はない』とか言って。ちょっと、鈍器で殴りたいぐらいの、その時、気持ちになりましたけど。

(宇多丸)文字通りの。あ、金淳さん的には、樫村の気持ちになってこう、『必死で告白してるのに、お前!』と。そして、『私の好みの展開になるかもしれないのに!』と。

(金田淳子)そうなんですよ。泣きながら告白されているんですよ。なのに、すごい冷めた展開で。

(宇多丸)『これは大変なことになったぞ』と。

(金田淳子)『大変なことになった』すらもなかったんですよ。

(宇多丸)(笑)。『俺は違う』ぐらいの?

(金田淳子)そうそう。『俺は違う』ぐらいで済まされて。でも樫村はものすごい献身的で。その後もずっと親友のままでいて、島はその後、ちょっとピンチになった時にも、メインになって働いて、島を復帰させたっていうのも樫村なんですよ。しかも、この樫村。実は課長12巻でですね、初芝フィリピンの社長になっていたんですが、反政府組織に襲われ、銃撃を受け、重症を負ってしまい・・・まあなんか、このへんで島耕作っていう作品、そういうことが起きるのか!?っていうね。

(宇多丸)そうですね。知らない人は、『なんじゃ、そりゃ!?銃撃!?』っていうね。

(金田淳子)私が作った話のように思うかもしれませんが、本当にあった話で。まあ、そこで島も一緒で。島は軽傷だったんですよ。で、まあ『愛しているか?俺のことを』って言ったら、まあ最後、死んじゃうからね。死んじゃうから、島が『愛してるぞ。樫村、お前のことを愛している』って言ったら、手が震えて、パタッて死ぬっていう。屈指の名シーンですよ。


(宇多丸)うわー!これ、お話を聞いているだけで泣けれる。今回のね、これにも入ってますもんね。総特集 弘兼憲史。これにも入っている。

(金田淳子)そうなんです。これは、いろんな人がいちばんの名シーンと選んだシーンを収録するってことで。

(宇多丸)読者としては、だからやっぱり樫村の気持ちをね。『お前、ずっと、薄いリアクションで受け流しやがって!』って。でも、樫村はずっと想っている。要するに読者のモヤモヤを一気にここで・・・

(金田淳子)そう。解消してくれたっていう意味で。割と弘兼先生の漫画ってそういうのをはぐらかし気味のところが。アンチクライマックスっていうか。そこがリアルなところではあるんですけど。この樫村のことに関してだけは、本当、ちょうど読者の感情とストーリーがぴったりいったところだからこそ、みんな名シーンだと思っているところはたしかにあるんですよね。

(宇多丸)しかもその、今際の際にちょっとこう、優しい嘘をついてあげるっていうのがね。

(金田淳子)そうなんですよ!それが、まあいいシーンで。ここだけは、ちょっと島に対して、仕事したなっていうちょっと、ウタマロポイントがつきましたよ。私の中で。

(宇多丸)うん。あの、感動的な場面だったのに。いまのあれはいらなかったと思うんですけど。なるほどね。樫村のそういうのがあったりするわけだ。

(金田淳子)そうそうそう。まあ、社風に気づきすぎたが故に、樫村がかわいそうな感じに・・・

(宇多丸)ああ、ちょっと社風の一歩先を行っちゃったね。

(金田淳子)そうなんですよ。ちょっと未来に行っちゃったかな?っていう。

(宇多丸)『これ、女いらなくないっすかね?』みたいなね。

(金田淳子)そうそう。気づいたし、島に対する想いにも、すごい率直に、自分自身に向き合っていった結果がこれだよっていう。ちょっとずっと活躍してほしかったなっていう。もうひとつ、別の世界線のね、島耕作も見たかったなーっていうね。

(宇多丸)なるほどね。そういう気持ちを解消するために、たぶん同人誌とかがあったりするんでしょうね。

(金田淳子)あ、そうですねー。そういうの、読みたいですね。読みたいなー!

(宇多丸)(笑)。ちょっと金淳さんの目が怖く・・・キラッと怖くなった瞬間をぜひね、みなさんにお伝えできればと思うんですが。さあ、ということで、最後の項目、行きますか?『あ』。あっ、最後の項目ね、僕に読ませないように。ずっとこの台本が空白になっていたんで。

(金田淳子)これ、フレッシュな気持ちでね。

(宇多丸)そうですね。はい。でも、いまのところね、『あせらない』『抗わない』。まあまあ、納得できるラインでしたよ。今日の金淳は大丈夫だ!と思ったところで、最後の項目、まいりましょう。島耕作に学ぶビジネススキル。3つ目の『あ』。『アレをあそこに入れておく』。

(金田淳子)はい。これですわ。

(宇多丸)あー、もうちょっと、特にコメントを付け足したくもない感じの・・・

(金田淳子)いやいや、これがですね、いちばんビジネスに役立っているんですけど。正直。あの、実は社長7巻で起きたエピソードなんですが。これは実は島じゃなくて、曽烈生(それっせい)。これもね、もう樫村に次ぐ人気って言っていいんじゃないかな?

(宇多丸)曽烈生?

(金田淳子)うん。曽烈生っていう中国人のマフィアの方がいて。レアメタル買い付けにボリビアに行っている時に、闇の組織と対立してしまい、相棒となっていたボリビア人の人と一緒にさらわれて。さらわれた後、こういうことが起こっているんで・・・

(宇多丸)まずさ、みなさんこれ、社長になって、島耕作の世界の話ですよ、これ。

(金田淳子)はい。島耕作の世界ですけど、マフィアとかしょっちゅう出てくるんで。大丈夫です。そして、さらわれて行きます。で、まあ、『お前たち、やってくれたな!』ってことで、この相棒の人は原住民だったから処刑のやり方は先住民族たちの間で名誉ある死と言われていた馬裂きでって。

(宇多丸)うわーっ!

(金田淳子)って言って、『ああーっ!』って。

(宇多丸)車で手足を縛られて、引っ張られて。

(金田淳子)はい。ブチブチッ!って。

(宇多丸)ちょちょっ・・・切り株表現。切り株表現。

(金田淳子)はいはい。そして、『さあ、中国人。お前の番だ!』って。なぜか全裸にされているんですけど。

(宇多丸)裸である必要があるのか?っていう問題、ありますけども。

(金田淳子)まあまあ、ここはちょっとお楽しみがあったのかもしれないですね。

(宇多丸)そうかそうか。そういう含みもあったかもね。

(金田淳子)含みもあったけども、まあそれは置いておいて、ここは極寒の地なんですよね。だから、なぜかとどめを刺さないんですけど。なぜかとどめを刺さず、『ここに一晩いたら死ぬだろう。アディオス!』って言って去っていくんですよ。車で。

(宇多丸)はいはい。

(金田淳子)みんなが。で、放置された・・・

(宇多丸)要は、このまま放置されたら死んじゃうかもしれないぐらいなんですかね?

(金田淳子)そこでこの曽烈生。慌てず騒がず、『こんなこともあろうかと拉致される前に準備はしておいたんだ』って言って、ほら!

(宇多丸)あの、ええと、説明させて頂きますと、『ヌル』といってですね、要は全裸ですよね。曽烈生さん。

(金田淳子)全裸よ。何も持っていない。

(宇多丸)何も持っているはずのない曽烈生さん、やおら!まあ、アナルですかね?

(金田淳子)まあ見た感じ、尻の間の菊の花かな?

(宇多丸)えー、私がアナルって言ってるんで、それ以上説明、いらないんですけど。まあ、肛門から携帯電話をやおら取り出して。しかも、コンドームに入れてるんですかね?

(金田淳子)これは抜かりない。故障とかしないように、ね。

(宇多丸)まあ、スマグラーが使う手法ですよ。その、コンドームにいれて、すっと取り出して、やおら電話をするという。

(金田淳子)で、電波は通っているのか?とか、そういう不安もあるながら、まあ通じるわけですよ。

(宇多丸)まあ、衛星だったんじゃないですか?

(金田淳子)衛星携帯。ちなみにこれ、みんな心配になっていると思ますが。一応、新製品のペン型携帯っていう、そこそこ細いやつです。はい。

(宇多丸)(笑)。たしかにね。うん。衛星なんて、相当でっかいですけどね。このあたりは、やっぱりちゃんと。

(金田淳子)まあちゃんと、指2本分くらいかな?なんで・・・

(宇多丸)そんなの、わかんないじゃないですか。この画面で!

(金田淳子)いやいやいや(笑)。で、あの、携帯も通じましたってことで、最後、この・・・

(宇多丸)全裸で上からヘリコプターに照らされて、ドーン!と。雄々しく。こんなにその、男性の裸体っていうのを強調する必要のある場面でなくても、こうやるというね。

(金田淳子)はい。これはやっぱり、サービスシーンってことかな?

(宇多丸)ビジネススキルと関係ないじゃないですか!

(金田淳子)いや、だからあの、いつ、サラリーマンをやっていると、レアメタルとかを買い付けていると、いつ、拉致されて全裸にされるかわからないっていうことですよ。全裸にされて山中に・・・で、全裸にされてウタマロポイントがつくならまだしも、極寒の山中に放置されるってこともあるかもしれないじゃないですか。そういった時に、アレをあそこに入れておく。もう、これを読んだ・・・もう2010年なんですけど、2010年にこれを読んだ時に、みんな本当にこの時から、『アナ携』『アナ携は大事!』っていうね。

↑リンクでアナ携場面が見れます

(宇多丸)そうなんですか?

(金田淳子)はい。『アナル携帯』っていう言葉が流行りだしたんですよ。

(宇多丸)流行りだしたんですか?初めて聞きましたよ、これ!日経とか、そういうあたりではみんな使ってるんですか?

(金田淳子)まあ、たぶん特集とかしてるんじゃないかな?あの、アナルにいちばん入れやすい携帯はどれだ?みたいな。

(宇多丸)特集(笑)。使い勝手のね。使用感の話から。

(金田淳子)そうそう。ビジネス雑誌ではやってるんじゃないですかね?

(宇多丸)『ああー!』だって。ああ、嫌な予感が。思った以上に当たったというね、この3つ目の『あ』でございまいしたけど。

(金田淳子)でも本当、宇多丸さんもね、いつ、なにが起こるかわかんないから、備えを常に・・・

(宇多丸)いや、備えておけばそりゃ役立つ時もあるかもしんないけど。いつも携帯電話をアナルに入れていたら、他の・・・お腹が痛いとかさ、他の不自由が起こるじゃないですか。だって、それは。

(金田淳子)その時だけ抜くんです。

(宇多丸)えー、ありがとうございますね。あの、ちょっと金淳さんね、こんなことをやっていると、弘兼先生から本当に明日の特集の公認、外されちゃうっていう可能性があるからさ。

(金田淳子)いや、そんな、大丈夫ですよ。弘兼先生は大丈夫です。だって、弘兼先生が描いたんだし。これ(笑)。

(宇多丸)まあ、描いてあるんだもんね。本当のことを言っているわけだから。というですね、心配を吹き飛ばすかの如くですね、なんと、これをお聞きのビジネスパーソンのみなさんですね、この3つの『あ』を心に刻んでおいていただきたいんですが。なんと!今回の特集がオフィシャルであることの証拠として、弘兼憲史先生ご本人から、公式にコメントをいただいておりましたということで。

(金田淳子)あ、本当ですか?マジで!?

(宇多丸)逆に言えば、確実に聞かれているということですからね。

(金田淳子)あれっ?どうしよう・・・

(宇多丸)ちょっと背筋が、ちょっとね。凍るっていうかね。

(金田淳子)でも本当のことしか、私は言って・・・

(宇多丸)まあ、そうでした。たしかに描かれていることでした。っていうことで、これね、実は今を生きる社会人に向けた、ビジネスパーソンに向けた、実は熱いメッセージだそうなんだ。

(金田淳子)そうなんだー。

(宇多丸)僭越ながら、私、宇多丸からですね、この弘兼先生のコメントをご紹介させていただきたいと思います。

(金田淳子)はい。

(宇多丸)代読させていただきます。『5月病は新しい環境に適応できないために生じる鬱状態が4月の入学、入社を経て、1ヶ月後ぐらいに現れる適応障害だ。やる気がある人ほど起こりやすいと言われ、決して怠け病ではない。こう考えよう。人生は次々と新しい環境が目の前に現れる。学生時代は同じ齢の気の合う仲間とだけ付き合っていればよかったが、社会に出ると違う。全く世代の違う人間と、しかも最も苦手なタイプと一緒に仕事をしなければならない場合もある。つまり、好かれたり、嫌われたり、腹が立ったり、泣きたくなったり、嬉しかったり、楽しかったりが目まぐるしくやってくるのだ。そういうものがセットになって人生だ。だから人生は面白い。この先、大変な状況や危機的状況に何度も出会うだろう。それを楽しめ。クリアすることを楽しむんだ。人生という自分専用のゲームに没頭しろ。楽しいことも山のようにある。部屋でグダグダしている暇はないぞ! 弘兼憲史』ということでございます。

(金田淳子)おおーっ!素晴らしいですね(拍手)。

(宇多丸)ちょっと・・・本当、素晴らしいですよ。素晴らしいだけに、その手前との落差に、私はちょっと本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど。

(金田淳子)いやいやいや、でも本当、このゲームは自分専用だったんですね。

(宇多丸)まあ、そうですね。そう思えばね。

(金田淳子)私のゲーム、ちょっとハードモードしかなかったみたいなの、あるけど。

(宇多丸)なるほど。ハードモードだけに、やっぱり生き残るためには、やっぱり入れておかなきゃいけないってのもあるけど。

(金田淳子)そうそうそう。あるし、あと、選択肢が結構限られているんですけど。まあ、それもまた、楽しんでいく。

(宇多丸)金淳さんが何を匂わしているのか、わかんない時がたまにあるんだけどね。お願いしますよ。本当に。

(金田淳子)(笑)

(宇多丸)いや、これ、すごいじゃないですか。公式のコメント。ありがとうございます!弘兼先生。ちょっと。

(金田淳子)ありがとうございます。

(宇多丸)最後にいちばんこれね、本当にビジネスパーソン。5月病になりかけのみなさんね、役立つものがいただけたんじゃないでしょうか。

(金田淳子)よかった。私がウダウダ言うよりも、この、ね。この先生のね、400字がみなさんの心に刻み込まれたことと思います。

(宇多丸)でも同時に、先ほどおっしゃられたように、弘兼先生がお描きになっている主人公像のように、たとえばほら、無駄に力みすぎないとか。ガツガツして、要は人をそこで、ガツガツするために人を蹴落とすとか、そういう卑劣なことをするとさ、それはそれでマイナスになったりとかするでしょうし。

(金田淳子)そうそう。そして、まあ結構マフィアとかに襲われたり、銃撃されて死ぬ人とか、自殺や殺人が起きても、『これは大変なことになったぞ』と構えるってことが大事。楽しんでいくっていうのかな?

(宇多丸)まあでも、たしかに、人生何事も、『これは大変なことになったぞ』って。ある種、ちょっと1個引いてっていのもあるかもしれないって。無理やりね、私が本当に『受け』。『総受け』でオールキャッチしている特集でございます。

(金田淳子)受けてもらいました。

(宇多丸)といったあたりで、見事弘兼先生のコメントで締めていただいたところで。

(金田淳子)きれいに収められそうです。

(中略)

(宇多丸)でもまあ、金淳さん、ちゃんときっちり島耕作。シリーズを通して、やっぱり読まれてっていうことで。

(金田淳子)まあ、大ファンですから。

(宇多丸)わかる特集だったと思いますので。最後にじゃあ、これ、金淳さんの口からね、おっしゃっていただいた方がいいかもしれませんね。島耕作に学ぶビジネススキル、3つの『あ』。金淳さん、よろしくお願いします。

(金田淳子)では、改めて申し上げたいと思います。1つ目『あせらない』。2つ目『抗わない』。最後、『アナルに携帯』。この3つですね。

(宇多丸)(笑)。3つ目はね、体調に合わせてやってくださいね。

(金田淳子)そうですね。下痢の時はやめた方がいいと思います。

(宇多丸)はい(笑)。あの、喉がね、ちょっと咳が出てしまいました。以上、人間交差点前夜祭およびゴールデンウイーク終了対策 ビジネスパーソンよ、5月病に悩まされるその前に、漫画島耕作から処世術を学ぼう特集でした。金淳さん、そして弘兼先生、ありがとうございました!

(金田淳子)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

金田淳子が宇多丸にBL伝授!男のためのボーイズラブ入門 書き起こし
社会学者の金田淳子さんとお菓子研究家の福田里香さんがTBSラジオ『タマフル』にゲスト出演。BL初心者の宇多丸さんにボーイズラブとは何か?を語りました。 (宇多丸)TB...
金田淳子・福田里香推薦 BL初心者向けボーイズラブ作品
社会学者の金田淳子さんとお菓子研究家の福田里香さんがTBSラジオ『タマフル』でボーイズラブを特集。特集の最後に初心者向けのBL作品を計5作品、紹介していました。 (宇...

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事