安住紳一郎が語る 上級鯉のぼり講座

安住紳一郎が語る 上級鯉のぼり講座 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2010年5月にTBSラジオ『日曜天国』でしたトークの書き起こし。前の週に鯉のぼりについて熱く語った安住さんが、さらに鯉のぼり上級者向けの講座を開き、より濃い鯉のぼりトークを展開しました。

(安住紳一郎)さて先週、私の鯉のぼりへの思いを少しお話したんですけども。

安住紳一郎 憧れの鯉のぼりを語る
安住紳一郎さんが2010年5月にTBSラジオ『日曜天国』でしたトークの書き起こし。幼少期に鯉のぼりを買ってもらえなかった安住さんが、憧れの鯉のぼりについて語っていました。 (安住紳一郎)さて、先週私、静岡県行ってきたんですけど。静岡県の由比...

(中澤有美子)ねえ(笑)。

(安住紳一郎)本当にあの、下らない話だったんですけども。たくさんお便りをいただきまして。ラジオを聞いている皆さんから、たくさん本当に、うちの地元の鯉のぼりとは?みたいな。そういう故郷自慢、それから、こんなこともあるんですよというようなお便りも本当にたくさんいただきまして。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)なんかずいぶんと、鯉のぼりに関して、みなさんちょっと言いたいことがたくさんあるようで。

(中澤有美子)ああ、そうなんですね。

(安住紳一郎)それでいただいたお便りをずーっと目にしていると、ものすごく楽しくなってきまして。もともとその、鯉のぼり熱は高いものですから。

(中澤有美子)ええ、そうです。ええ。

(安住紳一郎)今日はちょっとその、鯉のぼりを講座を。しかも、5月5日をすぎている、この5月9日にするという。

(中澤有美子)はい。いいですね(笑)。

(安住紳一郎)ちょっと時期がズレている感じが、ね。また、みなさんの心に届くといいなというところなんですけども。しかもその、なぜ端午の節句に鯉のぼりを上げるようになったのか?とか、いつぐらいからそういう風習が?とか、なぜ鯉の形なのですか?とか。いつぐらいに上げて、いつぐらいにしまうものなんですか?とか。そういう、生易しい、調べればすぐにわかるような話はしません!

(中澤有美子)おおーっ!

(安住紳一郎)そんなのはもう、初級編ですね。ウィキペディアでも見なさい!っていう話ですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)百科事典でも見てなさいっていう。ええ。平和な情報番組でも見てなさいっていう。今日は、上級鯉のぼり講座。上級鯉のぼり講座ですね。ええ。もうちょっとね、ラジオを聞く気がなくなったという方もね、いらっしゃると思うんですけども。

(中澤有美子)(爆笑)

鯉のぼり各部分の名称

(安住紳一郎)まずあの、鯉のぼり。各部名称の確認を先にしておきますね。ラジオお聞きの皆さん、車を運転している方は、危ないので車を停めてください。

(中澤有美子)そんなに?(笑)。

(安住紳一郎)はい。それから、お仕事ね。農作業とか、それから厨房で仕込みの準備をしている方も、包丁とか刃物とかね、そういうものは置いて下さい。危ないので。まず、目をつぶって、自分の知っている庭に立てる鯉のぼりを思い出してください。頭に描いてください。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)これ、上級ですからね。厳しくいきますよ。

(中澤有美子)わかりました。

(安住紳一郎)やってない人、いますよね!?

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)やりなさい!

(中澤有美子)そりゃ、いますよ。確実に。

(安住紳一郎)これ、上級ですから。上級ですから。

(中澤有美子)えっ?ここでこれを怠ると、ついて行けないの?

(安住紳一郎)これを怠ると、この後15分・・・予定では17分ちょっとぐらいですね、まったくつまらなくなりますから。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)テスト形式でいきますから。まず、庭に立てている鯉のぼりを頭に思い浮かべてください。細部までね。自分の知っている鯉のぼりを、頭に浮かべてください。ベランダタイプじゃなくて、庭に立てるタイプね。ポールの。杉でも、木でも、スチールでも、ステンレスでもいいです。はい。庭に立てるタイプの鯉のぼりを頭に思い浮かべてください。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)はい、まず第一問。まず、ポールのいちばん上になにがありますか?

(中澤有美子)風車!

(安住紳一郎)風車!?

(中澤有美子)みたいなもの?

(安住紳一郎)ああー・・・

(中澤有美子)えっ?違うの?

(安住紳一郎)レベル、低いね。

(中澤有美子)(笑)。えっ?そうなじゃないの?クルクルするものでしょ?

(安住紳一郎)いちばん上。ポールのいちばん上ですよ。みなさん、いかがでしょうか?中澤さんのおっしゃっていた風車のたぶん上ですね。ひとつ上。

(中澤有美子)もっと上?

(安住紳一郎)上ですね。たぶん、キラキラ光る球形。玉状のボールのようなもの。あるいは、籐で編んだような、鞠のような感じ。あるいは、セパタクローの玉のようなものがたぶんついていると思うんですけど。ポールのところにね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)たぶん手持ちのプラスチックのやつでも、たぶん黄色いのとかついていると思いますよ。

(中澤有美子)あ、そういえば、そうですね。

(安住紳一郎)はい。ええ。これ、忘れる人、レベル低いですからご注意下さい。

(中澤有美子)残念。はい。

(安住紳一郎)この竿の先にある、飾りね。これは、神様に来ていただく場合の目印になりますので。

(中澤有美子)あ、そうなんですね。

(安住紳一郎)はい。まあ、神事としては、これがないと始まらないということで、意外に大事なポイントになりますね。では、この名前はなんでしょうか?

(中澤有美子)これはわからない・・・

(安住紳一郎)ポールの、鯉のぼりのいちばん先の先端についている、神様がおりてくる時の目印になる・・・

(中澤有美子)金色の玉?

(安住紳一郎)はい。玉状のものですね。このことをなんと言うか?まあ、上級鯉のぼり講座ですから。ええ。いや、これ大事ですよ。覚えておくと役に立ちますから。

(中澤有美子)そうですね。はい。

(安住紳一郎)あれがない!あれがない!って言っても、わかりませんよ。

(中澤有美子)そうか。上につける。あの、丸い。

(安住紳一郎)かっこよくいきましょうね。かっこよく覚えましょう。正解は『玉(たま)』です。

(中澤有美子)(笑)。それでいいんですか?

(安住紳一郎)玉でいいらしいです。はい。球。もしくは、籠玉(かごだま)。

(中澤有美子)籠玉。

(安住紳一郎)回転する場合は、回転玉と呼んで下さい。

(中澤有美子)はーい。

(安住紳一郎)それでは、第二問ですね。ではその下についているもの・・・ごめんなさい。自分でやっていて、飽きてきたな。自分で(笑)。

(中澤有美子)大丈夫ですよ(笑)。玉。回転玉。または籠玉。

(安住紳一郎)はい。籠玉の下ですね。

(中澤有美子)次。次は、風車。

(安住紳一郎)風車。正しくはですね、矢車というそうですけども。ええ。矢の形をした羽根が5つ、6つ、片車輪についていて。それが両車輪で回るような感じですね。ええ。両サイドで、三ツ矢サイダーのマークがね、回っているような感じの。そんなイメージ。錆びるとちょっとキコキコうるさい。さらには、これたいへんよく壊れるそうです。使っている方、本当に壊れるそうですね。

(中澤有美子)繊細なんですね。

(安住紳一郎)で、1年中あげている場合の方は、この玉と矢車。これはずっと上げていることになりますね。

(中澤有美子)ああ、そうなんですね。

(安住紳一郎)ポールをしまわない限りね。では、この矢車の意味はどういう意味があるのでしょうか?難しいですねー。上級編ですからね。

(中澤有美子)そうですね。それはやっぱり、武運をこう、祈って。矢がよく飛ぶようにとか、そういうことですか?

(安住紳一郎)ああ、なるほどね。武運長久を願って、矢が遠くに。これね、結構実用的なんですよ。これ、メッセージをいただいたんですよ。ファックスで。矢車の意味ですね。鯉のぼりの竿を立てて、いちばん上の矢車がグルグル回ることにより、地面に振動が伝わり、庭からヘビ、モグラ、虫などが逃げていく効果があるため、魔除けの意味があるそうです。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)さすが上級編。うなっちゃうでしょ?これ見て、うなっちゃった。なるほど!

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)さあ、そしてその下ですね。みなさん、自分の想像と比べてくださいね。その下に、次はじゃあ、なにがありますでしょうか?

(中澤有美子)吹き流しです。

(安住紳一郎)吹き流し。正解。英語で言うと、ウィンドソックス(Wind Socks)と言うそうですけども。

(中澤有美子)ソックス?

(安住紳一郎)ええ。飛行場とか、射撃場とか、射的場でも風向きを見るために、吹き流しっていうのは全世界共通で。英語で言うとウィンドソックスと言うそうですけども。はい。メッセージもいただいております。(メッセージを読む)『私は鯉のぼり、鯉よりも吹き流しが好きでした。子どもの頃、とても楽しみに帰宅したところ、ポールには吹き流しがありませんでした。家族に聞いてみると、なんと、色があせてきたので、おばあちゃんが着物の紐に作り変えてしまったとのことでした。細い布なので、とても作りやすかったそうです。私はとても悲しかったことを、いまでも思い出します』と。

(中澤有美子)ぴったりですね(笑)。

(安住紳一郎)はい。覚えて下さい。鯉のぼりの吹き流し、色があせてきたら、着物の紐にしてください。

(中澤有美子)それは・・・覚えたほうがいいんですか?(笑)。

(安住紳一郎)物事っていうのは関連付けて覚えたほうがいいですから。

(中澤有美子)そうかそうか。はい(笑)。

(安住紳一郎)そして、その下ですね。その下はもう、おわかりですね?

鯉の順番

(中澤有美子)鯉がはじまりますね。まずは、大きい真鯉はお父さん。ええと、小さい緋鯉は子どもたち?

(安住紳一郎)そうなんですよ。ここがね、またちょっと引っかかるんですよね。

(中澤有美子)お母さんっぽいですけどね(笑)。

(安住紳一郎)そうなんですよね。黒、赤と来ますんでね、『大きい真鯉はお父さん、赤い鯉はお母さんだったかな?』みたいに思うんですけども。その下は、『小さい緋鯉は子どもたち』ということで。残念ながらこれね、お母さん、いないんですよ。

(中澤有美子)そうなのか!

(安住紳一郎)真鯉、緋鯉と来るんですよ。黒いのは真鯉ですね。で、緋鯉っていうのは錦鯉のことですけども。要するに、普通の黒の鯉に対して、色付きの鯉ってことで、緋鯉ということなんですね。実はその、下の青でも緑でも紫でもオレンジでも、全部緋鯉ですね。ええ。

(中澤有美子)ああ、そうなんですね。黒以外は緋鯉と呼びます。

(安住紳一郎)黒以外は緋鯉と呼んで結構ですね。まあ、たまに色鯉とか、子鯉って呼んだりするそうですけども。一応、真鯉。それから、色付きは緋鯉と呼んでもらって結構と。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)で、黒をお父さん、赤をお母さん、そして他の色を子どもたちと見立てる傾向もあるようですけども。別にその、イメージするのは勝手なんですけども。

(中澤有美子)ねえ。つい、そうしてしまいます。

(安住紳一郎)で、あの、女の子がいるんで、うちはちょっと黄色も入れてみた、みたいな。ちょっと家族構成を表すみたいなことをされる方が多いですけども。まあ、全く問題はありませんけども、上級者の間では邪道とされております。

(中澤有美子)ああ、そうですか(笑)。

(安住紳一郎)オス・メス関係なしの鯉たちということになります。別に、あんまりオスとかメスを限定すると、まあちょっと低いなと。中級、初級レベルだなという風に足元を見られてしまう。

(中澤有美子)そうなんですね(笑)。

(安住紳一郎)四国など一部の地域では、緋鯉。レッドが上に来る場合がありますから。

(中澤有美子)ええーっ!?

(安住紳一郎)ですからもう、お父さん、お母さんとかね、リーダー黒みたいな。そういう固定観念も外してもらって結構です。いちばん上に赤が来る場合もあります。

(中澤有美子)そうすると、赤がお父さんでトップっていうことなんですか?

(安住紳一郎)それはその、鯉のぼりの歌に外れちゃうっていうだけで、もう本当に別にこだわらないという。なので、黒がいちばん上じゃないって、オタオタしないでください。

(中澤有美子)わかりました(笑)。

(安住紳一郎)上級者は。『はいはい、こういうパターンもあります。あー、上ね。はいはい』っていう。

(中澤有美子)四国などでね。

(安住紳一郎)『あー、はいはい。地域でいろいろありますからね』って。これぐらいで流してください。簡単にオタオタしないでください。上級者はね。

(中澤有美子)わかりました(笑)。動じてはいけません。

(安住紳一郎)で、鯉がありますね。それからあと、竿についているもの。他にも、ありますよってわかる方、いらっしゃいますか?

(中澤有美子)鯉の他に?

(安住紳一郎)鯉の他にですね。

(中澤有美子)いやー・・・

(安住紳一郎)あれ?これ私、先週ちょっと言いましたよ。

(中澤有美子)あ、お名前?

(安住紳一郎)そうです。そうです。

(中澤有美子)ああ、一部地域でという。

(安住紳一郎)一部地域でね。私はその、天草。熊本で見ましたけども。九州、それから中国地方などでは、鯉の他に、個人情報吹き流しですね。

(中澤有美子)(笑)。そのフレーズ、いいですよね。

(安住紳一郎)これ、いいですよね。個人情報吹き流しっていう。これだけ個人情報を隠そうという世の中で、堂々と庭先に個人情報を掲げているというですね、四国、中国、九州勢という。長い短冊のようなものが流れております。そこにね。『宮本家長男 宮本幸三』なんて書かれています。あ、長男で幸三っていうのはないと思うけど(笑)。

(中澤有美子)渋い(笑)。

(安住紳一郎)名前を、これですね、矢旗(やばた)と言いますね。お便り、いただいております。『鯉のぼりの件で熊本の鯉のぼりの話題が出ましたが、鯉のぼりの上についている名前の旗ですが、あれは矢旗と呼ばれるものです。私は学生時代、アルバイトでその矢旗を作っていました。当時はそれほど鯉のぼりに興味はなかったのですが、あの矢旗に関してはかなりのインパクトがありました。職人さんやバイト仲間と矢旗を作りながら、「この名前、何て読むんだろうねえ?」と話をしながら仕事をしてたことを思い出しました。また、余談ですが地元熊本は熊本工業高校の野球が強く、甲子園の横断幕も作っていました』という。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)同じ工場でね。はい。上級編の方はもう、ね。名前が書いてあったら、『矢旗!』っていう。

(中澤有美子)矢旗!

(安住紳一郎)さらには、『高校野球の横断幕なんかも一緒に作っている!』っていう。そこまで覚えておけば、忘れませんから。で、熊本工業まで出てくると、完璧ですから。

(中澤有美子)とてもいいですね。はい。

(安住紳一郎)はい。上級編ですねー。

(中澤有美子)はい。本当だ。超上級。

(安住紳一郎)さあ、そして、さらに実用的な話ですね。いちばん大事なのはその竿。ポールの高さと鯉の長さ。これがやっぱりね、慣れないと大変みたいです。お便りいただきました。ありがとうございます。『先日、私の家は大工さんを呼び、工事で穴を掘り、16メートルのポールを立て、コンクリートを流し込み、乾かし、やっと今月1日に8メートルの鯉のぼりがはためきました』。16メートルのポールで8メートルはためいたという。

(中澤有美子)ああ、そうか。

(安住紳一郎)さらに続いてはこちら。『うちの鯉のぼりは竿が14間。真鯉が10メートル、計9匹泳いでいます。高所作業車でたのまなければ交換もできない、大変なものです』という。14間ですから、25メートルぐらいですよ。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)25メートルのポールに10メートルの鯉ですから。10メートルの鯉を泳がすためには、25メートルですよ。電柱がだいたい13メートル、14メートルって言われますから。電柱の2倍の高さのポールを立てるんですよ。10メートルの鯉を泳がすには。

(中澤有美子)そうなんですねー!

(安住紳一郎)で、当然泳がない方がいらっしゃるという。

(中澤有美子)本当?(笑)。

(安住紳一郎)残念。『うちの家の鯉のぼりは8メートルの超大物が2匹いますが、狭い庭で15メートルのポールのため、全く泳ぎません。こんな大きな鯉が泳ぐのは、台風の日ぐらいです』という。まあ、5月に台風来ないですからね。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)こちらのお宅は15メートルのポールで、8メートルの鯉、泳がず。

(中澤有美子)それはでも、対比から言ったら泳ぎそうな。十分なポールかと思いますが。

(安住紳一郎)そうなんですね。さっきの方は、16メートルで8メートルの鯉が泳いだ。でも、この方は15メートルで8メートルの鯉は泳がなかった。これ、だからすっごい微妙なんですよ。

(中澤有美子)そうなんですね。

(安住紳一郎)はい。それで私、これ出しました。

(中澤有美子)出しました?(笑)。

(安住紳一郎)スイミング係数を。

(中澤有美子)スイミング係数(笑)。

(安住紳一郎)鯉が泳ぐ係数があるらしいと。しかも私、出しました。先ほど。

(中澤有美子)好きですねー(笑)。

鯉のスイミング係数

(安住紳一郎)好きですね。好きなんですよ。統計、大好きなんです。鯉の長さをY、竿の長さをXにすると、スイミング係数は0.49以下。要するに、竿の長さに対して1/2以下じゃないと泳がない場合がある。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)だから竿を計算して。大きいのを泳がせたいと思っても、竿がないとやっぱり泳がない。で、張り切って買っちゃって、停電を起こしたっていう家、たくさんありますから。吹き流しが電線にタッチして。

(中澤有美子)うわー!

(安住紳一郎)上級編でしょ?まあ、0.49以下と考えてね、いただいて。スイミング係数。覚えていただきたいと思います。ものすごい上級編でしょ?

(中澤有美子)でも、そういうのって業者さんが売る段階で、ポールの長さとか教えてくれないのかしら?

(安住紳一郎)まあ、教えてくれるでしょうね。でも、売りたいものを売ってくる可能性、ありますから。私は商売でやっているわけじゃないですから。趣味でやってますから。私の言うことを聞いたほうがいいと思いますよ。

(中澤有美子)そうですね(笑)。信ぴょう性が高い。

(安住紳一郎)スイミング係数、0.49です。

(中澤有美子)わかりました(笑)。

(安住紳一郎)よろしくどうぞ。

(中澤有美子)大事(笑)。

(安住紳一郎)大事。しかも、5月9日に教えているっていう。

(中澤有美子)(爆笑)。そうですよね。

(安住紳一郎)それから、レベル、上がっていきますよ。続いてのチャプターはですね。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)続いてのチャプターはですね、『鯉のぼりと人間関係』というテーマです。

(中澤有美子)おお、すごい(笑)。

(安住紳一郎)いろいろまあ、地方によって風習違ったりいたしますが。まず、基本はそこの家でポール、竿と吹き流し。それから矢車。それから玉ですね。要するに、鯉以外のものをその家で用意する。まあ、核家族の場合は、父方の親戚、祖父祖母が用意する。パパサイドが用意するのが竿と吹き流し。そして、ママサイドが用意するのが鯉。こういう風習のところね、多いそうですね。

(中澤有美子)ふーん。

(安住紳一郎)お便り、いただいております。『私は、長野県の小さな村に17年前、嫁に来ました。春、旦那がトラックに長い木を2本積んできました。高さは20メートルあろうかという、長い木です。旦那に言われました。「鯉は届くから、吹き流しだけ買ってこい」。あとは自宅で、ひたすら親戚が鯉を持ってくるのを待っていました。しかし、なかなか思うようには行かないものです。親戚同士で「あなたは何色の鯉を持っていく?」と相談しあって買うわけではないので、何が届くか、全くわからないのです。それから何日かして、鯉をやっと持ってきてくれました。と、喜んでいたら、なんと、黒、黒、黒、黒になりました。葬式カラーじゃん・・・と願うこと数日、ようやく赤い緋鯉を持ってきてくれたおばさんがいて、さすが!と、ものすごく感謝いたしました』。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)ね?これ、先ほどの話にもつながりますよね。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)だから、要するに順番は関係ないんですよ。で、ママサイドの、お嫁さんサイドのご親戚。おじいちゃんおばあちゃんが鯉を用意するという地域は多い。ということで、要するにちぐはぐの家があっても笑ったりしない。上級者はね。

(中澤有美子)なるほど、なるほど。

(安住紳一郎)『えっ、貧乏なの?』なんつって。ええ(笑)。『バラで合わせたんじゃないの?』みたいな。むしろ、そっちの方がレベルが高いということですね。

(中澤有美子)ああ、そっかそっか。なるほどねー。

(安住紳一郎)ちぐはぐな鯉たちを見ても、キャーキャー言わない!上級者はね。

(中澤有美子)本当に、ちゃんとご親戚がひとつずつ届けてくださったんだと。

(安住紳一郎)そう。レベル高いなという。セットじゃないのが逆におしゃれっていうね。

(中澤有美子)そうですね。古くからの伝統に則って。はい。

(安住紳一郎)オーディオアンプとか揃えて、コンポとかを揃えている人もね、違うメーカーのものを揃えている方が上級者みたいな。そういうの、ありますから。大事ですね。ええ。さらに上級編としては、そのお宅に上がっている鯉のぼりの、鯉のセットアップ状況によってね、『ここは2パンツなの?ここはセットアップなの?』みたいな。そういうのを見て、要するに黒ばっかり送ってくるところは、これはちょっと我の強い親戚が多いな、みたいな。

(中澤有美子)なるほど(笑)。みんな主役っていう。

(安住紳一郎)主役級のね。『やっぱりうちが真鯉を贈るんじゃない?』っていう親戚が多い。ちょっとリーダー争いが熾烈になっている親戚が読める。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)で、一方、小さい緋鯉ばっかり揃っているようなところを見ると、『ああ、ここはちょっと腰の引けている親戚が多いな』みたいな。判断できるわけですね。

(中澤有美子)なるほど(笑)。

(安住紳一郎)上級編ですよね?それ、見ればわかるわけですよ。『ここはちょっとな、我の強い親戚が多いな。だって、みんな黒の真鯉ばっかり贈ってるんじゃんかよ?』みたいな。

(中澤有美子)自分が主役(笑)。そうね。そうよ。

(安住紳一郎)『立派な鯉なので、ここの家は余裕があるな』とか。『デザイナーズ上げてるんで、モダンなんだな』みたいな。そういう読みだけではもうダメ。そこの親戚がどういう人たちが揃っているか?も読めちゃう鯉のぼり。怖いですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)まもなく終わります。超ハイレベル問題。ではでは、皆さま。鯉のぼりを上げない家、地域があります。理由はなんでしょうか?

(中澤有美子)ええーっ!?

(安住紳一郎)もう上級者だったら、バババーッ!ってもう、5つ、6つぐらい、サッと挙げてほしいですね。

(中澤有美子)えっ、まずはその、ねえ。住まいの状況ぐらいしか思いつかないですけど。

(安住紳一郎)あ、上げるスペースがないのがひとつ。もっと行きましょうか?

(中澤有美子)あとは、喪中とか?

(安住紳一郎)喪中。あー・・・喪中は関係ないですけどもね。

(中澤有美子)関係ない?えー、じゃあもう、あとは思いつかないです。

(安住紳一郎)お金がない、スペースがない、男の子がいない、男の子はいるが特に成長を願っていない。

(中澤有美子)そんな(笑)。

(安住紳一郎)まあ、これは冗談としましても、これ本当の話。びっくりしましたよ。これ、答えられる方、たぶんいらっしゃらないと思いますが。リスナーさんからいただきました。『我が家は鯉のぼりは上げません。なぜなら、我が家は源平合戦で破れた平家の子孫のため、鯉のぼりを上げられないのです。近所でも、同じ苗字の家がありますが、鯉のぼりが禁止の家が何軒かあります。安住氏のところも、平家だったら、うっかりデザイナーズ鯉のぼりなんか上げちゃったら、モダンな刺客が来ちゃうかも?』っていうね(笑)。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)これ、私も聞いてびっくりしましたよ。平家の末裔の方は鯉のぼり、上げないんですって。うん。源平、壇ノ浦の合戦などで敗れたね、平家の人たちが各地に散り散りになり。追ってから逃れるために山あいに隠れるようにしてね。そして、平家の血を絶やすまいと団結を強める集落。平家の落人村とかね、平家谷とか呼ばれるところがあちこちに、関東にもありますが。

(中澤有美子)ありますね。

(安住紳一郎)全国に120ぐらいあるそうですけども。ここはですよ、鯉のぼり上げると、バレちゃうから。そこにいるって。しかも、跡取りいるじゃんか!ということで。

(中澤有美子)そうか!男が。男児が。

(安住紳一郎)男がいるからって。来ちゃうらしいんですよ。

(中澤有美子)おおーっ!ゾクッとしました。

(安住紳一郎)ええ。なのでいまだに平家の末裔と、あるいはその平家伝説を強く心の支えにしている人たちは鯉のぼりを上げないという。ニワトリもダメらしいですね。

(中澤有美子)鳴いちゃうから?

(安住紳一郎)鳴いちゃうからっていう。平成の世になってもですよ。すごいですよね。だからこれね、知ってると知らないでは大違いですよね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)『なんだよ、ここは。ぜんぜん上がってないな!』みたいな。『違う!ウィーアー平家!』。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)もう1タイプ、さあ上級編、挑戦してくださいよ。もう1タイプ、上げられない地域がありました。九州、鹿児島の漁師町などだそうですけども。鯉は風が吹かないとなびかないので、要するに風を待つような状態。でも、風があると、海が荒れちゃって漁に出られないので、縁起が悪いので、鹿児島、九州の漁師町などでは鯉のぼりをやめましょうということで。そういう集落も、いまでも九州、鹿児島にあるそうです。

(中澤有美子)ああ、そうなんですね。

(安住紳一郎)ねえ。なかなか深いなと思いますけどもね。

(中澤有美子)面白い。

(安住紳一郎)そして最後に、ではではその、鯉のぼりを買ってもらった現役のボーイズたちの皆さんはどういう気持ちなのか?というお便りを最後のご紹介したいと思います

(中澤有美子)まあ、いいですね。はい。

鯉のぼり現役ボーイズたちの気持ち

(安住紳一郎)上級編ですね。もらう子どもたちはどういう気持ちなのか?リスナーの14才になりましたくんからいただきました。『鯉のぼりの件ですが、うちにもあります。あれは1年で飽きます!』という。どう?このシュールな。結局ね、用意する方がやっぱり楽しいみたいですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)値段、するんですよ。3万円から20万円ぐらい。で、竿を立てて、コンクリート入れたり穴を掘ったりすると、もう30万くらいかかるらしいです。ええ。絡まったりね。大変らしいですけど。

(中澤有美子)まあー、そうですか。へー。そっかー。

(安住紳一郎)ねえ。それから、もうひとつ。まだ時間、ありますかね。大丈夫ですね。あの、私のデザイナーズ鯉のぼりがほしいという、私の悲願。叫び。先週お伝えしましたけども。小さい頃、周りのみんなの家に鯉のぼりが上がって、私の家にはなかったものですから。まあ、田舎だったので、比較的敷地はあったんですけども。買ってくれなかったという。それで、すごく寂しい思いをしたという少年時代があって。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)さらにその、隣の藤村さん家にね、ある日、変わった前衛的な鯉のぼりが上がって驚いたという話をしました。

(中澤有美子)そうでした。岡本太郎みたいな。はい。

(安住紳一郎)私が初めて、デザイン、モダンというものに触れた出来事だったんですけども。

(中澤有美子)そうそうそう(笑)。

(安住紳一郎)そんな記憶から、36才になったいまでも鯉のぼりがほしい。特にデザイナーズ鯉のぼりがほしいという話をしました。で、『気持ち悪い』というお便りもたくさんいただきましたけども。

(中澤有美子)そうだったんですね(笑)。

(安住紳一郎)ところがですね、これ、実は私、妙案を思いつきまして。電光石火の勢いで解決いたしました。

(中澤有美子)おっ!ええ。

(安住紳一郎)しかも、昨日。私に実は姉がいるんですけども、早智子というんですが。2才上の38才。一昨年ですね、3年前か?3人目の子どもを産みまして。男の子がね、生まれたんですよ。私にとっては甥になるんですけども。で、『あっ!忘れていたわい。もしかして・・・』と思って、昨日ね、ちょっと電話してみたんですよ。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)姉に。久しぶりだったんで、ちょっと緊張したんですけど。そしたら、さすが姉者。怖いですね。兄弟のDNA。遺伝子的には一緒ですからね。鯉のぼり、買ってたんですよ。

(中澤有美子)あー。

(安住紳一郎)で、うちの姉も、小さい時に一緒に住んでいたんですけど。近所に、うちには紳一郎がいるのに鯉のぼりが立っていないというのがすごい寂しく思っていたらしくて。で、そういう思いもあって、男の子が生まれたんで、鯉のぼりを無理して買ったんだよ!って言って。

(中澤有美子)ああー!

(安住紳一郎)で、『姉者!』っつって。

(中澤有美子)そうですねー!姉上!

(安住紳一郎)『姉上!同じような気持ちを、余は30数年思い続けておりました!姉者!』って。すごい興奮したんですけど。

(中澤有美子)本当ですねー(笑)。涙が出ます。

(安住紳一郎)本当、一瞬ポロリンとしたんですよ。『姉者』なんてかっこよく言ってますけど、実際は『お姉ちゃん』って呼んでいるんですけど。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『お姉ちゃん!買ったの、鯉のぼり!?』って言って。

(中澤有美子)すごい(笑)。胸が熱くなりました。

(安住紳一郎)先ほど、その鯉のぼり講座にもあったようにですよ、お嫁さんの、ママサイドの親戚がプレゼントするのが鯉のぼりだっていう話があって。で、『うわっ、俺、もうドンピシャじゃん!』と思って。嫁に行ってますから。嫁サイドの親戚。もう直近ですから。

(中澤有美子)そうだ。

(安住紳一郎)直近、ママサイド、叔父ですから。それで、『うわっ!俺、買えるわ!』と思って、姉に言ったんですよ。そういう風習があるんだよって言って。そしたら、姉はまあ、ドライな感じなんで。『いや、もう自分でセットで買っちゃったし、そんな習慣はこっちにないから、いらないよ。いいよ』って。結構冷めた感じね。ええ。

(中澤有美子)ふんふん。

(安住紳一郎)『いやいや、姉者。お待ちください!』と。

(中澤有美子)お待ちくだされと(笑)。

(安住紳一郎)『姉者、私はもう関東に住んで20年だ。俺はもうこっちでの生活が長い。周りの人間も、自分に甥ができたら何を差し置いても鯉のぼりをプレゼント、みんなしているんだ』と。これ、全部嘘ですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)ついさっき知ったんですから。これ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『関東ではこういう習慣なんだ。ほら、人に見られる仕事を俺はしているし。しきたりや決まり事はキチンと守っているっていう自負が心にないと、人前に出て堂々と仕事できないよ、お姉ちゃん。だからぜひ、お嫁さんサイドの親戚から鯉を贈るという風習を、俺にもやらせてくれよ』と熱く語ったの。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)したら、姉もちょっとね、たじろいだみたいで。『ああ、そう?そうなんだ。でも、生まれたの、3年前だよ?しかも、もう今年、5月8日だよ?』って(笑)。

(中澤有美子)たしかに(笑)。

(安住紳一郎)『姉者!細かいことを申されるな!どうしても俺は関東の風習をね、甥っ子にやってあげたいんだ!』『でも、セットで買っちゃって・・・』って。風習がないですからね。セットで買っちゃって、5匹揃ってるんですって。それで、『もういらないし、変だよ』っていう。

(中澤有美子)そうね(笑)。

(安住紳一郎)『いや、姉者!』。

(中澤有美子)まだ食い下がる(爆笑)。

(安住紳一郎)『じゃあ、携帯で写真を撮って送るから、似たようなのを買って送ってくれたら、それでいいんじゃないの?』って姉が言ってくれて。

(中澤有美子)もう1匹?

(安住紳一郎)『ああ、わかってる。わかってる。じゃあその写真を見て、それに相応しいような、下に続く鯉を弟から贈るから。じゃあ来年ね』なんつって(笑)。

(中澤有美子)4才(笑)。

(安住紳一郎)で、ガチャって電話を切って。で、携帯に写真が送られて来たんですけども、もう本当に、恥ずかしいぐらいのノーマルな鯉。もう、叔父は残念だよ。

(中澤有美子)いやいやいや、そんな。そんなことないですよ。

(安住紳一郎)で、みなさん、お気づきだと思いますけども。別に姉に、『いますでにたなびいている5匹に似た鯉を贈る』とは言ってないよね?『それに相応しい鯉を贈る』と言っているから。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)もうこれ、デザイナーズ鯉のぼりだろうと(笑)。

(中澤有美子)そうなるの?(笑)。

(安住紳一郎)もうノーマルな鯉、食べ尽くしちゃうようなサイケデリックなデザイナーズ鯉のぼりを送りつけてやろうと思って。

(中澤有美子)(笑)。ポールに余裕はあるのかしら?

(安住紳一郎)もうそんなことは関係ないね。俺の気持ちだけだからね。俺のデザイナーズ鯉のぼりを掲げてみたいっていう。

(中澤有美子)ご迷惑じゃない?(笑)。

(安住紳一郎)ご迷惑だろうね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)まあちょっとね、親戚と家族は選べない!っていうからね。まあ甥っ子にもちょっとね、この変わったおじさんの洗礼をね、早め早めにね。『ああ、変わったおじさんいるんだな、俺には』っていう(笑)。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)ことをちょっと早めに覚えておいてほしいから。

(中澤有美子)それもそうね(笑)。

(安住紳一郎)ウィーアー親戚!

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)まあ非常にその、叔父紳一郎、力が入っているわけですよ。

(中澤有美子)本当ですね(笑)。

(安住紳一郎)ごめんね!っていうね。ちょっと変わったおじさんで、ごめんね!っていうね。よろしく!っていうね。うん。ようこそ、地球へ!っていう。あなたには、ちょっと変わったおじさんがいるんです!

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)デザイナーズ鯉のぼりがほしいという問題、電光石火のスピードによって解決いたしましたが。来年、姉の自宅に、見事なデザイナーズ鯉のぼりがはためくことでしょう。めでたし、めでたし。

<書き起こしおわり>

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