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松尾潔と久保田利伸 R&B定番曲『Just The Two Of Us』を語る

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松尾潔さんと久保田利伸さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でR&Bの定番曲、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの『Just The Two Of Us』を紹介。その魅力について語り合っていました。


(松尾潔)続いてのコーナーは、いまなら間に合うスタンダード。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。さて、R&Bの世界でも、ジャズやロックと同じように、スタンダードと呼びうる、時代を越えて歌い継がれてきた名曲は少なくありません。そこでこのコーナーでは、R&Bがソウル・ミュージックと呼ばれていた時代から現在に至るまでのタイムレスな名曲を厳選して、様々なバージョンを聞き比べながら、スタンダードナンバーが形成された過程を僕がわかりやすくご説明いたします。

第5回目となる今回は、グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)が1981年に発表した名曲『Just The Two Of Us』について、僕、いつも1人でしゃべってますけども、久保田利伸さんに引き続きスタジオに残っていただきまして、一緒に探ってみたいと思います。グローヴァー・ワシントン・ジュニア。フィーチャリング ビル・ウィザース(Bill Withers)。ここまで言わなきゃいけないですけどね。本当はね。

(久保田利伸)そう、ね。

(松尾潔)Just The Two Of Us。

(久保田利伸)世の中の人は、ビル・ウィザースっていうボーカリストの曲として、こう、聞いてるかもしれないね。

(松尾潔)ビル・ウィザースのベストに、まあ有名な彼のベストアルバムですね。それにこれが当時、目玉として入っていて。割と、アルバムとして買う時に、ビル・ウィザース名義のアルバムを先に買ったという方が多いんですよね。グレイテスト・ヒッツ。

(久保田利伸)そうだろうね。

(松尾潔)それもあって・・・

(久保田利伸)でも、俺としては、やっぱりJust The Two Of Us。この曲、グローヴァー・ワシントン・ジュニア、ラルフ・マクドナルド(Ralph MacDonald)作曲。これが世の中に出た時に、ラジオで初めてこの曲が日本でかかる。もう、かかりまくっている。あの時に僕は渋谷の町を歩いてましたから。

(松尾潔)おー。

(久保田利伸)渋谷の町を歩くと、もうカフェバーの窓が開いていると、そこからかならずこれが。

(松尾潔)クリスタルな景色ですね。

(久保田利伸)まさしく。『クリスタルの恋人たち』だっけ?邦題が。

(松尾潔)クリスタルの恋人たちですよね。邦題が。

(久保田利伸)その時に聞いてましたから。だから、俺にとってはグローヴァー・ワシントン・ジュニア。で、この曲の前には、後かな?『♪♪♪♪』・・・なんだっけな?タイトル。まあ、いいです。アルバムで聞きましたっていう話ですよ。

(松尾潔)81年に、久保田さんはまさに東京の大学生だったということですね。多感な、まあいまになってみると、デビュー直前なんだけど。当時はデビューできるかどうかって、わかんないですしね。

(久保田利伸)いまから見ればね。この年齢のいまから見れば、もうデビュー直前だろうけど。あの時っていうのは、ええと、デビューしたいな、チャンスはどこにあるのかな?俺はこんな音楽をやっているし、道玄坂を歩いていても、翌日は屋根裏でライブをやるわけで・・・

(松尾潔)屋根裏でやるんですねー。もういわゆる、R&B系専門の箱とかクラブでのライブじゃないですもんね。

(久保田利伸)じゃない。じゃない。もう、だから屋根裏行っても、お客さんが4人しかいない。

(松尾潔)ロック系の箱で肩身の狭い思いをしながら。うん。

(久保田利伸)ところが、ビル・ウィザースが流行って、Just The Two Of Usが流行って。その次の年ぐらいに、まだ俺、デビューしてないね。ぜんぜんだよね。

(松尾潔)そうですね。

(久保田利伸)そうすると、今度、公園通りを反対側に行って。そうすると、エッグマンでやれるようになる。そうすると少しね、時代が、なんだろうね?ロックだけじゃなくて、いろんなジャンルの人たちが。

(松尾潔)『クロスオーバー』っていう言葉が当時、ありましたけどね。

(久保田利伸)そこに、いろんなちょっとフュージョンっぽい人、ロックの人、ちょっとしたポップス、あとは崎谷健次郎くんがそこに出るようになったりとかね。

(松尾潔)おお、名シンガーソングライター、名作曲家ですね。

(久保田利伸)そんな時代の話ですよ。思い出しました。

(松尾潔)そうかそうかそうか。いまの久保田さんのね、コメントの中にすごくこの曲を読み解くヒントが含まれているような気がするんですが。まずは曲をきちんと聞いてもらいましょうかね。じゃあ、これいろんなカバーバージョンがあるんですが、まずはオリジナルを聞かなきゃ話にならないということで。81年のグローヴァーの『ワインライト』というアルバムに収められておりましたオリジナルバージョンで『Just The Two Of Us feat.ビル・ウィザース』。そして、まあ世界中の人たちにカバーされているこの曲なのですが、ボサノバとの相性が非常に良いということでもあります。数多あるバージョンの中から、今日はクリス・デラーノ(Cris Delanno)という人のバージョンをご紹介したいと思います。2008年のカバーバージョンです。では、2曲続けてどうぞ。

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Grover Washington Jr『Just the two of us』


Cris Delanno『Just the two of us』



(松尾潔)いまなら間に合うスタンダード、久保田利伸さんをお迎えして、グローヴァー・ワシントン・ジュニアが81年に発表したJust The Two Of Usについて探っております。グローヴァーのオリジナルバージョン。もちろんボーカルはビル・ウィザース。81年のオリジナルを聞いた後に、2008年。これ、ちょっとシャーデー(Sade)の『Sweetest Taboo』を思わせるようなリズム構成でしたね。クリス・デラーノ。Just The Two Of Us。

(久保田利伸)俺、このクリス・デラーノのバージョンは初めて聞いたね。

(松尾潔)まあ、あの、うん。渋谷のカフェで流れているような音楽ですよ。

(久保田利伸)いいことじゃないですか。

(松尾潔)いや、本当に。いわゆるカフェ気分のボサノバってたくさんありますけど。90年代とかって、あらゆるR&Bがラヴァーズカバーって、あったじゃないですか。まあ、もちろん久保田さんも、それこそ横目で見ながら、『KUBOJAH』なんてアルバムをお作りになりましたが。


(久保田利伸)あれはラヴァーズ・ロックだったね。

(松尾潔)ねえ。まさにラヴァーズ・ロック。で、まあシャーデーっていう人が『Lovers Rock』っていうアルバムを作ってヒットを出し。

(久保田利伸)本当だね。

(松尾潔)だからそのあたりの、ソウル、ジャズ、まあ言えば、レゲエ、ボサノバ。もう、そのあたりの境界線を曖昧にする、もっと言えば、越境しちゃう曲がこのJust The Two Of Usじゃないかなと思っていて。

(久保田利伸)あのね、俺、ボサノバのアルバムをこの間、作ったじゃない?『KUBOSSA』っていうやつ。


(松尾潔)はい。

(久保田利伸)あの時に、当然、やっぱりJust The Two Of Usはボサノバにしやすい。けども、もうやっぱり自分でやっちゃっているからね。他のバージョンでね。

(松尾潔)そうですよね(笑)。

(久保田利伸)そうなんだよ。だから、でも、Just The Two Of Usをはじめてやった時。キャロン・ウィーラー(Caron Wheeler)とはじめてやった時。あれは、たしかにレゲエバージョンでやってるんだ。

(松尾潔)そうですよ。KUBOJAHですよ。最初ね。

(久保田利伸)そうだ。キレイな話だねー。ラヴァーズで。ラヴァーズにしやすいって。

(松尾潔)そう話したかったんですよ。僕。

(久保田利伸)はー!

(松尾潔)もっと察してくださいよ。

(久保田利伸)いやいや、いま気がついた。勉強不足だ。潔ちゃんについての。

(松尾潔)まあ、Just The Two Of Us。いろんなカバーバージョンがある中で、その、さっき話したようなレゲエとかラヴァーズ・ロックとかボサノバとか以上に、サルサとか。あと、いわゆる本当、ニューオリンズのセカンドライン・ファンクみたいなものにしたりとか。曲としての地肩が強いから、多少アレンジをいじったところで、画がブレないっていう感じが。

(久保田利伸)やっぱりメロディーが、大作曲家が作ったメロディーじゃなくって。だから、ものすごく素朴なの。ああいこう、こういこうのメロディーじゃなくって、ものすごいいいメロディーがすごいシンプルに乗っかっている。で、それの土台になっているのが、この音の、ちょっと専門的に言うとコード進行なんだよ。このコード進行っていうのは、これ聞いて、なるほどと思うかもしれないけど、みんながカバーしている『Between The Sheets』もそうだし、



(久保田利伸)『Tripping Out』もそうだし、



(久保田利伸)あと、デバージ(Debarge)の『I Like It』もそうだし。



(久保田利伸)ええと、それから、『What You Won’t Do For Love』。



(松尾潔)みんな大好きな曲ばっかだ。

(久保田利伸)でしょ?で、みんながカバーしてるでしょ?みんなが、こう。だから、これは特にジャズの人と、それからソウル好きの、もうこういうのが好きでしょうがない人たちにとっては、この音の感じをやっていれば気持ちがいい。とにかく、気持ちがいい。

(松尾潔)なんかこのコード進行に関してはパブリックドメインっていうか。マルCがつかない感じですよね。

(久保田利伸)その通り。だから俺もこれみたいなコード進行は、ええと、10曲やってる。

(松尾潔)それでアルバム、できちゃいますね(笑)。いわゆる、我々の業界で言うところの、トップラインだけを変えるってことですよね?

(久保田利伸)ただ、ロックの人たちはこれをやらない。

(松尾潔)これ、意外にそうか。ロックカバーは、たしかに聞かないですね。

(久保田利伸)これがね、R&B好きの人が絶対やってしまっているコード進行で、かつ、大衆とシェアできるコード進行。これと、もう1個が『Night and Day』のコード進行。



(久保田利伸)『Make It Last Forever』もそうなんだけど。



(久保田利伸)この2つに反応する人たちは僕らの仲間みたいな。

(松尾潔)踏み絵だ(笑)。

(久保田利伸)で、それにあんまり、素通りしちゃう人たちは、ごきげんようみたいな感じで。

(松尾潔)なるほどね。我々、R&Bトライブってことですね。

(久保田利伸)そうです。

(松尾潔)で、久保田さんのバージョン。さっき、お話されたKUBOJAHに収められたラヴァーズ調のものっていうのが最初に出たバージョンなんですけど。これまで、まあアメリカデビューされる時も、これ、また取り上げてらっしゃってというか。収められましたし。

(久保田利伸)そうなんですよね。

(松尾潔)あと、ほら。『BADDEST』のバラード編の時に、Smooth R&Bバージョンってありましたよね。

(久保田利伸)あったね。あれは、ある意味リミックスとして、歌はそのままに作ったんだけど。これはね、まず日本でレゲエのKUBOJAHの中で、キャロン・ウィーラーとJust The Two Of Usをやろうということで、やったんだけど。それを、そのボーカルパフォーマンスをアメリカのA&Rが聞いて。で、これはいいぞと。R&Bとしてのスタイルで、もう1回これをやり直そうということで。だから、俺のやったJust The Two Of Usがあって、アメリカのアーバン担当のA&Rたちが盛り上がってくれたの。この曲のおかげっていうのもある。

(松尾潔)それ、いい話ですね。じゃあ、2回レコーディングされたってことですね?キャロンとね。

(久保田利伸)まあ、オケでいけば、もう何個かありますけど。そうですね。

(松尾潔)で、リミックスを含めて、たくさん出ていると。で、今日はじゃあその、アメリカ、USデビューの時にリレコーディングされたバージョンをさらに、当時、僕も大変気にしていたブッチャー・ニコロ(Joe “The Butcher” Nicolo)というプロデューサーがいまして。ハウス・オブ・ペイン(House Of Pain)とかをやっていた人ですけども。

(久保田利伸)フィリーの人ね。

(松尾潔)フィリーのね。ブッチャーブラザーズリミックスっていうのがありますので、そちらを聞いてみたいと思います。1996年にアメリカでリリースされた、12インチシングルとしてマキシシングルに収められていました。デュエット ウィズ キャロン・ウィーラーで、『Just The Two Of Us Butcher Bros. LP Remix』。

Toshi Kubota Ft.Caron Wheeler『Just the two of us』



(松尾潔)いや、久保田さん。いま、ご紹介してびっくりしましたけど、およそこれ、20年前の。

(久保田利伸)うーん。まあでも、20年前って感じかな?

(松尾潔)そうですか。

(久保田利伸)なんか、ちょうどほら、オケの感じとか、ノリの感じが。まあちょっといま、1周してまた来てる感じがするけど。

(松尾潔)僕、だけど10年前に聞いた時より、2015年のいま聞くほうが、割と音がフレッシュに聞こえるな。

(久保田利伸)あ、あるかもしれない。それはやっぱり、音をずっと長年聞いて作っていると、そういう巡り、循環っていうのはね。

(松尾潔)ありますよね。

(久保田利伸)ファッション業界の10何年よりもちょっと長めだけど。多めだけど。20年くらいの中では、ちょっとフレッシュに聞こえ出すことがあるよね。

(松尾潔)ありますよね。これがちょっと面白いですよね。あ、来た!っていうか、なんだろう?惑星直列みたいな、ピタッと合う瞬間がありますよね。

(久保田利伸)で、僕らみたいに長く聞いてるとさ、1つのジャンルを。そうすると、『あっ、来たな!次はこの流れでいくと、これかな?』と思えるようなことも、ありますね。長く聞いてるとね。

(松尾潔)星の巡りみたいなので。定点観測の面白さっていうかね。もう百葉箱的な。

(久保田利伸)定点観測。百葉箱。覚えておいてよ。

(松尾潔)(笑)。そう言われると、次、しゃべりにくいんですけども(笑)。久保田さん、今年、まだ始まったばかり。6年目に入ったばかりなんですけども。今年、この6年目のメロウな夜。もう1回、来てくださいよ。

(久保田利伸)あ、ぜひお邪魔したいですよ。はい。

(松尾潔)2回くらいでもいいですよ。

(久保田利伸)もう、2回でも。

(松尾潔)何目線だ?っていう感じですけども。

(久保田利伸)お邪魔したいですよ。

(松尾潔)今日、ちょっとなんかしゃべり足りない感じが、いままでになく、すごくあります。やっぱりなんか、面白いなと思いましたね。久保田さんの。

(久保田利伸)話しながら、あれなんだ。あれも話したい、これも話したい、ここを突っ込みたいっていうのがあるんだ。

(松尾潔)あるんですけどね。

(久保田利伸)でもね、この1年ぐらい、割とこう、会う機会もなかったじゃん。話する機会も。

(松尾潔)そう。うーん、たしかにこの数年の中ではね。

(久保田利伸)そう。なかった1年なので。

(松尾潔)大森さんと酔っ払ってスタジオに行った時ぐらいですよ。

(久保田利伸)あの時、俺も忙しかった。いや、でもさ、スタジオのレコーディングのど真ん中でさ、あれでさ、どうしよう?もう時間、ないぞっていう時。夜中の12時半に来て。酔っ払って来て。あれは長かったね、あれはね。

(松尾潔)(笑)

(久保田利伸)1個質問したいだけだったんだよ。『これってどういう風に聞こえる?』って。潔ちゃんのジャッジを仰ぎたいなと思ったところに、ちょうど来てくれたんだけど。だから、聞きたいアンサーでいけば、3分から4分でよかったんだけど。1時間40分いたね。

(松尾潔)ああいう時ね、まあスタジオで、アシスタントの人が、『松尾さん、いかがですか?』って、オレンジとか出してくれたのを、おかわりしちゃいますからね(笑)。

(久保田利伸)おかわりしてたんだ。いやいやいや・・・ありがたいですよ。本当に。

(松尾潔)酔った後にちょうどよかったんですよね。まあけどあの時の作品が、いまこうやって仕上がったかと思うと、ちょっと感慨深いですね。

(久保田利伸)いやいや、おかげ様ですよ。本当に。ああいう夜があって、曲ができていくんです。ありがたいですね。うん。持つべきものは友。さあ、参りましょう。

(松尾潔)キレイなことばっかり言われると、ちょっと二の句が継げにくいですけど・・・

<書き起こしおわり>
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