大山顕と安住紳一郎 マンションポエムを語り合う

大山顕と安住紳一郎 マンションポエムを語り合う 安住紳一郎の日曜天国

写真家・フリーライターの大山顕さんが2014年4月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』に出演。分譲マンションの売り出し文句であるマンションポエムについて、安住紳一郎さんと語り合っていました。

(安住紳一郎)さて、そんな大山さんのプロフィールですが。1972年、昭和47年生まれ。現在41才。千葉県船橋市のご出身です。大学を卒業後、松下電器産業、現在のパナソニックに入社。10年間勤務して退社した後、写真家として独立。現在は団地、工場、高速道路のジャンクション、高架下などの土木建築物を写真に収める他、フリーライターとしてメディアの出演、イベント主催など活躍中です。今回はそんな大山さんにお話いただくのは・・・なんですか?これは。

(大山顕)ええと、今回、前回団地で。いま、プロフィールで紹介していただいたの、全部土木構造物の僕、写真を撮っている人間なんですけど。その延長で僕が最近気になっているのが、マンションポエムが気になってまして。

(安住紳一郎)(笑)

(大山顕)そんな笑わないでくださいよ。

(中澤有美子)ポエム?

(大山顕)マンションポエムを集めてるんです。

(安住紳一郎)集めてる?マンションポエムってなんですか?

(大山顕)あのね、たとえばいま、手元にマンションポエムのめぼしいものの一覧を僕は持ってきたんですけど。たとえばですね、『時に磨かれた悠久の邸宅地 誇らしく住まう』とかね。『誇りを此処へ そこは堀之内』とか。あの、マンションの折込チラシとか中吊り広告とかに、いましゃべったみたいなポエムが書いてあるじゃないですか。

(中澤有美子)キャッチコピーというか。

(大山顕)まあ、キャッチコピーですね。それを、すごいあまりにポエムなので、僕は『マンションポエム』と名づけて。ここ数年、ずーっとこれを集めてるんです。

(安住紳一郎)(笑)

(中澤有美子)集めている(笑)。

(安住紳一郎)たしかに、気になりますよね。

(大山顕)もう気になってしょうがなくて。

(安住紳一郎)よく、ポストに近所に新しくマンションができるとチラシが入っていて。きれいな植え込みがあって、新しくできたマンションの外観の、写真じゃなくてイラストだったりするんですよね。

(大山顕)イラストだったり、最近はCGが簡単に作れるので。CGでやたらと光って、後光がさしているCGに、いま言ったようなポエムがつづられている。

(中澤有美子)そうですねー。あるある!

(大山顕)そう。みんなね、言うと『あるある!』って言うんだけど、集めている人は僕以外あんまりいなくて。

(中澤有美子)でしょうね(笑)。

(大山顕)ちょっと僕はそういうの、ムキになるタイプなので。すごい何年も集めているんですよね。

(安住紳一郎)そうですか!これ、やっぱり最初はあまりにもポエムの完成度と、数があるぞというので?

ひょっとこな表現が多いマンションポエム

(大山顕)そうですね。完成度と言っていいのかわかんないんですけど。あまりにもひょっとこな表現が多いので面白いなと思って。そもそもは、前回出していただいた団地のをやっていると、『団地とマンションってなにが違うんだ?』ってすごいよく聞かれる質問で。で、僕はその答えのひとつがこのポエムがあるかどうか?なんじゃないかと思ったんですよ。要するにマンションは商品なので。団地は商品じゃないと思うんですけど。マンションは商品なのでキャッチコピーがつくと。

(安住紳一郎)はい。

(大山顕)そこがエスカレートしていって、ポエムの域に達するみたいな。

(中澤有美子)エスカレート(笑)。かならずついてますもんね。

(大山顕)かならずついてますね。高級マンションは。

(安住紳一郎)そうですね。どうやって集めてるんですか?

(大山顕)僕はWEBサイト・・・折込ももちろん、新聞とかを見てるとあるんですけど。いま、全部マンションは専用のWEBサイトをかならず作っていまして。で、そこのサイトに行くと、ムービーがいきなり始まって。ポエムがこう、どんどん出てくるっていうの全部キャプチャーして。僕のパソコンの中に保存されているんですね。

(安住紳一郎)はー!

(大山顕)で、それを全部テキストに起こして、一覧にして見て分析したりとかっていう。まあ、そういう人生を送っていますね(笑)。

(安住紳一郎)いやー、また面白いところに気づきましたね!

(大山顕)(笑)。そう。みんな面白いと思うと思うんですけどね。

(安住紳一郎)たしかに。ネットでマンションの広告を見ると、びっくりするような完成度で。ものすごい、アーティストのコンサートか?みたいな感じで。

(大山顕)ああ、そうなんですよ。

(安住紳一郎)右から『哲学のある邸宅』。サーッ!って。

(大山顕)そうそうそう。

(安住紳一郎)こっちから『私が開放される』。『いま、ここにときめく』。『誕生 ○○タワー』みたいな。

(大山顕)ああ、そうです。そうです。

(中澤有美子)(笑)

(大山顕)ときめきがちですね。

(安住紳一郎)そうですよね。

(大山顕)あと、響きあいがちだったり、奏でがちだったり、心地よい風がふきがちで。多くの文人が愛しがちなんですよ。

(中澤有美子)文人が(爆笑)。

(安住紳一郎)文人が愛しますね。たしかに。

(大山顕)歴史が響きあいがちなんですよね。うん。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)そうですよね、うん。

(大山顕)だいたい言うこと、決まってるんですけど。そういう風に。

(中澤有美子)(爆笑)

(大山顕)超ウケてる(笑)。

(安住紳一郎)『最多分譲価格帯 3800万』。ピシーッ!

(大山顕)うん、そう。それね、最後に出てくるんです。ひと通り響きあった後にそういうスペックが出てくるんですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)さて、大山顕さん。今日はマンションポエム考察、紹介していただきます。まずは一気にお知らせします。大山顕さんに紹介してもらうマンションポエム考察その一。エリアによって違うマンションポエム。そのニ。時代で変わるマンションポエム。その三。独特の言葉づかいマンションポエム。以上の3つです。さあ、マンションポエム考察。まずひとつ目はエリアによって違うマンションポエム。やっぱりマンションの建っている場所によってポエムが少し変わってくる?

(大山顕)そうですね。僕、数百集めて。全部地図上にプロットしていったんですね。

(安住紳一郎)はあ。

(大山顕)はあって、そんな変な人だなみたいな目で見ないで・・・まあ、変な人なんですけどね(笑)。テキストで全部単語に分解して、どういう単語が出てくるかっていうのをプロットしてみたら、エリアで結構変わってくるっていうことがわかったんですよ。

(安住紳一郎)よく使われる単語が?

(大山顕)で、そのポエムの傾向。単語に代表されるようなポエムの傾向っていうのがわかってきて。だいたい4つに分かれるということがわかりました。今回は首都圏だけの話なんですけど。大阪でも、あるんですよ。実は地方都市にも結構いっぱいあるんですけど。今回は東京だけで言うと、1つ目は僕が『真性マンションポエムエリア』って呼んでいる、昔から由緒正しいポエムがあるところが、港区とかを中心とした、山手線の南半分。内側南半分みたいなエリアが、これが最も狭い意味での都心って言われるところだと思うんですけど。そこがね、いかにも、ザ・ポエムというのが・・・

(安住紳一郎)いわゆるマンションが高級であるような?

(大山顕)高級だっていうことなんですね。まず、ひとつ言えるのが。『プライム』とか『誇り』とか『洗練』とか『気品』とか。そういう系です。

(安住紳一郎)もう、常に上級、上級な方?

(大山顕)上級、上級。僕が好きなのは、『ここはどこかニューヨークに似ている』。高輪のことなんですけど。そういうのがあったりとかするのが、このエリア。

(安住紳一郎)もう上へ上へ上がっていくわけですね。

(大山顕)そうですね。『金を持ってないやつは来るな』と。そういう感じのポエムなんです。

(中澤有美子)はー。強気、強気の。

(大山顕)強気ですね。2つ目が、僕が『江戸エリア』と呼んでいるところがありまして。山手線のもうちょっと北の方と、および東寄りの方ですね。墨田区とか江東区とか台東区とか。あそこらへん。このポエムは、江戸押しなんです。WEBサイトを見ても、まず古地図が出てくる。

(中澤有美子)古地図が。江戸時代の。

(大山顕)家康がいかにこの地を愛したか?っていうところから始まる。

(安住紳一郎)はー!

(大山顕)で、キーワードも『歴史』『伝統』『絆』『下町情緒』『和』。こういうのが多いです。っていうのが下町、江戸エリア。

(安住紳一郎)江戸エリアなんですね。『東西線が便利』とかそういう言葉は出てこないですね?

(大山顕)出てこない。まず、家康です。東西線以前です。まず家康、家康っていう感じでくるところが・・・

(安住紳一郎)江戸。家康。

(大山顕)家康。そういうことです。

(安住紳一郎)家康も出てくるんですか?

(大山顕)家康はね、かなりポエムに登場しますよ。あの方は。江戸だけじゃなくて、調布の方とか行ってもですね・・・僕、調布の近辺で好きなのが、深大寺のが、ちょっと離れているのが自虐的になっているんでしょうね。ポエムが『あえて、深大寺』。

(安住・中澤)(笑)

(大山顕)そんな・・・深大寺、いい場所だと思うんですけど。そういうポエムが実在するんですけど。そんな武蔵野は家康を持ちだして、どう関係あるのかな?って思ったら、『家康が鷹狩をしたこの地で、あなたの夢を叶えます』みたいな。

(安住紳一郎)へー!

(大山顕)鷹狩か!みたいな。

(安住紳一郎)それはでも、結構ふっ切てますね。

(大山顕)ふっ切ってます。武蔵野も結構ヤバいんですが。まあ、江戸は結構キーワードですね。

(安住紳一郎)じゃあ都心の真性エリア、それから江戸エリア。3つ目は?

(大山顕)3つ目が『郊外エリア』と呼んでまして。23区より外および埼玉・千葉のあたりっていうのがあって。ここはね、ポエムがそれほど振り切れてないエリアで。結構実利寄りなんですけど、それでも出てくるのが、『緑』『グリーン』『潤い』『家族』。そういうのが多い。あと、ダジャレに逃げるっていう手が。

(安住紳一郎)ダジャレもあるんですか?

(大山顕)ええとね、新三郷で僕が好きなのがありまして。埼玉の。『うれしさと、豊かさと、新三郷』っていう。

(安住紳一郎)ああー。

(大山顕)ああー、じゃないと思うんですけど(笑)。

(安住紳一郎)韻を踏んでるんですね。

(大山顕)韻を踏んでるんですね。

(安住紳一郎)『いとしさと、切なさと、新三郷』。

(中澤有美子)(笑)

(大山顕)こういうのが結構多いんです。郊外エリアは。

(安住紳一郎)いいですねー。

(大山顕)いいですよ。3つ目がそういう郊外エリアというところで。4つ目が、ここがいまいちばんの注目。もしこの放送を聞いて『マンションポエム、面白いな』と思った方がまず注目していただきたのは、『臨海エリア』。辰巳、東雲、豊洲。

(安住紳一郎)いまいちばんマンションがたくさん販売されていて。

(大山顕)あそこのポエムはいま、テンションが高いですよー。

(安住紳一郎)もうだって、あれですよね。何棟もいま建っているんで。どこにしようか?選ぶ人もいますしね。

(中澤有美子)ねえ。オリンピックもあるし。

(大山顕)そうなんです!オリンピック、いま結構見るのが、そのエリアのもので、『日本代表になろう』っていうポエムがあって。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)あたたたた・・・

(大山顕)マンションのことですよね?っていう感じの。

(安住紳一郎)『日本代表になろう』。

(大山顕)そう。っていうのがあって。そういうのとか、あとね、『私は東京に似ている』とか。

(中澤有美子)どういうこと?(笑)。

(安住紳一郎)『私は東京に似ている』。

(大山顕)結構ね、東京、東京言うんですよ。湾岸のあそこらへんっていうのは。

(安住紳一郎)へー。きっとあれなんですよね。『オリンピック』っていう言葉をたぶん使っちゃいけないとか。

(大山顕)あ、たぶん使っちゃいけないんでしょうね。

(安住紳一郎)そういうね、ネーミングの・・・

(中澤有美子)ライツみたいなのが。

(安住紳一郎)みたいなのがあるんでしょうね。使っちゃいけないんでしょうね。なので、微妙な、『日本代表にこの土地でなろう』とかね。

(大山顕)そうなんですよ。

(安住紳一郎)『世紀のイベントを、この目で』。

(大山顕)ああ、そう。そうなんです、そうなんです。もうね、才能ありますね(笑)。

(安住紳一郎)いえいえいえ。これは、広告代理店のコピーライターがやっぱり書くんでしょうかね?

(大山顕)おそらく、これ、かなり高額商品なので。結構レベルの高いコピーライターさんに任されていると思うんですけども。

(安住紳一郎)結構じゃあコピーライターさんの本領発揮なんですね。ああ、でもたしかに地域によってね、書き方、変わってきますよね。ただ、なんかそこはかとなく、笑っちゃう感じっていうのがありますね。

(大山顕)そうなんですよね。じっくり誰も読まないので。まあ、そんなもんかな?っていう。目を通りすぎていくみたいな。じっくり読むと、なにを言ってるんだろう?っていう(笑)。

(中澤有美子)そうですよね(笑)。なんか曖昧なイメージですもんね。

(安住紳一郎)だから、そういうイメージが、でもマンションを買う際には大事ってことなんでしょう?

(大山顕)いや、ええとね、そこはだから今日のひとつの結論になってしまうと思うんですけど。たぶん、マンションをポエムを見て、『東京をいただく』とかね。『東京をいただくのか・・・じゃあ買おう!』っていう人はいなくて。マンションっていうのはやっぱりモデルルームに行って、営業の方と何回も打ち合わせをして、っていって買うものじゃないですか。その頃にはマンションポエムを忘れていると思うんですよ。だから、なんて言うのかな?これは売り文句というよりも、雰囲気を伝えるもの?で、その大手のマンションの会社が本気で取り組んでるんですね、みたいな。

(安住紳一郎)ああー。

(大山顕)その、字面のメッセージじゃなくてスタンスだけが伝わっているって言う、非常に高度な消費社会のやり取りだなっていうところが面白くて。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)車のコマーシャルなんかも、かっこいいコピーがついてたりしますけど。

(大山顕)『洗練の走り』とか。

(中澤有美子)ありますよね。

(安住紳一郎)でも、実際に乗ってみると、もうすっかり忘れていて。

(中澤有美子)そうですよねー。そうか、そうか。引きつける、最初の最初の。

(大山顕)最初の。『おや、なんだこれは?』って。別に多少滑稽であっても構わないっていうことのような気がする。

(安住紳一郎)大仰な方が、盛り上がって。これは販売会社が力を入れているマンションだぞ!と感じさせる。

(中澤有美子)自信があるんだぞ!みたいな。

(大山顕)そうだと思うんですけどね。

(安住紳一郎)なるほど。さて、大山さんに聞く2つ目ですけども。時代で変わるマンションポエム。時代でも変わってきたということですね。

(大山顕)そうなんですよ。僕の手元にあるのが、いちばん古いのが2002年ぐらいのやつから・・・あのね、90年代ぐらいってあんまりマンションポエムがなくて。というか、規制緩和でああいうタワーマンションが都心に建つようになったのって、考えてみると比較的最近のことで。だから2000年以降、ポエムがいっぱい出てくるんですけど。だいたい僕はそれぐらいから今年。2014年までを集めているんですが。2007年を境に、ちょっとポエムのテンションが全体的に変わってまして。

(安住紳一郎)2007年。

(大山顕)2007年以降、違うんですね。2007年までは結構ね、バブルの香りがどこか漂う。東京も『TOKYO』って書いてある。『銀河』とか『未来』とか『時代の先端』とか。そういうテンションの高い感じ。以前は。

(安住紳一郎)2007年以降になると?

(大山顕)これが急にですね、保守化してまして。『絆』『癒やし』っていう、歴史・伝統系の言葉がすごい多くなってるんですね。で、字面的にも平仮名とか漢字が多くなってるんですよ。最近は。2007年以降は。それ以前は結構カタカナとかアルファベットが多いんですけど。最近のはやっぱり、そういうイケイケドンドンのは違うと。ほんわり、ほっこりなんじゃないか?という感じが見えますね。

(安住紳一郎)落ち着いた、ゆったりとすごせますというような。へー。時代によってもやっぱり違うんですね。

(大山顕)そう。

(安住紳一郎)たしかに。でもまあ、そうでしょうね。時代とともに、マンションの設計とかも変わってますし。コンセプトが変わってきますもんね。ちょっとあれですね。マンション販売会社とコピーライターのやり取りとか、聞いてみたいもんですね。

(大山顕)聞いてみたいですね。すごい会議で・・・こういうのってぜったいに会議で決まってると思うんで。『安らぎの丘の上に洗練の暮らしがいま』みたいなのを言うと、営業さんがきっと、『いやいやいや、ここはちょっと免震を入れてもらわないと困るよ』ってなって。『あ、じゃあ免震をポエムに入れなきゃいけないのか』っていう。僕が会議を想像したやつが『安らぎの免震』っていうポエムがあって。

(安住・中澤)(笑)

(大山顕)大好きなんですよ。そういうのが。はい。

(安住紳一郎)もう、2つ入れたかったんでしょうね。きっとね。

(大山顕)入れたかったんでしょうね。営業さんからねじ込まれて。『しょうがない。免震を入れようか、ポエムに』っていう。まあ、僕の想像ですけど。

(安住紳一郎)きっと最初は『安らぎの空間』とかね、『安らぎの住まい』とかだったんでしょうね。

(大山顕)そう。『免震の一言を入れてもらわないと困るよ』って言われたんでしょうね。あとは、最近ね、すごいなと思ったのは、マンションポエムにもコンプライアンスの波が来てまして。あの、まだここ1年ぐらいなんですけど、ポエムを見ていたら、ちっちゃく※がついてるんですよ。さっき口走った『東京をいただく』とかっていうのがあって。『いただく』のところに※が入っていて。その※、なんだろう?と思って下の方を見たら、小さく『この「いただく」とは別に東京を支配するとか、そういうことではなくて、都心立地で駅に近くて数々の東京の魅力を手に入れられる生活や、53階建ての本物件より東京を見晴らす生活を追求し・・・』とか、まあ他意はありませんよ、こういうことですよっていうのが長々と書いてある。

(安住紳一郎)なるほど。

(中澤有美子)へー。訴えられないように?

(大山顕)コンプライアンス・・・まあ、『「いただく」ってどういうことだ!?』みたいな。って言われないように。

(安住紳一郎)そうですよね。

(大山顕)そんなの言うんだったら、ポエムをやめろよ!って。なんですけど、ポエムはやめられないので。

(安住紳一郎)そうですよね。

(大山顕)注が。

(中澤有美子)参照みたいな。下記をご覧ください。

(安住紳一郎)そうですよね(笑)。

(大山顕)※の中がポエムみたいになっているのもあって。ポエムが入れ子状に、どんどんポエムになっていってるっていうがあってですね。

(中澤有美子)マトリョーシカ(笑)。

(大山顕)すごいですよ。いま、ポエム。本当に、コンプライアンス化が。

(安住紳一郎)『癒やしの空間※』。

(大山顕)『※ここで言う癒やしとは・・・』。

(安住紳一郎)ここで言う癒やしとは・・・みたいな。『私たちが保証するものではありません。各個人でゆっくりと・・・』。

(大山顕)下に公園があるから、まあそういうこともあるかもしれませんよ、ぐらいの程度のことですって書いてあるんですよ。じゃあ、『癒やし』って言うなよっていうのがありますね。そこが素敵なところなんですけど。

(安住紳一郎)そうですよね。いやー、面白いですね。『癒やし』の下にね、『全員が癒されるわけではありません。個人差があります』みたいな。

(大山顕)薬事法みたいな。ただ、それはだから聞くところによると、法律でいろいろ景品表示法っていうのがあって、使えない言葉っていうのがやっぱりあるんですって。『完全』とか『日本初』とか『最高級』とかっていうのは、本当に完全であるとか最高級であるっていう裏付けがなければ使ってはいけない言葉なので。こういう言葉を避けていった結果、ポエムになるっていうことなんだろうなって。

(安住紳一郎)はー。誇大広告になっちゃう。

(大山顕)そうなんです。そうなんです。

(安住紳一郎)難しいですねー。

(大山顕)そうなんです。だから作り手も、先ほどおっしゃったみたいにすごい頭を悩まして会議で決められていると思うので。現場、ちょっと見てみたいですね。

(安住紳一郎)本当ですねー。

(中澤有美子)アドバイザーになれそうですしね。

(大山顕)アドバイザー、ねえ(笑)。僕ができるアドバイスは『やめたらいいんじゃないかな?』ぐらいですけど。

(安住紳一郎)思い切って、みんなでやめてみるってのもいいですよね。

(大山顕)いいと思うんですよね。みんな、辛いと思うんですよね。そろそろ。

(安住紳一郎)そうですよね。結局、だって現地行って見なきゃいけないわけだから。最終的には、見取り図と住所と値段と(笑)。

(大山顕)近くの商業施設がどれぐらい充実してるかとか。

(安住紳一郎)そうですよね。マンション販売ポエム禁止!っていうね。もしかしたら条例ができるかもしれないですね。ええ。

(大山顕)小学校とかで子どもの運動会をビデオにおさめようとしているお父さん方が、踏み台に乗るじゃないですか。踏み台に前の人が乗ると見えなくなるから、後ろの人がさらに高い踏み台に乗るじゃないですか。もうみんな踏み台に乗って、全体が底上げされて、結局一緒みたいな。ああいう感じを。みんな一斉に止めたら、なんかいいんじゃないの?みたいな。

(安住紳一郎)そうですよね。

(大山顕)どんどんポエムが嵩上げされている感じがしますね。

(安住紳一郎)さあ、最後は、マンションポエム考察 独特の言葉づかい。

(大山顕)はい。これは先ほどちょっと最初の方に言ったんですけど。言葉だとなかなか通じないんですけど、漢字の当て字がすごいんですよ。これが。マンションなんで家を売ってるんですけど、『家』っていう普通の漢字はまず出てこないんですよ。『邸』って書いて『いえ』って読ませる。

(安住紳一郎)たしかに。そんなイメージ、ありますね。邸宅の『邸』ですね。

(大山顕)『邸』って書いて、上に『レジデンス』ってルビがふってあるのなんて、もう日常茶飯事。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)おしゃれです。間違いなくおしゃれです。他には?

(大山顕)あと、『すむ』っていう字も『住』はほとんど出てこなくて、『棲』で『すむ』。これはまだいい方で、最近多いのは『澄』で『すむ』。これもよくあります。

(安住紳一郎)あれで『すむ』にしちゃうんですね?

(大山顕)そういうの、すごい多い。で、『もり』とかっていうのも『森』ではなくて、仙台の方の『杜』ですね。

(安住紳一郎)杜の都の。

(大山顕)杜の都の『杜』。

(安住紳一郎)ああ、たしかに。

(中澤有美子)使ってる。使ってる。

(安住紳一郎)でも、いずれもおしゃれですね。

(大山顕)おしゃれなんでしょうね。で、僕が全部テキストに書き起こして、データベース化しているので。僕のパソコンの予測変換が、『すむ』って入れたら『澄む』が出てきちゃう。

(安住紳一郎)あらららら・・・

(中澤有美子)クリーンなイメージで(笑)。

(大山顕)やっかいな事になっちゃってまして。普通に業務のメールとかを打っているのに、もうポエムになっている。メールが。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)おしゃれになっちゃってる。

(大山顕)おしゃれに。

(安住紳一郎)この人、どうしてこの漢字、使うのかしら?みたいな。『あなた』っていうのが『貴女』になったりとかね。

(大山顕)ああ、そう。本当にそんな感じですよ。

(安住紳一郎)『貴女からいただいた先日の報告書ですが』みたいな。辛いですね。

(大山顕)辛いんですよね。

(安住・中澤)(笑)

(大山顕)うっかりこう、気を抜いていると、僕からのメールが全部ポエムに。もう大変なんですよ。

(安住紳一郎)でも、たしかにあれですね。言葉とか感じのイメージでずいぶん変わりますもんね。

(中略)

(安住紳一郎)さて、今日は大山さんにマンションポエム考察をお聞かせいただきましたけども。最後に、いちばんいま気になっているマンションポエムをひとつ、お願いいたします。

(大山顕)これね、いろいろあるんですけど。これですよ、これ。聞いてください。『そこは成城でもなく、仙川でもない。そして成城でもあり、仙川でもある』・・・どこなんだ?っていう。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)たぶん、仙川寄りの成城のイメージも出したいマンション。

(大山顕)そう。もう、その通りですよ。仙川っていうよりは成城のイメージをお借りしたいんだけど、成城って言っちゃうと嘘になっちゃうので、まあ、仙川でもなく、成城でもなく・・・っていろいろ言ったことでここに落ち着いたという。

(安住紳一郎)なるほど!住みたい!

(大山・中澤)(笑)

(安住紳一郎)京王線、便利だしね。成城学園行くと物価高いから。俺はそこに住みたいよ。

(中澤有美子)そうか。物価、そうです。

(安住紳一郎)成城の雰囲気をもらいながらの、仙川でしょ?駅前、ほら。広くなったしね。便利だわ。

(大山顕)(笑)

(中澤有美子)本当だ、いい。

(安住紳一郎)仙川、便利。今日はゲストに写真家・フリーライター、大山顕さんをお迎えしました。どうもありがとうございました。

(大山顕)ありがとうございました。

(中澤有美子)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>


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