宇多丸・池田敏が語る 2014年 初心者向け海外ドラマ 6作品

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TBSラジオ『タマフル』で海外ドラマを特集!海外ドラマ初心者の宇多丸さんが海外ドラマ評論家の池田敏さんを迎え、初心者向けの6作品とその魅力について話をしていました。


(宇多丸)今夜お送りするのはこちら。『映画ファンよ!もう見て見ぬふりはしていられない。今からでもギリギリ間に合う海外ドラマ入門特集!』。ちょっと前からですかね、海外ドラマはヤバい。海外ドラマが元気なのはあれですけど、結構一流監督どころがこぞって海外ドラマ、本腰を入れだしたりして。これからはドラマの時代だよ!みたいなことは映画ファンの間でまことしやかにささやかれて。まあ時間が結構たつんですが。なんですけど、まあ私も含めてね、リスナーの皆さん。ケツの重い皆さんですね。『ちょっと見るの、時間がかかるしさ。どれから見ていいかわかんないし・・・』みたいなことを言って、ここに至る。こういう方、多いんじゃないかと思います。もうそんな言い訳はね、今夜、お互い止めましょう!お互い、こんな言い訳は止めましょう!現在、質・量ともに最高潮に盛り上がっていると言われている海外ドラマの世界。その中でもいまいちばん美味しいところ、さらに我々映画ファンに鉄板のおすすめ海外ドラマ。つまり映画ファン、ここから入った方がいいんじゃないか?入り口としてこの辺り、いいんじゃないか?と言ったあたりのおすすめ海外ドラマをご紹介いただく特集です。プレゼンターは海外ドラマ評論家の池田敏さんです。よろしくお願いします。

(池田敏)どうも、こんばんは。よろしくお願いします。

(宇多丸)はじめまして。

(池田敏)はじめまして。

(宇多丸)今日、はじめてご挨拶させていただいて。よろしくお願いします。ちょっとこの特集をやるにあたって池田さん、最適任なんじゃないかと。

(池田敏)ああ、ありがとうございます。

(宇多丸)いま、間にお話をうかがっている時になぜかね、ハングライダーの話になって。いま、もう池田さんにハングライダーの話を聞きたくてしょうがない(笑)。今日は、海外ドラマで。

(池田敏)海外ドラマ。よろしくお願いします。

(宇多丸)簡単にご紹介させていただきます。池田敏さん。海外ドラマ評論家として映画秘宝やキネマ旬報などの映画雑誌に海外ドラマについて寄稿。WOWOWのアカデミー賞中継でアドバイザーも務められているということでございます。

(池田敏)海外ドラマ大好きですけど、映画もよく見てますよ。『思い出のマーニー』、遠い映画でしたよね(笑)。

(宇多丸)ああ、マーニー。はいはいはい。『魔女の宅急便』のキキが最初から盛り下がっていて、派手なシーンがないっていう映画っていう(笑)。

(池田敏)北海道の田舎であんなパーティーあるの?っていう。

(宇多丸)そうなんですよね!そこがノイズなのは絶対にありますよね。ありがとうございます。はい。ということでね、今夜はそんな池田さんに過去最高の盛り上がりを見せているという海外ドラマの現状、そしてこの番組。私も含めて映画好きということで、映画はいっぱい見てるんだけど・・・という人が多いと思われるこの番組のリスナーのために、映画好きの人がまず入り口にできるようなおすすめの海外ドラマ、いくつかご紹介していただくということになっております。よろしくお願いします。

(池田敏)よろしくお願いします。

(宇多丸)ちなみにですね、最初に言っておきますと海外ドラマということに関しては、私の妻がですね、海外ドラマものすごい好きで。まあ、暇人だってこともあるんですけど、とにかく日本に入ってきている海外ドラマは一応全部見てはいるって。

(池田敏)えっ、本当ですか!?

(宇多丸)全話じゃなくて、どういうドラマかは必ずチェックして、気に入ったものは見続けるみたいな。チェックはしているというような人でございまして。僕とはちょっと趣味が若干違っていたんですが。ちょっと今日から。

(池田敏)宇多丸さんも海外ドラマを。

(宇多丸)ちょっとこれで夫婦和合のね、きっかけになればと思い、この特集を(笑)。

(池田敏)(笑)。そんなきっかけだったんですね。

(宇多丸)そうなんですよ。で、まず具体的な作品について伺う前に、アメリカなどではテレビドラマっていうジャンルがいま、どのようなポジションになっているか?といったあたり、ちょっとざっくりご紹介いただきたいと。

(池田敏)まず大雑把に言いますと、映画とテレビドラマってこれまで垣根があったんですよ。要は、映画の方が上でしょ?先でしょ?歴史古いでしょ?っていうのがあって。お金もかかっているでしょ?と。まあちょっと正直言って、格差。映画上、テレビドラマ下みたいな格差があったんですけど。それが21世紀に入ってから顕著になってきたんですけど、もうあんまり変わんないよねっていうのはありますよね。だからそうなると、映画。まだアメリカだと、まず多チャンネル化っていうのがあったんですよ。テレビの。

(宇多丸)はい。他チャンネル化があって。ケーブルテレビなりなんなりで。

(池田敏)そうなると、いままでのテレビってデパートやスーパーだったのが、ショッピングモールで言う専門店みたいなチャンネルがいっぱい出てきたという。たとえば、音楽方面だったらMTVっていうのがありますよね。そういう感じで映画専門チャンネルだったり、テレビドラマ再放送の専門のチャンネルが出てきて。そこでどういう風になっていくかっていうと、各専門店。目玉になる商品がないといけないっていうことで、オリジナルのドラマを結構作るようになってきたと。で、それは当然映画に寄せたテイストだったり、映画に匹敵するスケールだったりするわけですよ。

(宇多丸)まあ高級感とか、豪華キャストだったりとか。

(池田敏)ジャンルもいままでだったらお金がないとできなかったファンタジーとか、あのへんまで手を出せるようになってきたと。そういったことが世界的な規模ですよね。もう日本でも地上波だけじゃなくてBSだったりCSだったりケーブルだったりありますし。そういう状況が世界的に生まれてくると、世界中から結構お金が入ってくると。

(宇多丸)前だったらアメリカ国内だけでしか相手にしてなかったものが、もう世界が相手になってくるという。

(池田敏)はい、そうです。なおかつ、DVDだったりブルーレイも売れますから。そうなってくると、やっぱりアメリカの中でも新しい才能。監督だったりプロデューサーだったりキャストが映画の方からテレビの方にどうしても流れてきちゃうっていうことになってますよね。なおかつ、各作品、チャンネル、いままでテレビっていうと放送コードの問題とかあったと思うんですけど、有料チャンネルでやっていれば、あんまりCMのスポンサーも気にしないというか。

(宇多丸)あー、さっき『専門店化』っておっしゃいましたけど。たとえば普通にデパートだったら老若男女に一応見てもらえるようなところを狙わざるを得なかったのが、専門店で。なおかつ、ちょっと要するに、一応大人向け。『ウチはちょっとこんな感じなんね。お客さん、いくつ?』みたいなのがあれば、中では結構専門的に。要するに、うならせるものができるという。

(池田敏)SFファン向けのSFドラマだったら、『わっ、そこわかってるな!』っていうが出てきたりとか。あと、まあ極端な話、子ども向けだったら子どもがワーキャー騒げばいいやっていう(笑)。のもあるんです。

(宇多丸)どちらの方向にも振りきれる。

(池田敏)そうです。どっちも行けるわけですよ。

(宇多丸)とか、たとえばちょっと性描写だったりとかバイオレンス描写みたいなのも突っ込んでいけるということですかね。

(池田敏)ちょっと・・・下ネタはこの番組、有りですか?

(宇多丸)ちょっと待ってください!池田さん、そのなんか下ネタは別にいいんですけど。いま、その左右を見てですね、スタッフの側を見て、助走をつけるかのように『下ネタ、いいですか?』って。どんだけのことを!?いや、もちろん限度はありますよ。社会人として。いや、でもいいです!下ネタ。限度はないです!リミットはないです!はい。有りです!なんでしょう?下ネタ。

(池田敏)いやいや。だから本当、あれなんですよね。平気でアメリカのいちばんコアな、まったくCMスポンサー入んないようなチャンネルだと、まあおっぱいとか、お股とかを見せちゃっている人もいっぱいいるわけですよ。

(宇多丸)お股も有りですか。

(池田敏)有りですね。日本で放送する時はちょっとボカシ入ったりしますけど。DVDで見たりするとなかったりするんで。どこまで行くの?っていうような。

(宇多丸)はー。結構過激化が。むしろ普通の映画の方が、広く網かけなきゃいけない感じになっているかもしれないですね。そういう意味ではね。なるほど。という意味でどんどん作品的にも向上しているということなんですね。

(池田敏)なにが起きるかわからない、ヤバい世界ですね。

(宇多丸)いま、まさにその作品の進化みたいなものが、まさに進行中でもあるってことですか?

(池田敏)はい。そうです。いや、もうまだまだ進行中ですね。

(宇多丸)といったあたりで、じゃあちょっとまず一発目ですね。それを象徴するような一本作品をご紹介いただきたいと思うんですが。お願いします。

(池田敏)はい。デビット・フィンチャー監督、ケビン・スペイシー主演、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。


(宇多丸)出てしまいましたねー!

(池田敏)宇多丸さん、ご覧いただいたそうですよね。

(宇多丸)実はこれ、今回の特集を、さっき『夫婦和合のため』と言いましたけど、それも嘘じゃないんです。思いついたっていうか、ぜひどなたかに本格的に伺いたいと決心したのはハウス・オブ・カード見たからなんですね。ハマったからなんですよ。で、さっき言ったように僕の奥さん、海外ドラマ大ファンで。僕もまあ、デビット・フィンチャーもやってるし、ケビン・スペイシーだし。で、後ほど伺いますけど、非常に話題になっている作品なので、これは見とかないといけないのかな?と思って。で、見始めたら夫婦揃ってハマったと。で、奥さん側もテレビドラマ山ほど見てるのに、これはちょっと相当すごい方だというぐらいのことを。で、まあ一緒にハマって、まあその・・・夫婦和合。

(池田敏)(笑)。よかったですね!

(宇多丸)こういったあたりになったんで。

(池田敏)いい話、今日聞けましたね(笑)。

(宇多丸)ぜひ今日、ちょっとハウス・オブ・カードについてお話伺いたいんですが。非常に革新的ということで。

(池田敏)まず、これはテレビドラマかどうか?っていうところですよね。

(宇多丸)ね。海外ドラマってテレビドラマとして紹介するけど。実はこれ、テレビドラマですらない。どういうことですか?

(池田敏)いきなりアメリカではネット配信されたんですよ。

(宇多丸)ネット配信?

(池田敏)アメリカではビデオレンタルの大手の業者でネットフリックス(Netflix)っていう会社があって。そこがまあ、ビデオレンタル・DVDレンタルだけじゃなくて、自分のところのサイトで有料でコンテンツをいろいろ配信しているようになったと。それの中で目玉にしていたのがこのハウス・オブ・カードだったということですね。で、ここ画期的だったのは、1シーズン13話あったんですけど、いきなり全部見せちゃった。



(宇多丸)最初にドン!っていきなり出して。

(池田敏)一挙配信したんですね。

(宇多丸)ドラマっていうと普通テレビドラマだと一週間待たなきゃいけない。で、その引っ張りがね、テレビドラマらしさだったりするけど。そうじゃなくて、ある意味全部見ちゃってください!ドン!って出す。このスタイル。

(池田敏)もう配信された日、ずっと見てねっていう。一気見派っているんですよ。やっぱり海外ドラマって。

(宇多丸)一気見派、ある意味前提の提供方法、スタイルになっていると。

(池田敏)まあある意味、最初から13時間の映画を目指したっていうことですよね。

(宇多丸)その売りをしてますよね。

(池田敏)まあ、いままでたとえばインターネット向けのドラマっていうとちょっと規模が小さくって、みたいな。

(宇多丸)そうですね。ネット配信専門っていうと、どうしても。それこそテレビドラマのさらに下感みたいなイメージがありますけど。

(池田敏)まあ、このドラマはですね、最初別にネット配信じゃない可能性もあったんですね。テレビに普通に出す可能性もあったんで。すごいお金をかけて作って。

(宇多丸)どのぐらいお金かけたんですか?

(池田敏)最初のシーズン1で100億円使ったって。

(宇多丸)100億円!?

(池田敏)13話に。

(宇多丸)13話100億円。要はだから本当に映画レベルのお金がかかっていると。

(池田敏)まあいまハリウッド映画。大作だとたしかに100億・・・

(宇多丸)100億、200億ありますけど。それで2時間とかですけどね。それでドン!という形で出していると。

(池田敏)本格的なキャスト、本格的なスタッフが揃った作品の、ちょっと高いくらいのレベルでいきなり・・・

(宇多丸)実際ね、僕これいろ見比べてみても、単純に画面のルックの高級さみたいなのが、やっぱりハウス・オブ・カードは段違いですね。

(池田敏)フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』ってありましたよね。あれで使ったデジタルの映画用カメラのレッドっていうのを使っているんですよ。

(宇多丸)はい。なおかつフィンチャー、レッドの使い方がすごい上手いと言われているからね。やっぱすっごい豊かな感じがするんですよ。見るからに金かかってんな!っていう感じが漂っている。

(池田敏)なおかつ、主演はやっぱりスペイシーですからね。アカデミー賞に二度輝いている名優で。この作品が面白いのは、時々スペイシーがこっちを見るんですよね。カメラの。

(宇多丸)このね!じゃあこの話、ハウス・オブ・カードをこれからご覧になる方。すごい独特の演出がね、あるんですよね。主人公のケビン・スペイシー演じる、ホワイトハウスの中で働いている・・・

(池田敏)元々ホワイトハウスに入ることが約束されていたのに、それを反故にされて。復讐のために陰謀を企てるベテラン議員っていう。

(宇多丸)そうです。むっちゃ悪いやつなんですね。

(池田敏)まあ、フランクっていうんですけど。結構目的のためには手段を選ばない。

(宇多丸)結構ギョッとするレベルの悪いことを普通にやりますよね。で、こいつが内面の声をなんて言うんですかね?カメラに向かって要は映画とかでもたまにありますけど。セリフだけじゃなくて、時々『こいつ、またこんなこと言ってるよ』みたいな感じで目配せしたりするんですよね。こう、しばらくカメラに向かって自分の『こいつは○○で・・・』って言った後に、別のカメラにまたショット変わって、こうやって目配せしたりとか。この演出がすごい斬新っていうか、かっこいいですよね。俺、ぜったいあと1・2年とかで日本のドラマがすごいダサいパクリ方しそうな気がするんですよ。

(池田敏)(笑)

(宇多丸)この演出(笑)。でもすごいハマりました。っていう演出もあったりとか。

(池田敏)本当にクオリティー高いんで。ネット配信されたドラマとして初めて、アメリカにテレビ界のアカデミー賞と言われるエミー賞っていうのがあるんですけど。そこで初めてネットドラマとして受賞したという。

(宇多丸)いままで大賞になった作品はなかったのに。でも実際本当すごい。僕、見てすっごい、むちゃくちゃハマっちゃって。最初のフランクが登場して、つかみの1分くらいの場面があるじゃないですか。

(池田敏)バキッ!って。

(宇多丸)あ、やめてくださいよ!それは・・・それはダメです。それはダメです(笑)。ネタバレに。でも、そこでもう最高でしたし。あと、奥さんね。ロビン・ライトが。ショーン・ペンの元奥さんね。これがケビン・スペイシーの、フランクの奥さんで。

(池田敏)クレアっていう奥さんやってるんですけど。

(宇多丸)このキャラクターがまた、怖いっつーかなんつーか。あの女がね。

(池田敏)もう上司にしたくない女性ですよね。本当に。

(宇多丸)まあね。スパーン!と来ますし。でも、実はちょっと弱みもね、あったりなんか。

(池田敏)だからそのへんの微妙な心の動きとか。やっぱり13時間あるからできるんだなっていう気がしますね。

(宇多丸)映画だったらちょっと描き込み不足とか。人数出しすぎとか言われるところも13時間だとできると。あと、僕ね、これ同時配信の強みなのかな?と思ったんだけど、僕のテレビドラマのいままであったイメージの、たとえば『24』でもいいですけど。一話の終わり際に次週に引っ張る、引っ張りの終わり方するみたいなのが多いっていう印象があったんですね。クリフハンガーな終わりっていうか。これに関して、あんまりそういう小手先の引っ張りみたいなのをぜんぜんやらないで。一応、一話ごとにエピソードはちゃんと終わっている。

(池田敏)連続ドラマって次の回を見せたいんで、ガーッ!って上がったところで終わることが多いんですけど。これ、いい感じで余韻があるんですよ。

(宇多丸)そうなんですよ。ちゃんと終わって余韻があって。でも次ちゃんと見たくなるような話も続いているしで。話運びが重厚っていうか、小手先に走っていないのもすごい。いわゆる僕の言う『興味の持続』っていうか。

(池田敏)もともとこれ、イギリスにあった小説をイギリスでドラマ化して。それをさらにアメリカでリメイクしたってことなんですけど。

(宇多丸)元のドラマがあったんですね。

(池田敏)で、アメリカで脚色した時に脚本家がボー・ウィリモンっていって『スーパー・チューズデー』を書いた方で。この人、脚本家になる前に実際に政治活動していたんですよ。民主党陣営で。

(宇多丸)へー。じゃあ本物が書いているということで。まあ、そんなような感じでとにかくハウス・オブ・カード。じゃあ池田さん、太鼓判ということで。

(池田敏)僕、シーズン2見ましたよ。

(宇多丸)もう見ちゃったんですか。ちょっと・・・シーズン2をですね、とにかくいち早く見たいんだけど、なかなか見れてなくて。ちょっと奥さんにせっつかれているんで。夫婦和合のためにまたちょっと、早めにチェックしたいと思います。現在、シーズン1が絶賛、DVDとかでもね、出てますね。

(池田敏)そうですね。シーズン2、日本の総理大臣も出てきますから。

(宇多丸)あ、マジですか!?そんな展開になってくる。ああ、そう。いま、どこまでいってるんでしたっけ?

(池田敏)いまですね、アメリカでシーズン2が2月4日に全部配信されて。で、即シーズン3が決まったと。

(宇多丸)なるほど。

(池田敏)いや、どこまで行くんだろう?っていう感じで面白いっすよ。本当に。

(宇多丸)でもこれ、シーズン何個まであるって聞くとちょっと尻込みしちゃう人も多いと思うんですけど。とりあえずシーズン1。13話だけでぜんぜん満足できる作りになっていると思います。ぜひ見ていただきたいと思います。私も本当にハマったきっかけでございます。ということでCMの後から、いま見るべきおすすめの海外ドラマ、いくつかどんどん紹介していただきたいと思います。

(CM明け)

(宇多丸)今夜は『映画ファンよ!もう見て見ぬふりはしていられない。今からでもギリギリ間に合う海外ドラマ入門特集!』をお送りしております。ゲストは海外ドラマ評論家の池田敏さんです。引き続きよろしくお願いします。

(池田敏)よろしくお願いします。

(宇多丸)ということで今日、この特集を組むにあたってですね、なぜこのタイミングか?ってもうひとつありまして。あの、池田さん曰く、いま海外ドラマをこっから参入するのに結構いいタイミングなんじゃないかということで。

(池田敏)そうですね。

(宇多丸)これ、どういうことなんでしょうか?

(池田敏)やっぱり作品の質がですね、それを支える才能の豊かさっていうのが顕著になっているなということですよね。

(宇多丸)あー、じゃあどんどん良くなってきている。

(池田敏)そうですね。元々はたとえば、いまね、アメリカのテレビドラマって1話あたり制作費2億円とか3億円とか平気でつかうんですよ。で、それだけだったらそれだけかもしれないですけど、これ、たとえば1シーズン13話とかだったら、30億とか40億ってことですよね。それだけあったらちゃんとした映画並みの13時間の映画って作れるっていうことですよね。で、これがスピルバーグとかサム・ライミっていう人は元々逆に映画界でも活躍してますけど、テレビでもやっていた人ですけど。たとえばJ・J・エイブラムスなんかは・・・

(宇多丸)テレビから来た人ですもんね。

(池田敏)『エイリアス』とか『LOST』とか。で、テレビで当てた人がもう映画界でも一線で活躍しているっていう。で、あと最近だと『アベンジャーズ』のジョス・ウィードン監督っていう、映画的にはかなりポッと出てきた感じがするんですけど。テレビ界ではいっぱいやってます。『バフィー・ザ・バンパイア・スレイヤー』とかやってますし。

(宇多丸)そうか!そういうキャリアの人って順番で考えなきゃいけなかったんですね。なるほど。なるほど。

(池田敏)あとまあ、最近他のですとスターウォーズの第七作、J・J・エイブラムスがやりますよね。で、第八作を撮るライアン・ジョンソンっていう人がいるんですけど、この人は『LOOPER/ルーパー』の監督ですね。で、この人実はこれから後、できればご紹介したい『ブレイキング・バッド』っていうドラマがあるんですけど。ルーパーより前にそっちをやってますからね。

(宇多丸)ブレイキング・バッド、やってるんですね!ああ、なるほど。じゃあこの文脈っていうのを見えないと、またちょっとっていうことなんですね。これはちょっと映画ファン的には、ねえ。人生がどんどん破壊されていく。見るものが多くて。

(池田敏)結構ずぶずぶ行っちゃう。

(宇多丸)なるほど。でも納得です。やっぱりそういう状況になってきているという。のっぴきならない感は伝わってきました。

(池田敏)あと、巨匠のマーティン・スコセッシ監督が『ボードウォーク・エンパイア』っていうドラマをHBOっていう会社・・・HBOっていうのはアメリカの大手のチャンネルです。ペイテレビのチャンネルで、日本で言うとWOWOWっぽいところなんですけど。

(宇多丸)オリジナルドラマなんかも昔からずっとやってますもんね。

(池田敏)だから『SEX AND THE CITY』。あれ、HBOです。あれ、だって地上波ではできないですよね。

(宇多丸)ああ、そうか。だから地上波のドラマからそっちに、ケーブルというかそっちの専門チャンネルに動きがあって、そしていまネットの時代へっていう、何段階かの革命期っていう感じなんですかね。

(池田敏)ありますね。まあ、拡大していっているってことですね。

(宇多丸)見る環境もいろいろ広がっているしっていうことですね。

(池田敏)さらに、最新の情報言っていいですか?ええとね、ベニチオ・デル・トロ監督。この人はですね、最近『The Strain』っていうアメリカで始まったばかりのドラマの第一話の監督兼製作総指揮してるんですよね。

(宇多丸)ほう、The Strain。へー!

(池田敏)これ、早く日本に入ってきてほしいですけどね。

(宇多丸)どんな感じなんですか、The Strainって?

(池田敏)細菌パニックものですね。

(宇多丸)へー。でもデル・トロ、こんなもんばっかり撮ったら、もう『ヘルボーイ3』
はないですね。もう(笑)。期待してるんだけど。もう、あれも年取ってきちゃっているしさ。あ、ベニチオじゃない。ギレルモ・デル・トロですね。

(池田敏)あ、すいません。間違いました(笑)。大変失礼しました。ええと、あとマイケル・ベイ監督がテレビのドラマの製作総指揮を始めて。これ、『The Last Ship』って言うんですけど。これも始まったばっかりで。

(宇多丸)ほう。The Last Ship。

(池田敏)昔はね、夏はアメリカって、アメリカのテレビ局って夏休み的な感じでスポーツ中継やったりとか、ドラマの再放送やったりしてお茶を濁していたのが、いまはもう、1年中やる気バリバリですよ。1年中フェスみたいになってますね。

(宇多丸)逆に夏休みだからちょっとまとめて見ちゃって!みたいな。

(池田敏)っていうのもあると思います。

(宇多丸)これ、ある意味日本でもそうですもんね。それもちょっと夏休みタイミングでぜひみなさん。まとまった時間がある時に見ては?という感じですね。

(池田敏)ちょうどいま夏休みですので。学生さんとか社会人の方もお時間できると思うんで。普段見られない方はぜひ。もう明日にでも。明日からでも見始めてもらいたいですね。

(宇多丸)一気見したってせいぜい13時間。ぜんぜんいけますからね。

(池田敏)そうなんですよ。昔、だからね、24のおかげで『24話あるんでしょ?』とか、『終わらないんでしょ?』とかあったんですけど。いま、結構ね、13話ぐらいのが増えましたね。

(宇多丸)これはやっぱりあれですか?テレビ制作側も、見る時間があんまり長すぎて敷居が高いのをちょっと下げるっていう意識があるんですか?

(池田敏)まあ、13話にした方がたくさん作れるっていうのはありますよね。それとですね、あと13話ぐらいだと撮影3・4ヶ月ぐらいで済むんで、映画スターが出てくれるという。

(宇多丸)あ、キャストがキャスティングしやすい。おおー!なるほど。なるほど。

(池田敏)前だとやっぱりね、24話だと9ヶ月とか拘束されちゃって。他の出たいような映画の話が来ても出られないっていうのがあったんですけど。いまはもう、そういう感じになってきましたね。

(宇多丸)24だって半分になったんですもんね。

(池田敏)あ、いちばん新しい。日本では来年、見られるのかな?『24 リブ・アナザー・デイ』っていうのがあるんですけど。それも13話になっています。傾向がありますよね。

(宇多丸)そういうだから短くなるっていう流れもあるんで、いま結構見やすいかもしれない。

(池田敏)で、この後ね、いまちょうど俳優の話にいったんで。続けますとマシュー・マコノヒーも『ダラス・バイヤーズクラブ』でああいう風に大反響になる前は、1本。『True Detective』っていうのに出て。これ、ウディ・ハレルソンと共演だったという。これもHBOですね。あとまあ最近だとケビン・ベーコン。みんな大好き。『ザ・フォロイング』に出てますね。

(宇多丸)それもケビン・ベーコン特集を前にやったのも、『ザ・フォロイング』があったからなんですよね。それも奥さんの『ベーコンの特集、やれば?』っていう。そういう一言からだったんで。じゃあ、どんどんそういう俳優が。

(池田敏)で、マッツ・ミケルセンが『ハンニバル』っていうドラマに出ていれば、ジャン・レノが『刑事ジョー』っていうドラマに出ていたりとか。もうアメリカだけじゃないですね。結構世界的にも。

(宇多丸)世界的にもどんどんそっちに流れていっている。なおかつ、夏の終わり、8月26日には・・・

(池田敏)アメリカのテレビ界のアカデミー賞って言われるエミー賞の発表がある。日本時間で8月26日なんですけど。ちょうどAXNっていうスカパー!でやっているチャンネルでは無料生放送するらしいんで。やっぱりそれを見ておくと、これからもっと海外ドラマが楽しくなると思います。

(宇多丸)日本にこれから入ってくるものとか流れが見れるので、とにかく8月26日。エミー賞もありますので、このタイミングで参入するのがおすすめです!っていうことなんですね。それではさっそくじゃあ、おすすめ海外ドラマ。いくつか入門編としてご紹介いただきたいと思います。

(池田敏)はい。それじゃあまずは『SHERLOCK(シャーロック)』。


(宇多丸)はい!シャーロック、出ました。

(池田敏)ひょっとしたらいま、日本でファンの人数×熱量でいうと一番かもしれないですね。もうハマっている人は何回も見返している状態ですね。



(宇多丸)シャーロック。ちょっとじゃあ、概要というか。

(池田敏)2010年にイギリスのBBCでスタートしまして。1980年代にジェレミー・ブレットっていう人が主演した『シャーロック・ホームズの冒険』っていうドラマがあったんですけど。このドラマは現代。21世紀のロンドンにもしもシャーロック・ホームズがいたら?っていう話なんです。相棒のワトソンとっていう話で。で、まあロバート・ダウニー・ジュニアとかの映画版もありますけど、あれはあくまでも昔の話なんで。本当に21世紀版ですピーディーでスタイリッシュでっていう。

(宇多丸)で、現代の小道具とかもいっぱい出てきたり。

(池田敏)そうですね。スマホだったりインターネットが出てきたりっていうことで。本当に、逆にシャーロック・ホームズ知らない人はこっから入った方がいいんじゃないかな?と思いますね。

(宇多丸)なおかつ、僕もこれ、最初の方しか見てないんですけど。結構、それでも元のシャーロック・ホームズに結構忠実だったりしますよね。

(池田敏)そうですよね。シャーロック・ホームズは名探偵で知的とかそういうイメージじゃなく、ちょっとクレイジーなところがあって。

(宇多丸)ちょっと薬物中毒っぽいところとか。

(池田敏)も、あったりして。BBCでもちゃんとやるっていう(笑)。

(宇多丸)そしてこれ、やっぱりキャストじゃないですか。これは。

(池田敏)そうですね。ベネディクト・カンバーバッチさん。シャーロック・ホームズ役なんですけども。たしかによくいま、映画で見るようになってますけどね。

(宇多丸)大ブレイクね、してますよ。『スタートレック』・・・

(池田敏)『裏切りのサーカス』、出てますよね。あと、『戦火の馬』も出ていましたし。『それでも夜は明ける』も出てますから。とにかく映画界でも売れっ子なんですけど、それでもまだ、『カンバーバッチ、誰?』って感じがあると思うんですよね。で、なんでかって言うと、シャーロック見てないからだよっていう話ですよね。

(宇多丸)そのベネディクト・カンバーバッチと、相棒ワトソン役をやっているマーティン・フリーマン。要はホビット。この二人があちこちに出ていたりするのは、そもそもシャーロックが超いいからだ!っていうことですよね。

(池田敏)まあ、本当になんて言うんですかね?この人以外考えられないぐらいハマり役なんですよ。カンバーバッチって。

(宇多丸)あとこの二人の相性っていうの、どうですか?

(池田敏)もうネットとか、すぐボーイズラブ話が・・・(笑)。

(宇多丸)どうしてもここはね。でもそこが喚起されるような関係性があったりして。

(池田敏)なんて言うんですかね。そう解釈してもいいし、この二人の友情自体、本当に揺るぎないものなんですよね。それはもうシーズン3とか見るとよくわかるんですけど。『わあ、いいな、このコンビ!こういう友達ほしいな』っていう気持ちになりますよね。

(宇多丸)だからあれですよね。この間のホビットの2作目とか。要は声の出演ですけど。カンバーバッチが。それ、そういう視点から見ると、キャッ!っていう。キャッ!この二人がもう、じゃれあっちゃって。もう(笑)。またじゃれあっちゃってっていう、そういう感じっていう。そしてですね、このシャーロック。特に映画好きの人におすすめのポイントっていうのを挙げるとしたらどこでしょうか?

(池田敏)このシャーロックですけど、シーズン3が終わって。この間、日本でも放送されたばかりなんですけど。これ、一話あたり90分なんですよ。それが各シーズン3話。

(宇多丸)ほうほう。つまり一本の、最近の映画やたらと長くなりすぎる画がある中で、要は一番ちょうどいい90分っていう、一本の映画の長さ。

(池田敏)これがですね、シーズン3つとも三話ずつなんで。いまんところ9本なんですよ。だからなんだったら、シリーズの映画を見るような感じで、1本1本見たいときに見て、いつの間にか見終わって。ファンと同じ所に追いついていけるっていう。

(宇多丸)ああ、追いつきやすい。

(池田敏)追い付きやすいです。はい。本当に90分なんで映画に近い感覚で見ることができる。寝る前、1時間半くらい見てみたいっていう時にもいいと思いますし。

(宇多丸)そしてもちろん、シャーロック・ホームズだから元の話の骨格とかキャラクターの強さみたいなのはもう保証済みな上に、最高のハマり役がいて。

(池田敏)本当にね、だからシャーロック・ホームズのファンの人たちって『シャーロキアン』っていう人たちがいて。

(宇多丸)うるさいじゃないですか。

(池田敏)うるさいんですよ(笑)。

(宇多丸)この世でいちばんうるさい人たちが納得している。

(池田敏)納得しているっていうことですね。

(宇多丸)そういうことでクオリティーは間違いなしっていので。まずはシャーロック。現在シーズン3までリリース中なので、まだまだ追いつけるという意味でこちら。まずは入門編としておすすめでございます。続いて、行きましょうか。

(池田敏)続いては、『ウォーキング・デッド』。


(宇多丸)出ました!まあ、ゾンビもの。

(池田敏)テレビなのに本格ゾンビドラマやっちゃったっていうことですごい反響を呼んでますけども。元々、2010年にアメリカのケーブルテレビのAMCっていうチャンネルで放送が始まって。で、そのAMCって何の略か?っていうと、『American Movie Classics』。ここ、名作映画専門チャンネルだったんですね。



(宇多丸)へー。

(池田敏)でも名作映画ばっかりかけているのもどうか?っていうことで、ドラマシリーズ作るようになったんですけど。で、最初に『マッドメン』っていうニューヨークの広告業界を描いたドラマをやって。これがですね、いきなりエミー賞でドラマシリーズ作品賞っていう頂点を取っちゃったんですよ。あと、これもできればあとで紹介したい『ブレイキング・バッド』っていうのがあって。本当に映画ファンの期待に応える本格作をガンガン作っているチャンネルですね。

(宇多丸)元が映画チャンネルだけに、わかっているというか。

(池田敏)そうですね。はい。で、とてもクオリティー高いドラマを量産してるんですけど。ここ、まずですね、グラフィック・ノベルですよね。ウォーキング・デッドって。

(宇多丸)日本でも出てますよね。

(池田敏)翻訳されてますけども。あれが原作でして。まあ、どんな話かを簡単に言うと、ある保安官がいて。ちょっと銃撃戦に巻き込まれて昏睡状態になって。で、目を覚ましたら、『あれ?誰もいないぞ?』っていう感じになって。まあ、病院なんですけど。病院出ても誰もいないよって言って。で、いちばん最初に会うのがゾンビ。で、そっから彼はまあ、自分の家族を探したり、他の生存者とグループを組んで、どこかで生き延びることはできないか?ってサバイバルをするんですが。まあ、だんだん人間同士。生存者同士の戦いが始まってくるわけですね。

(宇多丸)はいはい。

(池田敏)だからこれ、主人公が保安官っていうこともあって。最初、ある意味西部劇から。開拓の時代から、南北戦争に発展していってるんじゃないなか?っていう風に僕は見立てたんですよね。

(宇多丸)あー!なるほど!アメリカ史のメタファーにもなっているというか。へー!

(池田敏)で、これいちばん重要だと思うんですけども。ゾンビが走らない。

(宇多丸)あ、最近もう走りゾンビがねー、主流っていうか。ほとんどそればっかりになっちゃいましたね。

(池田敏)そうですね。だからもう、いないはずのゾンビがいつの間にかゆっくり近づいて来て、うわっ!?っていうのが。そういうのが好きな人にはたまらないですよね。だから本当、ジョージ・A・ロメロ監督版とか好きな方には。

(宇多丸)の、ゾンビがお好きだったら絶対にいいでしょうし。

(池田敏)まあこれも結構エグいっちゃあエグいんで。ゾンビ嫌いなんで見てない人も結構いますけど。まあ、知らないで見ないんだったら、知って見て下さいよっていう気がします。

(宇多丸)まあ、フランク・ダラボンもね、すごく面白いと。

(池田敏)フランク・ダラボン監督、映画ファンみんな好きな人だと思うんですけど。いちばんエグい『ミスト』。あの感じですよね。

(宇多丸)この番組でももう、どうやってネタバレをせずに話せばいいのか?というあたり、大変な思いをしましたけどね。はいはいはい。

(池田敏)まあ、スーパーマーケットの中の世界が、延々と続く感じですね。

(宇多丸)なるほど!あとやっぱりゾンビものって基本的には本来、終わりはないじゃないですか。ここで解決!ってないものだから、その人間ドラマ側で延々、いろんな場面でいろんな展開があればなっていう。それがある意味ゾンビ映画のバリエーションなわけだから。

(池田敏)身近な人が亡くなってゾンビになっちゃったらどうするんだろう?とか。いろいろ、ついつい登場人物に感情移入して見入ってしまうドラマですね。

(宇多丸)特に延々と続いているから、これはある意味ね。より思い入れや恐怖が強くなる。ということで、ウォーキング・デッド。現在シーズン3までリリース中。最新シーズン、シーズン4が9月にレンタル開始予定ということでございます。どんどん行きましょう。ちょっとね。時間もなくなってきましたからね。どんどん行きましょう!次は?

(池田敏)『ゲーム・オブ・スローンズ』。


(宇多丸)さあ、これがもう、来ちゃった。

(池田敏)大作ファンタジーですね。2011年にアメリカのHBO。さっき出たHBOっていうところで放送されたんですけど。まあ、架空の大陸がありまして。ウェスタロスっていうのがありまして。そこは南北に長いんですけど。7つか、もしくはもう少しいろんな部族だったり家族が住んでいるんですけど。まあ、その人たちがですね、最高権力である玉座を巡って争い合うっていう話なんですけど。まあこれがですね、スケールがデカいっていうね。



(宇多丸)まあファンタジー的な世界観。中世ヨーロッパみたいな舞台のファンタジーなんだけど。

(池田敏)よりスケール大きくて。僕、あえて言うなら『大人のためのロード・オブ・ザ・リング』ですね。

(宇多丸)はい。大人のための。僕もですね、これもゲーム・オブ・スローンズは向こうのそういうファンタジック映画というかさ、ファンタスティック映画というか。そういうものが好きな人はみんな、ゲーム・オブ・スローンズの話しかしてないよ!って言われて。で、見なきゃ!って思って、これもハマっちゃったんですよね・・・やっぱね。で、大人向けっていうかね、おっしゃいましたけど。毎回きっちり、エロシーンが出てくるんですよ!

(池田敏)(笑)

(宇多丸)結構っていうか、ガッツリしたエロシーンが出るじゃないですか。あの、パーン!パーン!パーン!級の。これ、夫婦和合のために見ていると、結構気まずい・・・まあ、有りっちゃあ有りなんですけど。みたいなのが出てきて。大人向けですよね。あと、まあ残酷。バイオレンス描写もすごいし。あと、人間関係ですね。これ。権力争いっていうか。

(池田敏)そうですね。だから家族の中でもケンカしますからね。平気で。騙しあったりとか。だからアメリカってテレビって基本はホームドラマだったんですよ。もうそれを完全に否定してますよね。もう全員敵!みたいな感じで。

(宇多丸)肉親もぜんぜんね、信じられない感じですもんね。

(池田敏)本当にね、一度に何人も死んじゃうエピソードとかあって。『えっ、こんな重要な人が死んじゃうの!?』って。

(宇多丸)まあ、ちょっと待って下さいよ!はい。まだ僕、そこまでは・・・はい。

(池田敏)すいません!

(宇多丸)ええ、ええ。いや、でもそういう感じですよね。あっと驚く展開とかもあったりして。っていうことで大人向けロード・オブ・ザ・リング。まあ世界観的にロード・オブ・ザ・リングとか好きだったら、まず間違いない感じでしょうしね。

(池田敏)そうですね。ええ。まあ、ちょっとエグいことはエグいんですけど。あとね、登場人物が多い。セリフがある人が160人以上とかあって。相関図、手に入れたらネタバレにならない範囲でチラチラ見るのが。

(宇多丸)参考にしながら。あの、固有名詞とか出てきてちょっとあれなんで。ブルーレイとかDVDで見るなら字幕出しながら見ると見やすかったですね。

(池田敏)ああ、カタカナで見た方が。

(宇多丸)わかりやすいかもしれない。あと、キャストがさっきのベネディクト・カンバーバッチじゃないですけど、なんか映画界にさ。この間の『X-MEN フューチャー&パスト』のあの人。

(池田敏)ピーター・ディンクレイジ。

(宇多丸)そう!やっぱこれの、この演技があるから抜擢なんだ!みたいなのが、すごい納得。あの・・・

(池田敏)ティリオンっていう、ちょっと小さな役なんですけど。小さな人の役なんですけど。

(宇多丸)小さな人なんだけど、いちばんかっこいいじゃないですか。むちゃくちゃかっこいいじゃないですか。

(池田敏)いちばん分別があって考えてますよね。

(宇多丸)俺、もう最高にファンですよ。かっこいい!っていう。

(池田敏)いや、もう本当だからこれでエミー賞とか取ってますからね。納得ですよね。

(宇多丸)そういう文脈もわかったりしましたんで。ゲーム・オブ・スローンズ。ちょっとね、現在シーズン3が日本ではリリース予定です。

(池田敏)これ、ちょっと引いた画が多くてちょっと映画っぽいですよね。

(宇多丸)いや、間違いないと思います。チャチさとかぜんぜん感じさせない。ということで、続いて。どんどん行きましょう。こちら、ラストになっちゃうかな?時間的に。お願いします!

(池田敏)はい。『ブレイキング・バッド』。


(宇多丸)先ほどから何度も出てきておりますが。名前が。

(池田敏)これ、アメリカのAMCっていうチャンネルで放送されたんですけども。どんな話か?っていうと、主人公、ウォルターっていう高校の先生。化学を教えている人なんですけど、この人がですね、子どももいて奥さんもいるのに、いきなり肺ガンになったってわかって。『弱ったな・・・』って。高校の先生ってお金ないですから。給料、低いですから。で、そこでなにを考えたか?っていうと、『俺、化学の知識あるからドラッグ作っちゃえ!』って。



(宇多丸)『俺、作れちゃうじゃん』と。

(池田敏)そうそう。で、ドラッグを作れちゃうんですよ。そしたら、なんと純度99.1%で。かなり全米でも屈指のレベルの作っちゃったって。

(宇多丸)いままで市場に出回っていないレベルのものができてしまいましたと。要は名人になっちゃう。

(池田敏)で、『あいつは誰だ?』って噂になっちゃって。おかげで肺ガンで死ぬよりも可能性が高くなっちゃうんですよね(笑)。当局に襲われるわ、ギャングに狙われるわで。

(宇多丸)普通の平凡な教師がそういうところにどんどん追い込まれていく。

(池田敏)ただ、その立場になっていくとまた人間変わっていくっていのがまた、面白いですけどね。だからだんだん宇多丸さんに外見が近づいていくんですよ。

(宇多丸)ルックスが。オールスキンヘッドで。

(池田敏)そうですそうです(笑)。ちょっと強面になっていくっていう。

(宇多丸)最初は普通にメガネでね、冴えない、おとなしい感じの。なんか言われても、うーって我慢するような人だったのに。どんどん弾けていく。

(池田敏)そうです。そういった意味で、本当にそのお父さんがですね、家族愛のすごい強い人なんですよ。で、そこがブレないのが感動的だし。

(宇多丸)あ、こんなに悪に手を染めていっても家族愛はブレない。

(池田敏)でも、ちょっとたまにドラッグ作るんで外泊したりすると、奥さんに睨まれて。もう踏んだり蹴ったりみたいな。

(宇多丸)ああー、基本、コメディーなんですか?

(池田敏)ブラックユーモアが時々キツいのぶっ込んで来るっていう感じで。たとえば悪いやつがいて。仲間に。ジェシーっていうんですけど。彼がですね、自分の手下に『あ、そういえばここでドラッグ売るの、簡単だよ』って言って。ドラッグ止めた人の集まりってあるじゃないですか。『ああいうところ行って売っちゃおうぜ!』って行ったら、そこで他の人たちの話を聞いているうちに『ドラッグって怖えなー!』って。

(宇多丸)(笑)。同情してきちゃって。ダメだよ、こういうの!っていう(笑)。

(池田敏)『なにやってんの、この人たち?』っていうね。そのへんのギャップが面白いですよ。

(宇多丸)へー。でもむちゃくちゃ、ブレイキング・バッドは実はいの一番にタイトル聞く作品ですね。やっぱり。

(池田敏)最近では、僕いろいろtwitterとか見てると、芸能人の方でも、なんか面白いのないか?って言うとブレイキング・バッド!みたいな。徳井さんとか好きなんじゃないかな?

(宇多丸)ああ、なるほど。これ、ちなみに映画好きの人におすすめするポイントを挙げるとしたら、どのあたり?

(池田敏)そのウォルターを演じているのがブライアン・クランストンっていう役者さんで。もう結構ご覧になっている方・・・

(宇多丸)顔を見ればね。

(池田敏)いや、もうゴジラの、最初。

(宇多丸)あ、そうか!ゴジラの!あのお父さんだ。そうだ!

(池田敏)あのお父さんも、仕事も燃えてるけど家族愛もあってって。

(宇多丸)あー!そしてその熱意のあまり、ちょっと変人な域に行っちゃうのとか。ブレイキング・バッドキャラクターなのか!

(池田敏)たぶんそれで、『この役、クランストンいいんじゃないか?』っていう。

(宇多丸)だからいまのハリウッドのそういうキャスティングは、もうヒットドラマ抜きには語れない可能性ありますね。

(池田敏)という可能性、高いですね。この人、あと『ドライヴ』も出ていたし、あと『アルゴ』も出ていましたね。

(宇多丸)あ、そうだそうだ。

(池田敏)だから、番組アメリカでちょうど終わっちゃったばっかりなんですけど。これから映画界で大活躍するんじゃないかなと。

(宇多丸)あ、番組終わっちゃったんですか。10月までファイナルシーズン。

(池田敏)逆に言うと、そこでちゃんと終わります。

(宇多丸)あ、なるほど。終わりの方がグダグダになって・・・ってどうしてもね、アメリカドラマだとたまにありますけど。そういうのじゃないと。

(池田敏)これ、だから元々ね、シーズン5の前半・後半わかれて終わったんですけど。そこでもう終わらせるつもりで脚本を書いていたって。だからシーズン1の意外な事実が3でいきなり、『えっ、ああいうことだったのか!』ってこともあるんで。

(宇多丸)あー。じゃあ行き当たりばったりでやっているわけじゃないってことも含めて。完成度は結構高いと。

(池田敏)高いです。はい。

(宇多丸)僕はぜんぜんまだ序盤しか見ていないですけど。

(池田敏)ああ、ぜひぜひ。結構ハマったら大変です。ドラッグドラマというよりは、ドラマドラッグみたいな。

(宇多丸)ドラマドラッグ。まあ、どんどん人生が破壊されていくと。紹介いただいてありがとうございます。っていうことで、ちょっとね。あっという間にお時間来てしまったんですけど。ちょっと池田さん。本当はね、もう1個。紹介していただきたいの、あったんですけど。ちょっと、タイトルだけ・・・

(池田敏)『ホームランド』。24好きだった人はぜひ、おすすめです。


(宇多丸)24のスタッフが参加しているということですね。ということで、あっという間だったんですけど。なんかおすすめの見方っていうか、テレビドラマ、これから海外ドラマをいろいろ見るにあたっておすすめの見方、探し方などあれば教えて下さい。

(池田敏)まあ、海外ドラマはですね、いま本当にそれこそ海の向こうからバンバン届くようになってきていて。アメリカとほとんど変わらないタイミングなんていうのもあって。

(宇多丸)ほぼリアルタイム。

(池田敏)そうなんですよ。で、いまですね、たとえば地上波でも夜中にちょっとやっていたりしますし。あと、BS・CS・ケーブルでやっていますし。あと、いまネット配信サービスで結構見られてますよね。

(宇多丸)Huluとかもありますしね。



(池田敏)あ、ありますね。それとか、DVDもあるしブルーレイもあるしで。いろいろな方法で見られることができるんですが。とにかくこんなにたくさんあると、どらから見たらいいのかわからないけど。ちょっと気になる、そんなドラマがあったら第一話を片っ端から見てみるのがいちばんいいと思います。

(宇多丸)なるほど。1話目がやっぱり掴み。いちばん命をかけているから。そこでダメならダメだし。

(池田敏)まあ、雑誌の付録についていたりとか。ネットで無料配信とか。

(宇多丸)タダで。1話目タダで見せるサービス、結構あるから。それを使ってね。

(池田敏)逆にね、1話見て、途中でダメだと思ったらそこで止めてもいいぐらいですよ。

(宇多丸)それは好みじゃないんだから。

(池田敏)それで他のドラマの第1話を。

(宇多丸)1話だけタダで見せるなんて、本当ドラッグディーラーのやり方ですよね(笑)。『ちょっとやってみ?』なんつって。でもそれぐらい、やり出したら止まらない面白さがあるっていうことですね。じゃあ、とりあえず今日挙げた作品でも第1話から、みなさん。見ていただければいいんじゃないでしょうか。といったあたりで池田さん、本当今日はあっという間に時間がきてしまいましたが。

(池田敏)どうもありがとうございます。

(宇多丸)次回はハングライダーの話を。

(池田敏)(笑)

(宇多丸)っていうことで、『映画ファンよ!もう見て見ぬふりはしていられない。今からでもギリギリ間に合う海外ドラマ入門特集!』でした。池田さん、ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

↑huluで『ウォーキング・デッド』『シャーロック』『ブレイキング・バッド』が試聴できます!

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