ジェーン・スー 過酷なキックボクシング体験を語る

ジェーン・スー イライラするけどつい見てしまうSNS・ブログを語る ジェーン・スー 相談は踊る

ジェーン・スーさんがTBSラジオ『ジェーン・スー相談は踊る』で、キックボクシングのジムに体験入門した際のエピソードを話していました。

(ジェーン・スー)で、そんな忙しい中にもかかわらず、私、キックボクシングに行ってきたんです。体験に。なぜか?というと、元々運動嫌いなんですよ。運動をぜんぜんしてなくて。まあ、学生時代からですね、運動、すごく苦手だったんで。嫌いなものってさ、とか苦手なものってさ、なんて言うんだろう?バカにする方にスライドすることってあるじゃないですか。自分の『嫌い』とか『苦手』っていう気持ちを受け止めきれずにね。で、やっぱりこう、運動が単にできない。私、音痴なんです。だけど、『運動する人なんて(笑)。頭使うほうが偉いでしょ?』みたいな。『運動はバカのすることでしょ?』みたいな。そういう、すごい傲慢な思いをしていた時期があったんですよ、私。かなり長い時間。

だけど、30ぐらいになった時に、このままだと頭ばっかりクルクル回していて。体がぜんぜん動かないっていう。『脳の入れ物としての体』みたいになっちゃうなと思って。これはよくない。じゃあ、思考を止めることは私、できるのか?ってたぶん、無理なんですよ。思考をゆっくりにする、みたいなね。思考ヨガみたいなの、無理なの。じゃあ、どうするか?っていうと、体を頭と同じぐらい動かせばいいやって思って。激しいスポーツをやろうと思って、ボクササイズを始めたのが30代の前半です。で、非常に楽しくていろいろ発見もあって。非常にいい経験だったんですけども。まあ、籍はどれぐらい置いていたんだろう?5・6年?もうちょっと置いていたかな?

まあ、やったりやらなかったり。忙しいとやっぱりね、行かなくなったりして。実はここ2・3年、ぜんぜん運動をしてなくて。マズいなと。で、ご覧の通りね、結構体格もいい感じになってきていまして。で、さっき言った次の本(『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』)にね、30代初めに運動を始めたことによって自分の意識がどう変わったのか?みたいなのを書いて入れちゃったんですよ(笑)。そいでさ、『いま運動していません』ってちょっとかっこ悪いじゃない(笑)。

だからちょっと帳尻をね、帳尻合わせ。発売前の帳尻合わせ。大事。エクスキューズを作っておく。っていうことで、じゃあもう1回、ボクシングのジム、行くかな?と思ったんですけど。その時に、ボクシングのジムに行っていた時にいちばんの悩みが、下半身の体幹が鍛えづらかったんですよ。ってことは、下半身の体幹を鍛えるためにはキックボクシングがいいんじゃないか?っていうことで、キックに行こうと思って。調べたら、結構家からそんなに遠くないところにあったんですね。1個。じゃあここに行ってみよう。で、いろいろ調べていったらですね、なんとですね、モデルさんとか女優さんとかタレントさんがたくさん通っているっていう。そのモデルさんとか女優さん、ガリガリ。

これはキツいなー、どうしようかな?って思って、実はそれで半年ぐらい悩んでいた。『女優とモデルが通っている』っていうのがすごいネックになってしまっていて。ここに私が行ってもやっぱりちょっと・・・完全に公開処刑になるだけで、気持ちが先に折れちゃうんじゃないかな?って思って悩んでいたんですけど。この半年間の間にですね、続々とモデルさんが増えていくわけですよ。で、これずっと行くともう完全に行けなくなるなと思って、もう意を決して。本も発売されるし。帳尻合わせだって言って、友達2人を誘って、行ってまいりました。先日。

まあね、結論から申しますと、体、動きませんでした。本当に。あのね、3年とか休んじゃうと、もうぜんぜんダメね。で、やっぱり行くじゃないですか。キックボクシングジムにね。で、行って、『ここの中で経験者の方、いますか?』って3人並んだ時に言われて。まあ、あとの2人はぜんぜんやったことがないんで。『いや、ないです』って。で、私はゼロとは言えないじゃん?手は使ったことがあるじゃん?みたいなのがあったんで、ちょっと半分ぐらい手を上げたんです。『いや、ちょっとは・・・』みたいな。で、この、ちょっとは・・・がマズいんです。こういう時。ジムって。『あ、やったことあるんだ』みたいな。なんつーの?他の2人にはかからない、ちょっとした圧みたいなのがかかってくるわけよ。

別に道場破りに来たわけじゃないのよ、私。もう、体を見ていただければわかる通り、まったく運動していない、ただの中年女性です。にもかかわらず、ちょっとやってみましょう!みたいな。私も私でさ、気持ちがしゃしゃっちゃうわけですよ。なんて言うの?私は私でちょっとやっていたことがないわけではない、みたいな。そういう、よくわからない、非常に言語化しづらいお互いの気持ちみたいなのが、キュッと出てきまして。で、まあね、ミットを持ってもらって1分半、それを叩いたり蹴ったりするのをルーティーンでやっていくわけですけども。なんか私だけ、早い!私の友達は『パン、パン、パン、はい、じゃあ蹴ってみましょう、ドスン!ドスン!はい、いいですねー』みたいな感じなのに、私だけ『パンパンパンッ!ドスンッ!はい、ここっ!ドーンッ!ドーンッ!』みたいな。

なんで私だけ?今日、はじめて来たのにさ。なんで私だけこんな、ちょっ、これいじめ?みたいな。でもさ、ここで私が『いや、ぜんぜんそんな・・・やってなかったんで、もう大丈夫です。できないんで、もうちょっとゆっくりお願いします』とか言えたらいいんだけど。負けず嫌い。無駄な負けず嫌い。もう心拍数的にはかなり限界こえて、フラットライナーズ手前なんですけど、『やりますっ!』みたいな(笑)。もうね、なにがマズかったって、女性3人で行ったんですけど。あとの2人はほんのり顔が上気するような汗。私は1人だけ、もう階段登って下りてきた人みたいな。引越し屋さんみたいなんです。汗が。もうダラダラ。

で、頭もすごい。私、おかっぱなんですけど。留められないじゃないですか。結べない。毛の長さ的に。だから、もうね、毛がイヤミみたいなのが、顔にバンバンかかってくるわけです。で、視界が見えなくなっている。これは打てない、よくないと思って。もう背に腹はかえられないんで、持っていった長いタオルをですね、頭に巻きました。で、そうするとなんか向こうも、『おっ、やる気じゃん?』みたいなことを言われて。トレーナーの人にも。『いやいやいや・・・』とか言ってると、私の友達。まあぜんぜん疲れていない友達がですね、『俺はこういう人間だ!俺はこういう人間なんだ!』って。私にビッグダディのアテレコとかやってくるわけです。

もうそんな、それに対して面白いことを返す余裕とかないわけ。カモノハシみたいな絵とか書いている余裕、ぜんぜんないわけ。私に。もう手、ぶらぶらだしさ。震えているし。で、バンバンバンバン打ってやってたら、もう裸足でまず立てないわけですよね。で、キックってこれ、やったことがある人はわかると思うんですけど。やったことがない人には、ぜひお伝えしたい。蹴るのって、大変!蹴るの、本当に大変。あとね、手と足つかうの、大変。ボクシングは手だけだったからまだよかったけど。いいですか、ボクシング。ぜんぜんそれに詳しくない方もわかると思うんですけど。ジャブ。オーソドックスって右手でパンチを打つ人だったら、左手でジャブを打つ。そして右手でストレートを打つ。

左手でまたフックを打って、右手でアッパーを打つとか、ボディーをもう1回左で打つとか。まあ、言ったって5種類くらいなんです。そこにですね、膝蹴り、前蹴り、ミドルキックみたいなのが混ざってくる。もう、タコだよ。感覚的にはタコ。アイアム・タコ。手は2本、足も2本しかないのに、やることはタコ。つまり混乱。もうね、結局45分のレッスンだったんですけど、3時間ぐらいに感じましたね。私には。で、終わってフラフラしながら。で、ムカつくのがさ、出て行く時にさ、他に体験に来た女の子がいたんだけど。もう超細いの。ちょー細いの。ガリガリの女の子が『入会の目的はなんですか?』『ダイエットです』って。

もうね、矢で射ろうかと思いました。『はあ!?ダイエット!?はあー!?なにいってんの?こっちのセリフだよ』って思いながら手が震えちゃって。私、書類とか書けないんですよ。手がブルブル。で、すごいことに気がつきました。みなさんに教えてあげたい。ガチの筋肉痛っていうののは、当日から来ます!あの、年をとると翌々日に筋肉痛が来るとかって言われると思うんですけど。本気を出してしまった時の運動の筋肉痛は当日からきます。もうその日から私、歩けないんで。もう完全に生まれたての羊のまま、子羊のままずっと過ごしていまして。

まあ、もしかしたらこれ筋肉痛じゃなくて、ただの肉離れかもしれないんですけど。思わずね、口もどんどん早く、早口になってしまうぐらいの経験をしまして。今日も、咳とかをすると体がボフッ!ってなって。痛くて、キツいね。まあ、なんとか急速にこれをいい話にまとめようと思って考えてるんですけど。まあ、体を動かすの、いいですよね。頭の容れ物としての体じゃなくて。体ってやっぱね、頭を使わないと動かせないんだなと。頭を使うために体を動かすんじゃなくて、体を動かすために頭をつかうっていう、逆ね。逆の方向に神経を通すっていうのは、なかなか気持ちがいいし。

あと、やっぱりですね、本当に動けなくなっています。アラフォーのみなさん、運動をしてない方にお伝えしたい。本当にあなたは動けないと思う。私も動かなかった。なので、ヤバくなる前にですね、自分でなんとか鍛えていくと。自尊心のね、気持ちを上げていくためにもね、いいんじゃないかな?と思いますんで。まあ、なんでこんな話をしたのか?っていうと、ここで話さないと私キック、入んないと思うし。入っても続けないと思うし。まあ、今月末の『KAMINOGE』という格闘技雑誌にですね、青木真也選手と対談してますんで。それがバレないといいなと思って(笑)。

格闘技雑誌で対談している人が入ってきたってなると、またたぶんミット打ちのスピードとかが早くなると思うんで。それはバレないようにしたいなと思いながらも、なんとかここでキックボクシングに入ることを、うっすら宣言して今日は番組をスタートしたいと思います。

<書き起こしおわり>

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