マキタスポーツが語る『花子とアン』の舞台 山梨県の秘境性

マキタスポーツが語る『花子とアン』の舞台 山梨県の秘境性 東京ポッド許可局

山梨県出身のマキタスポーツさんが、出演中のNHK朝ドラ『花子とアン』と、その舞台である山梨県の秘境性についてTBSラジオ『東京ポッド許可局』で語っていました。

(マキタスポーツ)『花子とアン』。

(サンキュータツオ)見てますよ!

(マキタスポーツ)見てますか?

(サンキュータツオ)見てますよー。僕は『あまちゃん』のおかげでね、朝ドラを見る習慣がつきました。

(マキタスポーツ)たしかに。そういう視聴習慣っていうのは恐ろしいもんでね。ついたらね。

(サンキュータツオ)24%とか取ってるよ。

(プチ鹿島)東出と杏。

(サンキュータツオ)東出と杏じゃないでしょ(笑)。

(プチ鹿島)いや、だから僕、いいましたよね。去年、あまちゃんが新しい朝ドラのファンを引っ張ってきて。あれ、イレギュラー。特殊なんですよ。だからこそですよ、10月から3月までの『ごちそうさん』を見て、1年が終わって。それが、ごちそうさんが終わるまでがあまちゃんですと。つまり、本当の朝ドラの新しい朝ドラっていうのは、今年の4月から始まる花子のアン。吉高由里子さんですよ。吉高さん、いままでの従来のヒロイン像をひっくり返す可能性もあるんですよ。もう、酒飲んで来ねえとか。そういう新しい、わくわくするニュース、新しい朝ドラ像を見せてくれるんじゃないか?ということで、僕が宣言したら。このおじさんが出ちゃって。マキタとアン。

(サンキュータツオ)ちょうどね、去年・・・マキタとアン(笑)。なんでも、○○とアンって(笑)。

(プチ鹿島)なんでも『アン』つけるおじさんで、しばらくやろうかな?

(マキタスポーツ)その前に、『花子のアン』って言っちゃってるから。花子のアンじゃないですよ。OFじゃないですよ。

(サンキュータツオ)いや、だから去年、ちょうどあまちゃんをしゃべっていた時にね、マキタさん、地元山梨じゃないですか。だからあの、『じぇじぇじぇ』じゃなくて、山梨には『て』っていうのがあるよ!って。言ってたら・・・

(プチ鹿島)言ってた!言ってた!

(マキタスポーツ)いや、タツオ。もっと厳密に言うと、随分前からあなた方の前で山梨には『て』っていう感嘆音があると。

(サンキュータツオ)まあ、聞いていたけど抜けてました。山梨トークとかぜんぜん気にしない。

(マキタスポーツ)俺にしてみたら、『じぇじぇじぇ』なんていうのはまだ本当に小僧ですよ。メディア的に言うと、『じぇじぇ』なんて言葉を扱って。俺は随分前から『て』って言ってるけど、俺の発信力の弱さで。それが『て』っていうのがぜんぜん届かず、いつの間にか『じぇじぇ』に差されてですね。もう『じぇ』の方が圧倒的に有名になった時に、このいま、花子とアンではですね、慌てて『て』なんて言ってるわけですよ。

(サンキュータツオ)慌てて入れてきてる。

(マキタスポーツ)慌てて感があるじゃないですか。

(サンキュータツオ)慌てて感、ある。あれ、マキタさん発信なんじゃないの?『て』は。

(マキタスポーツ)いや、俺は発信してません。発信してませんし、『て』は入れられても・・・

(サンキュータツオ)ちょっと『じぇじぇ』に合せてきたみたいな感じがあるよね。

(マキタスポーツ)で、言い方が違うことが気になっちゃって。

(サンキュータツオ)言い方、違うの!?

(マキタスポーツ)言い方、違いますよ。吉高由里子さんが、まるでその東京のお芝居の、洗練された言葉遣いの『えっ・・・』みたいなニュアンスで、『てっ・・・』っていうんですけど。そんな言い方、しませんから。山梨の人は。ネイティブの人は、『て』ですから。

(サンキュータツオ)おじさん、おじさん・・・(笑)

(プチ鹿島)ああ、もう吉高像ではないことをね。

(サンキュータツオ)いや、だからさ、朝ドラの地元の人って、みんなそれ、言うじゃないですか。

(マキタスポーツ)だから結局、言うんですよ。

(サンキュータツオ)うちの方言じゃない!みたいな(笑)。

(マキタスポーツ)うちの方言じゃないって。だから俺も、結局原理主義者になっちゃうんですよ。

(サンキュータツオ)山梨原理主義者(笑)。

(プチ鹿島)『ててて』原理主義者でしょ?

(マキタスポーツ)『ててて』っていうのは、たしかに『じぇじぇじぇ』とカブるから嫌だ!

(サンキュータツオ)(笑)

(プチ鹿島)でもさ、僕思うんですけど。でも、『て』とやらですよ。『じぇじぇじぇ』のなんかね、夢をもう一度みたいな感じ。セリフ、多くなってません?

(マキタスポーツ)だからそれが恥ずかしいの。

(プチ鹿島)セリフ、多くなってるでしょ?『て』問題。

(マキタスポーツ)恥ずかしいんですよ・・・下心が見え隠れして。

(サンキュータツオ)マキタさん、山梨実は愛しすぎでしょ?それ。

(マキタスポーツ)当たり前じゃないですか!生まれ育ったところ、山梨。郷土愛ありますよ。ただ、僕の愛し方って結構特殊なのか、山梨の人からも嫌われるんですけど。だけどちょっと僕が言いたいのはね、花子とアン、俺が出てるからどうのこうのとかっていうことではないです。そういうことの話をしたいのではなくて、花子とアンをこういう角度で見たら、山梨っていうところの奥深さがよくわかると。

(サンキュータツオ)あー、なるほど。もう一つの切り口。いや、たとえばね、前、だから山梨では海がないからお魚でもてなすのがもてなしだとみんな思っているって。

(マキタスポーツ)あの間違ったやつね。間違ったもてなしね。

(サンキュータツオ)刺身でもてなすんですよ。

(マキタスポーツ)山梨の刺身はマズいですよ。

(プチ鹿島)山梨、いないんだもん。魚がね。うちもそうだけど。長野も。いないもん、出しちゃった。

(マキタスポーツ)いないことはないです。川魚ぐらいいますよ。海の魚を率先して出すし、マグロの消費量は全日本で2位ぐらいですよ。

(サンキュータツオ)知らねーよ、そんな情報(笑)。

(マキタスポーツ)で、全国でいちばんぐらい回転寿司屋があるっていうのが山梨ですよ。アサリの消費量、全国で1位ぐらいですよ。

(サンキュータツオ)アサリ?あ、そう。

(プチ鹿島)あの、かっぱ寿司って簡単におっしゃるけど。あれ、長野発だからね。

(サンキュータツオ)どうでもいいです。お国自慢はやめてください。

(マキタスポーツ)郷土愛大会は、いいです。

(サンキュータツオ)郷土愛大会(笑)。

(プチ鹿島)かっぱ寿司行った時、『こんなに世の中で、人生で美味い寿司屋はない』ってウチの親父が。オバマとおんなじことを30年ぐらい前に言ってましたよ。

(サンキュータツオ)あの鹿島さんのお父さんが。堅物で通っている、あのお父さんが。あ、そうですか。

(プチ鹿島)30年ぐらい前に。ただ、オバマと違ったのは、回ってたんですね。で、俺はだからそれを東京とか大阪とか行った時に、回転寿司の話になって。こういう感じでね。『ああ、かっぱ寿司の・・・』って言ったら、みんなキョトンとするんですよ。で、そこではじめてかっぱ寿司っていうのはローカルルールだっていうことを気づいたんです。

(サンキュータツオ)あー、なるほど。

(プチ鹿島)ところが、がんばったおかげで東京とかでもね、かっぱ寿司がんばっているじゃないですか。山梨でも・・・

(サンキュータツオ)自慢、こするの止めてもらえますか?(笑)

(マキタスポーツ)いや、かっぱ寿司がどうだか知らないけど。

(プチ鹿島)知らない。あ、もう終わっちゃった。かっぱ寿司。

(サンキュータツオ)(笑)

(マキタスポーツ)いや、山梨の話をさせて。山梨でいま、だから無関係じゃないですよ。PK(プチ鹿島)さん、山梨の仕事してますから。

(サンキュータツオ)まあ、そうだね。

(プチ鹿島)この許可局も流れてるんです。YBSっていうところで、僕、火曜日の1時から。元々マキタさんがやっているところ。僕、1時で。これが、すげー面白い。

(サンキュータツオ)もう、いいよ!だから(笑)。自分で・・・

(プチ鹿島)3時間半やっていて。

(サンキュータツオ)鹿島さん、鹿島さん。面白いです。

(プチ鹿島)はい。

(サンキュータツオ)ようやく黙りました。あ、スターバックス飲んでる!鹿島さんが。スターバックス、どうしたんですか?

(プチ鹿島)あの、山梨でお金稼いでるから。山梨(笑)。

(マキタスポーツ)自慢コーヒーがあって。手元に。自慢コーヒー。自画自賛コーヒー。

(プチ鹿島)山梨でしゃべったお金で。

(サンキュータツオ)いや、でも俺、聞いたらさ、結構だから花子・・・はなちゃんが生まれたところって、農家でしょ?

(マキタスポーツ)そうだよ。

(サンキュータツオ)方言、きついから。『これマキタさん、方言きついね』って言ったら、『いや、あんなもんじゃねえ』みたいな。やっぱあれはぜんぜんぬるい方っていうか。わかりやすい方?

(プチ鹿島)それはどうなんですか?テレビサイズというか。テレビ仕様に直してる?

(マキタスポーツ)そうですよ。テレビ仕様にして。工夫してるんですけど。

(サンキュータツオ)だからマキタさんの山梨に触りづらいのは、なんだろう?褒めると『そんなもんじゃねえ』と言うし、けなすと『いや、でもこんないいところがあるから』って。

(プチ鹿島)それってまさにクドカンが描いたあまちゃんそのものじゃないですか。

(マキタスポーツ)そうです。

(プチ鹿島)俺たちの住んでいる田舎はそんな悪くねえと心で思ってるんだけど。だからこう、ディスってんだけど。部外者が来て、『本当田舎だな』っていうとムカッと来るっていう。それ、あまちゃん。マキタちゃんですよ。本当。

(サンキュータツオ)マキタちゃんってなんですか!?(笑)。

(マキタスポーツ)俺はマキタちゃんですよ。

(サンキュータツオ)おじちゃんでいいじゃないですか!

(プチ鹿島)おじちゃんですよ。

(マキタスポーツ)『マキタちゃん、ててて』ですよ。

(サンキュータツオ)(笑)

(マキタスポーツ)『マキタちゃん、ててて』。

(サンキュータツオ)いや、どうなんですか?マキタさん、おすすめの見方。提示してくださいよ。

(マキタスポーツ)おすすめというか、村岡花子さん。あん時は安藤はなですよ。まだ。結婚する前はね。安藤はなは、お百姓さんの家の出じゃないですか。

(サンキュータツオ)また、石橋蓮司がいいですなー、あれ。

(マキタスポーツ)おじいさんね。いたでしょ?で、あの当時の山梨で、まあ貧しい農家ですよ。しかも。豪農とか、そういうことじゃないですよ。

(サンキュータツオ)豪農ね。カンニングの竹山さんが。

(マキタスポーツ)そうですよ。どちらかというと、あちらなんですけど。学校に行くことっていうのがどんだけのことだったか?っていうことが、まず最初のポイントで描かれてるんですけど。あろうことか、ね。ちょっと左がかった活動をし始める吉平がいるわけじゃないですか。

(サンキュータツオ)お父さんね。

(マキタスポーツ)あのお父さんが、東京の女学校連れて行って入れちゃうんだよ。

(サンキュータツオ)そうだね。修和女学校。まあ、東洋英和ですわ。

(マキタスポーツ)そう。東洋英和です。その東洋英和の影響で、山梨に山梨英和ってあるんですから。

(サンキュータツオ)あ、あるわ!俺の指導教授、行ったわ。定年後。山梨英和。

(マキタスポーツ)で、その当時にお百姓さん、貧しくて。しかも女の人が学問をつけるなんてこととかを別に必要とされてなかった時代に、東京の女学校に入れちゃうっていうことをした人っていうのは、よっぽどのことです!よっぽどです!

(サンキュータツオ)しかも、キリスト教に入ったもんね。教会行って、本読みたいって。あれ、すごいことだよね。

(マキタスポーツ)そうですよ。あの向学心とか好奇心とか。そのために、改宗というか。そこまでするってことでしょ?で、そのはなは、とにかく向学心があって、そこまでした人ですよ。ところが我々山梨県民は後々、村岡花子っていう人の存在を薄らぼんやり知ってはいても、赤毛のアンっていうものは知っていても、村岡花子と赤毛のアンを結びつけて考えてもいねーし。

(サンキュータツオ)あ、でも一応地元では、一応有名な人なの?

(マキタスポーツ)いや、有名ではありません!

(プチ鹿島)あ、そうなの?

(サンキュータツオ)やっぱり林真理子の方が有名?

(マキタスポーツ)有名です。

(プチ鹿島)それ、危ないよー。20年ぐらいしたら、『真理子とアン』とか。誰が見るか!そんなもん。

(マキタ・タツオ)(笑)

(サンキュータツオ)誰が見るか!って、暴言ですよ(笑)。真理子とアン(笑)。

(マキタスポーツ)真理子とアンってなんだよ(笑)。『真理子と本』だったらわかるけどさ。まあ、で、これがすごく重要なポイントですけど。村岡花子さんは山梨出身であったことをすごく謳ってましたか?っていう話です。

(プチ鹿島)なるほど。

(サンキュータツオ)ああ、たしかに。そうだよね。中学・高校がもう東洋英和なわけだから。10代ぐらいまでしか過ごしてないわけだよね。

(プチ鹿島)なんだったら、黒歴史にしてたかもしれない。

(マキタスポーツ)俺が見立てとして考えるのは、そんな人じゃないですよ。そんな人ではないと思いますけど、心の中ではものすごく山梨出身であったことが窮屈だと思っただろうし。山梨出身であった、お百姓さんの出であったことで、ものすごく苦労をされたってことは描かれているわけですけど。その分、心に抱えたものっていうのは大きかったんじゃないでしょうか?自分の出自に関して。山梨出身であることは、隠すっていうほどのことではないにせよ、なんかあんまり表にフィーチャーして言うほどのことではぜったいなかったのは、山梨の人たちからは相当否定された経緯もどっかあったのではないか?と・・・

(サンキュータツオ)でもね、山梨っつったら檜原村挟むとはいえ、東京の隣ですよ。そんなに?そんなに閉鎖的ですか?

(マキタスポーツ)めちゃくちゃ。タツオくん、いいこと聞いてくれました。PKさんもこの際だからいいますけど。山梨は日本全国。全部明るくいろんな光が照射されてですね。

(サンキュータツオ)まあ、いまね。いろんな47都道府県ブームじゃないですか。

(マキタスポーツ)あの、なんだったらその手付かずの自然がある、たとえば奄美の自然とか。なんか言うじゃないですか。屋久杉とか。屋久島みたいなものですよ。あそこも、いろんなオヤジジャーナルとか、写真撮りまくってますし。もうね、秘境はないとされています。日本では。

(プチ鹿島)秘境ね。

(マキタスポーツ)山梨が秘境です。最後の秘境です。

(プチ鹿島)そこにあった!

(サンキュータツオ)嘘でしょ?

(プチ鹿島)あずさ二号で行けるんだ。

(マキタスポーツ)はい。あずさ二号で、新宿から1時間半で行ける秘境。

(プチ鹿島)意外と行ける秘境だよ。

(サンキュータツオ)えっ?どういうところが秘境だと思うの?

(マキタスポーツ)つまりね、山梨ってのは、ネタにされてないんですよ。

(プチ鹿島)なるほど。イジリずらい。

(サンキュータツオ)佐賀よりもネタにされてないね。

(マキタスポーツ)佐賀は、あれもかなり順番。47都道府県でネタにされたのが45・6番目でしたね。ネタにされたのは。この話もありますよ。あの、朝ドラって地域振興も兼ねてますから。

(プチ鹿島)そりゃそうでしょ。国体みたいなもんです。

(マキタスポーツ)国体みたいなもんで、全部回ってたですよ。で、1周回ったと思ったんだって。で、そしたら『あ、忘れてた。山梨あった』って。

(サンキュータツオ)(笑)。そうだ、山梨があった。

(プチ鹿島)じゃあさ、山梨やらなくちゃいけないっつーんで、見つかったっていうことだよね。山梨の人が知らなかった、その村岡花子。

(サンキュータツオ)たしかに、武田信玄じゃ扱えないもんね。

(マキタスポーツ)武田信玄は大河で扱ってますけど。あれはもう、戦国武将っていうフロアでの扱い方ですから。フロアでの扱いですから、山梨ではないんですよ。

(サンキュータツオ)たしかに。山梨ではない。

(プチ鹿島)もっと小さい物語がいいよね。戦国武将は物語、デカいから。話でけーよ。

(サンキュータツオ)そうなの?忘れ去られてたの?

(マキタスポーツ)中井貴一さんって成城の出の方が演じられてました。武田信玄を。

(サンキュータツオ)あー。

(プチ鹿島)やってたよ。俺、見てた。

(マキタスポーツ)ネイティブでもなんでもねーし。

(プチ鹿島)見てたよ。南野陽子がほら、恋姫っつって。ウチの諏訪湖に。

(マキタスポーツ)諏訪湖。

(サンキュータツオ)ちょっと待って。山梨と長野でイチャイチャするの、やめてもらえます?

(プチ鹿島)だって長野、よーく武田信玄来てたもん。

(サンキュータツオ)あ、榴ヶ岡って長野?山梨だっけ?

(プチ鹿島)あの、川中島ですね。

(サンキュータツオ)あ、川中島。

(マキタスポーツ)山梨にもちなみに川中島と呼ばれているところがありますけど。それは長野とかの由来ですね。で、とにかくですね、山梨っていうのはネタにされてないし、気づかれてもいない。で、僕前から番組を通して言いますけど、民放が2局しかない。

(サンキュータツオ)クラスでいちばん目立たない子ってことですよね?47人クラスで。

(マキタスポーツ)目立たないをネタにすることとか・・・

(サンキュータツオ)だから、もうブービー賞ですらないってことだね。

(マキタスポーツ)ないんです。

(プチ鹿島)でもね、マキタさん。目立たないってね、地元の人はおっしゃるけど、僕の中で山梨ってなんて言うのかな?目立たないっていうよりは、まあまあ長野よりは暖かくていいだろうなっていう。その、イジる必要がないイメージだったんですよ。そんなに屈折してるとは、俺思わなかったですよ。富士山。富士山、あるじゃん!

(サンキュータツオ)うん。

(マキタスポーツ)ほら、出た。富士山。

(プチ鹿島)富士山決着でしょ?

(マキタスポーツ)富士山を、本当キレイに真っ二つに静岡とまん真ん中にあるの。だから。

(サンキュータツオ)だからみんなが知っている富士山は静岡側の富士山だよね。

(マキタスポーツ)東海道のせいですよ。

(サンキュータツオ)青い富士山だよね。山梨から見ると、茶色っぽいもんね。富士山ね。

(マキタスポーツ)バカ野郎!ふざけんじゃねー!茶色は同じ時期だったら静岡側から見ても茶色だよ!静岡側は宝永火口っつって、もう一つの火山口があることによって、俺から言わせれば汚えんだよ!

(サンキュータツオ)(笑)

(プチ鹿島)いや、でもさ、島根とか鳥取の人がこれだけ屈折感あるならわかるけど・・・

(サンキュータツオ)いや、ないよね。島根、鳥取いいところだもん。だって。

(マキタスポーツ)いやいや、そんなことねーよ。

(サンキュータツオ)いやいや(笑)。失礼でしょ!それ。

(マキタスポーツ)そんなことねーよ。島根なんかロクなもんじゃねーって。で、高校2年の時に国体ってやつがあったんですけど。47都道府県、全部回るんですよね。で、いちばん最後が山梨。その前が鳥取だよ。だから俺、鳥取が・・・鳥取の方がまだすごいと思っている自分があるんですよ。

(サンキュータツオ)(笑)

(マキタスポーツ)鳥取より後回しにされたよ!

(サンキュータツオ)マジで!?山梨、ヤバいね。秘境だね。

(マキタスポーツ)秘境なんです。で、これも僕、言います。

(サンキュータツオ)いや、秘境たる所以ってさ、コミュニティーから情報が外、出てこないよね。

(マキタスポーツ)出て行かないです。

(サンキュータツオ)それ、すごいでしょ。謎に包まれてるもん。

(マキタスポーツ)謎に包まれているというか、山梨の人たちは、それでも充足しているっていうのがポイントなんです。

(サンキュータツオ)山梨充してるんだね。リア充みたいな。

(マキタスポーツ)そうです。山充してるんです。

(サンキュータツオ)山充(笑)。

(マキタスポーツ)山充なんです。回ってるんです。だから、『習慣と面倒くさい』っていう話もしましたけど。僕が、なぜあの観点で語ったか?っていうことをわかっていただけます。山梨ほど、習慣と面倒くさいという行動規範で成り立っている県はないんですよ!ほとんどが、習慣と面倒くさいなんですよ。

(サンキュータツオ)(笑)。まあでも、全ての地方であるべき問題が、山梨でいちばん集中的にあるってことだね。

(マキタスポーツ)集中的にあります。

(プチ鹿島)でも、面倒くさいでまだやっていけるうちは、まだ、ね。安定しているっていう捉え方もできるんじゃないですか?本当に面倒くさいだけじゃあ、どんどん・・・

(サンキュータツオ)それこそ、夕張みたいに破綻しちゃうとかって。

(プチ鹿島)あれ、面倒くさいって言っている場合じゃないもんね。

(マキタスポーツ)うん。だから擬人化して話していいと思うんですけど。本当に山梨ってブスだと思うんですよ。ブスなんだと思うんですよ。

(サンキュータツオ)プライドの高いブスね。

(マキタスポーツ)そうなんですよ。

(プチ鹿島)擬人化すると、林真理子ってことですか?

(一同)(笑)

(プチ鹿島)たまたま浮かんだんですけどね。

(サンキュータツオ)ご本人聞いていたら、どうします!?

(マキタスポーツ)でも、林さんは僕の高校の先輩ですし。完全に僕、ど地元です。同じ市内です。でね、この方は『野心のすすめ』なんてPKさんもすすめている本がありますけど。

(サンキュータツオ)これこそ、まあね。村岡花子ではないかもしんないけど、もう地元を飛び出して。東京で花を咲かせた。

(プチ鹿島)僕、林真理子さんが好きなのはね、こういう今回、花子とアンやった時、『私もいずれ・・・』みたいなことを考えてるんじゃないかな?ぐらいの勢いを想像できる面白さ。

(マキタスポーツ)PKさん、それは僕、当たっていると思います。

(プチ鹿島)じゃなきゃあのエネルギッシュさって生まれないですって!

(マキタスポーツ)ただ違うのは、あの人、たとえば『葡萄が目にしみる』ってやつとか、あの人原作のドラマって幾度もなっていますけど。あの人は山梨地元であることを、もうメディアが発達したから。しかも、そういう寵児でもあったので、あの方は山梨出身であることを割とアピールした最初の人なんですよ。

(サンキュータツオ)上手く。上手い具合に。

(マキタスポーツ)メディアにおいて、『私の山梨、実家では・・・』みたいなことをですね、いろいろ語ってくれたことによって溜飲が下がった面があるものと、語る山梨がキレイすぎやしねーか?みたいなね。

(鹿島・タツオ)(笑)

(マキタスポーツ)これ、同じ山梨県人の足の引っ張り合いをですね、したくなるような自分がいると。

(サンキュータツオ)だからマキタさんが思う、汚い山梨っていうのはどういうところなの?

(マキタスポーツ)僕がね、またこれ話したいことがいくつもありすぎるんですけど。初めて山梨の県庁所在地甲府で、パンクロッカーを初めて見た時、あるんですけど。俺、本当に鬼だと思ったんだから。

(サンキュータツオ)(笑)。なんだ!?この出で立ちは!?と。

(マキタスポーツ)いや、俺なんかの本でパンクロッカーっていうものがいるっていうことは知ってたけど。

(サンキュータツオ)鬼(笑)。

(マキタスポーツ)いや、あまりにもファンタジー感が強すぎて。ヤンキーでこんなでっかい頭しているやつはいたよ。だけど、ピンクのモヒカンでこのぐらいのさ。30センチ級のものが頭にあるのとか、鋲の入ったものを着てる人とかが、いるなんて思ってもみない。

(サンキュータツオ)地獄から来た人みたいな。

(マキタスポーツ)いや、本当地獄の門番みたいな人だと俺は思った。それぐらいの田舎。東京っていうのはそういうね、人たちとかも全部いることを許すわけじゃん。山梨は同調圧力強すぎて、パンクロッカーすらいなかったわけですよ。俺は鬼だと思ったんだし。

(サンキュータツオ)いや、だからそんな人が家族にいたら、そりゃもう近所中で『あそこの子は・・・』みたいな悪口になるね。

(マキタスポーツ)そう。だから安藤はななんて、パンクですよ。

(サンキュータツオ)だってさ、俺思うのはさ、『はな』っていう名前が嫌で『花子って言ってくれ』ってずっと言ってるじゃない。

(マキタスポーツ)あれは本当すごいよ。

(サンキュータツオ)だから、あれって逆に言うとコンプレックス、結構ある人だと思うんだよね。だから、はなっていう名前と山梨っていうのはもしかしたら同じかもしれない。だから、山梨っていうのは積極的に言ってなかったかもしれない。

(マキタスポーツ)そうなのよ。だからその見立てで見ると、ものすごく味わい深くあれを見れると思うのね。あのドラマっていうのはね。で、PKさんがいま、いいお付き合いをしてるっていうんだけど。俺は山梨のブスさ加減を親身になりすぎて、『君はここがブスだから、もっとこういう風にしていきなさいよ』っていう外圧を、身内の人間でやっているわけ。

(サンキュータツオ)だから、お説教ですよね。『もうちょっと化粧こうしなよ』とか。『着る服、もうちょっと身の丈にあったやつの方がいいんじゃない?』とか。『いま、こういうのが流行っているんだよ』とか。

(プチ鹿島)お互い、耳の痛いことを言っちゃう。聞きたくないことを。

(マキタスポーツ)それをいちばん山梨の人は聞きたくないんだよ。『だからおめーはブスなんだよ!』って俺は言いたくなるんですよ。

(サンキュータツオ)(笑)。最悪だよ・・・

(マキタスポーツ)ところが、PKさんみたいな感じで・・・

(プチ鹿島)ご機嫌できてね。まあ、ある意味、体だけのお付き合いみたいな(笑)。

(マキタ・タツオ)(爆笑)

(プチ鹿島)ご機嫌でお互い気持ちよく、終わって帰るみたいな。

(サンキュータツオ)体だけのね。まあ、やり終わったらすぐ帰るみたいなね。

(プチ鹿島)すっごく俺、毎週気持ちいいですよ。すっごく気持ちいいです。

(マキタスポーツ)俺はそういう感じではいられないんですよ。

(サンキュータツオ)毎週気持ちいい(笑)。

(プチ鹿島)毎週火曜日は、気持ちいいです。本当に(笑)。

(マキタスポーツ)(笑)。だから、いいなとかって思うけど。それが。精神的なね。

(サンキュータツオ)まあ、そうなんだろうね。家族とかもそうじゃないですか。結局ね。

(プチ鹿島)まあまあ、それが前も言った愛憎半ばですよね。もう、身近すぎちゃってさ。

(マキタスポーツ)あとね、山梨はね、この間埼玉の・・・俺のツアーの最後ね、新潟の方から関越通ってね、埼玉通ったんだけど。埼玉ってめちゃめちゃ広いじゃん。いろんな埼玉、あるじゃん。

(サンキュータツオ)人口も多いしね。

(マキタスポーツ)人口も多いし。で、新興の大宮と浦和が合併してさいたま市ってなって。大宮なんて新幹線が通って、めちゃめちゃ栄えているけど。古式ゆかしい浦和なんてさ、伝統的な文教地域みたいなものがあって。

(サンキュータツオ)川越みたいなね。

(マキタスポーツ)で、川越があり。小江戸みたいなことを言われて。あと、春日部とかさ。あんなのあって。あと、所沢。南側には所沢なんてあるし。西武球場とか。プロ野球球団持ってやがるんだ!だから俺から言わせてみたら、もう得体がしれんと。埼玉って。なにがあいつらはしたいんだよ?よくわかんない。それをあっちの方の埼玉も。秩父があったり。

(サンキュータツオ)三峯神社ありますから。大神、いますから。

(マキタスポーツ)なんだよ。秩父なんて山梨の・・・ニセ山梨みたいな感じだよ、あいつら。ニセ山梨なんだよ!だから、あっちの方、端の方に行ったら、それぞれ接しているところの・・・言葉だってね、群馬寄りの埼玉もあったりとか、すると思うんですよ。

(サンキュータツオ)まあまあ、そうでしょう。

(マキタスポーツ)だから、いろいろ擬態をしてるんですよ。で、中央の方に行ったら、東京の真似事をしてるんですよ。ニセ東京だったりするんですよ。だから、得体がしれないと。だけど、得体のしれなさをアイデンティティ-にしてるのが埼玉なんじゃないですか?

(サンキュータツオ)まあまあ、千葉とかもね。そうだよね。

(プチ鹿島)あと、埼玉、そうは言ってもですよ。一般的な全国の人には、埼玉対千葉っていう。どっちが田舎もんだ?みたいな、そういうネタとして消化されたから。そこで鍛えられた部分ってあると思うんですよ。埼玉って。

(サンキュータツオ)そこ、本当は山梨入ってこなきゃダメだよね。

(マキタスポーツ)それを・・・いまタツオが言った。そこにすらエントリーさせてもらっていない。っていうのは、いいですか?知ってますか?あのね、その、あるじゃないですか。仕掛けあいみたいなの。

(サンキュータツオ)千葉or埼玉みたいな。

(マキタスポーツ)それは、関東の中でのやりとりなんですよ。山梨は、関東じゃないから。

(サンキュータツオ)甲信越なんだ。

(マキタスポーツ)甲信越って区分って・・・あなたもさ、学校でいろいろ、12年間以上勉強したんだろ?大学で。

(サンキュータツオ)14年行ってました。

(マキタスポーツ)14年間?もっと知れ!なんだ!その甲信越ってのは!その区分は、なんか天気予報でなんとなく言われているやつだろ?

(サンキュータツオ)なんとなく言われている。

(プチ鹿島)ないから。甲信越は。

(サンキュータツオ)甲信越って、ないんですか?

(マキタスポーツ)山梨とか長野って、中部とかって言われているところですよ。

(プチ鹿島)僕はずっと関東だと思ってました。いまも。

(サンキュータツオ)(笑)。それはなりすましじゃないですか?

(プチ鹿島)いつから天気予報で長野を見なくなったなっていう時期が。本当に。子どもの頃からはっきりとね。甲信越でまとめられて。

(マキタスポーツ)甲信越ってね。で、あと中部っていったら、なんとなく中部東海って。東海、入れちゃってるじゃん。で、あの人たちも山梨のことは中部東海と思ってないから。

(サンキュータツオ)エアポケットだね。

(プチ鹿島)本当に秘境だね。そう考えるとね。

(サンキュータツオ)秘境だね。山に囲まれちゃって。すごいじゃないですか。

(マキタスポーツ)あと、これ大昔の歴史でいうと、山梨でも国中地方と郡内地方ってあるんですけど。郡内地方っていうのは、富士山の近くの富士吉田市とかあのあたりのことですよ。で、あのあたりの言葉って、むしろ中部東海寄りの言葉が入ってるんですよ。

(サンキュータツオ)へー。そうなんだ。

(マキタスポーツ)だから、それは歴史上、駿河から向こうの方とかの統治下の影響を強く受けているからなんですよ。

(サンキュータツオ)(徳川)家康だと。

(マキタスポーツ)で、国中が本当の山梨だっていう意識があるんですよ。

(サンキュータツオ)(笑)。どうでもいいわ。

(マキタスポーツ)で、そうなってくるともう本当に。本当にドメスティックな話をしすぎてわけがわからなくなってるでしょ?

(サンキュータツオ)え、いちばんじゃあ偉い山梨人っていうのはどういう人種なの?どこ生まれの、どういう企業の、どういう大学出た人なの?

(マキタスポーツ)お話しましょう。山梨で生まれて。甲府の市内で生まれ、甲府一高に通い、甲府一高から東京の六大学。早慶ぐらいから上じゃないとダメだと思いますね。それぐらいのレベル。で、帰ってきて、中銀、YBS、県庁です!山梨中央銀行、あとYBS、県庁。これが最高です。この人たちは、上がりです。

(サンキュータツオ)上がりなんだ。あ、もうそういう感じなんだ。えっ、でもマキタさんは逆に『山梨、ここ素晴らしいな』って思うのは、どういうところなんですか?

(マキタスポーツ)うんとね、山梨の素晴らしさでしょ?山梨の素晴らしさは、閉鎖的なぶん、仲間だと思ったら、すごくやっぱり優しい。

(サンキュータツオ)ああ、なるほどね。

(マキタスポーツ)だけどそれは、弊害ももちろんあるよ。余計なおせっかいとか。

(サンキュータツオ)無尽。

(マキタスポーツ)介入してくるあたりとか。越権行為みたいな感じのことはあるよ。だけど、これはどこの田舎でも、濃い薄いはあれど、かならず残っている文化。山梨の人は特にそう。それはなぜか?というと、やっぱり陸の孤島だからですよ。

(サンキュータツオ)それはだから、秘境の魅力じゃない?やっぱり。独自の言語を持ってる部族みたいな。

(マキタスポーツ)そうそう。でね、俺がまた細かいことを言うようだけど、『て』っていうニュアンスのことを言っていたでしょ?だけど、『えっ』っていうのは多分に人に対して『えっ』っていう感嘆の気持ちとかをアピールするには、すごくやっぱりよくできた言葉だと思うんですよ。第三者に伝わるんですよ。『えっ』って。ところがね、『て』はね、ちょっと違うんですよ。

(サンキュータツオ)ほう。

(マキタスポーツ)『て』はね、本当に二人称的な関係でないと伝わりづらい『て』なんですよ。ええと、結構『てっ』って、驚いてあげてみせているっていう。

(サンキュータツオ)あー、なるほどね。私はそれを聞いて驚いたっていうのを伝えるための言葉みたいな。へー。

(マキタスポーツ)もっと第三者にもわかるような、『ええっ!』じゃないんですよ。そういう驚き方じゃなくて、『て、て、て、て、て・・・』とか。『てれれ!』とか。だけど、本当に驚いているニュアンスの時には、『えーっ!』って言ったりするんですよ。

(サンキュータツオ)じゃあ本当に、2人だけの時に使うとか、そういう感じなんだ。

(マキタスポーツ)そういうわけでもないんですけど・・・

(サンキュータツオ)わかんねーわ!

(マキタスポーツ)だから、わかんないでしょ?だからお前ももう、入ってこれない。山梨に。

(サンキュータツオ)(笑)

(プチ鹿島)セレモニーみたいな?

(マキタスポーツ)多分に、だから山梨の間の人たちだけで通じるセレモニー的な意味があるんですよ。

(サンキュータツオ)たぶん相槌なんですよ。たぶん。相槌に近いものなんだよ。

(プチ鹿島)人が聞いてくれるっていう前提で言うっていうこと。

(マキタスポーツ)『て、本当け?』って。そんなに驚いている時に言うんじゃないんですよ。

(サンキュータツオ)あ、なるほどなるほど。

(マキタスポーツ)『て』。だって違うじゃん。気持ちが。もっと『ええーっ!』じゃん。驚いた時って。『て』って・・・これは違うんです。多分にこの、なんて言うかな?そのセレモニー、パフォーマンス。しかも、内々の。

(プチ鹿島)受け身を取ってあげたみたいな。

(サンキュータツオ)ああ、受け身ね。

(マキタスポーツ)受け身。そう。バンプ。バンプ。受け身を取ってあげた。

(サンキュータツオ)それ、相槌とは違うんですか?

(マキタスポーツ)相槌・・・

(プチ鹿島)ニュアンスが違うね。

(マキタスポーツ)だって相槌はさ、『ふんふん』とかって。別に感嘆とかじゃないじゃん。

(サンキュータツオ)いや、まあまあ聞いてるよっていう感じ?

(プチ鹿島)受け身って、そうだよね。やっぱりあなたらは敵じゃないですよっていう暗黙の了解があるから受け身を取るわけで。別に受け身を取らなくたっていいわけだから。

(サンキュータツオ)それだからさ、もう、なんかアメリカ人とかに近いんじゃない?『Oh my god』みたいな。それ、いう人いるじゃん。アメリカ人でも。『Oh NO』とか。

(プチ鹿島)ん?違うんじゃない?

(一同)(爆笑)

<書き起こしおわり>

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