町山智浩が語る 2014年ハリウッド版ゴジラが素晴らしい理由

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』で2014年ハリウッド版ゴジラを紹介。大ヒット中のハリウッド版ゴジラがなぜ素晴らしいのか?その理由を解説していました。


(赤江珠緒)それでは、映画評論家の町山智浩さん。今週もアメリカ、カリフォルニア州のバークレーのご自宅から、お電話でのご出演です。もしもし、町山さん。

(町山智浩)はい。町山です。とにかく、音楽を聞いてください。まずは。



(山里亮太)これはもう、あれですね。この曲を聞いたら、まずは怪獣が頭に思いつくって。すごいよね。

(町山智浩)ゴジラですよ。とうとうハリウッドで、ゴジラが作られたんですよ。

(赤江珠緒)えっ、でも1作目、ありましたよね?

(町山智浩)あれは、なかったことになっています。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)ハリウッドで98年にゴジラを作ったんですけども。もうみんな、なかったことになっていて忘れています。

(赤江珠緒)たしかに私も見ましたけど。

(山里亮太)印象よくないですよね。たしかに。

(町山智浩)もう黒歴史っていうやつなんですよ。あれは。でも今回は大丈夫です!今回、なんと木曜日の夜から公開されて。アメリカで。そいで日曜日の夜までのわずか3日間でですね、全世界で200億円稼ぎだしました。

(赤江珠緒)えっ、3日間で!?

(町山智浩)チケットの売上を。200億ですよ。これ、大変なことなんですよ。っていうのはこれ、制作費が160億円で。それも大変なんですけども。だいたいですね、制作費の3倍稼げれば、それは大ヒットなんですね。まあ、ヒットなんですね。で、だから400億円から480億円稼げばよかったんですけども。3日間で200億、稼いじゃったんだもん。

(山里亮太)おお!とんでもない記録。大ヒットに。

(町山智浩)しかもこれ、日本での公開は7月なんですよ。日本の売上、入ってないんですよ。この中に。

(赤江珠緒)はー!なるほど。

(山里亮太)日本でもすごいでしょうね。

(町山智浩)これに、日本はたぶん・・・『アナと雪の女王』が日本だけで185億稼いだって言われてますけど。そこまではいかないと思うんですけども。でも、100億くらいは狙うと思うんですね。これ、確実に回収しまくりっていう感じなんで。もういま、今年のアメリカの映画の中では『キャプテンアメリカ』に次ぐ大ヒットで。全世界では1番ぐらいなんですよ。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)日本のゴジラが世界で最大のヒットを飛ばしちゃったんですよ!

(赤江珠緒)これはじゃあ、全米騒然って言ってもいいんですね。

(町山智浩)これ、大変でしたよ。これね、もうすごく、いまラジオを聞いているですね、タクシーを運転しながらとか、タクシーに乗っていながらとか、いろんな作業をしながら聞いている1960年代生まれのお父さんたちがいっぱいいると思うんですね。で、僕の世代ですけど。本当にみんな、ゴジラで育った人たちなんですけども。その後、もうゴジラって今年で60周年なんですよ。

(赤江珠緒)はいはい。60年。

(町山智浩)60才なんですけど。ずっとゴジラを見てきているんですよ。その間、僕の世代の人たちは。で、もう何度も何度もがっかりさせられてきてるんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。あ、そうなんですか。

(町山智浩)子どもの頃のあの素晴らしい興奮が、ぜんぜん与えてもらえないんですよ。なかなか。なんか違うんですよ。でも、今回は大丈夫です!

(赤江珠緒)えー!

(山里亮太)そうですか。その、前回の大失敗と今回の大成功の差っていうのはあるんですか?

(町山智浩)これ、大きいのは前回はですね、ローランド・エメリッヒというドイツ人が監督したんですね。1998年版のゴジラは。で、その時にですね、彼らはゴジラを・・・ゴジラっていうのは元々恐竜がアメリカの水爆によって大怪獣になったっていう設定なんですけども。恐竜、やめちゃったんですよ。

(赤江珠緒)そうそう。なんかね、ジュラシックパークに出てくるような、巨大なトカゲみたいな感じでしたもんね。

(町山智浩)ジュラシックパークは恐竜です。はい(笑)。98年版のゴジラはトカゲなんですよ。イグアナなんです。だからゴジラは関係ないんです。生物学的にもゴジラとまったく関係ない存在なんで、みんな忘れてください!それは。

(山里亮太)あ、じゃあそれはなかったことに。

(赤江珠緒)あれは入れないと。

(町山智浩)入れない(笑)。今回のゴジラははっきりと東宝のゴジラと同じく、恐竜の生き残りがアメリカの水爆によって怪獣化したものなんですよ。

(赤江珠緒)あ、ちゃんとそこは踏襲してくるんですね。

(町山智浩)はい。今回の成功に関しては、これは監督とかプロデューサーの人たちが、とにかくゴジラが大好きなんで。前回の失敗はゴジラ嫌いなやつらが作ったんで。ゴジラ、好きでもないやつが作ったから失敗したんだと。いうことで、東宝からすごく、チェックをわざと自分たちから受けてですね、ゴジラの王道から絶対に逸脱しないように作った映画なんですよ。今回。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)で、いままでハリウッドが日本のものを映画化すると、まあ失敗するわけですね。ドラゴンボールZみたいに。

(山里亮太)あー!ひどかったって言いましたね(笑)。

(町山智浩)酷い。ドラゴンボールZに関しては、契約上鳥山明さんとか少年ジャンプの編集部は一切口出しをできないようになってたんですよ。だから勝手放題作ったんで、違った話になったんですけど。今回は作っている人たちが、『東宝さん、あなたたちのゴジラを私たちにやらせてください!』っていう形でやりましたから。バッチリです!

(赤江珠緒)へー!この町山さんがこれだけね・・・ゴジラ愛がある中で、バッチリって言うんですから。

(町山智浩)とにかく、映画評論家になったのは、1971年に『ゴジラ対ヘドラ』っていう映画を見たからですから。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)小学校4年の時にそれを見てですね。ゴジラ対ヘドラっていうのはすごい映画でですね。ヘドラっていうのは、人間の作った公害によって生み出された怪獣なんですね。それと大自然の化身であるゴジラが戦うっていう、非常にエコロジーな話なんですよ。しかもそこに、セックスとドラッグとロックンロールが入ってるんですよ。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)見るとわかりますけど。本当にセックス、ドラッグ、ロックンロール&怪獣&バイオレンス映画がゴジラ対ヘドラなんで。僕はそれを見た時にものすごい衝撃を受けて。それが映画評論家になったきっかけなんですよ。ゴジラに対する思い入れっていうのは、もう普通じゃないんで。だんだん興奮するんで、ゆっくりしゃべるように気をつけますね。

(赤江珠緒)ビンビンに伝わってきますよ。

(山里亮太)町山さん、僕、実はタイミング悪かったのか、ゴジラに初めてふれたのが、『ゴジラ対ビオランテ』だったんですけど。

(町山智浩)あ、はいはい。

(山里亮太)あれって、町山さんの中でどうなんですか?ゴジラ対ビオランテは?

(町山智浩)ビオランテはいいですよ。

(山里亮太)あ、いいんですか。まだ子どもだからわからなかったのかな、僕。

(町山智浩)その前の、1984年のゴジラ復活がちょっとナニだったんで。がっかりしたら、ビオランテはよかったんですよ。あれは大森一樹さんっていう監督が、本当にゴジラが好きで作ったんで。結構いいんですよ。

(山里亮太)なるほど。初めて見たゴジラのやつがビオランテ。

(赤江珠緒)ゴジラって何作品ぐらいあるんですか?

(町山智浩)何作品って考えると、日本で28作られてますけど。

(山里亮太)へー、そんなあるんだ。ベストは何ですか?28作品あって、やっぱりヘドラですか?

(町山智浩)僕はゴジラ対ヘドラです。僕の体験的な問題ですけど。やっぱり第一作目の1954年のゴジラがいちばんの傑作ですけどね。はい。もういま見るとものすごい映画で、完全にこれ、1945年に広島と長崎に原爆を落とされて。それからわずか9年で作ってるんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、その直前にその水爆実験に日本の漁船が巻き込まれて被曝するっていう事件があったんで。それも込めてですね。まあ原爆によって生み出された大怪獣ゴジラがまた日本にやってくるという、すごい恐怖映画になっているんですね。で、ゴジラっていうのは原爆とか戦争の象徴になっているんですよ。で、ものすごいシリアスで重い話なんですよ。で、我々はあの恐怖を忘れたんじゃないか?あの原爆とか戦争を忘れてはいけないんだ!ということがテーマになってるんですね。一作目のゴジラは。

(赤江珠緒)すごい社会的メッセージの強い映画だったんですね。

(町山智浩)ものすごい強烈な映画なんですよ。で、それを忘れちゃうと・・・忘れたりするんですけど。その後、結構(笑)。でも今回のハリウッド版ゴジラは、アメリカでは珍しくですね、広島の原爆は悪かったんだっていうことがまず前提になってるんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)アメリカ人っていまでも『広島の原爆っていうのはアメリカ兵の死者を減らすために仕方がなかったんだ』っていう言い方をするんですね。で、滅多に否定しなくて、肯定するんですよ。アメリカ人っていうのは。普通は。広島は悪かったってなかなか反省しないんですけど、今回、珍しく反省した内容になってますよ。ただ、セリフの中で渡辺謙さん扮するですね、芹沢一郎教授という博士が出てきてですね。『私の父は広島の原爆で亡くなりました』って言うんですけど。それは違うだろ!と思ったんですね。

(山里亮太)時代背景的に。

(町山智浩)年齢的におかしいじゃないか!渡辺謙は若すぎるだろと(笑)。でも、そういう細かいところは吹っ飛ぶ。それを言わせただけで偉いと思いましたよ。

(山里亮太)ああ、なるほどね。

(町山智浩)はい。そういうこと、アメリカはなかなかやらないんで。原爆は悪かったって言わない人たちなんで。ちゃんとそれを入れているところがすごいなと思いましたね。はい。でね、今回のゴジラは要するに大失敗ずっとしてきたから、もう万全の体制で挑んでるんですけど。まず、この映画のプロデューサー。制作した会社があって。レジェンダリーピクチャーズっていうのが、この映画会社を作ったのが、トーマス・タルっていう人で。この人、いわゆるハゲタカファンドとかをやってて。ずっと、いわゆる金融関係で金を儲けていた人なんですね。投資のプロなんです。投資のプロなんだけども、それで稼いだ財で何をしようかと思ったら、怪獣とアニメとマンガの映画会社を作るっていうのが彼の夢だったんですね!

(山里亮太)へー!

(赤江珠緒)アニメ好き。

(町山智浩)で、作ったんですよ。そう。それがレジェンダリーピクチャーズ。1975年生まれのこのトーマス・タルっていう人がですね。だから、ホリエモンとかいるじゃないですか。与沢(翼)さんとか。ああいう人たちが、本当はオタクだったらもっといい世の中になったんですよ!ああいう人たちが本当にもうアニメとか怪獣とか大好きだったら、もっといい世の中になったんですよ!映画につぎ込めばよかったんですよ!くっだらないものに金を使わないで。

(赤江珠緒)(笑)。気持ちはわかりました。

(山里亮太)そうだね。すげー高い時計とかに。

(町山智浩)このトーマス・タルっていう人はまず、映画会社を作って。まず作ったのが『バットマン』シリーズなんですよ。『ダークナイト』を作ったんです。で、『パシフィックリム』を作ったんです。

(山里亮太)あー!子どもの夢ばっかり叶えている!

(町山智浩)そう。『300』とか、『ウォッチメン』とか。要するに子どもの夢を叶えるために、金儲けをやってきた人なんですよ。

(山里亮太)素敵な儲け方!

(町山智浩)これだったら金儲け、許しますよ!

(赤江珠緒)(笑)。まあ、町山さんが許す・許さないの問題じゃないんですけどね。

(町山智浩)そう。俺が決めることじゃないんですか。はい。それで監督が、またこの人がいい人でね。ギャレス・エドワーズっていう監督なんですね。ギャレス・エドワーズは1975年生まれで。トーマス・タルは70年生まれでした。すいません。ギャレス・エドワーズはですね、この前に撮った映画はですね、『モンスターズ/地球外生命体』っていう映画なんですが。なんと怪獣映画なのに、たった8000万円なんですよ。予算が。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)で、予算たった8000万円で怪獣映画ができるのか?っていう賭けに賭けて、見事に作ったんですよ。で、今回は160億円なんですよ。予算が。ゴジラは。

(赤江珠緒)いやー、これふんだんに使えるじゃないですか。

(町山智浩)200倍ですよ。前の映画と今回の映画の予算の差が200倍って、たぶん歴史上初めてだと思います。これ。世界の映画史上初めてだと思います。この予算の差は。

(赤江珠緒)へー!8000万円でも上手くいったんですか?その映画は?

(町山智浩)上手くいったんです。そのモンスターズっていう映画。8000万円で作るから、ものすごいケチケチ作っているんでムダなことはやってないんですけど。無駄遣いしてないですよ。今回の160億円は。

(山里亮太)えっ、無駄遣いしないで160億使い切ったって、すごい・・・

(町山智浩)すごいです。えっとゴジラはね、コンピュータグラフィックスで作ってるんですけど。このコンピュータグラフィックスのレンダリングだけでも大変な金額がかかってるんですよ。ゴジラ一匹に。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)しかもすごいのが、コンピュータグラフィックスで作ったにもかかわらず、着ぐるみの中に人が入って暴れているように見えるんです!

(赤江珠緒)それでいいの?

(山里亮太)せっかくなのに・・・

(町山智浩)いいんです!いいんです!あのね、昔から『ゴジラ映画っていのは、あれは人が入ってるんだろ?ダセーな!』とか言うバカがいっぱいいたんですけども。それじゃなきゃダメなんですよ、怪獣映画っていうのは!

(山里亮太)特撮っていうのは。

(町山智浩)そうなんですよ。だから今回、わざわざコンピュータグラフィックスでものすごいお金をかけて撮っているのに、わざわざ着ぐるみのアクターの人。着ぐるみで怪獣をやる人がいるんですよ。アンディ・サーキスっていう人で。キングコングをやった人なんですけど。その人を呼んで来て、その中に人が入って暴れているように見えるように、っていうコンサルタントを受けながら作ったのが今回のゴジラなんですよ。

(赤江珠緒)はー!敢えてね。

(町山智浩)敢えてやってるんで。だからゴジラな感じが出てるんですね。すごく。

(赤江珠緒)あ、本当。ちょっとなんか肉質がムチッとしてる・・・

(町山智浩)これね、ちょっと太っているんですけど。アメリカ版はね。でもね、150メートルあるっていう設定になってるんで。ものすごくデカくてですね。この巨大感の出し方とかも抜群に上手いんですね。この監督は。要するに、見上げて、見上げて、見上げて、見上げてってもなかなか頭が見えないみたいになるわけですよ。

(赤江珠緒)まあ、そうですよね。その大きさだったら、実際はそうなりますね。

(山里亮太)東京タワーの半分ぐらいの大きさ。

(町山智浩)そう。150メートルですからね。その巨大感とか、やっぱりすごいですよね。でね、あとやっぱりね、非常にその現代的なテーマに挑んでるんで。これ、予告編でも映ってるんですけど。まず最初に、原子力発電所のメルトダウンから始まるんですよ。映画が。

(山里亮太)まさにいまのね・・・

(赤江珠緒)いまの日本の。

(町山智浩)はい。で、そこで働いているアメリカの原発の技術者がですね、そこで奥さんを失ってしまうんですけども。放射線によってやられてですね。で、そこから話が始まるんです。その息子がまあ、今回の具体的には主人公で。アメリカの海軍で爆発物処理班をやっている息子っていうのが出てきて。その人が主人公ですね。で、それを演じてるのがですね、またね、これアーロン・テイラー・ジョンソンくんっていう人が演じてるんですね。その主人公の爆発物処理班のアメリカ兵を。この人、『キック・アス』のキック・アスくんを演じていた人なんですよ。

(山里亮太)えっ!ナヨッとした、ダメダメっぽいやつ・・・

(町山智浩)そうそうそう。ヘナチョコで。もう肩幅とか狭くて。本当にヘナヘナの子だったじゃないですか。キック・アスで彼は。それが今回、ものすごく体を鍛えてですね。もう筋肉モリモリのアメリカ兵を演じてるんですね。アーロンくんが。で、このアーロンくんっていうのがね、またね、ビートルズのジョン・レノンの伝記映画の『ノーウェアボーイ』っていう映画にもジョン・レノン役で出てるんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、キック・アス2ではクロエ・グレース・モレッツちゃんっていう、ヒット・ガールですね。ヒット・ガールとキスしたりしてるんですよ。ヒット・ガールのファーストキスを奪ったりしてるんですけど。スーパーヒーローキック・アスを演じてですね、ビートルズを演じてですね、ヒット・ガールのファーストキスを奪って。で、ゴジラと戦うんですよ。このアーロンくんは!

(赤江珠緒)(笑)。町山さん、夢なんですか?

(町山智浩)これ、男の夢とちがうんですか?これ!これ、アーロンくん、いま死んでもいいんじゃないの?全て達成してんだろ、お前!

(山里亮太)町山さん。それ、町山さんの価値観で(笑)。アーロンくんの一生のゴールを・・・(笑)。

(町山智浩)でもさ、ドンペリとか飲むよりゴジラ映画を作るほうが、男の夢じゃないの?

(赤江珠緒)まあまあ、いろんなね、男の人がいますからね。

(町山智浩)そうかなあ?でも俺、これね、本当に男の夢がつまっている映画だと思いますね。

(山里亮太)今日、町山さん少年モードだ。

(町山智浩)問題はね、いろいろあるんですよ。怪獣映画だから。やっぱり怪獣映画って、変なところっていっぱいあるんですよね。だからさっきの渡辺謙の年齢もそうだし。だいたい150メートルの恐竜ってあり得ないじゃないですか。ねえ。そういうところがちょこちょこあるんだけど、そういうのをぶっ飛ばすような内容になってるんですよ。

(赤江・山里)はー!

(山里亮太)こんなのおかしいだろ?っていうスペースも与えないくらい衝撃が。

(赤江珠緒)楽しめちゃう。

(町山智浩)いや、それはね、やっぱりゴジラっていうキャラクター自体を本当にわかってるんですね。作っている側が。これね、いままでアメリカ人はわからなかったのは、怪獣っていうのはアメリカ人にとっては生物でしかなかったんですよ。いままで。欧米の人たちにとっては。ところが日本人にとっては、っていうかアジア人にとっては、怪物っていうのは一種の神なんですよね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)要するに、怒れる神なんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。ちょっとデイダラボッチみたいなところ、ありますもんね。

(町山智浩)そう。だいたいその怒りがゴジラになってきたっていう感覚があるんですね。

(赤江珠緒)山の神みたいなね。

(町山智浩)そうそうそうそう。だからゴジラっていうのは、アメリカで名前がついた時も、スペリングが決まった時も『GOD-ZILLA』になってるんですよ。GODなんですけども、要するに大自然の象徴になってるんですけど。大自然が神なんだっていう考えって、基本的には欧米人にはないんですよ。

(赤江珠緒)でしょうね。そりゃそうでしょう。

(町山智浩)だって神は、大自然を人間のために作ったことになっているから。聖書では。だからユダヤ、キリスト、イスラム教では人間は神様の下に人間があって、その下に自然があるっていう感覚なんですね。宗教的には。これはもうしょうがないんですよ。そういう風に書かれているから。でも、アジア人とかって違うじゃないですか。まず大自然がいちばん偉くて、我々はそこに住まわせてもらっているって感覚でしょ?これがゴジラの感覚なんですよね。

(赤江珠緒)なるほど。

(町山智浩)で、人間がおごり高ぶって、爆弾作ったり原子力を作ったりしてるから、それを戒めるために来るんですね。ゴジラっていうのは、一種ね。これをすごく理解してるんですよ、今回は。アメリカ人なのに。いや、イギリス人ですけど。監督は。ギャレス・エドワーズはイギリス人ですが。これがすごいなと思って。

(赤江珠緒)よっぽど元々のゴジラが好きなんですね。

(町山智浩)すごいんですよ。だから、ゴジラっていうものを通して、たぶん逆に日本の思想っていうものを理解したんですね。

(赤江珠緒)ああ、それはあると思うなー。なるほど。

(町山智浩)これはすごく偉大なことですね。

(赤江珠緒)そうですね。なんか、滝なんか見てもね、日本人は『ここに龍神様がいる』って拝んだり。まあ、滝修行するぐらいですけど。欧米人の方はそこを滑って下りて克服しちゃいたいっていう。そういう概念、ありますもんね。

(町山智浩)そう。だから日本人とかアジア人っていうのは山であるとか石っころとか草にも精霊が宿っているっていう考え方ですからね。だからそういうものの怒りがゴジラとなってわいてきたんだっていう感覚が、ちゃんと分かってるんですよ。だから『畏敬』っていう言葉があるんですけど。畏れ敬うっていう言葉があるんですけど。ゴジラを畏れ敬ってるんですよ。今回の映画は、撮り方が。

(山里亮太)はー、なるほど!

(町山智浩)で、前はイグアナですから(笑)。前のゴジラっていうのはイグアナだから。ぜんぜんそういう気持ちないんですよ。撮る側にね。で、今回はちゃんとあって。そこはね、立派だなと思いましたね。だから仏像とかを見た時、巨大な仏像を見るじゃないですか。東大寺とか行ったりして。そういう時って、ものすごい畏敬の念を感じるじゃないですか。あれに近いですよ。今回のゴジラは。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)で、いちばんいいシーンっていうのは、ゴジラが暴れているシーンじゃなくて、ゴジラがただ吠えるシーンだったんですね。あの独特の声で。声もね、まったく東宝のゴジラの声をね、今回作り直してるんですけれども。真似してですね。ただ吠えるだけで、もうすごい感動があるんですよ。見ていると。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)それがすごい。だから歌舞伎役者とかが見得を切るのとおんなじなんですね。独特のものですよね。見得を切るっていう。それをちゃんとわかってやってるんでね。まあ、素晴らしかったですね!

(赤江珠緒)うわー!この町山さんがね、いいっておっしゃるんですから。ゴジラへの想いがある。

(町山智浩)なによりもよかったのは、映画館満員だったんですけど。大ヒットですから。いちばん最後で、ゴジラに対する拍手が起こったんですよ!ブワーッ!っと。ゴジラっていうキャラクターに対する拍手ですよ。観客の。これ、オペラの歌手とかがすっごい歌を歌い終わった時とかに、ブワーッ!っと起こるような拍手でしたよ。

(山里亮太)ゴジラに。えっ、ゴジラって地球を壊す・・・

(町山智浩)ゴジラに対する拍手ですよ!映画に対するじゃなくてゴジラに対する拍手でしたよ。

(赤江珠緒)伝わったんですね。ゴジラのその存在っていうものが。

(町山智浩)そう。

(山里亮太)へー!じゃあ日本はもっとかな?日本のものだしね。

(町山智浩)ただ、問題なのはこれを160億でやってますからね。日本で怪獣映画とか、日本で超大作ってね、いまね、予算ってだいたい10億円以下なんですよ。

(山里亮太)いやー!そんなに違うんだ!

(町山智浩)160倍でこれやられちゃったからもう、日本なかなか映画作れなくなっちゃうなと思いましたけどね。ゴジラ映画とか。

(山里亮太)そっか。もう越えられないんだ。

(町山智浩)これは大変だなと思いましたね。しかもこれ、大ヒットしたから続編作ること決定しましたよ。3日目で。

(赤江珠緒)早くも!?

(町山智浩)ゴジラ、続編決定しちゃったんですよ。3日目で。

(赤江珠緒)ゴジラは世界に行きましたね。

(町山智浩)はい。だからうれしいような、悲しいような不思議な気分ですね。僕も東宝で怪獣映画作りますけどね。今度ね。もう撮影入ってますけど。『進撃の巨人』って怪獣映画ですよ。東宝製の。

(赤江珠緒)あれも怪獣映画ということで。

(山里亮太)なるほど。怪獣映画っていのは。それは楽しみだ。

(町山智浩)東宝で怪獣映画を作るって、僕の夢でしたからね。もういま死んでもいいから、いま殺してもらってぜんぜん構わないです。はい。

(山里亮太)あとね、町山さん。ヒット・ガールとキスして。

(赤江珠緒)そうそうそう(笑)。それを待ったほうがいいよね。

(町山智浩)それはそれで(笑)。ということでね、まあ7月公開ですけども。7月25日。夏休みですけども。みなさん、お父さん、子どもを連れてですね、行っても。もうぜんぜん子ども無しでもOKですから。

(赤江珠緒)ああそうですか。楽しみです。もう町山さんの熱い思いが十二分に伝わりましたので。ありがとうございました。

(山里亮太)少年町山さんになっちゃいました。

(赤江珠緒)今日は日本で7月に公開されますハリウッド版ゴジラ、ご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした!

<書き起こしおわり>

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