スポンサーリンク

都築響一が語る 演歌の歌詞のディープな魅力

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 729

都築響一さんがTOKYO FM『The Lifestyle MUSEUM』に2013年5月に出演された際の模様です。演歌の歌詞・リリックに惹かれる都築さん。ピーター・バラカンさんにその魅力について語っています。


(ピーター・バラカン)で、そういうスナックで、音楽っていうとだいたい演歌ですよね。

(都築響一)はい。カラオケですね。

(ピーター・バラカン)都築さん、演歌はかなり好きですよね?

(都築響一)かなり好きですね。

(ピーター・バラカン)それは、いまの時代にちょっと逆流してるっていうか。

(都築響一)でもね、まあバラカンさんお詳しいでしょうけど、たとえばロックにもインディーズってありますよね?演歌にもインディーズってあるんですよ。で、もうロックどころじゃない大変な苦労をしてインディーズで歌っている、おじいさんおばあさんの本当、50年ぐらい歌っている演歌歌手とかって、いっぱいいるんですよね。

(ピーター・バラカン)うんうん。

(都築響一)で、そういう人たちは、まあいまから大成功は無理だってわかっているけど、歌い続けているわけ。そういうのって、やっぱり音楽の力でしかないわけですよね。だからそういう人たちを見ているとすごい勇気づけられるし。演歌っていま、有名な人だって番組自体ない。ほとんどないわけですから。聞く機会がないですよね。テレビやラジオを聞いているだけでは。だけど、スナックに行くでしょ?歌うのは9割演歌ですよ。やっぱり。若い人でも演歌を歌いますよね。

(ピーター・バラカン)うん。

(都築響一)だからそれってやっぱりリアリティーとギャップがものすごいあるわけですよ。だからそれを僕は知りたい。なんでみんながそういう風に演歌を歌うのか?っていうね。そうすると、やっぱり歌詞の問題に行き着くんですよね。リリックがやっぱりめちゃくちゃ深いわけですよ。

(山内トモコ)じゃあ、1曲。ここでかけたいと思うんですけど。

(都築響一)はい。その演歌の深いリリックの代表だと思うんですけども。吉岡治さんっていう、この間亡くなってしまった作詞家の大御所がいて。『天城越え』とかも書いた人ですけども。その人、吉岡さんは石川さゆりとずっと組んでやってたんですが。僕が思うに、石川さゆりの中でもいちばんこう、毒を含んだ、深い歌詞の曲だと思うんで。それをですね、聞いていただきたいんですが。いつもはオーケストラバージョンなんですけど、これはCDにのみ収録されている非常に珍しい、ギター1本で歌う、ギターバージョンの『飢餓海峡』っていう曲です。

[動画リンク]飢餓海峡 石川さゆり

(ピーター・バラカン)面白いね、この曲。

(都築響一)本当ですか?

(ピーター・バラカン)歌い方が、すごく抑制した感じが、いいですね。

(都築響一)そうですね。だんだんもっていくんですけど。うれしいですね。TOKYO FMでこういうのをかけられるっていうのは(笑)。ありがたいですけど。

(ピーター・バラカン)これ、インディーズですか?

(都築響一)いや、これはもうインディーズじゃないですけど。元々有名な原作も映画もあるんですけど。主人公は娼婦なんですよね。売春婦で、そこに殺人犯が一晩やってきて、一晩だけ泊まって、また逃げていっちゃうんだけど。一目惚れしちゃうわけ。それで、逃げてる途中だったんで、爪が伸びていたわけですよ。で、それを爪切りを借りて切る。ね。その切った爪を、その彼女は大事にちり紙に包んで取っておいたと。で、その男が寂しくなると、その切った足の爪をほっぺにチクチク刺して思い出すっていう、ものすごい歌詞なんですけど(笑)。

(ピーター・バラカン)あー。歌詞聞いてて、どういうことかな?と思ったら。

(都築響一)あの、ブルースみたいな感じですけれども。やっぱりこういう毒のある歌っていうのをすごい大事だって、この吉岡さんもおっしゃってましたけども。やっぱりそういうのが無くなっちゃったんですね。演歌自体も、いまは演歌というよりもカラオケの課題曲になっちゃったんで。そうすると、カラオケで歌いやすい曲しか出てこないんですよ。

(ピーター・バラカン)うん。

(都築響一)歌いやすい曲っていうのはまず、音域が狭い曲ですよね。簡単に歌えるって。それから覚えやすい曲ってことは、メロディーがよくある。それから歌詞が覚えやすってことは、よくある歌詞っていうことで。

(ピーター・バラカン)個性がないと。

(都築響一)そうですね。聞き応えがあるっていうよりは、歌いやすいっていう曲を音楽業界は出してくるので。そうするとやっぱり、難しい歌は流行らなくなってしまいますよね。昔みたいに聞いて楽しむっていうんじゃなく。だからポップスだって、一方若い子が作るじゃないですか。足の爪をチクチク刺すっていうのは、思いつかないわけですよ。やっぱり。

(ピーター・バラカン)いや、それは・・・

(都築響一)でしょ?『自分に自信を持とうよ、イエーイ!』みたいなことを言われても、ね。こっちは『うるせー!』と思うわけですよ。自信が持てないから困るんだよ、みたいな話をしてるんで。そういう風に、やっぱり年輪を、年齢を積まないとできない歌詞、リリックっていうのは、やっぱりあれですよね。こう、苦労しなきゃいけないっていうわけじゃないですけど、いろんな経験がないと出てこないわけだし。そういうものは聞き応えある歌になっていかないなって思いますよね。

(ピーター・バラカン)もう、毎日のように。たとえばスナックの本を書いている、取材している時、毎日のようにいろんなところのスナックを取材するわけですか?

(都築響一)はい。もう飛び込みでいろんなお店に行って、話を聞いたりするわけね。そうすると、もう東京だけじゃなくて、全国各地に行くわけじゃないですか。と、もう・・・バラカンさんってスナックって行きます?

(ピーター・バラカン)あのね、たとえばテレビの仕事でどっか地方に行って、夜、じゃあ飲みに行こうか?っていったら、おっしゃる通りね、それしかないんですから。

(都築響一)ないでしょう?で、やむを得ず行くわけじゃないですか。

(ピーター・バラカン)で、ちょっと怪しい感じなんですよね。

(都築響一)はい。でもね、長続きするいいスナックっていうのは、必ず女の人が好きなスナックなんですよ。要するに、エッチなママがいるとか、そういうんじゃなくって。女の、たとえば夫婦で行って楽しい店とかね。女の1人のお客さんとかがよく行く店が、長続きするんですが。たとえばそういうところ行くと、普通の主婦みたいな人がいるじゃないですか。50代、60代のね。もう、ただの毎日、みたいな。そういう人が、たとえば2・3年前かな?カラオケスナックっていうのは、いま通信カラオケですから。なにがいちばん歌われたか?っていうのは正確に出てくるんですけども。

(ピーター・バラカン)はい。

(都築響一)ここ2・3年でいちばん歌われた曲のひとつが、秋元順子なんですよね。『愛のままで・・・』なわけ。それで、あれの歌詞をバラカンさん、ご存知かわからないけど。とにかく男女が行きずりの恋をするわけですよ。それでとにかく、明日のことはどうせ上手く行かないから考えないと。でも、今日は・・・みたいな感じ。で、それがすごい歌詞がね、とにかく『いまは糸ひくような口づけしましょう』って言ってるわけですよ。糸ひくって言われても・・・すごいですけど。



(ピーター・バラカン)(笑)。

(都築響一)そういうのを、普通のおばちゃんとかが、もう情感をこめて歌っていて。それを誰も不思議に思わないっていう。

(ピーター・バラカン)なるほど。それだけピンと来るっていうものですよね。

(都築響一)そうですよね。でも、おばさんと糸ひく口づけは合わないでしょ?みたいに言いたいけど、言えない。ね、この、みんなそれですごい、いい雰囲気になっているっていうのが、やっぱり歌は面白いところだなと思いますよね。

(ピーター・バラカン)日本全国で、いまでもこういうのが、多くの人に歌われ続けているっていうことですね。

(都築響一)そうですね。たとえば秋元順子もね、今晩だけでも1万回ぐらいどっかで歌われていると思いますし。『つぐない』とかいろいろそういう定番曲はありますね。

(山内トモコ)今夜は写真家で編集者の都築響一さんとお送りしております。

<書き起こしおわり>

続きます。

[関連記事]
1.都築響一とピーター・バラカン 芝浦GOLDの思い出を語る
2.都築響一 取材活動のモチベーションを語る
3.都築響一が語る 演歌の歌詞のディープな魅力
4.都築響一が語る 日本語ラップに惹かれる理由

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする