都築響一が語る 東京右半分 ワールドワイドな右半分の魅力

シェアする

都築響一さんが2012年3月にTBSラジオ『柳瀬博一Terminal』に出演した際の書き起こし。東京右半分の国際性豊かな魅力について話しています。


(柳瀬博一)はい、とうことでですね、先ほど、ワールドワイドな右半分。この本を読んでびっくりしたのが、まず竹ノ塚。

(都築響一)足立区竹ノ塚ね。あのへんは東京でいちばん犯罪率も高いっていうね。申し訳ないけど、荒れた土地柄なんですけどね。

(柳瀬博一)なんかフィリピンの方々がやたらいらっしゃるというお話を。

(都築響一)そうですね。夜になるとフィリピンバー、フィリピンパブですけども。東京でいちばん集まってるんじゃないですかね?いま。前は錦糸町がそうだったんですけど。錦糸町はリトルマニラと呼ばれていたんですけど。

(南部広美)お店もいっぱいありますよね。錦糸町は。フィリピン食材のお店とか。

(都築響一)でもいまね、錦糸町は逆にタイなんですよ。

(柳瀬博一)あ、錦糸町はタイなんですね。

(南部広美)動いてるんだ!

(都築響一)リトルバンコクと呼ばれてるんですけど。

(柳瀬博一)錦糸町のタイのゲウチャイ。タイ料理屋さんの。あそこのおかみさんの話がこの本に。彼女のお店から始まったんですか?あれ。割りと。

(都築響一)まあ、その面もありますし。やっぱりだんだん人が人を呼ぶみたいな感じで。多くなってったんですけど。いまはもう、マッサージ屋だけで数十件、あるんじゃないですか?

(柳瀬博一)タイマッサージ。はー!

(南部広美)やっぱり人がいれば、そこに需要と供給が成り立って町ができていくっていう。

(都築響一)そうですね。だからまあ、足立区にはフィリピーナがいて、錦糸町にはタイの人がいて。あとですね、錦糸町はあと、ロシアとかそのへんもすごいので。

(柳瀬博一)あ、東欧系もすごい。私の知人にも嫌いじゃないヤツがいましてですね(笑)。

(都築響一)あー、ハマった方がいらっしゃいますか(笑)。あと、湯島・上野へんは本当に、フィリピン、タイ、中国、韓国みたいな人がいて。いま湯島、僕いちばん遊ぶの。夜遊びは湯島がいちばん多いんですけど。

(柳瀬博一)ここのところ、この数年、都築さんの前出されたスナックの本もそうだったですけど。『湯島がアツいぜ!』ってずっとおっしゃってるじゃないですか。

湯島がアツい

(都築響一)歌舞伎町が石原都知事のお陰でダメになっていった分、湯島が面白くなっていると思うんですよね。

(柳瀬博一)でも、湯島ってもともとなんとなく東大の下の方で、割りとさっきの・・・

(都築響一)小粋なね。

(柳瀬博一)小粋な。どちらかと言うと、さっきの都築さんのあまりお好きでない、下町風情っぽい時代もあったじゃないですか。違うんですか?いま。

(都築響一)そうですね。あそこね、文京区と台東区の境目になってるんですよね。交じり合ってて。管轄の警察署も違うので、取り締まり方も違うみたいなこともありますし(笑)。前はね、歌舞伎町を夜中歩くと、たとえば客引きとかすごかったじゃなですか。

(柳瀬博一)すごかったですね。

(都築響一)いま、客引きとかないんですよ。歌舞伎町って。なんかちょっと寂しいっちゃ寂しいんですけど。湯島はいま、すごいですよ。夜、ちょっと遅目に歩いたら、もうね、まっすぐ歩けない。20メートルぐらい。

(柳瀬・南部)へー!

(都築響一)もう、やたら引っ張られたり。『マッサージ、どう?』みたいな人がたくさん立っていたりとかですね。すごいことになってますよ。で、もちろんすごく遅くまでやってるし。だから夜中3時・4時ぐらいにですね、アフター系の寿司屋とか行くとですね。店終わった後、みんなで行くようなとこ行くと、こうフィリピーナとタイの子が客の悪口を日本語で言い合いながら飲んでいるみたいな。

(柳瀬博一)すっごいですね!

(都築響一)素晴らしい。ブレードランナーか?みたいな。

(柳瀬博一)ブレードランナーか、すぎむらしんいちさんの『ディアスポリス』みたいな話です。すごいですね。

(都築響一)(笑)。ねえ。最高に楽しいです。あそこは。

(柳瀬博一)で、一方で湯島といえば話、ズレますけど。あのあたりの歌声喫茶風のところに芸大の現役の学生さんたちが。

(都築響一)そうですね。クラシックスナックっていう。芸大の音功の子たちがずっと働いていて。毎晩毎晩、1メートルぐらいのところでオペラを歌ってくれたり、ピアノ弾いてくれたり。

(南部広美)生声で?

(都築響一)生声で。バイオリン弾いてくれたり。終わると、ウィスキー作ってくれたりとかっていう(笑)。

(柳瀬博一)すっげー行ってみたい!

(南部広美)なんかすごい距離感が近いですね。

(都築響一)そうですね。あと、あれですね。僕が最近行くのは、湯島だと『きみのて』っていうところなんですけど。そこはですね、ろうあの人たち。要するに耳の聞こえない人たちのためのっていうか。ための、じゃないんですけど。別に。そういう子たちを揃えたキャバクラなんですよ。

(柳瀬博一)出てきます。きみのて。

(都築響一)すごいキレイな女の子たちなんだけど、障がいを持っていると。普通はそういう子たちっていうのはね、福祉関係でしか働けないわけじゃないですか。なんか、作業所でなんか作らされて。でも、そういう子たちだって、夜に短時間・高収入バイトしたいわけですよ。他の時に自分の好きなことできるんでね。で、お客さんとしても耳の聞こえない人たちは、普通のお店行っても断られちゃうんですよ。面倒くさがられて。だからもう、お互いにニーズがばっちし合致したということで。手話と筆談で毎晩大賑わいっていう。

(柳瀬博一)うわっ、是非そこも伺ってみたいですね。

(南部広美)男性2人がキラッキラしてますけど。また目が。メールが来てますので、紹介します。(メールを読む)『学生時代、西葛西に住んでたんですけど、その筋に詳しい友人が、西葛西って人妻風俗が充実してるよなって言ってました。当時僕は童貞で、そういうことには疎かったのですが、ちょっと色っぽい奥さんを見かけると、ひょっとして?なんて良からぬ妄想を抱いては悶々としていた』そうです。

(都築響一)(笑)。6時台の番組でこういうの、いいんですか?

(柳瀬博一)ああ、いいんですよ。

(都築響一)いいんなら、もうなんでもいいますけど。でも西葛西はいまね、日本でいちばんインド人のコミュニティーが大きいところなんですよ。

(柳瀬博一)結構、有名になってきましたよね。

(都築響一)IT系のインドの人たちがいちばん住んでいて。やっぱり大手町とかあっちの方に、東京駅からすぐ。15分かからないぐらいなんで。まあ便利だっていうことで、すごい増えてきてるんですよ。

(柳瀬博一)結構、美味しい店とかもあるんですか?

(都築響一)あります。あります。インド人のための美味しいお店があるし。食材店もありますし。年に一度、インド人が集まるお祭りも、すごい楽しいですよ。

(南部広美)やっぱりこう、集まるっていうか、そのインドの人とか外国の人にしてみたら、アウェイじゃないですか。日本は。そこの中でやっぱり、情報交換とかって言葉もままならないだろうし、そういう風に集まるんだなって。

(都築響一)とくにマイノリティーの方っていうか、外国の人だと保証人は?とかね。そういうこともあるし。いろいろ苦労はあるでしょう。それから、宗教によって、ご飯のね、制限もあるでしょ?だから、やっぱりみんなで助けあって集まってくるんですよね。

(柳瀬博一)そういう意味で言うと、そういう方にも門戸は開かれている。住ませてくれる場所が、相対的に右半分の方が多いってことなんですかね?

(都築響一)まあ、門戸を開かざるを得ないというかですね。普通の人は左に行っちゃうから、みたいなね。あと、やっぱり竹ノ塚なんかフィリピーナが多いのは、近くにフィリピンの人たちがすごいよく行く大きな教会があるんですよ。

(柳瀬博一)あ、カソリックの教会があるんですね。

(都築響一)すごい信心深いので、日曜日、ちゃんと教会に行けるようにっていうのもあって選ぶとかね。いろんなことがあって。たとえば錦糸町のタイの場合は、食材屋さんから発達したんですが。成田から近いということもあって、そういうこともあると思うし。

(柳瀬博一)じゃあ、物流の面からいっても、右半分。考えてみると成田、近いですもんね。

(都築響一)そうですよ。だから右半分の方がぜんぜん本当は便利なはずなんですけどね。やっぱり、なんなんでしょうね?

(柳瀬博一)いや、そこね、ちょっとお伺いしたいなと思ったんですが、都築さんも80年代はお洒落媒体の筆頭。BRUTUSとかあのあたりでやってらしたし、ご自身は割りと真ん中のご出身で。それこそ、恵比寿の『MILK』とか、割りとイケてる系をずっとプロデュースされてたじゃないですか。

(都築響一)イヤなこと言いますね(笑)。

(柳瀬博一)この、左半分・・・

(南部広美)イヤなことなんですか?

(柳瀬博一)左半分を知り尽くしている都築さんが逆に、右半分。なんで?いい部分もいろいろあると思うんですけど、なんで左と右がこんなに分かれているのかな?っていうのは、たしかに不思議な感じがちょっとするんですけど。

(都築響一)そうですね。でも、たとえばテレビ局もぜんぶ左半分にあるじゃないですか。ラジオ局もね。あっち、ないでしょ?タワーはできてもね、放送局・スタジオはこっち側にキープみたいな。あるじゃないですか。

(柳瀬博一)じゃあ、あれですね。この番組、いつか再開する目があるとしたら、それこそ墨田区あたりで再開しますか(笑)。

(都築響一)いや、でもいまたとえば足立区北千住なんかはあと1・2年で大学が4つになっちゃいますし。いま、もう2つありますから。すごいカレッジタウンになってって。

(南部広美)言われてみれば、大学ってないですよね。

(都築響一)いまはすごいですよ。だから、たしか昨日かなんか出てた統計でも、この1年でいちばん地価が上がったのって、北千住ですよ。たしか。

(南部広美)ふーん。

(柳瀬博一)この本、右半分を読んでわかったのが、右半分界では北千住って結構すごい町なんですね。

右半分界では北千住がすごい

(都築響一)うん。そうですね。すごいターミナルだし。だっていま、あれですからね。週末は特別ロマンスカー1本で箱根に直結してますからね。

(柳瀬博一)えっ!?あそこから?

(都築響一)そうですよ。

(南部広美)知らなかった・・・

(都築響一)で、すごくおしゃれになってるし。でも、古いものもあって。すごくいいんですけど。北千住の人は『足立区』とは言いたがらないっていうかですね(笑)。『北千住だけ、別』みたいな。

(柳瀬博一)なんか竹ノ塚に住んでいた方が『北千住に上がる時はちょっと気合がいった』って。

(都築響一)まあ、おしゃれして行かないと、ですね(笑)。まあでも、そういうね、右側ってひとくくりにしちゃうけど、いろんな区ごとのキャラもすごく違うので。いろいろ行ってみると面白いと思うんですよ。やっぱり、その人妻に興味ある人はですね、西葛西よりも足立区をおすすめしておきますけど(笑)。

(南部広美)足立区。(メールをくれた)小岩のリスナーさん、足立区だそうですけど(笑)。

(都築響一)でも、小岩はすごくいい町ですから。小岩はですね、僕が思うに、まあ昔ながらの喫茶店とか、みんな好きじゃないですか。古い感じのね。ああいうの、いま東京でいちばん残っているの、小岩かなって気がするし。駅から行けるですね、健康ランドが2つもありますでしょ。デスメタルのライブハウスもあるし。

(柳瀬博一)デスメタルのライブハウス!じゃあ以前来てくれたダ・ヴィン編集長やハマザキカクさんの、デスメタルバンダーにちょっと教えてあげないといけないですね。

(都築響一)風俗もすごいですしね。

(柳瀬博一)小岩の、ちなみに純喫茶はなんと小沢一郎さんの同級生のお店もあるそうですね(笑)。

(南部広美)すごい取材力ですね。

(都築響一)いやいや、そんなことないですけど。でもね、僕なんか本当、取材力なんて1人でやっているだけなので。あと、担当編集者がつくだけなので。取材も1人か2人で行くわけですし。

(柳瀬博一)いや、これどうやって見つけてくるんですか?この純喫茶とか。ふんどしバーとか。

(都築響一)普通だったらリサーチャーとかね。そういうの、いるじゃないですか。リサーチャーって絶対に使わないし。僕の場合は。自分で探すだけなので。大したことしてないんですよ。本当に。だから、行きゃあ見つかるんですよ。絶対に。誰でも。

(南部広美)都築さんがなんか実はセンサーみたいなの、体から隠し持ってるんじゃないですか?

(都築響一)いやいや、でもね、よく聞かれるんですけど。本当、行きゃあ誰でも見つかるんですよ。大した苦労はしてないんですよ。これ。だけど、行かないです。本当、みんな。たとえば僕、いま住んでいるところのJRでいちばん近い駅だと四谷なんですが。四谷から高円寺に行く時間と四谷から錦糸町行く時間って一緒なんですよ。

(柳瀬博一)あ、等距離なんですね。

(都築響一)そうなんです。だから、ねえ。でも中央線の方はみんな行くけど、錦糸町に遊びに行く人、少ないでしょ?やっぱり。だから行ってないだけで、行きゃあ本当に誰でも見つかると思うんですけどね。

(柳瀬博一)あ、そっか。

(都築響一)まあ住んでいる人にとってはね、なんでウチらだけ無視されんの?みたいな感じはすごいありますよね。

(柳瀬博一)あれですね。まさにインターネットが発達しすぎて、たよりすぎちゃっている部分はあるかもしれないけど、まずは足を運んでみれば、同じ東京の中ですもんね。

(都築響一)ネットはイカンですね。

(柳瀬博一)ネットはイカン。足で調べよう。という、この東京右半分の歩き方をお伺いしたところで、次にはじゃあこの右半分の楽しさを。楽しみ方をさらにさらにお伺いしていきたいなと思っております。

(都築響一)はーい。

<書き起こし終わり>
    [関連記事]
  1. 都築響一が東京右半分に惹かれた理由『若い人が右半分に移っている』
  2. 都築響一が語る 東京右半分 ワールドワイドな右半分の魅力
  3. 都築響一が語る東京右半分 マーケティング不可能な右半分の魅力