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宇多丸推薦 ちばてつやハードコア作品『餓鬼』『家路』

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宇多丸さんがMXテレビ『5時に夢中!サタデー』で最も敬愛する漫画家、ちばてつや先生のハードコアな作品を2作、紹介されていました。

宇多丸推薦 ちばてつやハードコア作品『餓鬼』『家路』

(町亞聖)はい。ここでおふたりが注目した歴史解釈のポイントを紹介していただきます。まず、宇多丸さん。よろしくお願いします。

(宇多丸)本日、1月11日。いろんな方の誕生日ですが、本日こんな方の誕生日でございます。バン!漫画家ちばてつや先生!僕ね、いちばん敬愛する漫画家さんでございます。ちばてつやさん、こんな方でございます。ちば先生、いちばんみなさんご存知なのは『あしたのジョー』。梶原一騎さんが原作で、ちばてつやさんが漫画と。このふたりの相乗効果で名作になった作品ですよね。あるいは、『おれは鉄兵』っていうのもございますし。僕は、日本の漫画史上でいちばん好きなの、『のたり松太郎』なんですよ。

(玉袋筋太郎)のたり松太郎!

(宇多丸)相撲漫画でございまして。これが最高だったりするんですが。ちば先生の作品、割と人間味あふれる、ヒューマニズム。そんなイメージあると思うんですけど。ちょっとちば先生の中でもハードコアな、怖い感じの作品を主に紹介していきたいと思っております。

(玉袋筋太郎)うん。

(宇多丸)まず一発目。こちらを紹介しましょう。1970年の作品。『餓鬼』という作品。こちらをご紹介したいと思います。

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ちばてつや『餓鬼』


(玉袋筋太郎)餓鬼。

(宇多丸)1970年。あしたのジョーでちょうど力石が死んだあたりから連載が始まった作品ですよ。なおかつ、あしたのジョーは少年マガジンじゃないですか。1970年、ぼくらマガジンという年少向けの雑誌に連載してた。でも、餓鬼ですよ。飢えた鬼ですよ。どんな話かといいますと、こちらをご覧ください。この少年、立太少年はダムの建設をめぐる陰謀で両親を亡くしてしまい、そのかわり莫大な金をもらうわけです。子供なのに。なんですけど、小さな村なのでこの子どもが大金を持ったことで村人がちょっとおかしなことになっていって。

(玉袋筋太郎)やべーやべー。

(宇多丸)で、『こんな村、いやだ!』っつって、逃げるわけです。雪道を。そしたら、『金っこ持って逃げるぞ!』って村人が追っかけてきて。この後、立太くんは崖から落ちて、死にかけてしまうんですけど記憶を失ったまま何十年か過ぎてですね。すごい凶悪な少年になっているわけですね。

(町亞聖)銃を持ってますね。

(宇多丸)問題は、この凶悪な少年のルックスが完全に矢吹丈そっくり。矢吹丈という男、両親を亡くし、ひとり風来坊ですよ。犯罪を重ねながら生きている男。つまり、ボクシングに、丹下段平に出会わなかったあしたのジョー。そういう風に見ることもできるわけですよ。

(玉袋筋太郎)なるほど!

(宇多丸)で、この立太くんが田舎に帰ってみるとですね、村人の様子がちょっとおかしなことになっているわけですね。『立太が返ってくる!』と。騒ぎになっている。結局、村は立太が隠したと思われる金を求めて殺し合い。閉じた村ですから、そこら中に骸骨が転がっているような。そこで主人公立太は記憶を取り戻し、さあどういうことになるのか?まったく救いのない結末をむかえる。これをぼくらマガジンで連載してたのか?というね、作品でございます。

(玉袋筋太郎)読みてーな!いいね!

(宇多丸)ではですね、なんでちば先生、こんなハードコアな世界観を描くようになったのかと言いますと、ちば先生、満州からの。敗戦時に満州から引き上げ体験。そこで人間のありとあらゆる醜い本性を見たわけですよ。ということを描かれた短編。これ、単行本未収録なんですけど、こちらのちばてつやさん総特集。これに収録されている作品で、2003年の作品なんですけど、『家路』という作品。

ちばてつや『家路』


(玉袋筋太郎)家路。

(宇多丸)これがですね、たとえば終戦のこの日。暴徒と化した。それまで日本に植民地ですから虐げられてますから。暴徒と化した中国の人民に襲われるわけですよ。それをお母さんがひとりで守る場面とかですね。それから逃避行が始まるわけですよね。誰も守ってくれない逃避行。そん中で餓死にしかけて、残った銃で撃ってもらうっていう家族がいましたよとかですね。

(玉袋筋太郎)うわー・・・

(宇多丸)で、いわゆる中国残留孤児のもとですよね。中国の家族に預けてやってもらうとかですね。このちばさんの家族自体はですね、親切な中国の一家に匿ってもらって。屋根裏に隠れていた時期に漫画を描くことをおぼえてるんですよ。

(玉袋筋太郎)おおー!屋根裏で。

(宇多丸)ということなんですね。で、現在のちばさんがカンパンを食べてジワッと泣くというね。ただ、ちばさんの特徴ね。本人にとっては大事な場面だけど、周りの人にとっては『へんな人・・・』ってよくわからない。主人公だけを中心に世界が回っていない感じ。これがちば先生の漫画の醍醐味だったり。大人なところだったりするんですね。ということでちょっと厳しい作品を紹介しましたが、ぜひこの機会にですね、ちばてつや作品。名作の数々に触れてみてはいかがでしょうか!

<書き起こしおわり>

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