町山智浩 最終回前日にあまちゃんを語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『荻上チキSession22』あまちゃん談義に電話出演。最終回前日にあまちゃんをたっぷりと語っていました。

(荻上チキ)さて、ここでなんですけども、日本の国内でもアマノミクスを巡ってですね、いろいろ議論が盛り上がっておりますが。海を越えてアメリカから映画評論家町山智浩にお話を伺いたいと思います。もしもし、町山さん。

(町山智浩)もしもし、どうもです。おはようございます。

(荻上)おはようございます(笑)。よろしくお願いします。

(南部広美)よろしくお願いします。先日はありがとうございました。

(町山)あ、どうもでした。

(荻上)町山さん、先ほど起きたんですよね?

(町山)はい。いま7時ですよ。朝の。普通に起きてます。大丈夫です。

(荻上)みなさん気にしてると思うんですけど、そもそもアメリカでどうやってあまちゃんを見てるんですか?

(町山)あの、『テレビジャパン』っていうケーブルテレビがあって、そこで日本の人気テレビはほとんどリアルタイムで見れるんですよ。

(荻上)そのリアルタイムで見れるドラマ、夜放送だと聞いてますけども。

(町山)ええとね、カリフォルニアは夕方の6時45分からやってます。はい。日本での放送から3時間遅れぐらいです。

(荻上)ご家族で見てるんですか?1人で見てるんですか?

(町山)全員で。6時45分ですから、ご飯食べながら全員で見てますよ。

(荻上)おおー。そうすると会話もやっぱり盛り上がったりするんじゃないでしょうかね?

(町山)そうですね。だから僕とカミさんの世代と娘の世代で詳しいことが違うんで。だからなんだろうな?AKBネタとかは僕たち全然わからないですから娘が教えてくれるんですよ。で、逆に84年ごろのネタは僕とカミさんの方が詳しいから娘に教えるって感じで情報交換を常にしながら見るんです。

(荻上)ああー、世代によってね、楽しみ方のフックといいますか、引っかかりポイントがいろいろ違うわけですよね。でもそれを語り合うっていうのが・・・

(町山)あ、そうそう。84年っていうのは、僕が宝島っていう、そのころパンクロック雑誌だったんですけど。それで働き始めた年なんですよ。

(荻上)はいはいはい。

(町山)大学4年でバイトしながら働いてたんですけど。編集部で。で、そこでカミさんとも会ってるんですよ。

(荻上)あらららら。となると、思い出も本当にぎっしりの年ですよね。

(町山)そうですよね。はい。

(荻上)このあまちゃんなんですけども、これほどまでに人々を魅了した理由っていうものを、町山さんはどう見てますかね?

(町山)ああ、やっぱりだから、いま言ったみたいに、いわゆる『小ネタ』っていう風に言われてるんですけど、いわゆるポップカルチャーの話がいっぱい入ってますね。固有名詞とか会話の中に。で、やりすぎだ!とか言われてたりするんですけど。でもあれって実はすっごく自然だと思うんですよ。

(荻上)自然?

(町山)だって普通に会話してると、映画のタイトルとかテレビのタイトルとか俳優の名前とか、バンバン入ってくるじゃないですか。みんな会話してる時。日常的にね。でも、テレビドラマとか映画の中では、実際そういうことってほとんどないでしょ?

(荻上)ああ、そうですね。

(町山)だいたい他局の問題だったりするからですよね(笑)。

(荻上)そうですね(笑)。

(町山)で、いまTBSでこの話してますけど、この間ニッポン放送でもあまちゃんの話してて。いいのかな?と思いましたけど。でも、固有名詞が実際に出てこないようにするじゃないですか。テレビって。商品名とか。

(荻上)はい。スポンサーへの配慮もありますからね。

(町山)映画もそうですけど。実はそれで普遍化させようとして抽象化させちゃうんですけど、実は現実から離れていくんですよ。でも現実はいっぱいアーティスト名とか音楽のタイトルとか言ってるんですよね。しゃべる時にみんな。でもそれをちゃんとやった人っていうのは、アメリカでもクェンティン・タランティーノが最初なんですよ。

(荻上)ああー。タランティーノ。

(町山)クェンティン・タランティーノが1992・3年に始めて。実際の我々の会話っていうのはポップカルチャーに満ちてるんだよということをやって。ところがまだやっぱりテレビでは今回のクドカンが本当にね、徹底的にやってるんで。実はこれがリアリズムだと思いますよ。

(荻上)なるほどなるほど。固有名詞を散りばめさせてるか・・・中川さん、これはやっぱり意図的にね、取材というか制作陣の話を聞くと、かなり用意周到にやられてるなと感じたんですけど。上手いなと思ったところってあったりしますか?中川さんは。

(中川大地)ええと、まあそうですね。やっぱり各世代が共有できるいろいろな、なんて言うか先ほど言った通り、町山さんの親世代と子供世代が会話のできるきっかけになる、それぞれの世代にちょっと詳しい・・・40代のクドカン世代の共通体験を核にすることによって、上にも下にもですね、行けるということろが大きかったと思うんですよ。

(荻上)うん。そうですよね。やっぱりその町山さんが同時代として自分にグサッ!っと刺さったなっていう、そういったエピソードとか、あるいは固有名詞とかってありましたか?

(町山)ああもうそれは、全部ですけど。この間、宮藤さんと電話で話して。日本とアメリカでね。で、僕がやっていた宝島っていう雑誌を宮藤さん、高校の時に一生懸命お小遣いで買って読んでたって言っていて。そうなんですよ。だから僕は彼のお小遣いでちょっと暮らさせてもらっていたわけですね(笑)。

(南部)すごいエピソード・・・

(町山)グルグル回っていくところがあるんですね。その頃の話として。ただね、宮藤さんはものすごく考えてて。ゴーストバスターズを震災の時、トンネルの中で歌いながら歩いていくじゃないですか。大吉っつぁんが。でも、ゴーストバスターズって『ゴーストバスターズ』の合間に入る歌詞っていうのは、『こわくなんかないさ!』って言ってるんです。

(荻上)うんうん。

(町山)『I’m afraid no ghosts!』って言ってるんですね。レイ・パーカー・ジュニアが。だから、そういうところもちゃんと考えて、『こわくなんかないさ!』って言いながらトンネルの中を歩いていくっていうことになってるんですね。実際は。歌ってないですけど。その部分は。だからそういう歌の意味の裏の裏までちゃんとわかってやっていて。ちょっと拾ってきたのと全然違いますよね。

(荻上)うん。

(町山)だって第一話で最初に松田聖子が出てきて、『これが84年の時の歌です』って歌う松田聖子の歌が『時間の国のアリス』なんですよ。まさに時間の国のアリスになるじゃないですか。その後アキちゃんが。つまり84年の部屋に入っていくじゃないですか。穴ぐらみたいな変な部屋に。あれ、完全に不思議の国のアリスがタイムスリップするっていう状況だし。ものすごく考えてますよ。小ネタの出し方。

(荻上)そうですね!

(町山)ただ出してるっていうのを、たぶん他の人たち真似したらやっちゃうんですよ。

(荻上)うーん・・・

(町山)でも全てがちゃんとテーマと結びついているっていうところは、やっぱりすごいですよね。

(荻上)そうですよね。単に引用してるだけではなくて、やっぱりいろいろ絡めている。藤木さんもやっぱり同時代として楽しめるポイントってあったりしますか?

(藤木TDC)あの町山さん、藤木TDCです。こんばんは。

(町山)こんばんは。お久しぶりです。もう何年ぶりですかね?

(藤木)20年ぶりぐらいじゃないかと思いますね。

(荻上)そんなに!?

(町山)最近真面目な仕事してるんですね!エロ仕事じゃなくて。

(一同)(笑)

(藤木)エロ仕事もやってますけどね。あの、やっぱりよかったのは皆川猿時のアマゾンライダーとかね。セイントフォーがちらっと映ったりするところとかが、やっぱり僕なんかすごくよかったんですよね。

(町山)セイントフォー好きですね!昔からね!

(荻上)(笑)

(藤木)マイナーなもの好きな人にね、訴えかけるっていう。わかってるぜ、俺!っていうね。『わかる人だけわかればいい』っていう感じがね。やっぱりマイナーな人間をね、奮い立たせるっていうか呼び集めると思うんですね。

(町山)ああ、ただそのマイナーな話をね、わかる人だけにやっているっていうよりは、やっぱり家族の会話とか、みんなの会話に発展させている感じがね、すごく上手いな!って思いますね。

(荻上)そうですよね。たとえば、さかなクンが・・・

(町山)僕も一生懸命娘に説明するわけですから。

(荻上)はいはいはい。出てきた時に間違えたりとかね。そういったボキャブラリーの中に、なにか1個わかるやつを混ぜておくと・・・

(藤木)やっぱり町山さん、娘さんに『アマゾンライダーっていうのがあったんだよ』っていうのを説明するんですか?

(町山)それはもう、『フォーゼの人が出てるから。(種市)先輩でね。だからアマゾンっていう大先輩のライダーなんだよ』みたいな説明しますけど、娘はね、仮面ライダーなんてあまり興味ないです(笑)。男の子だったら大喜びして聞くと思いますけど。

(藤木)アマゾンライダーには郷えい治っていうのが出てたんだよ!キバ男爵なんだよ!とか言わなかったですか?

(町山)言っても全然・・・どんどん嫌われてくから。娘相手はダメです。それは(笑)。

(荻上)ドン引かれるパターンじゃないですか。

(町山)男の子だったら喜ぶと思いますけど。はい。

(荻上)(笑)。でもいろんな人に優しいんですね。やっぱりその年寄りとか高齢な方でも、若い人でも楽しめるフックがあって。

(中川)遍くいろんな人にね、訴えかけるネタを入れてるっていう感じがしますね。

(藤木)でもちゃんとマイナーなやつを楽しめるんだぜって。

(町山)でも橋幸夫さん、出てくるじゃないですか?で、『いつでも夢を』ってテーマになってるけど、あれも第一回ですでに振ってるんですよね。ネタをね。あの、海女さんたちがね、『いつでも夢を』を歌いながら海に向かっていくっていうところがあって。だからあれがちゃんと伏線で回収するし、伏線の回収の仕方がものすごいですね。丁寧で。

(荻上)はい。

(町山)投げっぱなしっていうのが全然ないですね。特に歌がすごいなと思って。歌、歌うじゃないですか。『潮騒のメモリー』を。あれ、歌詞の中で出てくる、まず『マーメイド』っていうのは小泉今日子さんの昔の『渚のはいから人魚』っていうヒット曲と引っかけてあって。

(南部)そっか・・・

(町山)で、歌詞の中で『友達少ないマーメイド』っていうのは、アキちゃんのことですよね。アキちゃん、全く友達が東京で出来なくて、いじめられてたんですよね。で、『三途の川のマーメイド』だけはあまりにもヒドいから、どういうギャグかと思ったら、ちゃんと拾いましたね。最後にね。

(荻上)そうですね。

(町山)あれは春子の生霊がずっと出てくるじゃないですか。春子の生霊のことだったんですね。三途の川でそっから先に成仏できなかった。アイドルの亡霊ですよね。で、最後に三途の川のマーメイドのところの歌詞を変えることによって、彼女が消えるじゃないですか。生霊が。あれ、成仏ですよね。

(荻上)と同時に、夏ばっぱのストーリーにもなっていくという。

(町山)あれで拾うか?って思いましたよ。三途の川のマーメイド、拾った!すげー!って思いましたけど。

(荻上)注目ポイントが拾われたということですよね。

(町山)とにかくね、伏線の広い方がね、余さず拾うってところがね、すごいと思いますね。

(荻上)なるほど。ちなみに町山さん、明日最終回なんですけれども。町山さん、当然見ますよね?

(町山)ええと僕はね、好きな番組の最終回はね、子供の頃から見れないっていう癖があって。

(荻上)見れない!?

(町山)見れないんですよ。結構。それで見ると、自分の中で終わっちゃうから。見ないでいるとずっと終わらないじゃないですか。

(荻上・南部)ああー!

(町山)そう。ウルトラセブンの最終回はね、3年か4年たって初めて見てるんですよ。最終回だけ見なくて、テレビ消したままにしたんですけど。子供の頃。

(荻上)でも、モヤモヤしません?見なくて。

(町山)いやいや、ウルトラセブンは帰っちゃうって知ってたから。予告編で。

(荻上・南部)(笑)

(町山)だから見れなかったんですけど。でも、落ち着いてから見るんですよね。心がね。

(荻上)逆に言うと、それだけハマッたんですね。

(町山)そうですね。だから一緒に生きるんで。いいドラマっていうのは、見てる人が。だからウチの娘も本当に最終回で泣きそうになってますけど。最終回になるっていうことでね。ただね、やっぱりすごくいいなと思うのは、アキちゃんって最初あれ、すごい暗い少年みたいな感じで猫背で出てきて、ほとんどしゃべらないんですよね。

(荻上)はい、そうです。

(町山)で、海の飛び込むことによって生まれ変わるじゃない。セリフの中で『生まれ変わった』と。昔の自分は捨ててきたんだという感じで、生まれ変わるじゃないですか。

(荻上)はい。

(町山)あの段階で見てる人たちは全然岩手出身じゃなくても、全員が生まれ変わったんですね。

(南部)ああー・・・

(町山)で、そっから急に方言しゃべるようになるんですよ。アキちゃんって。海に飛び込んでから。そういうところも上手いなと思って。あれはね、キルケゴールですよ。キルケゴールの哲学思想にある『leap of faith』ってやつで、自分から飛び込むことによって、自分を捨てて生まれ変わるんだっていうのをちゃんとやっていて。実はすごくちゃんとしたドラマですよね。

(荻上)いやー、町山さん、あのね、みなさん町山さんの解釈を楽しくたぶん、待ち望んでいる人も多いと思うので。最終回見て解説してほしいなとやっぱり思いますけどね。でも、見れない。

(町山)(笑)。そうですか。でもまあ、娘と一緒に泣きながら見ると思いますけどね。

(荻上)あ、本当ですか。ではまた、明日以降の町山さんのツイートも含めて、感想を楽しみにしております。

(町山)いえいえいえ・・・

(荻上)はい。町山さん、ありがとうございました。

(南部)ありがとうございました。

(町山)はいはい、どうもです。

<書き起こしおわり>

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