ライムスター Mummy-Dが語る ラッパーにまつわる誤解トップ5

ジェーン・スーとライムスター 早稲田大学サークル 先輩・後輩話 ザ・トップ5

ライムスター Mummy-DさんがTBSラジオ ザ・トップ5に出演した際のトークです。『ラッパーにまつわる誤解トップ5』というお題で、こんな感じでお話されてました。
ジェーン・スーとライムスター 早稲田大学サークル 先輩・後輩話 の続きです。

(小林悠)時刻は8時になりました。新感覚残業支援系ランキングトークバラエティ ザ・トップ5、ここからはゲストをお迎えしてお送りします。まずはさっそく今夜のゲスト、日本屈指のヒップホップグループ ライムスターのMummy-Dさんご提供のランキングをご紹介していきます。題して、『ラッパーにまつわる誤解トップ5』。

第五位:ラッパーは踊らない
第四位:ラッパーは音痴ではない
第三位:韻は踏まなくてもよい
第二位:悪そうな奴はだいたい友達とも限らない
第一位:チェケラッチョは言わない

以上、ライムスターのMummy-Dさんご提供の『ラッパーにまつわる誤解トップ5』でした。

(中略)

第五位:ラッパーは踊らない

(小林悠)というわけで、改めて選んでいただいたランキングに移って参ります。『ラッパーにまつわる誤解トップ5』、第五位『ラッパーは踊らない』。

(Mummy-D)はい、ここから俺がしゃべるの?

(小林悠)はい。ちょっと解説をお願いします。

(Mummy-D)そうだね。これ、『まつわる誤解トップ5』っていうとさ、『ラッパーは踊らない』のが誤解みたいな感じがしちゃうけど、要するに、ラッパーは踊らないです。踊らないことはないよっていう意味じゃないです。ラッパーはね、踊らない!

(ジェーン・スー)踊らない?

(Mummy-D)これって、どう?小林さんからしたら、意外?

(小林悠)意外です。あの、すいません。本当に失礼なイメージで、勝手なイメージですけど、ダボついた服装で、若干おパンツがちょっと・・・

(Mummy-D)おパンツ。ありました。そういう時代もありました。

(小林悠)そんな状態で、こう何でしょう?地面と平行に、常に横に揺れている。で、たまに一回転みたいな。

(Mummy-D)一回転(笑)。あんまり見たことないですけどね、実際には(笑)。

(小林悠)勝手なイメージですが。非常に、常にノリノーリ!みたいな。勝手なイメージです。

(Mummy-D)うんうんうん。それはね、合ってる。それは合ってるんだけど、俺が言っている『踊らない』っていうのは、いわゆるステージ上とかで、たとえば『ここからがダンスシーン!』みたいな感じで、ダンサーと一緒にステップを合わせたりとか、ああいうことは絶対にしないの。

(小林悠)絶対にしないんですか?

(Mummy-D)ほとんどしないね。

(ジェーン・スー)ヴァニラ・アイスぐらいですね。


(Mummy-D)そうそうそう。一時期、そういうのあったんだけど、結構カッコ悪いってことになってますね。ラッパーの中では。

(小林悠)勝手なイメージで、いそうな感じがあるんですけど。

(Mummy-D)たとえば手の振りとかさ、そんぐらいは。あと、自分で勝手に踊るっていうのはあるんだけど、誰かと一緒に合わせたりとか、あと一定のステップを踏むみたいなのは絶対にやらないし、何かちょっとね、ナンパチックなことっていうことになっている。

(小林悠)それ、Dさんだけがしないんじゃなくて。

(Mummy-D)もうこれはね、俺らがラップを始めた平成2年ぐらい(笑)。平成2年ぐらいの時にね、ボビー・ブラウンとかすごい流行っていて、俺らの『痛サー』GALAXYっていうソウル研究会で、みんなそういうの真似て出来るようになって。嬉しくてしょうがなくて、ごく初期のライムスターの時に相方が歌っている時、どっちかが踊ってたりとか(笑)。ランニングマンみたいのを踊ってたりとかしてたら、その時にLA帰りの某ラッパーの人に「お前ら、ラッパーは踊るのはダセェんだ」って言われて。『あっ、そういうもんなんだ』って思って、それからは分かったんだけど。結構ね、ステージ上ではね、俺らのパフォーマンスはダンスを入れる時はダンサーにダンスは任せて・・・

(小林悠)完璧に役割を分担しちゃうんだと。

(Mummy-D)たとえばR&Bシンガーだったら、結構一緒になってね、踊ったりとかね。

(ジェーン・スー)振り付けたりとかするじゃないですか。

(Mummy-D)まあ、マイケル的なっていうか。ジャスティン・ティンバーレイクとかもそうだけど。ああいうことはやりません!ラッパーは。だから、意外と「踊り、上手いんでしょ?」とか「ちょっと踊ってみてよ」とか言われても、別にラッパーたちは自分のダンスができるだけで、いわゆるダンサー的なダンスは全然できない!イエー!

(小林悠)イエー!あっ、ラッパーっぽくなってきた!

(Mummy-D)(爆笑)

(ジェーン・スー)すごいね!このナタリーの薄い知識(笑)。

(Mummy-D)いや、いいよいいよ。

(小林悠)勝手なイメージですね。

(ジェーン・スー)ラッパーは踊んないんですよ。

(Mummy-D)どんどん聞いて。

(小林悠)踊りません。パンツは見せますか?

(Mummy-D)パンツ、さっきの写真の頃(大学時代)は見せてたと思うね。

(ジェーン・スー)あの、ジルボー(MARITHE + FRANCOIS GIRBAUD)履いてましたよね。

(Mummy-D)ジルボー履いて、カルバン・クラインのパンツを、上のところを見せるみたいなのが流行だったね。そん時の。

(ジェーン・スー)ティンバーランド履いてね。

(Mummy-D)ティンバーランド履いて。

(小林悠)あー。今はあんまり見ない?

(Mummy-D)今もいるはいると思うよ。今、いろいろ多様になってきちゃってさ。俺なんかほら、結構・・・昔の自分からしたらちょっと信じられないけど、結構タイトなジーンズっていうか。

(小林悠)シャキッとしたジーンズですね。

(Mummy-D)うん、そう。これがね、あるじゃん。ベースボールキャップに、ダボダボのTシャツに、ダボダボのジーンズに、でっかいブーツみたいな。ああいうのがね、もう似合わなくなってきちゃうの。

(小林悠)あ、大人になって。

(Mummy-D)コットンのさ、非常にコットンな感じと、顔の素材感が合わなくなってくるの(笑)。やっぱりね、大人になるとね、それなりの格好しないと厳しくなるんで。最近はキレイ目ですけど。

(ジェーン・スー)たしかに、ニューエラ(New Era)とか被っている印象、ないですね。

(Mummy-D)似合わないよ!マジでキャップはね・・・笑うよ!

(ジェーン・スー)ちょっとね、Mummy-Dさんのパリッとフロントのツバが折れてないニューエラを被っているシーンを見たいですけどね。

(Mummy-D)ニューエラっていうのは、ベースボールキャップですね。いわゆる。ティピカルな感じというか。

(小林悠)野球少年はちゃんと自分の顔に合うように(キャップのツバに)カーブをつけるじゃないですか。あれ、何でまっすぐなんでしょう?

(Mummy-D)あのね、あれはね、ヒップホップっていうのは結構ゲットーの文化だったりするから、とにかく『新品』っていうのをアピールしたいわけ。だから、値札つけたままにしたりとか。いわゆる『古着文化』みたいなのは一切なくて。そういう成り上がり的なところなのかね。それ以外にもいろいろ、あるんだろうけど。

(ジェーン・スー)シールつけっぱなしとか、そうですよね。

(Mummy-D)そう。シールつけっぱなしとか。

(小林悠)勉強になりますね!

(ジェーン・スー)来週辺り、ヒップホップスタイルで来てくださいよ。

(Mummy-D)(爆笑)

(ジェーン・スー)タグつけたまま。とりあえず、服買って全部タグつけたままで来て。

(Mummy-D)うん。「ついてるよ」って言われるだけだと思いますけどね。

(小林悠)あの、ナチュラルにしたこと、ありますけどね。ユニクロのLとかSのシールがバーッとついたままとか。

(Mummy-D)俺もある。

(ジェーン・スー)ヒップホップじゃん、ナタリー。

(小林悠)あら、ヒップホップでした?間違いではなくて。

(Mummy-D)ヒップホップだよね。うん。

第四位:ラッパーは音痴ではない

(小林悠)そうかそうか。第四位です。『ラッパーは音痴ではない』。

(Mummy-D)そう。これはね、意外と言っておきたいのよ。

(小林悠)あの、歌が歌えないから言葉を発してるのではなく。

(Mummy-D)そうそうそう。あのね、まあそういう人もいるかも知れないけど。結構・・・ある大物女性シンガーの父上にですね、お会いした時にですね、「ラッパーっていうのは歌えないし音楽が出来ないからラップをやってるんだと思ってたけど、キミは違うね」とか言われて。ほんで嬉しい半面、ガックリみたいなことがあったんだけど。結構その、『歌えないから、音楽が出来ないから(ラップ)やってんだろ?』って思われてることが多いんだけど、いいラッパーはね、歌上手い!

(ジェーン・スー)あの、私は過去にカラオケに行った経験から、坂間さん(Mummy-D)、めちゃめちゃ歌上手いです。坂間さん、めちゃめちゃ歌上手い!

(小林悠)ええー!聞いてみたい!

(Mummy-D)俺はそんなでもないけど、基本的にみんなね、カラオケとか行くと結構上手いよ。

(小林悠)やっぱり音程を操る力が優れているからこそ、ラップの部分でも才能を発揮するってことなんでしょうか?

(Mummy-D)そうね。ラップってさ、単にしゃべっているだけのように聞こえるかもしれないんだけど、意外とね・・・曲で言ったらコードの中の構成和音のどこかに引っかけながら歌ったりしてるんだよね。いわゆる『ルート』みたいなことを感じたりだとか、『スケール』みたいなのを感じてたりして。だから最初に入った音程と最後があまりに離れてたりすると、意外と気持ち悪かったりとかで。意外と歌っぽいところがあるの。

(小林悠)あ、そこらへんも意識しないとダメなんですね。

(Mummy-D)意識するというかね、上手いラッパーは勝手にしてるっていうか。

(ジェーン・スー)あの、フロウの特徴ですごい出ますよね。メロディアスなものをピュッと入れる人と、途中にしゃべりみたいなのをバババッと入れて、またスッとメロディアスのところに戻ったり・・・

(Mummy-D)そう!あれ、すごいよね!

(ジェーン・スー)あれ、すごいですよね。あのテクニック、音感が良くないと無理だと思いますけどね。

(Mummy-D)うん。俺、ずっとラップとかずっと歌ってるとかはできるけど、行ったり来たりは難しくて。それはね、若い子ほど出来るね。

(ジェーン・スー)ああ、そうなんだ。

(Mummy-D)最近のラップは結構ほら、サビは完全に歌だったりして。それもシンガーをフィーチャリングしないで、自分で歌ってる人とか。ドレイクみたいな人とかいっぱいいて、どんどん自由になって来てるから。うん。


(小林悠)Dさん、その歌だけで出したりはしないんですか?

(Mummy-D)(笑)それね、よく『やれ!』って言われるんだけど、実際ね、それやったら多分かなり痛いと思う(笑)。

(ジェーン・スー)『痛サー』ですか?

(Mummy-D)うん。結構、『痛アルバム』・・・『痛チューン』になると思う。

(ジェーン・スー)演歌とか歌ってましたよね、昔。すごい上手かった。

(Mummy-D)演歌ね。うん、最近の曲をね、知らないっていう。あの住職さんの話じゃないけどさ(笑)。

(小林悠)ありがとうございます!聴いていただいて。

(Mummy-D)やっぱりそれもあるしね。俺らはカラオケ行くと結局最近の曲とか知らないから、適当に番号を入れて、そうすると画面にイメージ映像みたいなの出てくるじゃん?あれに合わせて、その映像を歌にしていくフリースタイルカラオケみたいなのをやったりするね。

(小林悠)新しい!

(ジェーン・スー)あのね、前からそういうところありましたよね。その『痛サー』自体も結構そういうフレキシブルな遊びっていうのをかなり強要されるところで。

(Mummy-D)(笑)

(ジェーン・スー)すごい覚えてるのが、話ちょっとそれちゃって申し訳ないですけど、合宿に行くわけですよ。サークルで。夏合宿とか冬合宿とかスキー行ったりとか。結局、泳いで飲んでとか、スキーやって飲んでっていうだけなんですけど、そこで「”Joy to the love”やろうぜ!」って言われて。何のことだか全然分かんなくて。全員車座になって1人が「Joy to the love ♪」って言って、あの時流行っていたgloveの曲を歌うわけですよ。で、「テーレレーレレー♪ テーレーレーレレーレレー♪ レーレレーレレー♪」のところを自分でどんどん作っていって回されるの!

(Mummy-D)きっついね、それ!(笑)

(ジェーン・スー)で、詰まると飲まされるっていうのをやっていて。『このサークル、何だ?』って思って。


globe / Joy to the love

(小林悠)(笑)発想力が違いますね。

(Mummy-D)怖いね。俺、それ知らないけど。もういなくなった時だね。

(ジェーン・スー)「”Joy to the love”やろうぜ!」って言われて、延々それで。「かーけめーぐる♪」とかみんな、適当に歌っていくわけですよ。どんどん。

(Mummy-D)(爆笑)

(ジェーン・スー)で、「面白くない!」って飲まされるっていう。

(小林悠)うわー、青春でしたね。

(Mummy-D)青春だね。でもどうしようもない青春だね。恥ずかしいですよ、本当に。

第三位:韻は踏まなくてもよい

(小林悠)お二人ならではのエピソードでしたね。第三位です。『韻は踏まなくてもよい』。意外です。

(Mummy-D)これちょっと意外だと思う。これね、結構ラッパーすら誤解している。これは誤解だと思うんだけど、ヒップホップっていうと「ナントカカントカ、ナントカじゃなーい、ナントカカントカ、ナントカしたーい」「楽しまなくちゃ、つまらなーい!」とかさ。

(小林悠)(笑)

(Mummy-D)当たり前だろ、バカヤロウ!みたいな。一番低級な韻を踏むとそういう感じだけど、何かそのね、「オレのライムを聴いてくれー!」みたいなの、あんじゃん?

(ジェーン・スー)「ナントカカントカ、ウントカでー!」ってやつですね。よくある。

(Mummy-D)そうそう。でも、大事なのは『いくら前の音節から長く韻をタイトに踏みましたよ』ってことじゃなくて、『リズムを作るために韻を踏む』わけであってさ。何て言うか俺らの音楽っていうのは、音楽の中でメロディーが無いわけじゃなくて、メロディーの要素が弱くてリズムの要素が強いのがラップで。リズムの要素が弱くてメロディーの要素が強いのが普通の歌だと思うんだよね。だから、要するにリズムが出ればいいだけで、『韻を踏む』っていうのはそれに対して一番有効な手段であるから韻を踏んでいるだけで。

(小林悠)はー!

(Mummy-D)そう。だからリズムが出てれば逆に言うと韻なんか踏まなくていいんだよ、みたいな。

(小林悠)よくラジオなんかやっていても、ちょっと偶然ながら韻を踏んだような表現になったら、「ちょっと今、和風ラップっぽくなっちゃいました。へへへ。」みたいなね。すごい失礼なこと言ってたんですけど。

(Mummy-D)(爆笑)そのさ、『何となくのこっ恥ずかしさ』が問題なんだっていうね。

(ジェーン・スー)この人ね、『和風ラップ』って言うんですよ(笑)

(Mummy-D)『和風ラップ』(笑)。

(ジェーン・スー)『和風ラップ』って何だよっていうね。

(Mummy-D)和風ラップ、Jラップ、日本語ラップ、いろいろ言い方ありますけども。まあ本当にそういうことでさ。英語の詞だと必ず韻を踏むのは結構基本だとして、日本語はあんまりそれに馴染まないから五七調、五七五七七みたいな音節数でリズム作ってきたと思うんだけど。

(小林悠)じゃあ、無理くり考える必要はないと。

(Mummy-D)うん。無理くりが面白かったりもするけど、本当に言いたいことがある時はスパーン!って韻を踏まないで言ったほうが効果的な時もあるし。まあ、リズムが大事よって話でね。

(小林悠)誤解が解けました。

(ジェーン・スー)そう。ナタリーの誤解がどんどん解けていく。

(Mummy-D)でもいいよ。そういう和風ラップ調もどんどんやってくださいよ!

(小林悠)(笑)すごくね、やりにくくなりますね。いろいろ聞いちゃうとね。

(Mummy-D)やってください。だってすんごい敷居低いんでしょ?そういうの(笑)。

(ジェーン・スー)もう、ガンガン行っちゃおう!

(小林悠)行っちゃうぞ!「二位、二位に、行っちゃうYO!」

(Mummy-D)(爆笑)

(ジェーン・スー)え?今のラップ?もしかして。

(小林悠)和風ラップ。手がついてましたけどね。

(Mummy-D)DJ的なね。

(小林悠)手が拭き掃除みたいになってましたけど。

(Mummy-D)DJと混ざってるじゃねーかっていうね。

(小林悠)(ラップ調で)わるそうなやつはー!だいたい友達ともかぎらないー!

(Mummy-D)・・・あっ、それ二位ですか?(笑)

(小林悠)二位です。

第二位:悪そうな奴はだいたい友達とは限らない

(Mummy-D)それね、もっと効果的な言い方してくださいよ。「悪そうな奴はだいたい友達とは限らない」。

(ジェーン・スー)あ、アナウンサーっぽく。

(Mummy-D)はい。

(小林悠)スッとくる。

(ジェーン・スー)悪そうな奴はだいたい友達だと思ってる?

(小林悠)何でしょうね?以前、トップ5の水曜日でもこういう話がありましたけど、意外とラッパーの人は高学歴な方が多かったりとかね、お金持ちの家が多いみたいな、ラッパーあるあるみたいなのが以前紹介されてましたけどね。

(Mummy-D)そう?

(ジェーン・スー)あの、サ上とロ吉(サイプレス上野とロベルト吉野)さんが来てくださって、その時にラッパーあるあるをやってたんですよね。

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(小林悠)たしかに私も失礼ながら非常に怖い方々なのかしら?みたいなイメージ、勝手にあったので、『友達もみんなワルでさ・・・』みたいな。分かんないですけどね、『和風ラッパーは・・・』とか勝手なイメージが。失礼なイメージですけど、ありました。でも、前回そういうのを聞いて、『あ、そういうわけではないのね』っていうのを学んだわけなんですけど。あの、『悪そうな奴はだいたい友達とは限らない』。

(Mummy-D)そうね。とにかくね、すげー怖いと思われてるの。どこ行っても。

(ジェーン・スー)いまだにそうですか?

(Mummy-D)いまだに。で、しゃべり出すじゃん?しゃべると普通にしゃべるでしょ。別にね、「常にオレはラップしてるぜ!」とかさ、「マイクは離さない!」なんておかしいだろ?そんなの。だから、普通に話を始めて普通に人と接するじゃないですか。それだけで、「あ、何かいい人なんですね」みたいな(笑)。

(ジェーン・スー)いまだに怖がられます?もうそれって無くなったのかなって。いまだにそうなんだ。

(Mummy-D)あるある。あるあるある。何かほら、それを利用しているところもあるんだけど。『怖い』と思ってくれるんだったらそれでもいいや。全然怖くないけどねー!みたいな。ほら、怖い中学の先輩がさ、一瞬だけギャグとか言ったりすると急に親しみを感じたりすることあるじゃん?そういう風に思ってもらえればいいかな?みたいなさ。

(ジェーン・スー)ハードル高くしておいて、『あ、この人いい人なんだ!』って思わせるっていう。

(Mummy-D)でもまあね、怖くないですよ。

(ジェーン・スー)どうなんですかね。ちょっと緊張感を持って接しなきゃなっていうのは、まだあるかもしれないですね。もしかしたら。

(Mummy-D)まあね。B-BOYスタンスっていうかね、要するにヒップホップの美学みたいなので『バカにされない』とかさ、『ナメられない』みたいなところは常にあるから、いろんなハードな奴もいっぱいいるし。そういうのがイメージとして定着してるからなのかな?って気はするけど。何て言うか、人生であんまり会わないような、結構ハードな人生おくっている奴とかワルっぽい奴もいっぱいいるけど、総じてピュアだね。みんな。

(小林悠)あっ、そうですか。

(Mummy-D)うん。礼儀正しいし。

(小林悠)まあ、そうですよね。みなさんね。

(Mummy-D)そうですよ。残る人はね。

(ジェーン・スー)ああ、たしかにね。そういうことなんですね。

(小林悠)私も勝手に先週、『来週のゲストはMummy-Dさんです』の『Mummy-Dさん』っていう文字だけで怖かったです。

(ジェーン・スー)意味が分かんない(笑)。

(Mummy-D)なんか『ジェーン・スーさん』みたいですけどね。

(小林悠)(爆笑)

(ジェーン・スー)カンベンしてくださいよ!パイセン、カンベンしてくださいよ!本当に。

(Mummy-D)ねえ?

第一位:チェケラッチョは言わない

(小林悠)イジりますね。で、第一位。『チェケラッチョは言わない』。

(Mummy-D)そう!これが俺は言いたかった!今日は俺、これだけは言いたかったんだ。バカヤロウ!

(小林悠)すいません、時間かかっちゃって。

(Mummy-D)『チェケラッチョ』は言わねーよ!

(小林悠)(爆笑)

(ジェーン・スー)昔、『チェケラッチョ、チェケチェケラッチョー!』みたいなこと、言ってませんでした?

(Mummy-D)あの頃はちょっと言ってたけど。

(小林悠)あ、やっぱり言ったことあるんですか?

(Mummy-D)うん・・・まああるけど、基本は言わない。でね、あるじゃないですか。『チェケラッチョ』はまだいいけどさ、『チェケラッチョ』に必ずポーズがつくじゃないですか。

(ジェーン・スー)ああ、こう自分を抱きかかえるような・・・

(Mummy-D)それはいい。それはまだいい。それはジェーン・スーさんが、まだ音楽プロデューサーだからそこまでなので。

(ジェーン・スー)うわっ、ムカつく!まあいいや。はい。

(Mummy-D)「YO!」とか言いながら、必ずこの左手の法則っていうか・・・フレミングの左手の法則みたいなやつをこう、斜めに出してくるんですよ!

(小林悠)分かる!(爆笑)

(ジェーン・スー)あ、『チェケラッチョ!』みたいな感じで。

(Mummy-D)最近もね、CMで関根麻里さんとかがものすごいこう、斜め、斜め、斜め。交互にものすごく俺の方に出してくるんですよ。アレがもう、カンベンしてくれって感じで。忌野清志郎さんもね、俺に会うたびに「おっ、Mummy-D!YO!」って言いながら出してくんの!「だから清志郎さん、それやんないって言ってるじゃないですか!」って言ってるんだけど。あれ、何で?逆に。

(小林悠)逆になぜイメージが定着したんだろ?

(ジェーン・スー)何か昔のラップのイメージが強いんじゃないですかね?

(Mummy-D)昔、やってた?誰かこんなこと?

(ジェーン・スー)多分、『ウェッサーイ!』とかのマークと・・・

(Mummy-D)あ、ギャングサイン。

(ジェーン・スー)ギャングサインの『WEST SIDE』とか、こう『LA』とかいうのやったりとかっていうのが、どんどん分解されていって、フレミングの左手の法則になり、『チェケラッチョ!』って前に出すていう。

(Mummy-D)そうそう。前に。あとで俺ね、写真でのっけるけど。左右を交互にして、上下ってやるのよ。

(小林悠)かなりラッパーっぽいです。

(Mummy-D)嘘!?

(ジェーン・スー)誤解だよ、誤解。

(Mummy-D)俺はね、ある程度はね、ミュージシャンだからある程度のパブリックイメージはしょうがないとして、俺はやってねー!こんなこと。マジで。

(ジェーン・スー)たしかに、フレミングの法則をやって目の前に出しているラッパーのCDジャケットとかは見たことがないですね。

(小林悠)え、無いですか?勝手にあるように思い込んでました。

(Mummy-D)幻影だよ、幻影。

(ジェーン・スー)幻影。少なくとも2000年、21世紀に入ってからは無いよ。

(小林悠)ダメですね。いわゆる『ラッパーものまね』みたいな感じで「YO!YO!」とか「チェケラッチョ!」とか、みんなやりますよ。それは。固定化されたもので。

(Mummy-D)うんうん。まあいいの。それだけね、メジャーになったってことだからね。それはある程度はしょうがないとしても、俺はやってないな、おかしいなっていう。そこがまあ、面白いんじゃないですかね。

(小林悠)プロは最近はやってません。『チェケラッチョ!』はやってません!以上、ライムスターのMummy-Dさんご提供『ラッパーにまつわる誤解トップ5』でした。

<書き起こしおわり>

ライムスター宇多丸が語る 本当に上手いラッパーの条件
ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンドシャッフル』の中で、本当に上手いラッパーについて、その要素や条件を話していました。 Twilight Shower バックステージ #ラブシャ #TwitterMirror with Mu...
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