伊集院光が語る 下北沢がいけ好かない理由

伊集院光 深夜の馬鹿力 伊集院光の深夜の馬鹿力

伊集院光さんがTBSラジオ 深夜の馬鹿力で、以前に住んでいた下北沢を訪れ、『いけ好かない街』だと再認識した話をしていました。

(伊集院光)今週気づいたこと。思い出したこと。松尾貴史さん、キッチュさんの経営しているカレー屋さん(般°若・パンニャ)っていうのが下北沢にあります。僕はこのカレーをテレビ番組で、テレビ番組のスタジオでごちそうになったことがあって、まあうまかった。めちゃめちゃうまかったんだけど、その番組がオンエアーになる前に行かないと、そのキッチュさんのお店もカウンターとちょっとテーブル席があるぐらいで、合わせて10人はいるかはいらないかぐらいの店だって聞いてたんで、オンエアーになる前にいかないと混んじゃうじゃないですか。

だから行けなくて、オンエアーになっちゃって。その後、すごく評判が高いっていう話も聞いていて、なかなかお店に行って並ぶのが嫌いなんで。並んでる途中で俺、待てなくて観葉植物とか食っちゃうから。葉牡丹とかにマヨネーズかけてモリモリいっちゃうから。「原種だよ!原種だよ!」みたいな。「その後、紆余曲折あってレタスとかだから!まだだから!」っていうのに葉牡丹食っちゃうから。人様の家の葉牡丹を食い荒らすのも申し訳ないと思って行かなかったんだけど。この間久しぶりに思い出して。『そうだ!』って思って下北沢行ったんだけど、この下北沢がまあ久しぶりに来るわけ。24・5歳の時に1年間住んでいたのね。で、それ以来ほとんど近寄ってない。

下北沢のヴィレッジヴァンガード臭

まあ、『前に僕が住んでいたところはどうなっているんだろう?』って下北の外れぐらいまでは近づいたことがあるんだけど。下北自体に近づくのは、久しぶりだったんだけど。カレーはうまくて、カレーを食った後にちょっと歩いてて。とぼとぼ歩いてたんだけど、思い出したわ。下北のことをほとんど忘れてたし、ほとんど近づいてなかったんだけど、近づいてなかった理由は、『いけ好かねー街』だったからだっていう(笑)。一言で言うと、「伊集院さん、下北沢のどの辺がダメなんですか?」って言ったら、「ヴィレッジヴァンガード臭だ」と。俺の中ではヴィレヴァン臭が・・・ヴィレッジヴァンガードの中に入ると甘い匂いする、あれじゃないですよ。

なんか下北全体に漂う『ヴィレッジヴァンガードで小物を買ったら、まあおしゃれ』みたいな。ヴィレッジヴァンガードで売っているマンガは他のマンガと違っておしゃれなマンガで、あと何かテレビの棚の横ぐらいに置いて、電気消してスイッチ入れると泡みたいなのが上行ったり下行ったりするオブジェを置いているから、もう東京の人間です!みたいな。あれが嫌いだからあの街の思い出が無いんだな!っていうのを思い出しましたとさ。月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力!

ただ、ご安心ください。このヴィレヴァン臭が好きな、おしゃれな人にとっては最高な環境なわけです。そういうことじゃないですか。最高の環境だってそれだけは言っておきますけど、僕は用がないっていう。全く用がないっていうことを。だから来なかったんだって。25歳ぐらいの時が一番一生懸命働いてたから。昼の生放送の帯をテレビでやって、夜の月金の生放送ラジオをやっているから、朝家までテレビ局からお迎えが来て、日比谷にあったスタジオに、この局、TBSのお昼の番組をやりに行って。で、その途中にドラマに出てたりしたからね。でまあ、実際この帯番組のテレビの方もドラマの方も、すっごいぶっこけてますんで(笑)。ほぼ資料は残ってませんけども。

で、そのドラマ撮って、他の細々したことをやって、夜そのまま有楽町のニッポン放送入って、ラジオを夜の一時までやって帰ってきてってやって。土曜日も隔週で生放送が入っていて、日曜日は名古屋で生放送のレギュラーをやったから、ほぼまあこの下北の周りで過ごすことはなかったんですけど、それにしても覚えてないなと思ったら、『そうだ!ヴィレッジヴァンガード臭だ!』っていう(笑)。『後に言う、ヴィレッジヴァンガード臭だ!』っていう。何だろうね、僕の思うヴィレッジヴァンガード臭は、セサミ・ストリートのおもちゃね。セサミ・ストリートのおもちゃですよね。あの感じとかですね、あとアメリカのグミ。アメリカのグミなんですよね。セサミ・ストリートのおもちゃもアメリカのグミもさ、下北沢じゃないと買わないんでしょ?みたいなそういう感じなんですよ。

ええ。保木間にあったら買わないんでしょ?って。足立区の保木間あたりにそれがポンって置いてあっても、買やしないでしょ?みたいなそんな感じの。で、またさ、これが困ったもんで、俺はそんな感じだけど、カレー食いに行った帰りにカミさんとかが寄りたいっていうの。そのヴィレッジヴァンガード。で、ヴィレッジヴァンガードの前で待ってますみたいな(笑)。ヴィレッジヴァンガードの甘い匂いに、あなたは引き寄せられるかもしれないけど、僕は割と表にいたがる感じになりますんでっていうね。『おそらく今更テレタビーズには誰も見向きしねーんだろうな、お前ら!?』みたいな人たちがどんどん吸い込まれる中、下北いたりして。

でも元々下北って、東京の中でもかなり方向感覚の分かりにくい・・・俺が住んでいた代沢十字路っていうちょっと外れの、三軒茶屋に近づいている方のところから、下北沢の駅とか、もっと言うと一番街っていう、割と駅前劇場からさらに反対側に向かってみたいなところにたどり着くのに、今俺、どっち向いているのか、あんまり良く分かんない。頼りになるのは、『小田急線の線路がこういう感じだから、小田急線にかかっている踏切まで行ってこうだ』みたいなことだったのが、久々行ったら例の小田急線が地下になっちゃってるから、その頼りの小田急線もギリしか残ってないの。あれ、多分もう何年かしたらあれも無くなるわけ?今はその小田急線の残務処理みたいなことはやってるんだ。

鉄塔建っているのを倒すとか、終電の時に誰かが吐いたゲロにオガクズをまぶすとか・・・頑固なゲロだな!っていう(笑)。まあそういうことはやってるんだけど、多分あれ無くなっちゃったら、俺もう1年近く住んでいた下北、何も分かんねーなっていう。そういう感じでしたね。だから俺の中では、俺の中の下北の地図はもう白紙。白紙でいいですよ。あとキッチュさんのカレー屋さんだけ覚えりゃいいや。あそこだけ行ければ、あとはまあまあそんなに用のある場所では・・・Lサイズ専門店も無いし。あっ、Lサイズ専門店、1軒あるんだな。1軒あるけど、そこは別に池袋にもおんなじ店があるから、ほぼ行くことはねーなと思いながら、最後の下北沢を楽しんできました。

(中略)

(伊集院光)まあ最近いろいろ思うことをしゃべりますけどもね、ヴィレッジヴァンガードに自分の本、置いてあったりするから、スイマセン!って。言うそばから本当にスイマセン!って思って。何だろうね。情緒が不安定な感じっていうね。米相場だったら、ものすごい大赤字になったりとか、もしくはものすごい家建ったりとかしてると思いますけど。この乱高下。

(中略)

(伊集院光)あの、俺の中でのヴィレッジヴァンガードのイメージは、夢破れて東京を後にする時に捨てるもの1位っていう(笑)。あそこで買った、何でしょうね。さっきはセサミ・ストリートのおもちゃ、あとテレタビーズの人形、あとアメリカの鳥肉。ゴムで出来た鳥肉、分かります?要するに羽をむしった鳥の、足はついているやつの・・・日本の文化にはあんなもの、1回も出てこないんだよ。あれのゴムのやつで、突っ込む時に頭たたくとか、アメリカのコントで使うゴム製の鳥肉あたりを、電話して『お兄ちゃんに謝って家帰るから、田舎で俺にも畑を手伝わせてくれ』って話をした後に、いるもの・いらないものっていう、笑う犬の冒険で言う所のいるもの・いらないもので分ける時に、割といらないものっていう所に入ってくるのが、僕の中でのヴィレッジヴァンガードで買ったものっていう感じですね。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました