みうらじゅん 伊集院光が語る 映画『わさお』のスゴさと魅力

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伊集院光さんのラジオ『週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』みうらじゅんさんゲスト回。みうらじゅんさんオススメの映画『わさお』を見た感想を語り合っていました。


(伊集院光)さあ、『先週あれ見たよ』編であります。本日の映画に一言も二言もあるゲストは、二週間ぶりの登場です。みうらじゅんさんです。

(みうらじゅん)よろしくお願いします。もう、顔が笑ってるじゃないですか!俺を見つめる目が。もうみんな笑ってるじゃないですか。

(伊集院光)すごい環境ですよ。僕でしょ、小林アナでしょ、みうらじゅんさん、あと構成のスタッフとか、(スタジオの)ガラスの向こうにディレクター、僕のマネージャー等々いるんですけど、このほぼ全てが『わさお』を見ている!

(小林悠)(笑)

(みうらじゅん)すごいなー、それは。

(伊集院光)聴いてくださってる方も、一応『わさお』を見ている方対象がメインっていうね。そういう番組、ありますか?

(みうらじゅん)なかなかないですよね。もう、飲み屋でいいじゃないですかって話。飲み屋で話したほうが盛り上がりますよ、これ。こんだけ『わさお』度が高いところないですから。

(小林悠)『わさお』度(笑)。

(伊集院光)もう、『わさお』度って言葉がないですからね。ということで、みうらじゅんさんが前回おすすめしてくださった週末これ借りよう作品は、2011年の日本映画『わさお』ということで。

(みうらじゅん)ということは、その期間(『わさお』が)借りにくかったこともあるかもしれないですね。

(伊集院光)そうなんです!『わさお』の回転率がスゴいらしいです!

(みうらじゅん)TSUTAYAさんも間違えて、大量にもっと入荷しようって思わないかな?大丈夫かな?今後のためにも、新作扱いとして・・・

(伊集院光)まあちょっと冷静に対応していただきたいですね。これ、何からいきます?いや僕ね、思ったんですけど、今回みうらじゅんさんがハードルをすごい下げて持って来てるから。要するに僕らはいつもいろんな人が来て、その人たちが大事にしている、すごく含蓄のある映画を勧められているから・・・

(みうらじゅん)それ、失礼じゃないですか?俺だって大事にしている映画を勧めているじゃないですか!決まっているじゃないですか。

(伊集院光)違う。違うでしょ。『これでもくらえ!』って投げてきている(笑)。

(みうらじゅん)俺の中の犬のシリーズでは、トップに来る作品ですよ!犬映画の中ではトップですよ、これ。

(小林悠)犬、苦手なんですよね?

犬が嫌いなみうらじゅんの犬映画トップ

(みうらじゅん)犬、嫌いなのにも関わらず、トップっていうことですから。『101匹わんちゃん』より上ですよ。確実に。

(伊集院光)いや、だけど・・・一応ポイント3つ貰ったんですが。ポイント1『主人公が犬である。』

(みうらじゅん)まあこれ、そうですよね。『吾輩は犬である』っていうことから始まるっていうことですから。薬師丸(ひろ子)さんでもなく、『わさお』だったでしょ?ちゃんと『わさお』だったでしょ?

(伊集院光)そうなんです。で、ポイント2が『ドキュメンタリーではなく、完全な作り物』。

(みうらじゅん)それも言った通りだったでしょ?

(伊集院光)言った通りでしたね・・・

(みうらじゅん)遠くから、やってきたでしょ?あんなもの、あり得ないでしょ?遠くから、やってくるの。

(伊集院光)先にポイント3つ、言っておきますね。3つ目。『なぜ、[わさお]は[わさお]と呼ばれるのか?』

(みうらじゅん)これ、もうみんな知ってるんですよね?

(伊集院光)もう、みんな知ってる。

(みうらじゅん)それもしかも、薬師丸さんの一言だけで決まったでしょ?あとの人は「ブサイクだ、ブサイクだ。」って言ってたのに、薬師丸さんのあの、「わさわさしている」っていうことだけで決まったんですよ、名前。

(伊集院光)そうなんですよ!

(みうらじゅん)名前が。意外ですよね。

(伊集院光)それまで『ブサイクな犬』とか『変な犬』ってずーっと言われているのに、一気に『わさお』に・・・

(みうらじゅん)集計とったら『わさお』になってたでしょ?いっぱい意見あったのに。

(小林悠)みんな呼んでました。『わさお』って。

(みうらじゅん)ビックリしましたよね!

(伊集院光)僕ね、珍しく整理ついてないんですけど。長年しゃべってきたのに。まあ、一番最初に軸になるところは、子犬のシロ。『わさお』がまだ『シロ』って呼ばれていたころに・・・

(みうらじゅん)そう、そこはもう代替わりしますからね。ここだけは言っておかないと。途中から見たら分からなくなりますから。違う犬ですから!それも。

(伊集院光)それが、子供とちょっと悲しい別れをして、その子はシロのことが忘れられないから、いつもシロが大好きだったボールをポッケに入れて、シロと会いたいなと思ってる。一方、青森から東京にやられたシロは、逃げ出して青森に帰ってくるんですよ!

(みうらじゅん)すごいですよ。すごい感動的なところじゃないですか。

(小林悠)すごすぎる!

(伊集院光)で、すごいのが、割とダイジェストでワーッと帰ってきたじゃないですか。

(みうらじゅん)あれ、(新幹線)はやてでもね、相当かかりますよ。あの距離。はやて並ですから。

(伊集院光)はやて並に帰ってきて、寸止めで会えないじゃないですか。近所をウロウロしている。そのもどかしい感じが、やっと会えてボールを投げる。

(みうらじゅん)はい。いいシーンだ。

(伊集院光)そのボールに、『わさお』がそれほど食いついてない・・・

(小林悠)(笑)

(みうらじゅん)そうそうそうそう。

(伊集院光)あれだったら、脱兎のごとく取らなきゃおかしいでしょ?っていうことは逆に言うと、こんなにそのまんまの『わさお』を映すってことは、ある程度元々ドキュメント要素があるんだろうと思うわけですよ。

(みうらじゅん)思いますよね?

(伊集院光)だって、そうじゃなかったら無理矢理に何テイクやってでも・・・だって一番感動的なシーンで『わさお』、顔舐めるでもなければ、急ぐでもないっていう。

(みうらじゅん)普通でしたね。至って普通でしたね。熊のシーンもありましたね。

(伊集院光)熊と戦うシーン!

(みうらじゅん)マタギの人達もビックリのシーン、ありましたもんね。

(伊集院光)熊もクオリティーが低いんですよねー!

(みうらじゅん)そうですよね。あれ、寅さんシリーズで結婚式で出てきた熊と似たような感じでしたね。

(小林悠)(笑)何ですか?何なんですか?

(みうらじゅん)タコ社長の娘の美保純さんが結婚するっていうので、北海道で式あげるんだけど、いきなり熊出てくるんですよ。そのテイストのゆるさったらなかったんですよ。もう、本当に。

(伊集院光)僕が思い浮かべたのは、子供の頃見たどっきりカメラで、玉川良一さんが騙された時に、向こうから熊が来るんですけど・・・

(みうらじゅん)あ、そのテイストですよ。

(伊集院光)はい。多分これが三大ダメな熊だと思うんですけど。まー、ちょっと小林アナを置いてっちゃいましたけど・・・

(小林悠)いやー、私は一番最初に、少年が「シロなんて嫌いだ!」って言ってお別れするシーンありますよね。もちろん悲しいシチュエーションではあるんですけど、あの車の轢かれ方の感じ・・・

(伊集院光)シロが路上の飛び出して、そこをお母さんが追っかけて、お母さんがトラックに轢かれて重体になっちゃう。

(小林悠)ええ、あれぐらいで重体に・・・

(伊集院光)俺、謎が解けたんです。この映画って要は、『わさお』っていう犬自体は実際に青森にいるらしいじゃないですか。

(みうらじゅん)いますいます。

(伊集院光)アイドル的な扱いの。その青森からしてみたら、これを盛り上げたい。

(みうらじゅん)村おこしですよね。

(伊集院光)はい、村おこし。それと、さらにはこのモデルとなったところには、トライアスロンの大会があるんです。実際に。で、この2つ(わさおとトライアスロン)を絶対に盛り上げたい。っていうか、逆に言うとこの2つを盛り上げるために、後付けで映画作ってるんです。

(小林悠)(笑)

(みうらじゅん)何を言うんですか。それ。そんなわけないでしょう。

(伊集院光)だから、トライアスロンの応援をしてるじゃないですか。家族で。そこに『わさお』を連れてきちゃうじゃないですか。ちびっこが。そしたら、ちびっこがいつも『わさお』に投げてあげているボールをトライアスロンのコースに落としちゃって。どう考えても、自転車がいっぱい来てるから、自転車に轢かれるべきなんです。

(みうらじゅん)轢かれるならね。

(伊集院光)轢かれるなら。なのに、突然関係ないトラックに轢かれる。

(小林悠)しかも結構スローだったんですよ。トラックが(笑)。

(伊集院光)これね、要はトライアスロンは傷つけられないの。

(みうらじゅん)なるほど!

(小林悠)そういうことですね!

(伊集院光)そういうことですよ!

(みうらじゅん)正解!

(伊集院光)正解ですよね。

(小林悠)納得しました。

(みうらじゅん)今、一個正解でました。

(伊集院光)で、この2つのために、ベタな、みんなの好きなものを幕の内弁当みたいに。あの、犬が死んだりするの、好きですよね?小動物が死ぬところって涙流して、そういう映画がみんな好きですよね。

(みうらじゅん)まあまあみんな・・・好きですよね。

(伊集院光)だけど、『わさお』は殺せない。

(みうらじゅん)なるほど。生きてるから。

(伊集院光)生きてるから。『わさお』生きてるし、『わさお』をもり立てる映画だから。

(みうらじゅん)ほんで、『わさお』も死んだ演技できないから、あれ。

(小林悠)あれ、何なんでしょう。キョロキョロして。

(みうらじゅん)あの人演技できないから。基本的には。

(伊集院光)で、そうすると他の演技ができて『わさお』じゃない犬が死ぬシーンが必要。

(みうらじゅん)なるほど。『わさお』より演技が上手い犬だ。

(伊集院光)そういうのを全部入れて、辻褄だけ合せていこうっていうことで、俺ちょっと途中からそこに感動しはじめて。

(みうらじゅん)よく出来てると。

(伊集院光)よく出来てる。みんな無理難題言ってくると思うの。

(みうらじゅん)はいはい。「ウチのこれも入れてくれ」と。

(伊集院光)「『ねぷた』、入るよね?」「そりゃあ、青森でございますから入りますよ!『ねぷた』!」

(小林悠)あー!

(みうらじゅん)『わさおねぷた』出さないとね。ならないよね。

(小林悠)(爆笑)それ!それ気になったんです。あの、『わさおねぷた』。

(伊集院光)最悪だよね、『わさおのねぷた』。

(小林悠)あれ、本当にあるんですか?

(みうらじゅん)出たんでしょう。あの年に。出たんですよ。

わさおねぷた 画像検索結果

(伊集院光)『わさおのねぷた』が出たんだけど、ストーリー上、出ちゃダメじゃん。

(みうらじゅん)そりゃあそうだね。

(伊集院光)ストーリー上、『わさお』は名も無き犬なのに・・・

(みうらじゅん)そうそうそう。有名になってたね。すごく。

(伊集院光)途中からワッショイワッショイ『ねぷた』が出て。またそれを延々と撮る。「えっ、作ったんだから、出すでしょ!?」って言われちゃったら。出すんだけど、それがもう何て言ったらいいのかな?俺は、いろんな人がこの映画を作るにあたって、いろんな勝手なことを言うんだろうなと思うんですよ。で、映画を作る側としてはお客さんを入れなきゃいけないから、その勝手なことばっかじゃなくて、いわゆる美味しい、映画的なシーンをいれなきゃいけない。熊との一騎打ちとか(笑)。

(みうらじゅん)あそこは、当然いりますよね。一騎打ちは。どんだけ『わさお』が忠犬であるかってことをバチッて示さないとなんない。無理やりでしたね。

(伊集院光)その無理難題を、よく投げ出さずに全部一応つなげたなと思うと・・・

(みうらじゅん)そういう意味では伊集院さん、そういうドキュメンタリーだね。

(伊集院光)そう。俺は、つなげたなと。いろんなリクエストとか無理難題をぎゅうぎゅうに詰めてるっていう。

(みうらじゅん)聖徳太子状態だよね。全員の意見を聞いたんだもん。

(伊集院光)ところに、ちょっと偉いなと思い始めちゃって。

(みうらじゅん)なるほど。『あの監督、偉いな』と。

(伊集院光)そうすると、佐野史郎さんとか薬師丸ひろ子さんとかその他のいろんなウデのある役者さんたちが、こんな滅茶苦茶なストーリーなのにグッとくる演技するじゃないですか。

(小林悠)(笑)

(みうらじゅん)してるしてる。

(伊集院光)俺ね、大人って貰った金の分、ちゃんと仕事するんだなと思って。

(みうらじゅん)なるほどなるほど。そりゃそうだ。っていうか、全部知らされてないんだと思うんですよね。自分の脚本の部分だけで、「ハイ、終わり!」ってなってるんじゃないですか?

(伊集院光)佐野史郎さんとか、すげー見せつけてくるじゃないですか。

(みうらじゅん)見せつけてきますよ。ものすごい頑張りますよ。

(伊集院光)おそらく佐野史郎さん、熊発見したところとかも一生懸命演技なさってますけど、熊見てないと思うんです。

(みうらじゅん)あの熊は見てないと思う。後で試写会で、『ええっ?』ってことになってると思いますよ。

(伊集院光)『俺、これを発見してたんだ』っていう。でも、こういう風に・・・

(みうらじゅん)いろんなシリーズとられたら、気になってきますよね。だからこの間言った、『LOVEまさお君が行く!』が来た時・・・『わさお』の次、『まさお』が来たんですよ!

(伊集院光)はい。『◯さお』シリーズになっちゃった。自分の中で。

(みうらじゅん)となると次は『いさお』と来るしかないわけですよ。

(小林悠)ええっ?それは何を・・・(笑)。

(伊集院光)みうらさん、もう言ってることが分からなくなってきましたけども(笑)。いやー、でもなんかちょっとこれはこれで僕は『見れちゃう』っていうと言い方が悪いけど・・・

(みうらじゅん)いや、見た自分の勇者っぷりに驚くでしょ?

(伊集院光)驚くし、なんかいろんなこと見えてきちゃいました。面白かったです。この映画が面白いっていうとちょっと語弊があるけど、『見た』っていう行為は面白かったですよ。

(小林悠)あー。みんなでこう、健闘をたたえあうみたいな、みんなでマラソン走ってゴールして、抱き合って喜んでるような心境に今なっている感じするんですよ。

(みうらじゅん)そうですよね。この中でポツンと「俺、見てないですよ」っていう疎外感ないですよ。

(伊集院光)そうですよね。今日、この後ごはん食べに行くとしても、そいつはちょっとって思いますよね。見てないから。

(みうらじゅん)そいつのためにもね。ちょっと悪いしね。

(伊集院光)ということで、まさかの『わさお』で今、ここまで盛り上がってるラジオ番組もないと思いますけども。

(みうらじゅん)そうですよ!4-5年前ですよ、公開はね。2年前ですか?

(伊集院光)遠くに置かないでください!なんで忘却しようとしてるんですか。

(みうらじゅん)えらい昔だと思っていた。なんだなんだ。

(伊集院光)でも、そうですよね。今盛り上がってる番組、なかなかないと思いますよ。というわけで、今回はみうらじゅんさんに推薦していただきました『わさお』、楽しませていただきました。

(みうらじゅん)お疲れさんでございました!

(小林悠)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>