ライムスター宇多丸 故Tim DogとDIS曲の魅力を語る

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ライムスター宇多丸さんがラジオ ウィークエンド・シャッフルで亡くなったばかりのラッパーTim Dogについて、こんな感じで話していました。

ライムスター宇多丸 故Tim Dogを語る

(宇多丸)今日はオープニングトーク、盛りだくさんで行きたいんで。というのは、今日でないと話せない話があって。そしてなおかつそれは、(次週の)スペシャルウィークでは絶対にかけられない曲をこれからかけようと思いますので。何かといいますと、ちょっとアメリカのヒップホップの話をさせてください。

アメリカのヒップホップ界のラッパー、それもベテランの部類に入る古いラッパーなんですけど、Tim Dogさんという方がおりまして。この番組でも一回ぐらい名前出したことあるかな?僕、とにかく何かっていうとTim Dogの話はするので・・・という方がいらっしゃいまして、この方がさる2月14日、バレンタインですかね、46歳の若さで糖尿病でずっと闘病されていたみたいなんですけど、亡くなられちゃって。ということで、Tim Dogさんの曲を是非、追悼の意味を込めてここでかけたいんですけど。

どういう人ってのをちょっと説明しておく必要があるかなと。このTim Dogさん、一番知られている曲、1991年の『Fuck Compton』という曲がございます。ComptonというのはLAの地名ですね。ロスアンゼルスの街の名前です。なぜその街をFUCKしているのかというとですね、その前に『NWA』という、今で言うとICE CUBEなんて皆さん、ご存知ですかね?あともう亡くなってしまいましたEasy-E、そして最初には世界最高峰のプロデューサーと今はなっているDr. Dreがいたグループ、『NWA』。要するにギャングスタラップというものを決定的に流行らせたグループですね。で、そのNWAがComptonという土地を中心に活動していて、代表曲『Straight Outta Compton』なんてのが。こんな曲です。ちょっと、一瞬聴いてください。

NWA『Straight Outta Compton』



「Straight Outta Compton!」ってね、大ヒットしましたよね。89年かな?大ヒットして、ヒップホップの地図を書き換えてしまったような大人気グループになったわけですね。で、NWAはロスアンゼルス、カリフォルニア、西海岸のグループなんですけど、Tim Dogは東海岸、ニューヨーク、ブロンクス出身のラッパーで、要はヒップホップの超由緒正しい伝統の土地から来たラッパーですよね。『Ultramagnetic MCs』というグループがございました。これは、80年代のヒップホップのサウンドや在り方の基礎を結構作ったグループとしても知られていますが、その一派として出てきている。

で、要するに西海岸のギャングスタラップが大流行している中で、ニューヨークから一矢報いてやるというので、Tim Dogが『Fuck Compton』という曲を出したと。僕はヒップホップの形式で人のことをけなす、DISする歌、DIS SONGっていうのがあるわけですけど、ヒップホップの数あるDIS SONGの中で僕が本当にお気に入りなのが、この『Fuck Compton』。どういうことかと言いますと、僕はNWAの大ファンなんですよ。どの作品も好きなぐらいNWA大好きだし。でも、同時にそれをディスりまくっているTim Dogの『Fuck Compton』、っていうかTim Dogも大好きなんですね。

とにかく、思い切り心の底から悪口を言っているわけですけど、どこかに笑っちゃうユーモアがある。途中で出てくるフレーズとか、「お前、それ嘘じゃねーか!」。嘘八百・・・「お前の奥さんと寝たぞ」とかね。みたいな嘘っぱちとかも入ってくる。とにかく何かね、DISっていう文化は決してただ陰湿な言い合いじゃなくて、何か爽快だなというか。ということがこの曲ではすごく分かりやすく出てるんじゃないかという風に思いました。

ちなみに、この『Fuck Compton』とかTim DogはNWA一派のことをその後もDISり続けるんですけど、曲を出し続けるんですけど、返答はなかったですね。相手にされなかった・・・売れ行きも全然違ったってのもございますけど。ただ、ヒップホップファンはTim Dogといえば、『Fuck Compton』とか他にも色んな曲ありますけどね。『I Get Wrecked』とか『Hardcore』なんて曲もありますし、Tim Dogの名前は永遠に忘れませんから。ヒップホップファンは。特に僕は絶対に忘れませんから。ということで、日本のAMでかかるのは初めてかもしれませんね。Tim Dog 追悼でお送りしましょう。91年の曲です。『Fuck Compton』。



この2番、いいですよねー。『ICE-Tともピースだ。ICE CUBEともピースだ。でも、NWAは俺にはクソだ!(But NWA ain’t shit to me)』っていうね。『All that gang shit’s for dumb motherfuckers』っていうところの、涙声入る感じとかね、もう最高。で、3番はDR.DRE、当時結婚していたかな?Michel’leという歌手の歌の一節を使って、要はお前の奥さんとやってやったぜ。で、朝シャワーを浴びながら鼻歌を歌っている。『お前黙れ、歌下手だろ!(Shut the fuck up bitch, you can’t sing)』なんつってね、事実にないDISが入るというね。というあたりも面白かったりします。先ほど、NWAからの返答はなかったといいましたけど、そのかわり、Rodney Oさんという方がいらっしゃいまして、Rodney Oが『Fuck New York』という曲で、さらにマイナーな返しをして。


またこの、Rodney Oさんという人が、トンデモエピソードが尽きない人でね・・・いつかこの、アメリカヒップホップの面白エピソード列伝とかもやりたいくらいなんですけどね。まあいいや、その話は。ということで、ちょっと半笑いで紹介しちゃいましたけど、Tim Dogという豪快極まりないラッパーがいたことを皆さんにちょっとね、片隅に置いといていただければ幸せでございます。

<書き起こしおわり>

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